magician's war.   作:頑張れって感じの木偶

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むちゃくちゃ書きにくかった。
だが更新の遅れた理由の大半は、『リアルで遊んでいたから』。
……すいません。


第五話後編

「そんなのだめよ武っ!」

「なんでだよ五十島? 今年はこっちにいたから年末年始のバイトも入れてないし、帰る理由ないだろ」

 あいつだって俺に帰ってきて欲しいとは思っていまい。

「去年約束したの忘れたの?」

「約束? ……あぁ、来年も一緒に初詣行こうってやつのことか」

「そうよ、それ! 今年も絶対一緒に行くんだからね」

 なるほど約束は守らねばならないな。

「んじゃあ五十島の家に泊まってもいい?」

「ええ!? でも、ずっと帰ってなかったから掃除とかしてないし……」

 あぁでも家政婦さんは雇いっぱなしだったはずだし……とぶつぶつ呟いている。

 俺的にはその辺はあんまり気にしてないけどね。なんなら一緒に大掃除してもいい。

 ちなみに自宅の俺の部屋に掃除する余地なぞない。

 ベッドと机以外ほぼ何もない部屋だからな。掃除機かければすぐだ。しないけど。そもそも断固帰らないし。

「い、いいわよ……」

 ダメだろ。常識的に考えて。いや俺が言うのもなんだし言わないけどよ。

「……あー、でもやっぱ魔法の修行したいしなー」

 わざわざ初詣のためにあっちに戻るとか面倒くさい。

 だいたい無神論者がこういう時だけ神様だのなんだの持ち出すんじゃねぇよな。そんなもんが叶えてくれるとか、その辺のご都合漫画より御都合主義。五円の無駄だろ。

 しかも五円ってあんまり財布にないし。

「ちょ! なによそれ! じゃあ初詣は行かないの?!」

「む、むぅ……」

 正直行きたくない。理由は以下略。

「やっぱり行かないんだ! 武の嘘つきっ!」

「ま、まあまあ……」

 と、間に入ってくれたのは相羽だ。

「でもさぁ……冬休みって長いじゃん? その間一切魔法使えないのもなぁ……」

「でも……そんなのおかしいわよ! お正月に家族と過ごさないなんておかしんだからっ!」

 魔法使いに人間の常識を求められてもなぁ……

 それにしても。

「あーあ」

「な、なによ……」

 黙って隣の相羽を指差す。

 別段泣きそうというわけではないが、兄のことを思い出してか悲しい表情をしている。

 五十島もそれに気づいたのか、「ごめん……」と勢いがなくなった。

「相羽はレアケースとしても、年末年始にシフトいれてるやつなんてそこらじゅうにいるしその中には実家から出てるやつも結構いる。だから普通に一般的だ。そんなもん」

 伊達に深夜バイト戦士歴が長くはない。

 そんなやついくらでも見てきた。

 なんなら周りには俺もそうだと思われてた。

 あとどうでもいいけど、普通と一般的で意味が重複してる。下手くそな日本語だな。

「じゃあ、やっぱり初詣には行かないの?」

「……。じゃあ、1日。一日は休みの日にするから、その日初詣とかに行こう」

「お母さんや月光には会わないの?」

 まだ若干不満気だ。

 よく見ると相羽も。どうなってるんだってばよ。

 ……よくよく考えれば家族に会えるのに会わないってのも思うところがあるか。

 五十島にしたって、寮になる前はあの屋敷で家政婦さんと二人暮らしで、年末年始もほぼ両親と会えてないはずだ。

 そう考えれば、いやそんなことがなくとも俺の選択は不徳だ。

「会わない。悪いがその選択はありえねー」

 きっぱりと言い放った。

 不満気で悲しそうな、難しい顔をされた。

 

 

 人がほとんどおらず、訓練場はほぼ貸切で相羽先生監修の元の訓練はなかなか捗った。

 デイブレークの練習が堂々とできるのがかなり嬉しい。

 やはりトワイライトと比べると大人しくさらに便利かつ万能で、できれば奥の手をトワイライトにしたかったくらいだ。

 サイズの問題でそうもいかないのだけれど。

 今まで隠れて化身を使う要因でしかなかったデイブレークもそろそろ実用段階二、三歩手前くらいにはなったのではないだろうか。

 最近知ったのだが威力や切れ味も魔力に左右される。上手くすれば消費魔力を削減できるが結局コスパはよくはない。

 あと直感回避をできる限り使い続ける訓練をしている。

 別な練習と合わさってなかなか難しい。

 

 

 冬休みが始まって、修行に明け暮れているとすぐに年末になった。

 人がほとんどおらず、訓練場はほぼ貸切で相羽先生監修の元の訓練はなかなか捗った。

 デイブレークの練習が堂々とできるのがかなり嬉しい。

 やはりトワイライトと比べると大人しくさらに便利かつ万能で、できれば奥の手をトワイライトにしたかったくらいだ。

 サイズの問題でそうもいかないのだけれど。

 今まで隠れて化身を使う要因でしかなかったデイブレークもそろそろ実用段階二、三歩手前くらいにはなったのではないだろうか。

 最近知ったのだが威力や切れ味も魔力に左右される。上手くすれば消費魔力を削減できるが結局コスパはよくはない。

 あと直感回避をできる限り使い続ける訓練をしている。

 別な練習と合わさってなかなか難しい。

 

 そんなこんなを経て、昼下がりの現在我が家の隣でインターホンを押していた。

 向こうからは返事があったし、すぐに出られるとのことだ。

「お待たせ! 明けましておめでとう、武!」

「明けましておめでとう。今年もよろしくな、五十島」

「うん。よろしくね」

 挨拶もそこそこにいざ神社に行こうとすると嫌な顔を見た。

「あれ〜? 武じゃん! 帰ってこないから心配してたのに、くるみの所にいたんだね」

「残りッカスには用がねぇからな」

「ちょっと武!」

 五十島が諌めるがこの辺は譲らない。

 こいつのストーカー気質をベースにした粘着自己中横暴変態倒錯者っぷりはマジでキモい。

「いいんだくるみ。いつもこんな感じだからさ。それより二人とも、今から初詣に行くんだよね? 一緒に行かない?」

「嫌。今からデートなんだよ。だからお前にこられると邪魔」

 隣で五十島が赤くなっている。

「デートって、そんな、どうせ恋人ごっこだろ? そんなに気にすることないじゃんか」

「……こないだちゃんと付き合うことになったんだよ。本当に空気読めないよな。さっさと散ってくんない?」

「そんなのおかしい! 前にも言っただろ! 武とくるみじゃ釣り合わない! くるみは騙されてるんだ! だいたい、武でいいなら僕でも良かったじゃないか!?」

「月光! ……私は武が好きよ。月光でも、他の男でもなく武が」

「〜〜〜〜っ! ……僕は来年二人のいる高校に入学することになったんだ。ははっ、楽しみだねぇ、武?」

 そう言って月光は去って行った。

 ーー武でいいなら僕でもいい、か。

 五十島の告白より、俺には重く、不愉快に感じられた。

 

 その後はつつがなく初詣を終えることができた。

 どこか陰鬱だった俺の空気も、くじで二人して凶を引いたり、売店の巫女さんを見て五十島の巫女姿を想像していたら何を勘違いしたのか頭をはたかれたりと、くだらなくじゃれているうちになくなったし、楽しく終えられた。

「それじゃあ武、また学校で!」

「おう、五十島家のうまいおせち期待してるから!」

 最後にもう! と憤慨されながらも笑顔で別れられた。

 

 

 寮に戻ってからはまた相羽と魔法の特訓の日々だ。

「疲れたー休憩!」

「もう! 勝手に休憩しちゃダメ!」

「えー、もう本当に疲れたんだって。お前も今日は疲れてるみたいだし、もう休みでいいじゃん」

 休みの次ってなかなかモチベ保てないよね。みんなそうだと思うし、少なくとも俺はそう。

「でも、武くんやっぱり才能あるよ。魔力は多いしスタミナもあるし、解除ももうほぼ完璧。……化身を二つにしてなかったら私ももう抜かれちゃってたかも」

 ほぅ、今は俺の方が劣っていると。言ってくれるな相羽め。概ね事実だが。

 まだほぼでしか解除できない。まだ確実にできる相羽とは決定的な差がある。

【やる気】や【飛ばす】で比較すると差が良くわかる。

「……俺は大器晩成型になりたいんだから化身二つで良かったんだよ。俺より魔法が上手いのも今だけなんだから噛み締めとけ」

 相羽の方をみるとやはり顔が赤い。今朝からずっとだ。

「あはは…… あとは魔力の出力の調整が上手くいけば格段に威力が上がる筈だよ。

 ちょっと前までは無駄だらけでロクに発動もできなかったのに、すごい進歩!」

 そいつはどうも。俺、天才ですから!

 それにしたってその調整が難しい。ちょっとしたミスであらぬ方へ曲がってったり、光らせるはずが、逆に真っ暗になったり。

 あとは、なんて言ってるが魔法を覚えたその時からの課題だ。これからもそうだ。

 魔力に限りがある以上、いつまでたっても、どれだけでも、これは付いて回ってくる。

 カンペキカンペキとか言っても、そんなのは完璧じゃあない。さらにコスパのいい方法を学ぶなり探すなりしなければならない。

 必要ならば進化する。

 この自然界に限界の二文字はないのだ。

 

 ふぁ〜と息を吐き出しながら相羽は地面に寝転がった。

「冷たくて気持ちいいよ〜」

「そ、そう」

 ブルマとか、三角座りの名残で立てた膝がM字に見えたりとか、あと寝転がってるのにデカイと分かる胸とか、熱っぽい声とか、いちいちエロい。

「武くんもやってみれば〜? 気持ちいいよ?」

「いや、俺はいい」

 ベストアングルなこの光景を目に焼き付ける必要がある。

 五十島? それとこれとは別だと思うの。

 彼女がいようがいまいがエロ本は持ってるじゃん。同じ同じ。

「そんなこと言わないで〜 へへっ」

 起き上がってしなだれかかってきた。

 へへじゃねぇよへへじゃ。

 なに? 酒でも呑んだの? 絡み酒かよ。

「おい、いきなりどした?」

 顔をみるとさっきまでも赤かった顔がさらに赤くなった。

 額に手を当てると案の定熱い。

「高熱じゃん」

 すでに意識も朦朧としているようだ。

 この状態で練習をみてもらっていたと思うとさすがに心苦しいものがある。

「うぇーい」

「しゃーない。運ぶか」

 ウェイ勢になってるのは若干腹立たしいが熱でぶっ倒れてるならまだ情状酌量の余地はある。

 ちょっとした見栄も兼ねてお姫様だっこで運んでやった。

 

 女子寮。別名女の園。リアルにそんな風に言ったやつを俺は知らない。

 そんなでなくとも男子禁制の女子寮に俺がいるのはまずかろう。

「ま、誰もいねーしバレねぇだろ」

 犯罪はバレなければ犯罪じゃないとみんな言ってる。

 異世界とはいえ日本国の東京で戦争なんてしてると外で公になったらどうなることか。

 つまりはそういうことだ。違うか。

 足でチョイチョイと相羽の言う部屋の戸を開け、中のベッドに適当に寝かしつける。

 こんな風にしてやるのは実は初めてではない。こいつと出会ったあの日にも同じように寝かしつけた。

 まだ半年も経ってないのに、奇妙な縁もあったものだ。

 呆れやら驚きやらを交えた視線を送ってやるが、当の本人は気づかず眠っている。

 寝言の多さから、眠ると言うより寝ぼけている感じだ。

 運ぶのに疲れてベッドの端に腰掛けて休む。

「さてと、どうすっかな」

 先ほど手を当てた時、それほど高くもなかったが一発で熱があると分かるくらいには高かった。

 まずは熱を計りたいところだがさすがに勝手がわからん。

 漁るわけにもいかないし、保健室までは遠い。だいたいあの百合女(保険医)がいるか分からない。

 諦めていつかのように濡れタオルでも用意しようかと立ち上がる。

 ……上がれなかった。

「うへへへっ!」

「うおっ!」

 いつかのようにまた抱きつかれたのだ。

 なに? またお兄さんと勘違いしちゃったの?

 それにしたって抱きつきすぎでしょ。抱き枕どーこー?

 あれこれ考えてるうちにベッドの中に引きずりこまれた。

 頭を胸にうずめさせられているところがミソだ。

 やぁらかい。じゃなくて。

「ここが私とくるみの愛の巣ですよ〜」

 あん? ふざけんな五十島をそっちの道に引きこんでんじゃねぇ。

「分かった。分かったから手をどけろ」

 寝ぼけてるだけでこの絡み方とか、こいつどんだけだよ。酒飲んだらどうなるのかちょっと気になる。まだ未成年だけど。(良い子は二十歳まで飲んではいけません)

 強い精神力で起き上がる。

「んじゃ俺は誰か探してくるから、ちょっと寝てろ」

「だめ! どこにも行ったゃだめ!」

「相羽?」

 なにちょっと可愛いこと言ってんの? ていうか手を離せ。

「行ったらもう……帰ってこない」

 そりゃ女子寮なんかにはもう来ないだろうよ。

 だが俺はこのオチを知っている。

 たとえくだらないオチでも、その想いを知っているから、強く振り解けない。

「さ、寒い」

 また抱きついてきた。

「寒いよ兄さん……」

 そう、こいつは兄と勘違いしてるのだ。いつかの再現。俺には勘違いの余地がない。

 にしてもとことん抱き癖のあるやつだな。

 だいたい、相羽はあの兄と抱き合いながら寝たりするのだろうか。相羽兄妹の、六のほうはともかく、十のほうはさっぱり想像つかん。

「分かった。分かったから。寒いなら布団かぶれ。な?」

 そういいつつはだけた布団に手をかけると、後ろでガシャンッ! と音がした。

 マズイ。嫌な予感がする。

 ギシギシと錆び付いた音がなっている気がするほどに振り返りにくい。

 それでもやっと振り返ると、鬼の形相をした五十島がいた。

「あ、五十島。昨日ぶり……」

「出てけーっ!」

 さっきの音の発生源でもある、俺の大切な栗きんとんの入った重箱を弾に俺を部屋から追い出す。

「ぬわぁ! ごめん、悪かったっ!」

 俺が部屋から出たのを見ると、今度はたった今気がついた相羽のほうへ鉾が向く。

「ごめんなさいねぇ。早く帰ってきちゃって」

 少し様子をみてトンズラしようかとも思っていたが、これはマズイ。本気でマズイ気がする。

「ううん。嬉しい。早く帰って来てくれて、ありがとう」

 あぁ、このタイミングでその返しはない。

「うれしい、ですって?!」

 よりにもよってうれしいとは、相羽もいらんところで煽りのセンスが光るな……

「ほぇ?」

「この泥棒猫っ! あんたも出ていきなさい!」

「あのっ」

「早く!」

 怖い。五十島さん怖い。

 言うべきことは幾つも思いつくのに、それを発言する勇気が出ねぇ……

 死ぬより怖いんだけど、五十島パネェ。

 部屋から追い出された俺と相羽がおたおたしていると、だんだん涙が滲み出して、ついに五十島はないてしまった。

「えっ! くるみ?! だ、大丈夫?! ちょ、武くん?!」

 え、ここで俺に振ります? 結構困る。

「五十島、大丈夫。ちょっとした勘違いだ。やましいことはほぼ何もない!」

「ほぼって何よ〜!?」

「いや、ほら、ここにいる事とか。そんな感じので五十島がなくような事はなんもしてねぇから!」

「あれ? 武くんなんで女子寮にいるの?」

「お前が熱出して倒れたから運んで来たんだよ!」

 なかなか泣き止まなかった。

 

 ある程度誤解が解けてからも、なかなか五十島は許してくれなかった。

 というかほぼ口をきいてくれない。

 会話のほとんどは伊田が間でとりなしてくれている。

 伊田さまさまだ。

 いやまぁ怒ってしかるべきだと思いますけどね。

 ーーもしも、俺が五十島の立場だったら。

 もしもそうだとしても、俺はあそこまで怒れただろうか。

 いい気がしないのは確かだ。断言できる。

 だが、怒って、怒鳴り散らして、泣き喚いて、あんな風に嫉妬できただろうか。

 少し、自信がない。

 簡単に諦めることができてしまいそうな自分が、恐かった……




今回のこの話は、もう無くそうかとか、家デートしようかとか、全部端折らず行こうかとか、いっそ中編も出そうかとか。いろいろ案があって困った回でした。
遊びまくってる合間合間に考えて、二、三ボツを書きながら進めました。(普段はあまりしない
多分一番僕の趣味が出てるのは家デートです。
ショートショートみたいな感じで、恋愛フラグを一切建てずに定番をぶち壊しつつイチャイチャさせてました。のせなかったけど。
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