俺だけ反転できる件   作:天叢

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第拾壱話 反転

「あいつは昔っからそうだった。誰かが傷ついたりすると放っておけないすごくお人好しの馬鹿野郎。それが俺の友達、月神零だ」

 

「一緒にダンジョンに潜ったのは、俺らが中2の頃、そこでハプニングが起きた。それは」

 

転移トラップだった。

 

度々稀にダンジョンの中には転移トラップが仕掛けられていて、それを踏んだりすると魔法陣が出てきて、下の階層まで転移される仕組みだ。

 

俺らが転移された先が、中層でも下層でも深層でも深淵でもない。

 

奈落だ。

 

奈落は深淵のもっと深く、誰よりも立ち入れできない領域だった。そこには魔力が霧散に蔓延っていたから魔力酔いを引き起こした。

 

俺はそれに恐怖を覚えたよ。自分は死ぬんじゃないかって、でも零を見た時少し顔が強張ってはいたけど逃げようとはしなかった。むしろ立ち向かって脱出しようと考えまでしてくれていた。

 

その時零の身体から血が流れていた。

 

零が倒れた時、血の気が引いた。寒気もしてきた。零に呼びかけても声がしなかった。反応もしなかった。俺を置いて行くんじゃないかと思うと震えていた。

 

そして俺はドラゴンに殺されそうになった次の瞬間———

 

ドンッッ!!!

 

という音が鳴り響き何かと思って目を開けてみたら———

 

ドラゴンの上(・)半(・)身(・)が(・)無(・)く(・)な(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)。

 

ふと横を見ると零が立っていた。それに傷もいつの間にか無くなっているし。

 

それからだった。零が奈落級の魔物達を一掃したのは。

 

奈落級の魔物は伝説のパーティーが挑んで生き残るのが難しいレベルのはずだ。

 

そして俺は理解した。これが【全能】と呼ばれた。全てを司る力を持った者だと。

 

そして俺は決意した。何があっても零の味方でいようと、そう思った。

 

2721年 ⬛︎月◯日 雷光悠人の日記

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

零が転生する3年前……

 

地球の何処かの研究室

 

「これが【全能】か……」

 

誰かがそう声をもらした。

 

「まさかこれ程とは、まだ12歳だぞ?なのになんだ?この潜在能力は……」

「これではもう【化け物】か【神】の領域ではないか」

 

今、目の前にある少年の資料に目がいく。

 

「これは後で黒楼さんに伝えないとな」

 

その時、誰かがこう呟いた。

 

「これを聞いてどう対処するのか考えただけでも恐ろしいな……」

 

そこにはこう書かれていた。

 

 

 

月神(つきがみ) 零(れい)

 

年齢…12歳

身長…154cm

血液型…O型RH-

誕生日…12月31日

魔法…全属性

特殊魔法…有

魔力量…測定不能

能力…測定不能

固有能力…測定不能

魔眼…複数保有可、神眼以上

スキル数…測定不能

 

【能力発動時、全解放可能…しかし、一回だけ使ったら記憶が一時的に消去するよう対処願う。】

 

と書かれていた。

 

そしてその左上項目には赤文字で

 

 

 

【最重要機密対象】

 

 

 

と書かれていた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

ビナーは戦慄していた。いや最早そう言う領域で語りたくないくらいに。

 

ビナーは零斗を見て思ったのは、【恐怖】だけじゃない。脅威、警戒、畏怖、困惑、その他いろいろとビナーはこの感情を表した。

 

なんだって今の彼は———

 

「…」

 

恐怖そのもののオーラを放っていたからだ。

 

それからというもの、ここから彼の無双であり、一方的な蹂躙と言える戦いが始まった。

 

『…』

 

ビナーは最初からミサイルを100発打ち込んだ。

 

それに零斗は———

 

「…」スッ

 

彼が手のひらから出したそれは全てを飲み込む紫色の波動が出ていた。

 

瞬く間にミサイルは全てが飲み込まれた。

 

そしてその正体は彼が元の世界で存在していた魔(・)力(・)となるものだった。

 

当然ビナーは魔力のことなど一ミリたりとも知る余地がない。

 

『!?』

 

ビナーは困惑と恐怖の感情しかなかった。そしていつの間にか零斗に傷を付けた場所が全回復しているのだ。

 

それだけじゃなく彼は神秘も全回復するどころじゃなく、彼は神秘を増やしていった。

 

増やし方は不明だが確かに増えている事が分かる。

 

おそらく彼は近くにある無機物や砂漠を自分の神秘や魔力に還元して、それを自分の力にしているのだろう。

 

ビナーはその事についても知らないわけだが。

 

ビナーは攻撃を再開した。できる限り、彼が戦闘不能になり、彼が死ぬまで容赦なく攻撃をした。

 

「……」

 

零斗の身体はまたボロボロになった。

 

しかし———

 

「…」ヒュォォォン

 

彼の傷が元から無いように傷が全て反転した。

 

「……」

 

ヒュンッ…

 

零斗がビナーの視界から消えた。その瞬間———

 

ドガァァァァン!!

 

『!?』

 

彼はビナーには見えない速度でビナーの図体にまるで大きなクレーターが出来るような跡を残した。

 

そうたったの殴りで。

 

「…」スッ

 

彼は引き続き攻撃を始めた。

 

次に取り出したのは何処からか出てきたAK-12だった。

 

彼が神秘を込めて撃ったその瞬間。

 

「……」

 

ズドドドドォォォォン!!

 

ビナーの図体に穴を開けた。

 

反転された彼の神秘は

 

『!?』

『……』ブルブルッ

 

ビナーは表情には出さないものの微かに震えていたする。もうダメだと降参の意を示したその瞬間。

 

「……」パチンッ

 

パキパキッ

 

パリンッ

 

彼が指を鳴らした瞬間、空間に亀裂が入って、そこから———

 

全身が漆黒の剣が出てきた。*1

 

その色はペンタブラック。世界一黒い物質だ。

 

その瞬間ビナーは恐怖で埋め尽くされた。

 

その剣は恐怖か、それとも呪いと呼べるような代物がそれを表すようにオーラが出まくっていた。この剣に近づいたり、触れたりしたら……死ぬと直感で感じた。

 

ビナーはただ単に恐怖した。『あぁ…私は最初からこの者と敵対する事が間違っていた』と確信した。

 

その剣の名は

 

世⬛︎の呪⬛︎を⬛︎つにし⬛︎⬛︎剣ーー⬛︎⬛︎⬛︎。

 

零斗が編み出した剣の名で。これが人(・)類(・)初(・)となる創世級(ジェネシスクラス)の武器なのだから。

 

「…」ダッ

 

そして零斗が突っ込んできた。

 

その時、ビナーはここで終わると思った瞬間———

 

ダンッッ!

 

という音がした。

 

『…?………!?』

 

音の先を見ていると。そこには———

 

「……」

 

零斗が自分の銃を頭に打ち込んでいた。

 

ジッ…ジジッ……ジジジッ…………

 

フォンッ

 

彼の反転していたヘイローが元に戻った。

 

「………ぶはっ!…はぁ……はぁ…………はぁ……………」

 

その時、零斗はテラー化の状態から自力で戻ってきた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

………何だ?何が起こった?これは俺がやったのか?

なんか神秘も回復してるし、傷もいつのまにか癒えてる。何より魔力がある!あるって言っても戻ってきたって言った方が正しいのか?そして俺がまた何かしたのか?けど長くは持たないかもしれない。

 

だったら………

 

「おい!」

 

『………?』

 

「もうこっから出し惜しみは無しだ!」

「最終ラウンドといこうぜ?」クィクィ…

 

「!……SYAAAAAAAAAANNNNNNNNN!!!!!」

 

ビナーはすぐさまこっちに向かってきていた。

 

「もう逃げも隠れもしねぇ!こっからは」

 

 

 

神秘を全部解き放つ!

 

 

 

ビナーはこっちにきて再度体を唸ってきて、攻撃を仕掛けてきた。ミサイルを飛ばしたり、突進してきてたりしたけど、俺はその攻撃を回避しながら、ミサイルを斬り、チャンスを伺っていた。その時———

 

(今だ!)

 

キュォォォォンンンンン!!!

 

刀に神秘が込められる。

 

彼が神秘を込めると同時に、刀の刀身が赤黒くなった。それと同時に彼の綺麗な白いオーラも赤黒くなった。

 

チャンスが見えた零斗は高く飛んだ。

 

そして最後の攻撃が切り開く。

 

ビナーの口から光線が出る。

 

 

 

【アツィルトの光】

 

 

 

 

「刮目しろ!ビナー!!」

 

「これは今俺が出せる全神秘(魔力)を放出する最後の一撃だァ!!!!」

 

「これでも食らっとけやヘビ野郎ォォォォ!!!!!!!」

 

彼が刀を神秘に込めて放った瞬間。彼の神秘が反転し、意識が途絶えた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「零斗一体どこに行ったんですか!」

 

ドゴォォォォンンン!!!

 

「!?」

 

音がしたのはホシノの位置から見て左側だった。

 

「零斗!」

 

ホシノは彼がいたところをくまなく探した。

 

そして———

 

 

「……れい、と?」

 

そこにあったのは、彼のデザートイーグルとアビトスの制服の焼き切れの跡と彼の左腕が落ちていた。

 

そしてそこにはビナーの姿が無かった。

 

「れい…と?嘘…だよね?そんな筈は無いよね?」

 

ホシノは彼の左腕を見て吐き気がした。

 

「ウッ……オエーッ!!」

 

ホシノはこれが現実だと知り、吐いた。

 

「……こんなのって無いよ!だって!一緒にアビドスに居るって!借金返済一緒に゛ずる゛っ゛でや゛ぐぞぐじだじゃ゛ん゛!!!」

 

ホシノの瞳には涙が溢れていて、それに加え鼻水も出ていた。

 

彼のデザートイーグルと左腕を持って。

 

「……………あっアハッ…………アハハッ………………アハハハハハッ……………………………アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

 

ホシノは彼が失った衝撃で……壊れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 第一部 原作前のアビドス編 最終話

*1:
柄と鍔、刀身も全て

評価の必須な文字数無くした方がいい?

  • 無くせ
  • そのままでいい
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