シャーレを奪還してから一週間経った。
その間に何かあったと言われると特に何も無かった。強いて言えば何でも屋の仕事が多かったことかな。
「………よし、終わった」
「お疲れ様です♡あなた様♡」
そう言いワカモは茶を出してくれた。ありがたや。
「………そういえば今日当番だったな」
「そうなのですか?………特に予定は聞かされてませんが」
ワカモから少し圧を感じた。ニッコリと笑顔を作ってるけど、顔に影が生まれていた。ヤバイカモナ、コレ。
「あ、あぁ。シャーレを奪還した時に初めに当番として呼びたいと言われたからな。それが今日という訳だ」
「なるほど……。ですが初めに呼ぶのは何か意図があるのではないのでしょうか」
「いや?先生に限ってないんじゃね?」
「……そう…でしょうか」
◇◆◇◆◇◆
ガチャ
「先生?来た………ぞ…………」
部室を開けるとそこには——
“れ゛い゛どぐぅ゛ぅ゛ん゛!ダズゲデェェェ!!!”
半泣きどころか泣いてる先生が仕事に殴殺されていた。
「……何でこんなにも溜まっているんだ?」
“仕事がやってもやっても終わらないんだもぉぉぉん!!”
そう言っているが周りにはプラモや下着が床に転がっているのがよく見える
先生もしや————
「………サボっているな」
“ウグッ”
確定だな。
「……何でサボったんですか」
“ダ……ダッテ………”
「ん?」
“ホシカッタプラモヤタベタカッタタベモノガアッタカラ”
「それで?」
“ソレデヒニヒニショルイガオオクナッテ…”
「多くなって?」ニッコリ
“ヒッ!レイトクン?コワイヨ…”
「続きを言ってごらん?」ニッコリ
“モ……モチベガサ…サガッタカラ…”
「そんな言い訳が通じるかぁ!さっさとやるぞ!」
“はい!!了解しましたぁぁ!!!”
何やってんだ?マジで。
「ふぅ…これで一通り終わったな」
“終わったぁぁー!!ありがとー!零斗くん!”
「………」
ガシッ
“………ふぇ?”
「………」
零斗は先生の頭を掴んで———
“ア゛ア゛ア゛!!痛い痛い痛い!!!”
アイアンクローした。
「何か言うことは?」
“ごべんなざーい!!けどありがどおおおお!!”
「お礼を言えて偉いぞ先生。けどもうちょい続けるからな」
“サボったのは悪かったからぁぁ!痛い痛い痛い痛い痛い!!!”
軽く3分くらいこの状態が続いた。
「まったくこんな溜まってるんだったら他の人呼べばよかったのに」
“だって一番最初に零斗くん呼びたかったもーん”
〝もーん〟じゃないよ〝もーん〟じゃ……
「はぁ……じゃあご飯作ってくるわ」
“え!?いいの?て言うか作れるの?”
「人並みには料理作れるから少し待ってて」
“はーい”
そして彼はエプロンを着て。シャーレのキッチンに移動した。
零斗くんって料理出来るんだ。初めて知ったなぁ。………あれ?そういえば食材冷蔵庫に入ってたっけ?私あまり料理しないから多分空っぽだと思うんだけど。…………ん?今誰か先生もしかして料理出来ないんじゃない?って思った?作れますぅ!普段料理するのめんどくさいからしないんですぅ!
「ほい。出来たぞ」
“わぁ!”
目の前にはチャーハンに卵のスープとサラダがあった。
“あの……”
「ん?」
“ホントに……食べてもいいの?”
「いいぞ。てかなんだ?そんな身構えて」
“いや……優しさがあり過ぎて、少し……ね?罪悪感が…”
「別に気にしなくても良いのに」
“でもいただくからね!”
「どうぞ」
“じゃあ”
「“いただきます”」
零斗は黙々と食べ進めるけど先生は少し固まった。
「?どうした?食べないのか?」
“いや!少し考え事しててね”
「そうか」
“……(すごく良い匂いがする。さっき中華鍋でチャーハン作ってたけどどっから出したの?)”
先生はそう思いながらチャーハンを口にする。
“!うんっま!!”
「それはよかった」
本当に美味しい!チャーハンがすごくパラパラしてるのは勿論。一口噛むごとに味付けが程よく濃く、疲れた体に良く効く。サラダは和風ドレッシングが掛けられており、すっぱめの味が味の濃いチャーハンと合っている。卵スープには、わかめと卵が入っていて少し薄目で飲みやすくなっている。
そうして食べ進めていつの間にか無くなっていた。
“え!あ、アレ!?”
「もう食べ終わったのか?」
“う、うん”
「フフッ。そうか、そんなに美味しいと感じてもらえたら作った甲斐があったな。お粗末さま」
そう言い零斗は笑顔になった。
“!?(え?何その笑顔。反則でしょ)”
先生は少し顔を赤くした。
「じゃあ食器洗ってくるわ」
“え!?いいよ!そこまでしなくても”
「先生は疲れてると思うからしなくて大丈夫だぞ。それに俺がしたくてしてる事だからな。気にしなくて良いぞ」
“うーん。分かった!ありがとね!”
食器を洗い終わり、零斗は帰る準備をしていた。
「じゃあやる事は終わった事だし、俺も帰るとするわ」
“今日はありがとね!”
「いいさ。先生も依頼とかあったら言ってくれな」
“うん!”
零斗が帰った後先生は少し思った。
“(零斗くんの料理美味しかったなぁ。にしてもいいなぁ。確かこれを何でも屋の皆んなは毎日この美味しい料理が食べれるのよね……羨ましいなぁ)”
しかもよく見たら下に散らかってたプラモや下着……待って、下着!?もしかして私、下着そのままにしてたの!?しかもベランダよく見たら全部服干してあるし、下着に関してはベランダだと人に見られるリスクがあると思って室内に干してくれてる。
気遣いがめちゃくちゃい……いけど、それはそれとしても何してんの私!異性が居たってのにプラモそのままにして下着もそのままにして、零斗くんはどういう気持ちで手伝ってくれたの?
———何も思ってないならそれはそれとしてモヤってするな…。
プルルルッ……プルルルッ……プルルルルルルッ
シッテムの箱から電話の音がする。
“?誰からだろう”
電話の相手はリンちゃんだった。どうしたんだろ。
“もしもs”
『先生。今大丈夫ですか?』
“うん、大丈……夫だよ。どうしたの?”
食い気味で話し掛けるリンに少しビビった。
『先生、単刀直入に言います。零斗さんに依頼料を受け取りに来てくださいと言ってくれましたか?』
リンちゃんの声が少し下がる。
『こちらは待っているのですが一切くる気配がないのですが』
“ア…忘れてた!!”
忙しくて完全に忘れていた。
『はぁ。お願いですからしっかりしてください。連邦生徒会の信用に関わりますので』
“でも、リンちゃんから連絡すれば良くない?”
『私は、零斗さんの連絡先を持っていませんよ』
鋭い声で返される。
“ご、ごめん…分かったすぐ連絡するね”
『はい。今度こそよろしくお願いします』
“うんじゃぁね”
プツッ
電話が切れる。なんかイライラしてた?うーん、まぁいいか!
先生は零斗に連絡をした。
◇◆◇◆◇◆
ピコン
「ん?」
モモトークに通知が入る。先生からだ。
「『前の依頼料を連邦生徒会から受け取ってないから近いうちに連邦生徒会にきてくれ』……か」
そういや忘れてたな。
近いうちに取りに行くか。そう考え帰路につくのだった。
「……いや、依頼の予定あるか確認してから行くことにするか」
番外編投稿する時の時間は特に指定していません。
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どっちでもいい