東方輪廻談 ~ナガト幻想郷忍伝~   作:Takuma218

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第十四話 新しい遊び相手

紅魔館に来て、一月が経った。

 

館の雑務に、空いた時間には力の扱いを確かめる修行。

 

パチュリーの研究に付き合い、美鈴とは時々組み手をし、レミリアとお茶を飲む機会も増えた。

 

そして、時折本を盗みに来る魔理沙を捕まえる。

 

あいつは、少しくらい懲りても良いと思うのだが。

 

最近では、俺に見つかった途端、笑いながら逃げていく。

 

追いかけられること自体を楽しんでいるのではないだろうか。

 

……まあいい。

 

ともかく、慌ただしくも悪くない日々を送っていた。

 

そして、もう一つ。

 

「お兄さま、早く!」

 

庭の上から、元気な声が降ってくる。

 

見上げると、フランが待ちきれない様子でこちらを見ていた。

 

いつの間にか、俺はそう呼ばれるようになっていた。

 

初めて聞いたときは、誰のことかと思った。

 

理由を尋ねると、フランは「お兄さまみたいだから」と答えた。

 

説明になっているような、なっていないような返事だった。

 

咲夜はその呼び方を聞くたびに、何とも言えない顔をする。

 

俺にどうしろというのだろう。

 

「今日は壊すなよ」

 

手の中の木製のボールを掲げる。

 

先日のものより、少し大きい。

 

「分かってるよ! 昨日は壊さなかったでしょう?」

 

「ああ。その前は壊したが」

 

「今日は大丈夫!」

 

随分と自信があるらしい。

 

俺はボールを手放した。

 

天道の力で宙へ浮かべ、そのまま横へ滑らせる。

 

「始めるぞ」

 

「今度こそ!」

 

フランが翼を広げた。

 

ボールが庭木の間を抜けると、そのすぐ後ろを追ってくる。

 

枝をかわし、幹を回り込み、伸ばした指が木の表面へ触れかけた。

 

その直前で、引力を働かせる。

 

「あっ!」

 

ボールが急に向きを変えた。

 

フランも身を翻し、笑いながら追いすがる。

 

この遊びは、すっかり日課になっていた。

 

フランは力加減を覚え、俺は細かな制御を練習できる。

 

もっとも、最近はこちらが少しでも気を抜くと、すぐに捕まってしまう。

 

今日も、簡単にはいかなそうだった。

 

「もう、ずるいよ、お兄さま!」

 

「さっきは捕まえられそうだったぞ」

 

「だったら、逃がさないでよ!」

 

「それでは俺の訓練にならないだろう」

 

「むーっ!」

 

頬を膨らませながらも、その目はボールから離れない。

 

俺が次の軌道を考えた、そのときだった。

 

「そこのあんた! ちょっと待ったぁぁ!」

 

大きな声とともに、青い影が霧の中から飛び出してきた。

 

俺はボールを引き戻し、片手で受け止める。

 

「チルノちゃん、待ってよぉ!」

 

少し遅れて、もう一つの影が追ってきた。

 

先に飛び込んできた少女は、俺の前へ勢いよく着地すると、胸を張った。

 

青い髪。

 

背中から伸びた、氷のような羽。

 

見たところ、妖精らしい。

 

その後ろでは、緑色の髪をした妖精が息を切らしている。

 

「そこの妖怪!」

 

青い妖精が、俺を真っすぐ指さした。

 

「あたいと勝負しろ!」

 

「……妖怪?」

 

「あたいは最強だからな! どんな妖怪が相手でも逃げないぞ!」

 

俺は自分の服装へ目を落とした。

 

どこから見ても、紅魔館の執事にしか見えないはずだ。

 

輪廻眼を見て、勘違いしたのだろうか。

 

「チ、チルノちゃん!」

 

後から来た妖精が、慌ててその腕を引く。

 

「いきなりそんなこと言ったら駄目だよ。この人、紅魔館の……ええと……」

 

「長門だ」

 

「あ、はい。長門さんです!」

 

名前も知らなかったらしい。

 

「私は大妖精です。それで、この子がチルノちゃんです。ごめんなさい。悪い子じゃないんですけど……」

 

「何で謝るんだよ!」

 

「勝手に人のお庭へ入ったら駄目だってば!」

 

そう言われ、俺は門の方へ目を向けた。

 

霧の向こうに、門柱へ寄りかかる紅い人影が見える。

 

動いている様子はない。

 

……美鈴が起きているかどうかは、後で確かめよう。

 

「お兄さま」

 

いつの間にか降りてきたフランが、俺の袖を引いた。

 

「この子と勝負するの?」

 

「勝負と言われてもな」

 

そもそも、なぜ挑まれたのかが分からない。

 

そう尋ねる前に、チルノが再び胸を張った。

 

「最近、紅魔館に強そうな妖怪が入ったって聞いたんだ。だから、あたいがどっちが最強か決めに来てやった!」

 

強そうな妖怪。

 

誰がそんな話を広めているのだろう。

 

魔理沙かもしれない。

 

いや、あいつなら面白がって言いそうだ。

 

「断る」

 

「何でだよ!」

 

「俺には、お前と戦う理由がない」

 

「逃げるのか!?」

 

「そう思いたければ、勝手に思え」

 

「むきーっ!」

 

チルノが地団駄を踏む。

 

その隣で、大妖精が何度も頭を下げていた。

 

どうしたものか。

 

そう考えていると、チルノの視線が、俺の手元へ落ちた。

 

そこには、先ほどまで動かしていたボールがある。

 

試しに、少し持ち上げてみた。

 

チルノの目も上へ動く。

 

右へ。

 

視線も右へ。

 

左へ戻すと、やはり目で追った。

 

「……お前も、これで遊びたいのか?」

 

「ち、違う!」

 

チルノは慌てて顔を上げた。

 

「あたいは最強だから、そんな子供っぽい遊びになんか興味ないぞ!」

 

「そうか」

 

俺はボールを軽く放り上げ、宙へ浮かべた。

 

「では、続きを――」

 

「ちょっと待て!」

 

「何だ?」

 

「その……勝負なら、それでもいいぞ」

 

「興味がないのではなかったのか?」

 

「これは遊びじゃない! 最強を決める勝負だからな!」

 

随分と都合の良い理屈だった。

 

だが、このまま追い返そうとしても、素直に帰るとは思えない。

 

俺は小さく息を吐いた。

 

「分かった。これを壊さずに捕まえられたら、お前の勝ちだ」

 

「本当か!?」

 

チルノの顔が、一瞬で明るくなる。

 

「簡単だ! すぐ捕まえてやる!」

 

「私もやる!」

 

フランがチルノの隣へ並んだ。

 

「まだ、私の途中だったでしょう?」

 

「そうだな」

 

「よーし! じゃあ、どっちが先に捕まえるか勝負だ!」

 

「負けないよ!」

 

いつの間にか、俺とチルノの勝負ではなくなっている。

 

二人は顔を見合わせ、そのまま空へ飛び上がった。

 

取り残された大妖精が、困ったようにこちらを見る。

 

「……本当に、良いんですか?」

 

「ああ。お前もやるか?」

 

「私は、その……チルノちゃんが心配なので」

 

そう言いながらも、目はボールへ向いていた。

 

どうやら、気にはなるらしい。

 

俺は少し高く浮かべた。

 

「では、始めるぞ」

 

◇

 

「待てぇぇぇ!」

 

ボールが飛び出すなり、チルノが勢いよく追いかけた。

 

そのすぐ横を、フランが並んで飛ぶ。

 

二人の手が届く寸前、俺はボールを上へ逃がした。

 

「あっ!」

 

「ずるいぞ!」

 

続けて右へ曲げ、庭木の幹を回り込ませる。

 

フランは滑らかに身を傾け、その後を追った。

 

一方、チルノは曲がりきれず、慌てて両腕を振る。

 

「うわっ、わっ――!」

 

木へぶつかる直前で、どうにか身体を持ち上げた。

 

枝の上を通り抜け、遅れてボールを追いかける。

 

「危なかったよ、チルノちゃん!」

 

後を追っていた大妖精が声を上げた。

 

「わざとだ! あたいは今、相手を油断させたんだ!」

 

苦しい言い訳だった。

 

フランが空中で笑う。

 

「私、先に行っちゃうよ!」

 

「待て! 今のはなしだ!」

 

チルノが追いつこうと速度を上げた。

 

俺は二人が並ぶのを見て、ボールを低く飛ばす。

 

フランが先に降下し、チルノもその後へ続いた。

 

だが、地面の近くでボールを引き上げると、チルノだけが遅れた。

 

「うおっ!?」

 

慌てて上を向いた身体が、大きく傾く。

 

すぐ後ろにいた大妖精が、その腕を掴んだ。

 

「もう、無茶しないでってば!」

 

「だ、大丈夫だ! あたいは最強だからな!」

 

「助けられたまま言っても、説得力がないぞ」

 

「うるさい!」

 

チルノは顔を赤くし、大妖精の手を離した。

 

その間にも、フランはボールを追っている。

 

先ほどのように、目の前だけを見ているわけではなかった。

 

時折チルノを振り返り、追いついてくると、また笑って速度を上げる。

 

「こっちだよ!」

 

「分かってる!」

 

俺はボールを横へ滑らせた。

 

フランが追う。

 

その先へ、チルノが回り込んだ。

 

「あたいの勝ちだ!」

 

両手を広げ、待ち構えている。

 

俺は手元へ引き戻そうとした。

 

だが、その軌道へフランが飛び込んできた。

 

「もらった!」

 

小さな両手が、ボールを抱え込む。

 

今度は、乾いた音はしなかった。

 

「捕まえた!」

 

フランが高く掲げる。

 

チルノは空中で止まり、悔しそうにそれを見た。

 

「むぅ……今のは、あたいがちょっと油断してただけだからな」

 

「私の勝ち!」

 

「次は負けないぞ!」

 

「もう一回やる?」

 

「当然だ!」

 

先ほどまで名前も知らなかったはずだが、既に二人だけで話が進んでいた。

 

フランが俺の前へ降りてくる。

 

「お兄さま、もう一回!」

 

すぐ横へ、チルノも飛んできた。

 

「今度はもっと難しくしていいぞ! あたいなら捕まえられるからな!」

 

「まだ一度も捕まえていないだろう」

 

「今度は本気だ!」

 

本気でない最強というのも、なかなか忙しいものらしい。

 

俺はボールを受け取り、二人の後ろへ目を向けた。

 

「大妖精も、追いかけて良いんだぞ」

 

「えっ、でも……」

 

「大ちゃんもやろうよ!」

 

フランが振り返って言う。

 

大妖精は少し驚いた顔をした後、小さく頷いた。

 

「じゃあ……少しだけ」

 

「よし! 今度は三人で勝負だ!」

 

チルノが、なぜか自分で仕切っている。

 

俺はボールを宙へ浮かべた。

 

三人の視線が、一斉に上を向く。

 

これでは、こちらも休めそうになかった。

 

◇

 

結局、それからしばらく遊び続けた。

 

フランが何度か捕まえ、チルノも一度、両手でボールを掴んだ。

 

ただし、喜んで片手を上げた途端、取り落とした。

 

本人は捕まえたのだから勝ちだと主張し、フランは途中で落としたから駄目だと譲らなかった。

 

大妖精が困った顔で俺を見る。

 

次からは、捕まえたら俺へ手渡すところまで、と決めた方が良さそうだ。

 

「今日は引き分けだな!」

 

遊びを終えたチルノは、両手を腰へ当てて胸を張った。

 

「私の方が、いっぱい捕まえたよ?」

 

フランが言う。

 

「数じゃない! 次に勝った方が最強なんだ!」

 

「じゃあ、次も私が勝つ!」

 

「負けないからな!」

 

どうやら、決着は持ち越しらしい。

 

チルノはくるりと背を向け、霧の中へ飛び上がった。

 

「じゃあな、フラン! また勝負しような!」

 

大妖精もその後を追いかける。

 

途中でこちらへ振り返り、頭を下げた。

 

「今日はありがとうございました」

 

それから、フランへ手を振る。

 

「また遊ぼうね、フランちゃん」

 

「……うん!」

 

フランが手を振り返した。

 

二人の姿は、やがて霧の向こうへ消えていく。

 

静かになった庭で、フランはしばらくその方角を見ていた。

 

腕の中には、ボールが収まっている。

 

表面には土がついていたが、割れてはいなかった。

 

「お兄さま」

 

「何だ?」

 

「……また来るかな?」

 

「来るだろう」

 

「どうして分かるの?」

 

「次は負けないと言っていたからな」

 

フランは少し目を丸くした。

 

それから、もう一度霧の向こうを見る。

 

「そっか」

 

小さく笑い、ボールを抱え直した。

 

◇

 

それから数日後。

 

庭へ出ると、聞き覚えのある声が響いた。

 

「よっ! また来てやったぞ!」

 

チルノが、当然のような顔で立っている。

 

隣には大妖精。

 

だが、今日は二人だけではなかった。

 

触角と羽を持つ少女と、黒い服を着た金髪の少女が、その後ろからこちらを覗いている。

 

「今日は仲間も連れてきたぞ!」

 

チルノが胸を張った。

 

「こっちがリグルで、こっちがルーミアだ!」

 

「リグルだよ。よろしく」

 

「ここで遊べるって聞いたのよー」

 

二人が、それぞれ手を上げる。

 

フランは四人を見回し、深紅の瞳を輝かせた。

 

「今日は、みんなで遊ぶの?」

 

「もちろんだ! 今日は絶対にあたいが勝つ!」

 

どうやら、参加者が増えたらしい。

 

俺は並んだ顔を見回した。

 

「……増えたな」

 

「長門」

 

背後から、咲夜の声がした。

 

振り返ると、彼女は腰へ手を当て、庭に集まった子供たちを眺めていた。

 

「この状況、どうするつもり?」

 

「俺に聞くのか?」

 

「ほかに誰に聞くのよ」

 

それもそうなのだが。

 

咲夜は小さく息を吐き、フランたちへ向き直った。

 

「遊ぶのは構わないけれど、庭を壊さないこと。窓へ何かをぶつけないこと。それから、花壇には絶対に入らないこと」

 

「分かった!」

 

フランが元気よく答える。

 

チルノたちも頷いた。

 

「あと、お茶の時間には一度休んでもらうわよ」

 

「お菓子もあるの?」

 

ルーミアが尋ねる。

 

「きちんと約束を守れたらね」

 

「守る!」

 

チルノが勢いよく答えた。

 

こちらの約束は、随分と受け入れやすかったらしい。

 

咲夜は最後に俺を見る。

 

「長門。きちんと見ていてね」

 

「俺がか?」

 

「お兄さまなのでしょう?」

 

僅かに口元を上げると、館へ戻っていった。

 

あの呼び方は、どうやら便利に使われることになったらしい。

 

「いいじゃない」

 

代わりに声をかけてきたのは、レミリアだった。

 

黒い日傘を差し、漆黒のドレスの裾を揺らしながら、庭へ出てくる。

 

その視線が、フランの周囲へ集まった四人を順に追った。

 

フランも姉に気づき、こちらへ駆けてくる。

 

「お姉さま! 今日は、リグルとルーミアも来たの!」

 

「見れば分かるわよ。随分と賑やかになったわね」

 

「みんなで遊んでもいい?」

 

レミリアは、妹の顔を見た。

 

それから、後ろで待っている四人へ目を向ける。

 

「咲夜との約束は聞いていたでしょう?」

 

「うん!」

 

「なら、仲良く遊びなさい」

 

フランの顔が明るくなった。

 

「ありがとう、お姉さま!」

 

すぐに踵を返し、四人のもとへ駆けていく。

 

レミリアは日傘を持ち直した。

 

「館の庭が、完全に遊び場になっているぞ」

 

俺が言うと、彼女は何でもないことのように肩をすくめた。

 

「今さらでしょう?」

 

「それはそうだが」

 

「だいたい、これだけ広いのよ。五人増えたくらいで、窮屈にはならないわ」

 

「増えたのは四人だ」

 

「細かいわね」

 

レミリアは少しだけ口を尖らせた。

 

その視線の先では、フランがボールを抱え、遊び方を説明している。

 

「捕まえたら勝ちだけど、壊したら負けなの。それから、花壇には入っちゃ駄目だよ」

 

つい先ほど、咲夜から言われたことまで教えていた。

 

チルノが横から口を挟む。

 

「あたいは、もう知ってるぞ!」

 

「リグルたちに教えてるの!」

 

「ああ、そうか!」

 

そのやり取りを聞いて、レミリアが小さく笑った。

 

「楽しそうじゃない」

 

「ああ」

 

フランがこちらへ振り返る。

 

「お兄さま、今日もボールを飛ばして!」

 

「また俺が動かすのか?」

 

「だって、お兄さまのじゃないと逃げないもん」

 

それは確かにそうだった。

 

チルノまで大きく頷いている。

 

「今日は捕まえたら、あんたに渡せばいいんだろ!」

 

「覚えていたのか」

 

「当然だ!」

 

前回の件は、本人も気にしていたらしい。

 

俺はフランからボールを受け取った。

 

その横で、レミリアが楽しそうに言う。

 

「随分と懐かれたものね、ナガト」

 

「俺は、ボールを動かしているだけだ」

 

「それなら、今日もしっかり動かしてあげなさい」

 

言いながら、レミリアは妹へ目を向けた。

 

フランは既にチルノと並び、こちらを見上げて待っている。

 

「お茶の時間になったら、私も来るわ。咲夜に、お菓子を多めに用意させておきましょう」

 

「やった!」

 

返事をしたのは、ルーミアだった。

 

レミリアが一瞬目を丸くする。

 

それから笑い、館へ戻っていった。

 

俺は右手を掲げた。

 

木製のボールが、ゆっくりと宙へ浮かぶ。

 

五人の視線が、その動きを追った。

 

「今度こそ負けないぞ!」

 

「私だって!」

 

「二人とも、ぶつからないでね!」

 

賑やかな声が重なる。

 

これだけ人数がいれば、逃がす場所も考えなくてはならない。

 

俺の訓練も、随分と難しくなったものだ。

 

「始めるぞ」

 

ボールを、霧の中へ滑らせる。

 

フランたちが一斉に飛び上がった。

 

先頭を追うチルノへ、フランが横から並ぶ。

 

二人の後をリグルが追い、大妖精が声をかける。

 

ルーミアは少し出遅れ、慌ててその後へ続いた。

 

少し前まで、庭で聞こえるフランの声は、俺へ向けられるものばかりだった。

 

今は違う。

 

名前を呼べば返事があり、先を越されれば悔しがり、追いつけば一緒に笑っている。

 

俺はボールを高く逃がした。

 

五つの影が、その後を追って霧の中へ昇っていく。

 

――良かったな、フラン。

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