今日は私とユーリィの二人で先に屋上に来ていた。エマとユキは遅れてくるそうだ。
彼女には感謝してもしきれない。何も出来なかった私と友達になってくれて、疎遠になっていたエマとまた仲良くなれ、更にユキとも仲良くなれた。
……だが、これは正しいのか。ユーリィは気にしていない、だがどうしても引っ掛かるのだ。私は一生をかけて償うべきではないのか?
「私はこのままで良いのか……?」
気づかない内に口に出ていた。
「ん?どうしたの?」
「やはり、このまま何もしないのは正しくない。私は何か償いをするべきだ。」
「いらない。」
キッパリと断られた。
違うんだ、君は良くても、それでは私が私を許せない。
正しくない、正しくない、正しくない。
「ヒロがどう思ってるか分かんないけどさ。私はヒロが居てくれるだけで嬉しいんだ。」
彼女はそう言って笑ってくれた。そんな顔を向けられる資格は無いんだ、やめてくれ、正しくない。
「それに、正しいとか正しくないとかじゃなくてさ、ヒロはどうしたいの?自分の心に蓋して、やりたいこと我慢して、黙って居なくなろうとか思ってない?」
「……。」
図星だった。何でもお見通しだな、君は…。
「聞きたいな、ヒロのしたいこと。」
手と手が重なる。風が吹き、彼女の髪が揺れる。夕日に照らされより一層綺麗に見えた。
……それは、ズルいだろう。反則だ。
「……私も、君と一緒に居たい。こんな私でも君と一緒に居たいんだ。」
過ごして分かった。君がいるだけで楽しい、それだけで満足だった。
君の優しさが、笑顔が、その眼差しが、全て好きだ。
出来ることならずっと……。
「私は良いよ。それがヒロのやりたいことなら、ヒロが自分を許せないなら私が代わりに全部許すよ。」
……本当に君は、そんな、全く、君は……!
「……君、いつか刺されるぞ。」
「何で?」
無自覚なのか…、余計質が悪い。
「……まぁ、それはそれだ。ありがとう、ユーリィ。」
「どういたしまして。」
正しいことに拘ってきた。それが当たり前だと思ったから。だか、彼女は、ユーリィは、正しくなくても良いと、私の本音を聞いてくれた。
……偶になら、正しくなくても良いか…。
だが、君のその人たらしは悪癖だ、正しくない。
いつか私だけを見てもらう。
話も終わった頃ようやく二人がやってきた。
「ごめん、遅くなっちゃった!」
「待ちましたか?」
……二人には悪いが、もう少しこのままが良かった…。
「二人で何話してたの?」
ズイッとエマが寄ってくる。君も大概距離感がおかしいな…。
「内緒、ね?」
こちらにウインクをしてきた。イタズラっぽく、わざとらしく。
……もう、何も突っ込まないぞ。
「えー?ズルーい!ヒロちゃん教えて?」
「悪いな、私からもノーコメントだ。」
「あら、珍しい。ヒロならてっきり正しくない、と言うのかと。」
「あ、確かに!ヒロちゃん、正しくないよ!」
エマは怒り心頭と言った様子だ、少しも怖くないが。
「……今回だけだ。」
二人は驚き、やがてユーリィに詰め寄った。
その後しばらくユーリィは質問攻めに遭い、必死に隠し通した。