エマと友達になった後は三人で一緒にいた。
食べることが好きなエマと良く弁当のおかずを交換したりユキとも交換したり、放課後に屋上で話したり、家で一緒に遊んだり……。
すっかり仲良くなっていた、のだが……。
ユキのいじめ、これは解決したように見えてしていなかった。ただ標的が俺になっただけ。
直接的ではなかったが、教科書を捨てられたり、下駄箱に画鋲を入れられたり、机の上に花瓶置かれたり…。
典型的すぎて心の中で逆に笑っていた。こんなちょっかいかけるのは寧ろ好きだろ、とか思ってたりもした。
ある日、いつもと同じようにいじめを受けた。
いつもと違い呼び出された。反応しないのがムカつくとか何とかいちゃもんをつけられ暴力を受けた。
殴る、蹴る、その繰り返し。流石に堪えた、めっちゃ痛いもん。
コイツら腹立つなーとか思っていた時だった。
「何をしている。」
冷たい声が聞こえた。声がした方には鬼の形相の少女がいた。
ストレートの黒髪が腰まで伸び、凛とした姿勢で赤い目がいじめっ子を捉えていた。
「今すぐ止めるんだ、正しくない。」
真っ直ぐとした声、それだけであいつらは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「君、大丈夫か?立てるか?」
さっきまでと打って変わり優しく手を差し伸べた。
「ぜ、全然大丈夫…。」
足がガクガク震えていた、情けねぇ…。
「……無理をするな。保健室へ連れて行く、いいな。」
肩を貸し、俺を連れて行く。何この子カッコいい…。
保健室にて傷の手当てをされた。
手つきが優しく、あまり痛みを感じなかった。
「すまなかった。もっと早く気づけていれば…。」
瞳に後悔の色が浮かぶ、お前何も悪くないのに…。
「いいよ、全然。少し前からこんな感じだもん。」
少女の動きが止まっていた。
「……つまり君は前からいじめを受けていた、と。……本当にすまなかった。別のクラスとは言え気づけなかったとは…不甲斐ない。」
自分のせいではないのに落ち込んでいた。
「気にしないで。元はと言えばあいつらが悪いし…。」
「彼らには後ほどきっちり言い聞かせ教師にも報告する。何か他にできることはないか?」
「じゃあ、友達になってよ。」
目の前の少女はキョトンとしていた。
「そ、それだけでいいのか?」
「うん。あっ、自己紹介してなかった。私は齋藤ユーリィ、君は?」
「二階堂ヒロだ、よろしく頼む。」
こうして友達がまた増えた。
「と、言う訳でこちらが友達の二階堂ヒロさんでーす。」
打って変わって場所は屋上。
今はユキとエマにヒロを紹介している所だった。
「あ、ヒロちゃん!久しぶり!」
「エマ、久しぶりだな。」
あれ、二人とも知り合いな感じ?
疑問に思う俺に二人が説明してくれた。
曰く、二人は幼馴染で中学に入ってからクラスが別になり疎遠になっていた、とのこと。
「とは言え……ユーリィ、君がエマと知り合いだったとはな…。」
「世界は狭いね。」
「主語がデカい、正しくない。」
「……ちなみに君は?」
「月代ユキと言います。よろしくお願いしますね。」
ユキとヒロは初対面、挨拶を交わしていた。こうしてユキ、エマ、ヒロとの学校生活が始まった。
別の日の屋上
「……。」
あれから四人で過ごしていた。
今はなぜかユキが俺の膝の上を占領していた。
「ユキ、何をしている。」
「ユーリィに甘やかしてもらっています。」
「ヒロもやる?」
「やらない、正しくない。」
「やる!」
「エマ、君じゃないぞ。」
こんな風にヒロが振り回されていた。ことある毎に正しくないと言い突っ込んでいた。
俺が他の人に話しかけるだけで「正しくない。」と言われたりもした。鏡見ろ。
エマもエマで俺に甘えてくる。犬みたいで可愛いけどユキにばかり構うとすぐ拗ねる。可愛い。
ユキは変。怪しい笑みでとんでもないことをする。ゲーム機を壊されかけた時はお前マジと思った。
奇人変人パレードか何かか。いや、エマとヒロはまだいい。ユキ、お前自重しろ。
「……今、失礼なことを考えましたね?」
「別に?ユキは可愛いなって。」
「……そうですか、では頭も撫でてください。」
「ボクもボクも!」
「二人だけは正しくない。私も頼む。」
訂正、犬三匹。