俺だけ反転できる件   作:天叢

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第拾話 BINAH(ビナー)

家族が行方不明になり始めたのは中学3年の夏の終わりくらいだった。いつものように生活してから父さんが音信不通になっていた。最初は連絡し忘れだろうと思ったら2日くらいからおかしかったことが気付く。帰ってくるのが2日前だったのに一向に連絡が付かなかった。警察にも相談や探しは求めたけど、一週間探したらどこにも居ないと言って結果、行方不明になった。この事はニュースになっていた。そりゃそうだ大手の会社の社長が突然居なくなったんだから。それにこれは六家の中でも大事になっていた。俺は最初信じなかったよ。こんな出鱈目………だけど、それから家族が俺の前から居なくなっていく事を知ると精神がどんどん崩壊していった。その時、悠人からもらった言葉が何より心残りだった。「失ったものは帰ってこない。けど何処にいるのかは調べれば出てくるはずだ。だから諦めるな。俺も協力する」って言ってくれて、とても嬉しかった。それから他の人たちも俺の家族の消息を探してくれた。もちろん幼馴染であるフブも一緒に探してくれた。俺にこんな人望があるとは思わなかった。嬉しかった。けど探しても探しても全く辿りつかない。

 

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。

 

何回も探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても見つからなかった。

 

あぁ。世の中は何でこんなに理不尽なんだ。ただ家族と平和に暮らしてただけなのに、俺が何したっていうんだ。何がそこまで気に食わなかった?何がそこまでお前を刺激させた?何がいけなかったんだ?分からない。

 

…………もしかして俺が弱かったのが原因なのか?俺が強ければこんな事にならなかったのか?だったら強くなる。圧倒的な強さを手にして、今度こそ大切な人を守れるようになる。

 

だから俺は大切な人、特別な人、そうでない人も助けたい。その一心で強くなる。それが俺に残された唯一の役割なんだから。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「…………」

 

これがビナーか………でかいな、それだけじゃない妙な圧を感じる。大体アビドスの何処にいんだよコイツ。でかい図体で今まで目撃情報が無かったことに驚きだわ。今の現状は障害物あり、建物多い所、上手く戦えばこっちが有利に戦える可能性がある。けど油断してはならない。どんな攻撃をしてくるか分からない以上、迂闊に手を出せば不利になる可能性が高い。ユメ先輩に攻撃した時は口から光の光線見たいな物が出てたからその光に注意をすればいい感じか、……直感だがあの光はやばい。多分あの光はキヴォトス人でも耐えられるものは数が少ない。今まで以上の怪物だ、気を引き締めないと。

 

『…』

『SYAAAAAAAAAーーー!!!!!』

 

「!?いきなりかよ!」

 

ビナーがこっちに突っ込んで来た。ビナーの体は蛇の様に唸っている。しかしその為体の構造にはどうしても可動域確保のための隙間が空く、そこで機体が弱い部分に神秘を込めた銃弾を撃ち込む。

 

「……………だよね」

 

傷が一つも付かなかった………………とは限らなかった。零斗が放ったその神秘で少し動きが鈍くなった。

 

「マジか!?」

 

引き続きビナーの攻撃は続いた。今度はミサイルでの攻撃を仕掛けてきた。

 

「!?…ッ!なんでもありか!」

 

そのミサイルは追尾型だった。計30発のミサイルが飛んで来たが、零斗はこれを———

 

「だけど、それは甘いんじゃねぇのか?」シャキッ

 

神秘を刀に込めて斬撃を放ち、ミサイルが彼にたどり着く前に爆発した。

 

『!?』

 

「よそ見してる場合か?」

 

引き続き零斗の攻撃は続いた。彼はビナーの横に近づき、神秘を腕に力を込めて、殴った。

 

「…ッ!痛ってぇ!」

 

マジで硬え!コイツ!

 

「…チッ!マズっ!」

 

ビナーは最後に隠していたミサイルで零斗は当たった…………はずだった。

 

「危ねえ、あと一歩でとんでもないことになってたな」

 

零斗は刀でガードし、その攻撃を防いだ。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

『……』

 

ビナーは困惑していた。障害物や建物が崩壊し、更地になった筈なのに彼はまだ挑んできていた。刀は何処かに消え、身体がボロボロになっているのに諦めていない零斗に困惑した。

 

「はぁ…はぁ……」

(気付かれてないっぽいな)

 

ビナーには気づかれているにも関わらず、零斗は何処かチャンスを待っていた。

 

ビナーは最後の攻撃に【アツィルトの光】を放とうとしていた。

 

「今だ!」

 

彼は戦っている時に刀をビナーの頭に刺していた。そこで零斗は刀に転移するようにした。

 

「……良し!これで…」

 

神秘を刀に込めて放とうとしていた。

 

ただし…それは悪手だった。

 

 

 

 

 

 

【アツィルトの光】

 

 

 

 

ピィィィ………

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「……………はっ!」

 

ここは……どこ?あ、そうだ、ここ。

 

(【神秘転移】ー【転移(テレポート)】ー【アビドス高等学校】)

 

零斗くんが私を学校まで飛ばしたんだ。……けど、どうやって?零斗くんはどうやってその力を身に付けたの?それに私の傷もいつの間にか治ってるし。いや!それよりも!零斗くんが危ない!ホシノちゃんに知らせなきゃ!

 

「ホシノちゃん!」

 

生徒会長室にはホシノがいた。

 

「ユメ先輩?あ、その……ごめんなs」

 

「今はそんなことはいいの!気にしてないよ!でも今は!」

 

「あの、すいません先輩。何があったんですか?」

 

「零斗くんが………零斗くんがぁ」

 

ユメは泣きそうな表情でホシノを見た。

 

それに何か察したホシノはユメに問いかける。

 

「———零斗がどうしたんですか?」

 

「私を庇って……巨大な機械、いや怪物に殺される!」

 

ユメはそう言った瞬間、ホシノの顔が焦りと不安な表情がでていた。

 

「!?」

「零斗は何処にいるんですか!」

 

「多分この方角からだと、北北西にいる…」

 

「ッ!私、探してきます!」

 

「ホシノちゃん!私も「ユメ先輩はここにいて下さい!」何で!?」

 

「多分その怪物から逃げてる途中で、疲労しているんでしょうから休んでて下さい!」

 

「でも……………うん、分かった!けど無事に帰ってきてね」

 

「はい!」

 

ホシノは零斗がいるであろう北北西に向かった。

 

「どうか無事でいて下さい!零斗!」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

一方その頃零斗はビナーの攻撃である【アツィルトの光】をもろにくらって瀕死状態になっていた。

 

「……………………ゴホッ」

 

はぁ…はぁ……はぁ…………………死ぬ…………これ………確実に……………死ぬ…………あの光を浴びても……………刀は刃こぼれも………してねぇし…………刀も……………折れたりしないって……………これ……どうなってんだよ…………

 

クソが……まともに………身体が動かねぇ……

 

ユメ…先輩……は………無事に着けただろうか………初めての他人で転移させた……から……出来るか分からなかったけど…………無事に成功………して…………良かっ……………………た。

 

その時、零斗は意識が途絶えると同時に何かが反転した。

 

 

そして———

 

 

 

彼の力を封印していた枷(・)を無理矢理解かれることになるとは誰も思わなかった。

 

 

 

この時からだった。零斗の力の本質が現れ始めたのは———

 

 

 

この時からだった。零斗自身が本質を理解したのは———

 

 

 

この瞬間からだった。徐々に人々が彼のことを——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【反転の王】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とそう呼ぶまで。

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