ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている   作:はらへりニャンコ

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初投稿です。ポケモンも小説も素人ですが、温かい目線で読んでくれるとありがたいです。


第1話 はじまりのタマゴ

 

 

 

 

 

ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている

 

 

 

 

 

今日から日記――この世界風に言うなら、レポートをつけてみようと思う。

 

ゲームみたいにセーブも巻き戻しもリセットもできないけれど、こういうものは雰囲気が大事だ。

 

……まあ、三日坊主になって途中から書き方が変わるかもしれないので、そこは最初に断っておこう。

 

私の名前はリーフ。

 

カントー地方の、十歳の女の子。

 

そして――前世では、ポケモンがフィクションとして存在する世界に生きていた男性の記憶を持つ、いわゆる転生者である。

 

しかも、性別まで変わっている。

 

そう。

 

私はTS転生者というやつだった。

 

いや、まさか本当にそんなものになるとは思わなかった。

 

前世の私は、ごく普通の成人男性だった。

 

ある雨の日、階段で足を滑らせた。

 

視界が真っ暗になって――気がついたら、ベットはベットでも病院のベッドではなかった。

 

ベビーベッドの中だった。

 

自分の身体が小さな赤ん坊になっていると理解した瞬間、あまりの衝撃に思わずお漏らししながら「オギャー!」と泣き叫んだのは、今となっては良い記憶だ。

 

この世界のお父さん、お母さん。

 

夜泣きにおねしょと、幼い頃から大変ご迷惑をおかけしました。

 

……え?

 

今?

 

そんな昔のこと、もういいじゃないですか。

 

 

では、なぜそんな転生幼女が日記――もといレポートを書き始めたのか。

 

理由は簡単。

 

今、私はカントー地方の故郷マサラタウンを離れ、カロス地方まで来ているからだ。

 

ポケモンキャンプ。

 

幼い子供たちがポケモンと触れ合いながら、自然の中で数日間を過ごすイベントらしい。

 

そして、このキャンプには――私の知っているアニメの主人公が来る。

 

サトシ。

 

私と同年代の少年。

 

そして、後に彼と旅をすることになるセレナ。

 

確か、このキャンプで二人が出会う……はず。

 

……まあ、私はXYあたりのアニポケをまともに見ていない。

 

だから詳しい展開は知らない。

 

下手に原作へ介入して、歴史を変えてしまうのは避けたいところだ。

 

とはいえ。

 

せっかくカロスまで来たのだ。

 

ずっと隠れているのも、それはそれで勿体ない。

 

だから今の私は何をしているのかというと――

 

「リーフちゃん、パラソル立てるの早いね!」

 

「まあね」

 

同年代の女の子たちとピクニックをしている。

 

日当たりのいい草原。

 

敷物を広げ、パラソルを立てて、お菓子と水筒を用意する。

 

前世でソロキャンプを何度かやっていた身としては、これくらい朝飯前だ。

 

「すごーい!」

 

「リーフちゃん、キャンプ慣れてるの?」

 

「うん。まあ、ちょっとね」

 

同年代の友達から褒められるというのは、なんだかんだで嬉しいものだ。

 

前世では、こうして何人もの友達と集まって、くだらない話をしながら笑うような時間は、歳を取るにつれて少なくなっていった。

 

だから――

 

こういう時間は、意外と嫌いじゃない。

 

「ねえねえ、知ってる?」

 

「何?」

 

「フラベベって、花の色が五種類あるんだって!」

 

「へえ!」

 

「橙色と白色の花は珍しいらしいよ!」

 

「そうなんだ」

 

ポケモンの話をしたり。

 

「最近ママがうるさくてさー」

 

「分かる!」

 

「宿題しろって毎日言われる!」

 

くだらない愚痴を聞いたり。

 

近くにやってきたレディバを、

 

「ごめんね、向こうに行ってね」

 

と追い払ったら、

 

「リーフちゃんすごーい!」

 

と拍手喝采されたり。

 

そんなふうに楽しい時間を過ごしているうちに、持ってきたお茶もお菓子もすっかりなくなった。

 

そろそろお開きにしようか。

 

そう思った――その時だった。

 

「ん?」

 

私は顔を上げた。

 

「どうしたの、リーフちゃん?」

 

「……今、変な音がしなかった?」

 

「え?」

 

「ちょっと、リーフ。怖がらせるつもり?」

 

「いや……そうじゃなくて」

 

耳を澄ます。

 

聞こえる。

 

――ドクン。

 

――ドクン。

 

規則正しい音。

 

「……誰かいるの?」

 

「ちょ、リーフちゃん!」

 

「待って!」

 

「草むらに入ったらオーキド博士に怒られちゃうよ!」

 

みんなの制止を振り切って、私は音のする方へ歩いていく。

 

森の奥。

 

木々の間から差し込む光。

 

周囲にはドードーやヤンチャムの気配がある。

 

少し怖い。

 

でも、それ以上に気になる。

 

――ドクン。

 

音は、さっきよりはっきり聞こえる。

 

そして、いつの間にか視界の奥に淡い光が見えていた。

 

「……こっち?」

 

草むらを掻き分ける。

 

小さな茂みの奥。

 

そこに――

 

あった。

 

水玉模様の、小さなタマゴ。

 

「タマゴ……?」

 

しゃがみ込み、そっと手を伸ばす。

 

指先が触れた瞬間。

 

――ドクン。

 

タマゴが、大きく揺れた。

 

「えっ?」

 

――ドクン、ドクン。

 

さらに強くなる鼓動。

 

そして――

 

パァッ!

 

タマゴが眩い光に包まれた。

 

「わっ……!」

 

私は思わず目を閉じる。

 

光が収まる。

 

ゆっくりと目を開けると――

 

そこには、もうタマゴはなかった。

 

代わりにいたのは。

 

黄色い身体。

 

黒い頭部。

 

大きな耳。

 

そして、胸元に白い毛を生やした、小さなポケモン。

 

「……リオル?」

 

生まれたばかりのリオルだった。

 

リオルはゆっくりと立ち上がる。

 

そして――

 

こちらを一度だけ振り返ると、森の奥へ走り出した。

 

「えっ?」

 

その視線の先。

 

そこには、巨大なポケモンの姿があった。

 

泥にまみれた身体。

 

大きな耳。

 

強烈な威圧感。

 

「待って!」

 

私は慌てて後を追う。

 

「待ってってば!」

 

 

――強くなりたい。

 

それが、生まれたばかりのリオルが最初に抱いた感情だった。

 

理由などない。

 

理屈もない。

 

ただ、身体の奥底から湧き上がる。

 

戦いたい。

 

強くなりたい。

 

その衝動だけがあった。

 

そして、その衝動に従った結果――

 

「オオッ……!」

 

大絶賛、ボコボコにされていた。

 

当然だ。

 

生まれたばかりの自分は、まだ何も知らないレベル1。

 

対する相手は、この森でも恐れられている強者。

 

オヤブンホルード。

 

勝てるはずがない。

 

それでも。

 

「オオォッ!」

 

倒れそうになりながら、リオルは立ち上がる。

 

まだだ。

 

まだ終わっていない。

 

そのとき。

 

「これ以上は駄目!」

 

小さな声が聞こえた。

 

振り返る。

 

そこにいたのは――自分と同じくらい小さな、人間の少女。

 

「死んじゃうよ!」

 

少女は必死に叫んでいる。

 

なぜだ。

 

どうして止める。

 

自分は戦う。

 

戦わなければならない。

 

「……ふざけるな!」

 

少女は吠えた。

 

「お前が良くても、俺が駄目なんだよ!」

 

リオルは驚いたように目を見開く。

 

「このまま見捨てて、明日の飯が食えるか! 馬鹿野郎!」

 

――その瞬間。

 

不思議な感覚があった。

 

少女から何かが溢れている。

 

温かい。

 

眩しい。

 

その光が、自分の身体へ流れ込んでくる。

 

なんだ。

 

これは。

 

どうして、こんなに温かい。

 

なんとなく分かった。

 

こいつは――自分を心配している。

 

自分を大切に思っている。

 

だったら。

 

だったら俺も――

 

「……チッ」

 

少女はホルードを見た。

 

「分かったよ」

 

そして、リオルの隣に立つ。

 

「どのみち向こうはお怒りみたいだしね」

 

拳を握る。

 

「追い払うしかないか」

 

リオルは少女を見る。

 

不思議だった。

 

さっきまであれほど恐ろしく見えたホルードが――

 

この少女と一緒なら。

 

ほんの少しだけ、小さく見えた。

 

 

ホルードが地面を蹴る。

 

巨体が一直線に突っ込んできた。

 

「リオル!」

 

かつてテレビでみたトレーナーの真似をして叫ぶ。

 

「かわせ!」

 

ギリギリまで引きつける。

 

そして――

 

「今!」

 

リオルが横へ跳んだ。

 

ホルードの突進が空を切る。

 

「よし!」

 

少女の声。

 

リオルは驚いていた。

 

自分が何をすればいいのか。

 

なぜか分かる。

 

目の前の少女が叫ぶ。

 

その声が、自分の身体を自然に動かしていく。

 

まるで――

 

心が一つになったようだった。

 

「いける……!」

 

少女が拳を握る。

 

「バレットパンチ!」

 

リオルの腕に白銀の光が宿る。

 

身体に秘められていた力。

 

生まれつき持っていた鋼の力を、拳へ集中させる。

 

「オオォッ!」

 

ドゴォッ!

 

リオルの拳がホルードの顔面へ叩き込まれた。

 

「っ……!」

 

しかし、さすがにレベル差がありすぎた。

 

ホルードは怒り狂ったように地面を蹴った。

 

「来る!」

 

再び突進。

 

「リオル!」

 

少女が叫ぶ。

 

「こらえろ!」

 

リオルは踏ん張る。

 

――重い。

 

身体が吹き飛ばされそうになる。

 

それでも耐える。

 

少女の声が聞こえる。

 

「まだ!」

 

足に力を込める。

 

「まだ終わってない!」

 

リオルの瞳が輝く。

 

その瞬間。

 

少女が叫んだ。

 

「今だ!」

 

「――リオル!」

 

一瞬の隙。

 

「ともえなげ!」

 

リオルは踏み込んだ。

 

ホルードの懐へ潜り込む。

 

相手の勢いを利用する。

 

身体を捻る。

 

そして――

 

「オオォォンッ!」

 

ドォンッ!

 

何十キロもある巨体が、宙を舞った。

 

そして地面へ叩きつけられる。

 

ズドォン!

 

土煙が舞う。

 

リオルは荒い息を吐きながら、ホルードを見つめた。

 

やがてホルードは穴を掘って地面へと潜る。

 

そして――

 

「……!」

 

逃げた。

 

地面を掘り進み、あっという間に森の奥へ消えていく。

 

「……勝った?」

 

少女が呟く。

 

リオルも、自分の拳を見る。

 

生まれたばかりの自分が。

 

あの強敵に。

 

勝った。

 

いや――

 

正確には、一人では勝てなかった。

 

隣を見る。

 

少女が笑っている。

 

「やったね!」

 

「……オウ!」

 

こうして――

 

私、リーフと。

 

生まれたばかりの色違いのリオル。

 

二人の物語が始まった。

 




・転生リーフ
主人公。前世はキャンプが趣味の成人男性。ポケモンは小さい頃アニメを見て、ゲームは殿堂入りまで遊んだくらい。種族値どころかタイプ相性の暗記すらも怪しいところ。

・色違いリオル
リコロイ編でロイがゲットするはずだったルカリオ、その進化前。
恐らく彼は別のポケモンと出会うでしょう。知らんけど。
親がゴロンダなのか、タマゴ技でバレットパンチとともえなげを覚えている。

リーフがゲットするポケモン、アンケートで決めます

  • ニドラン♂
  • ニドラン♀
  • サンド
  • マンキー
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