ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
その後、ハナダシティからやってきたジュンサーさんによって、ロケット団員たちはお縄となった。
ついでに、私に話していた彼らの事情や、ロケット団のアジトの位置も教えてやった。
ジュンサーさんが大慌てで無線に叫んでいたので、どうやら何も知らなかったらしい。
本当に迂闊な下っ端たちだった。
ただし、幹部と見られるヤマトとコサブロウ、それにラッタの二人と一匹には逃げられてしまったようだ。
なかなかのやり手みたいだし、どこかで仕切り直して、タマムシシティにあるという本部アジトへ帰還しているのだろう。
私が色違いのリオルを持っているという情報を持ったまま。
これから先、ロケット団が私のリオルを狙ってくるかもしれない。
そう考えると、私自身のパワーアップは必須だ。
ここはポケモンをゲットして、さらに強くなりたいところなのだが――。
ビビッとくるポケモンには出会えていない。
そもそも私は、手当たり次第にポケモンを捕まえたいわけではない。
これから先、長い旅を一緒にする仲間だ。
できれば、相棒と呼べるようなポケモンに出会いたい。
そんなことを考えていると――。
「キーッ! キーッ!」
ジュンサーさんが声のした方へ振り返る。
「何ですか……って、マンキー?」
先ほどロケット団をボコボコにしていたマンキーが、私を見ながら腕をブンブン振り回している。
ジュンサーさんのガーディが「ほえる」で追い払おうとしているが、それにも怯まず、私だけを見て叫んでいる。
「あなた、マンキーに何かした?」
「いえ、何も……?」
落ち着いて振り返ってみよう。
確か私は、ここでロケット団を相手に戦っていただけである。
最初はリオルで。
途中から私も参戦して。
木の実のなる木を潰したり、木の実を踏み荒らした覚えも特にない。
「大ありじゃない……」
ジュンサーさんが呆れたように言う。
「マンキーは、どんな些細なことにも怒るの。きっとあなたたちのバトルを見て、闘争本能が刺激されたんだわ」
なるほど。
戦いたいのか。
改めてマンキーをじっくりと見る。
先ほどの空腹時に、大の大人をまとめてボコボコにしていた格闘能力は見事なものだった。
小柄な身体からは想像できないほどの力。
しかも、ただ暴れていただけではない。
ロケット団員の攻撃を避け、隙を見て殴り飛ばしていた。
野生ポケモンにしては、かなり戦い慣れている。
捕まえてリオルと競わせれば、いい刺激になるかもしれない。
何より――。
「キーッ!」
「……ふふ」
こんなに戦いたそうな顔をされてしまっては、こちらも応えてあげたくなる。
「よし、バトルよ! リオル!」
「オウ!」
「キーッ!」
我慢の限界に達したマンキーが、雄叫びを上げながら突っ込んでくる。
「きあいだめ」で力を溜めてからの「みだれひっかき」だ。
野生なのに技の連結が見事だな!
「リオル!」
「オォウ!」
リオルも真正面から迎え撃つ。
鋭い爪が迫る。
しかし――。
リオルの身体が僅かに沈む。
「フェイント」だ。
みだれひっかきの軌道を紙一重で避け、その懐へ潜り込む。
「オォウ!」
ズドン!
拳がマンキーの腹部へ叩き込まれる。
だが、「いわくだき」の一撃を受けたマンキーも怯まない。
「キーッ!」
そのまま拳を振り抜く。
「おっと!」
リオルが腕で受け止める。
拳と拳がぶつかり合う。
二匹とも、その場から足を動かさない。
私が指示を出さずともゼロ距離で力と技を競い合っている。
「……」
速い。
マンキーも、リオルも。
互いに一歩も引かず、拳、蹴り、爪を繰り出していく。
この素早い打撃の応酬――。
私でなきゃ見逃しちゃうね。
「オォウ!」
「キーッ!」
リオルの拳をマンキーがかわす。
マンキーの爪をリオルが受け流す。
一瞬の隙に、リオルが「フェイント」。
マンキーはそれを読んで、すぐさま「みだれひっかき」。
「うわ、上手いなぁ……」
野生ポケモンとは思えない。
まるで、長年一緒に戦ってきたトレーナーがいるみたいだ。
もちろん、そんなものはいないのだろうけど。
数十合に及ぶ激しい打ち合い。
そして最後。
マンキーが大きく両拳を引いた。
そして胸の中央で十字に組む。
「キーッ!」
必殺のクロスチョップだ。
リオルもかわらわりの体制に入る。
「オオオォォウ!」
二匹が同時に踏み込む。
十字に組んだ手刀と拳が真正面から激突した。
ズゥン!
地面まで揺れるような衝撃が走る。
しかし――。
「……!」
地面に尻をついたのはマンキーだった。
「キー……」
悔しそうに拳を握るマンキー。
それでも、まだ戦う気満々らしい。
「ごめんね。でも――」
私はモンスターボールを取り出す。
「あなたとは、もっと一緒に戦ってみたい」
ボールを投げる。
赤と白のボールがマンキーを包み込んだ。
一度。
二度。
三度。
そして――。
カチッ。
軽快な音が鳴った。
「マンキー、ゲットだよ!」
「オオオウ!」
リオルが拳を突き上げる。
マンキーの入ったボールを見つめる。
こうして。
私たちに、新しい仲間が加わった。
◆
新たな仲間をお供に連れて、やってきましたハナダシティ。
早速、ジムに挑戦だ。
……と言いたいところなのだが。
「はぁ……」
ハナダジムの中に入ると、ビーチチェアに寝そべったびしょ濡れの女性がこちらを見た。
「……ああ、チャレンジャーさん? いらっしゃーい」
な、なんかやる気のない女の人だな……。
ジムの中は広い。
そして、その大部分が水で満たされている。
水面には浮島のような足場がいくつも設置されており、中央にはバトル用のリングまである。
なるほど。
水タイプのジムらしい造りだ。
「んー、別にバトルをせずにジムバッジを渡してもいいんだけど……どうする?」
「も、もちろんバトルありでお願いします」
「いいよー。1vs1で、パッパと終わらせようか」
女性はモンスターボールを取り出す。
「パウワウ」
「アウアウ!」
相手は、一本角の生えた白いアシカ。
パウワウだ。
「アウアウ!」
パウワウは水面をパシャパシャ叩いている。
対して、ジムリーダーの女性はというと――。
「ふぁ……」
欠伸をしていた。
本当にやる気がない。
やる気のない相手だし、ここは相性抜群のフシギソウでちゃちゃっと――。
「オウ!」
「ん?」
リオルが前に出てくる。
なんだ、出たいのか?
再会してから、お姉ちゃんに道行くトレーナー、そしてマンキーと散々バトルしてきた。
それでもまだ公式戦をしていない。
なるほど。
うりうり。
可愛いねぇ。
「……あーっ、しょうがない」
私は笑いながらコートに立つ。
「頼んだよ、リオル」
「オウ!」
イェーイと言わんばかりに、リオルは水中へ飛び込んだ。
バシャーン!
水飛沫が上がる。
相手のリングで戦いたいみたいだ。
泳ぐ姿も絵になるねぇ。
写真撮っとこ。
「パウワウー。こごえるかぜ」
「アウアウ!」
パウワウが水面へ向かって冷気を放つ。
冷たい風が水面を走り、周囲の水まで白く凍り始める。
「リオル、くさわけ!」
「オウ!」
水中でも波動を通して、リオルとはバッチリ繋がっている。
リオルは両手足に草の力を込める。
水の中で身体をしならせ、一気に加速した。
冷たい水流に負けない勢いで、パウワウの元へと泳いでいく。
「アウ!?」
パウワウが驚いて振り返る。
もう遅い。
リオルが水を蹴って接近し――。
「オウ!」
がっしりとパウワウを掴む。
「アウアウ!?」
そのまま身体を反転させる。
そして――。
「えいっ!」
水上へと放り投げた。
「アウアウ!?」
パウワウの身体が宙を舞う。
そのまま、水上に設置された足場へドサッと落下。
「よし!」
リオルはすぐさま追いかける。
水中から飛び出し、足場へ着地。
そして――。
「オォン!」
マウントポジション。
「オウ!」
一カウント。
「アウッ!」
二カウント。
「アウアウ……」
三カウント。
「……」
「……」
「……」
静寂。
終わってみれば、あっさりとした決着だった。
ジムリーダーがパウワウを見る。
そして、リオルを見る。
「……はい、お疲れー」
ものすごく軽い。
「これがブルーバッジねー。」
「……」
私は受け取ったバッジを見る。
そして、リオルを見る。
「……リオルの写真、撮れたし」
「オウ!」
満足そうに胸を張るリオル。
うん。
これはこれで、良い試合だった。
すると突然、ジムリーダーが急に笑顔になった。
「じゃあねー。水中ショー、午後からもやるから見に来てねー!」
先ほどとは打って変わって、ものすごくやる気のある宣伝である。
「……」
私は無言でジムを見回す。
立派な水槽。
広い水場。
観客席らしき場所。
そして、ジムリーダーの笑顔。
……なるほど。
この人とパウワウ、さっきまで水中ショーをしてたから疲れていたんだな?
「リオル」
「オウ?」
「帰ろうか」
「オウ!」
私は勝利の証、ブルーバッジを手に取った。
新たな仲間、マンキー。
そして二つ目のジムバッジ。
旅は少しずつ、前へ進んでいる。
――まあ。
今回のジム戦については。
「……やっぱり戦う必要、なかったかもしれない」
そう思ってしまう私であった。
・ついにマンキーゲット。
アンケート結果をようやく反映。当初はニドラン♂にする予定でしたが微妙だったのでアンケートに頼りました。
・ハナダジムは超アッサリ
当初はもっとダウナーな感じで行く予定でしたが、アニメを見たら解釈違いだったのでショーの後で疲れている設定にしました。大絶賛カスミは家出中。
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