この地ではどんな活躍をすることになるのでしょうか...
―――時刻は戻り、キール軍港
ビスマルク(大破)「グッ...」
ビスマルクは度重なる攻撃を防ぎ、反撃をしていた。
だが、積み重なったダメージは隠しきれなくなっていく。
ビスマルク(大破)(機関、舵...全部ダメ...か)
ビスマルク(大破)「主砲は...まだ動くわね」
ビスマルクの艤装は、所々が握りつぶされ、噛みちぎられたりしていた。
だが、それでもビスマルクの闘志を折ることはできない。
ビスマルク(大破)「だったら、撃てなくなるまで撃つ。それだけよ」
だが、そこで変化が起こる。
前線のV-Seriesが後退し始めたのだ。
そして、開いた道から、大型の個体が姿を現す。
ビスマルク(大破)「...主砲、射撃用意」
ビスマルク(大破)「目標、大型深海棲艦」
(ギギギギギギ...バチバチッ...)
その言葉と同時に、ビスマルクの主砲が火花を上げながら旋回する。
大型のV-Seriesは、まだ動かない。
ただこちらを見ている。
ビスマルク(大破)「主砲、Feuer!」
((ドドドドドドドドガァァァァンッ!!!))
ビスマルクの放った砲弾は、弧を描いて大型のV-Seriesに直撃した。
―――しかし。
ビスマルク(大破)「...やるわね...!」
通常、喰らえば吹き飛ぶほどの砲弾を喰らっても奴は微動だにしない。
...どころか、傷一つ付いていない。
すると、大型のV-Seriesは手をビスマルクに向けてかざし始める。
((バチチッ...キィィィィィィン...))
かざされた手に、エネルギーが集まり始める。
ビスマルク(大破)「...一体、何を始める気?」
そして、そのエネルギーは一つの球となり、ビスマルクに向け撃ち出された。
ビスマルク(大破)「...ッ!」
(((ドッカァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!)))
ビスマルク(大破)「...ゲホッ..ゲホッ...」
ビスマルクは、自身の艤装を使い辛うじて攻撃を防いだ。
だが、左舷側艤装が衝撃で根こそぎ吹き飛んでしまった。
そして、その瞬間。
((ガシッ))
ビスマルクの体が、何かに掴まれ宙に浮く。
ビスマルク(大破)(な...何なの...)
...爆炎が晴れた先には、ビスマルクを鷲掴みにし、至近距離からエネルギー弾を撃とうとする大型のV-Seriesの姿が見えた。
ビスマルク(大破)「クッ...!」
ビスマルクは反撃しようとするが、艤装が思うように動かない。
大型のV-Seriesは、ビスマルクの眼前に手をかざし、エネルギーを充填させ始める。
(キィィィィィィン...)
((バシュッ...))
その瞬間だった。
((ドガンッ!!!))
大型のV-Seriesの体を、何かが貫いた。
((ドガンッ!バギバギバギッ!!!))
大型のV-Seriesを貫いた刃からレーザーが照射され、大型のV-Seriesの巨体が、四方に引き裂かれる。
そして、その槍はどこかへ飛び去っていく。
飛び去った先には、人影があった。
―――見たことのない大きさの艤装を持った、人影が。
(((ブォンッ...ブォンッ...ブォンッ...))
そして、どこからともなく大鎌が飛来し、V-Seriesを粉砕していく。
暴走個体「「「グォォォォォォッ...」」」
...その人影は、片手に持った槍を暴走個体に向けて投げる。
通常、あんな武器では深海棲艦に対し効果はないに等しい。
...だが、彼の槍は暴走個体の装甲を易々と貫いた。
暴走個体「「「「グォォォォォォッ...グォオオオオオオオッ!!!!!」」」」
ヴィクトワール改二「...まだ倒れないか。しぶといな」
ヴィクトワール改二「CIC妖精、シールド展開」
CIC妖精「了解。シールド展開。」ピピッ!
ヴィクトワールの周囲に、半透明のシールドが展開される。
ヴィクトワール改二「これを喰らっても立っていられるかな」
(((キィィィィィィン...)))
ヴィクトワール改二「食い破れェッ!」
(((ドッカァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!)))
なんと、彼自身が暴走個体の中へ入り込んだのである。
―――次の瞬間、暴走個体の各所で誘爆が始まり、体勢を崩し始める。
暴走個体「「「グォオオオッ!!!!」」」
暴走個体は悶え苦しむような、巨大な咆哮を上げる。
そして暴走個体の後方で大爆発が起こり、巨大な装置が落下してくる。
それは、暴走個体の原子炉だった。
暴走個体「「「グォォォッ...」」」
原子炉を失った暴走個体は、体勢を大きく崩しそのまま海面に倒れていく。
そして、暴走個体の装甲を突き破り、彼が姿を現す。
ヴィクトワール改二「よし。一番ヤバい奴は倒せたな」
ヴィクトワールは、沈んでいく原子炉を発見する。
ヴィクトワール改二「...あっ」
ヴィクトワールは何かを悟り、高速でビスマルクに接近する。
ビスマルク(大破)「...ッ!」
ビスマルクは、急に近づいてきたヴィクトワールを警戒し、戦闘態勢になる。
ビスマルク(大破)「貴方、一体何者?」
ヴィクトワール改二「...話は後です。今は逃げますよ」
ビスマルク(大破)「はぁ?逃げるっt」
ヴィクトワール改二「ちょっと失礼しますね」
ヴィクトワールはビスマルクを抱きかかえ、全速力で離脱する。
突然の出来事に、ビスマルクは固まっている。
ヴィクトワール改二「まぁ、丁度いいか。自己紹介と謝罪は後でしよう」
俺はそこからさらに速度を上げる。
ヴィクトワール改二「もう少し...!」
―――
海中に沈んだ原子炉には、海水が大量に入ってしまっていた。
そして、本体に海水が触れた、その瞬間だった。
(((ジュウウウウウゥゥッ!!!)))
((((ドッガァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!))))
その原子炉を中心に、巨大な水蒸気爆発が発生。
それによって巻き上げられた数百万トンもの海水が熱で蒸発し、巨大な水蒸気煙を形成する。
そして、その爆風と衝撃波が、猛烈な速度で逃げる二人に迫りくる。
―――
ヴィクトワール改二「くっ...CIC妖精、シールド最大出力で展開!」
CIC妖精「了解!」ピピッ!
ヴィクトワールとビスマルクを半透明なシールドが覆う。
ビスマルク(大破)「な、何が起きて...ッ!?」
ヴィクトワール改二「衝撃に備えてください!衝撃波が来ます!」
ビスマルク(大破)「しょ...衝撃波って...」
(((ドッカァァァァァァァァァァァァァァァンッ)))
―――Connect lost―――
―――Connecting...―――
―――Connected―――
―――Damage controlled―――
(キィィィィィィン...)
(ドガッ!)
((ズザザザザザザザザ...))
ヴィクトワール改二「うぉっ...とと」
ヴィクトワール改二「あっぶねぇ...着地成功...」
ヴィクトワール改二「あ、大丈夫です...か?」
見ると、ビスマルクの顔が真っ赤になっていた。
自分の状況を理解したらしい。
ヴィクトワール改二「あっ...すいません!今降ろしますね!」
そう言って俺は丁寧にビスマルクを降ろした。
ヴィクトワール改二「先程は失礼しました...急に抱きかかえてしまって」
ビスマルク(大破)「...それは良いわ...結果的に命を助けられたわけだもの」
ビスマルク(大破)「それより...キールはどうなったの?」
ヴィクトワール改二「...幸い、フィヨルドのお陰で、空から見た感じ被害は少なそうでした」
ビスマルク(大破)「...そう。それなら、良かったわ」
ヴィクトワール改二「...」
ビスマルク(大破)「...貴方、名前は?」
ヴィクトワール改二「すいません完全に忘れてました...!」
ヴィクトワール改二「えっと、大日本帝国海軍、横須賀鎮守府所属、超戦艦ヴィクトワールです」
ヴィクトワール改二「以後、お見知りおきを」
ビスマルク(大破)「日本艦...遂に支援が来たのね」
ヴィクトワール改二「まぁ、俺は先遣隊なので、主力艦隊到着は後日になりますがね...」
ビスマルク(大破)「先遣隊が貴方って...どうなってるのよ日本は...」
ビスマルク(大破)「...私はビスマルク。ビスマルク級超弩級戦艦のネームシップよ」
ビスマルク(大破)「今はバルト海艦隊の旗艦よ。」
ヴィクトワール改二「...あれ?ビスマルクさんって北海艦隊所属じゃあ...」
ビスマルク(大破)「...前まではヴィルヘルムスハーフェンの所属だったんだけれど、深海棲艦の爆撃で軍港機能を失ってしまって...今はここに配属になったの」
ヴィクトワール改二「...そうだったのですか。嫌なことを聞いてしまって申し訳ないです」
ビスマルク(大破)「...いいのよ。もう起こってしまった事なんだし」
―――どうやら、この国では軍人である艦娘ですら士気が下がっているようだ。
ヴィクトワール改二(...相当、苦労があったんだな)
ヴィクトワール改二「...その損傷具合だと、軍港に戻って修理と入渠をしないとですね」
ビスマルク(大破)「ああ...その...それなんだけれど...」
ヴィクトワール改二「...?」
―――ドイツ キール軍港 Therme
ヴィクトワール改二「ああ...こりゃぁ...」
そこには、既に使われなくなった廃墟のようになっている入渠施設があった。
ヴィクトワール改二「うーん...主力艦隊に明石さんが来ることを祈るしか無い...」
ヴィクトワール改二「まぁ、応急手当だけでもしましょう」
ヴィクトワール改二「艤装に関しては工廠に出して修理ですね」
ビスマルク(大破)「...そうね」
―――俺は持っていた救急用具でできるだけの処置をした。
ヴィクトワール改二「まさか、ドイツがここまで追い詰められているとは思いませんでした」
ビスマルク(中破)「七年前までは、こうじゃなかったんだけれどね」
ヴィクトワール改二「...他の艦娘たちは...」
ビスマルク(中破)「ええ。殆どが退役、消息不明、轟沈よ」
ヴィクトワール改二「...」
ビスマルク(中破)「守れなかったの」
ビスマルク(中破)「空襲の時に私は入渠中で、奇跡的に助かった」
ビスマルク(中破)「でも、他の子...ティルピッツやオイゲンも、巻き込まれた」
ビスマルク(中破)「私がミスをして入渠していなければ...こんな事には...」
ヴィクトワール改二「...」
ビスマルク(中破)「...ごめんなさい。こんな暗いことを話してしまって」
ビスマルク(中破)「今日はもう休むことにしましょう。明日、何が起こるか分からないし」
...そう言って、ビスマルクは部屋を去った。
恐らく、ビスマルクは無理に明るい気分に変えたに違いない。
...あまりに重い。
日本の戦場が空の上に見えるほどに。
ここはまさしく、「地獄」かもしれない。
―――
ヴィクトワール改二「CIC妖精、日本に打電してくれ」
ヴィクトワール改二「『キールに大至急、明石を含めた艦隊を寄越してくれ』とな」
CIC妖精「了解」カチッカチカチッ...
《コチラ、ダイニッポンテイコクカイグンショゾク、センカンヴィクトワール。》
《シキュウ、アカシヲフクムシュウリ、キュウエンカンタイノハケンヲモトム》
次回...日本艦隊、来港...?