ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている
今日から日記――この世界風に言うなら、レポートというものをつけてみようと思う。
ゲームみたいにセーブも、巻き戻しも、リセットもできないけれど、こういうものは雰囲気が大事だ。
……まあ、三日坊主になって途中から書き方が変わるかもしれないので、そこは最初に断っておこう。
私の名前はリーフ。
カントー地方出身の十歳の女の子。
そして――前世では、ポケモンがフィクションとして存在する世界に生きていた男性の記憶を持つ、いわゆる転生者である。
しかも、性別まで変わっている。
そう、私はTS転生者というやつだった。
いや、まさか本当にそんなものになるとは思わなかった。
前世の私は、ごく普通の成人男性だった。
ある雨の日、階段で足を滑らせた。
視界が真っ暗になって――。
気がついたら、ベットはベットでも病院のベッドではなかった。
ベビーベッドの中だった。
自分の身体が小さな赤ん坊になっていると理解した瞬間、あまりの衝撃に、思わずお漏らししながら「オギャー!」と泣き叫んだのは、今となっては良い思い出だ。
この世界のお父さん、お母さん。
夜泣きにおねしょと、幼い頃から大変ご迷惑をおかけしました。
……え?
今?
そんな昔のこと、もういいじゃないですか。
◆
では、なぜそんな転生幼女が日記――もといレポートを書き始めたのか。
理由は簡単。
今、私はカントー地方の故郷、マサラタウンを離れ、カロス地方まで来ているからだ。
今の私にはお姉ちゃんがいる。
数年前からポケモントレーナーとして旅を続けているお姉ちゃんは、今回、初めてチャンピオンリーグへの出場を決めた。
そして明日。
四天王やチャンピオンへ挑む、大舞台でのバトルが行われる。
そのため、少し前にヤマブキシティの実家へ帰ってきて、ポケモンたちと激しい修行を重ねていたのだ。
そんな頑張るお姉ちゃんの大舞台を、直接応援するため。
私たち家族は、カロス地方のミアレシティまでやって来た。
お姉ちゃんの試合は明日。
最後の特訓の邪魔をしてはいけないので、私はホテルの部屋でおとなしくお留守番だ。
お父さんとお母さんも、どこかへ出かけている。
一人で大人しく、カロス地方のパンフレットでも読んで過ごしますか――。
――ドクン。
「ん?」
私は顔を上げた。
「……今、変な音がしなかった?」
誰もいないホテルの部屋。
空耳だろうか。
そう思いながらも、窓を開けて耳を澄ます。
――ドクン。
――ドクン。
聞こえる。
規則正しい音。
まるで――心臓の鼓動のような。
「……誰かいるの?」
気になった私は、出かけてくる旨の書き置きを残して部屋を出た。
そのままホテルの外へ飛び出す。
◆
カロス地方で最も華やかな大都市、ミアレシティ。
しかし、一歩裏路地へ入れば、そこは華やかさとは無縁の、暗くて不気味な道が伸びていた。
……カサコソ。
ゴミの山の中から、何かが蠢く音が聞こえる。
「……」
ハッキリ言って、怖い。
帰った方がいい。
そう思う。
でも――。
それ以上に気になる。
――ドクン。
音は、さっきよりはっきり聞こえる。
そして、いつの間にか視界の奥に淡い光が見えていた。
「……こっち?」
迷路のように入り組んだ道の奥。
そこにポツンと、それはあった。
水玉模様の、小さなタマゴ。
「タマゴ……?」
私はしゃがみ込み、そっと手を伸ばす。
指先が触れた瞬間。
――ドクン。
タマゴが、大きく揺れた。
「えっ?」
――ドクン、ドクン。
さらに強くなる鼓動。
そして――。
パァッ!
タマゴが眩い光に包まれた。
「わっ……!」
私は思わず目を閉じる。
やがて光が収まった。
ゆっくりと目を開ける。
そこには、もうタマゴはなかった。
代わりにいたのは――。
黄色い身体。
黒い頭部。
大きな耳。
そして、胸元に白い毛を生やした、小さなポケモン。
「……リオル?」
生まれたばかりのリオルだった。
リオルはゆっくりと立ち上がる。
そして――。
こちらを一度だけ振り返ると、路地の奥へ走り出した。
「えっ?」
私は慌てて立ち上がる。
その視線の先。
そこには、巨大なポケモンの姿があった。
泥にまみれた身体。
大きな耳。
そして、こちらまで伝わってくる強烈な威圧感。
「待って!」
私は慌てて後を追う。
「待ってってば!」
◆
――強くなりたい。
それが、生まれたばかりのリオルが最初に抱いた感情だった。
理由などない。
理屈もない。
ただ、身体の奥底から湧き上がってくる。
戦いたい。
強くなりたい。
その衝動だけがあった。
そして、その衝動に従った結果――。
「オオッ……!」
大絶賛、ボコボコにされていた。
当然だ。
生まれたばかりのリオルはレベル1、まだ何も知らないのである。
対する相手は、最近ミアレシティの住人たちの頭を悩ませている乱暴者。
オヤブンホルード。
勝てるはずがない。
それでも。
「オオォッ!」
倒れそうになりながら、リオルは立ち上がる。
まだだ。
まだ終わっていない。
そのとき。
「これ以上は駄目!」
小さな声が聞こえた。
リオルが振り返る。
そこにいたのは――。
自分と同じくらい小さな、人間の少女。
「死んじゃうよ!」
少女は必死に叫んでいる。
なぜだ。
どうして止める。
自分は戦う。
戦わなければならない。
「……ふざけるな!」
少女が吠えた。
「お前が良くても、俺が駄目なんだよ!」
リオルは驚いたように目を見開く。
「このまま見捨てて、明日の飯が食えるか! 馬鹿野郎!」
――その瞬間。
不思議な感覚があった。
少女から何かが溢れている。
温かい。
眩しい。
その光が、自分の身体へ流れ込んでくる。
なんだ。
これは。
どうして、こんなに温かい。
なんとなく分かった。
こいつは――自分を心配している。
自分を大切に思っている。
だったら。
だったら俺も――。
「……チッ」
少女はホルードを睨む。
「分かったよ」
そして、リオルの隣に立つ。
「どのみち向こうはお怒りみたいだしね」
拳を握る。
「追い払うしかないか」
リオルは少女を見る。
不思議だった。
さっきまで、あれほど恐ろしく見えたホルードが――。
この少女と一緒なら。
ほんの少しだけ、小さく見えた。
◆
ホルードが地面を蹴る。
巨体が一直線に突っ込んできた。
「リオル!」
何度も後ろ姿を見てきたお姉ちゃんの真似をして、少女が叫ぶ。
「かわせ!」
ギリギリまで引きつける。
そして――。
「今!」
リオルが横へ跳んだ。
ホルードの突進が空を切る。
「よし!」
少女の声。
リオルは驚いていた。
自分が何をすればいいのか。
なぜか分かる。
目の前の少女が叫ぶ。
その声が、自分の身体を自然に動かしていく。
まるで――。
心が一つになったようだった。
「いける……!」
少女が拳を握る。
「バレットパンチ!」
リオルの腕に白銀の光が宿る。
身体に秘められていた力。
生まれつき持っていた鋼の力を、拳へ集中させる。
「オオォッ!」
ドゴォッ!
リオルの拳が、ホルードの顔面へ叩き込まれた。
「っ……!」
しかし、さすがにレベル差がありすぎた。
ホルードは怯むどころか、怒り狂ったように地面を蹴る。
「来る!」
少女が叫ぶ。
再び突進。
「リオル!」
リオルは踏ん張る。
「こらえろ!」
――重い。
身体が吹き飛ばされそうになる。
それでも耐える。
少女の声が聞こえる。
「まだ!」
足に力を込める。
「まだ終わってない!」
リオルの瞳が輝く。
その瞬間。
少女が叫んだ。
「今だ!」
「――リオル!」
一瞬の隙。
「ともえなげ!」
リオルは踏み込んだ。
ホルードの懐へ潜り込む。
相手の勢いを利用する。
身体を捻る。
そして――。
「オオォォンッ!」
ドォンッ!
何十キロもある巨体が宙を舞った。
そして――。
ズドォン!
地面へ叩きつけられる。
土煙が舞う。
リオルは荒い息を吐きながら、ホルードを見つめた。
やがて、ホルードがゆっくりと起き上がる。
まだ戦うのか。
リオルが身構える。
だが――。
ホルードは周囲を睨みつけると、慌てたように路地の奥へと走り去っていった。
「……!」
逃げた。
ホルードの足音が、徐々に遠ざかっていく。
「……勝った?」
少女が呟く。
リオルも、自分の拳を見る。
生まれたばかりの自分が。
あの強敵に。
勝った。
いや――。
正確には、一人では勝てなかった。
隣を見る。
少女が笑っている。
「やったね!」
「……オウ!」
リオルも嬉しそうに笑った。
これが――。
私、リーフと。
色違いのリオル。
二人の出会いであった。
・転生リーフ
主人公。前世はキャンプが趣味の成人男性。ポケモンは小さい頃アニメを見て、ゲームは殿堂入りまで遊んだくらい。種族値どころかタイプ相性の暗記すらも怪しいところ。
・色違いリオル
リコロイ編でロイがゲットするはずだったルカリオ、その進化前。
恐らく彼は別のポケモンと出会い、絆を結ぶでしょう。
親がゴロンダなのか、タマゴ技でバレットパンチとともえなげを覚えている。
リーフがゲットするポケモン、アンケートで決めます
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ニドラン♂
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ニドラン♀
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サンド
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マンキー