ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
「ふぅ……」
ハナダシティ、ポケモンセンター。
ジムバトルを終えた私は、リオルたちをジョーイさんに預け、ちょっと遅めの昼食を取っていた。
ジョーイさんにおすすめされた餃子定食。
これが地元名物なのかは知らないが、実に絶品である。
焼き目のついた餃子を頬張り、白米をかき込む。
疲れた身体に活気が戻ってくる。
やっぱり、バトルの後の飯は美味い。
「やあやあ、リィーフちゃん」
「おっ、久しぶりだな!」
「ん?」
この声は……。
振り返る。
そこにいたのは、同じ日に旅立ったポケモントレーナー。
シゲルとハルだった。
二人とも食後のお茶を楽しんでいるようだ。
「やっほ。二人とも。休憩中?」
「そ。僕たち、この辺りで見られるポケモンは一通り捕まえたし、お茶を終えたら次の街に行こうかなって話してたんだ」
「なんだ、二人ともいつの間にそんな仲良くなったのさ?」
「おつきみ山でロケット団と戦った際にね。それで暫く一緒に冒険してるんだ」
「へぇ……」
なんと。
私とお姉ちゃんがバトルした場所は、ロケット団の化石採掘地だったらしい。
私たちより早くおつきみ山を越えようとしていた二人は、そこでロケット団と遭遇。
共闘したことをきっかけに意気投合し、そのまま一緒に旅をしているらしい。
私の知らないところでも、物語はどんどん進んでいるようだ。
「私はさっきジムバトル終えたところ。この後はハナダジムの水中ショーでも見てみようかな」
「やめておいた方がいいよ」
「なんでさ」
「僕たちもポケモンゲットの合間に見てみたんだけど――」
シゲルは一度、言葉を切った。
「ハッキリ言って、パウワウの魅力を引き出せているとは言えなかったね。これなら、ふたご島に行って野生のパウワウを見た方が100倍マシさ」
「ショーもしょぼかったしね」
ハルも苦笑する。
「昔、家族旅行でホウエン地方の水族館に行ったことがあるけど、あっちの方がもっと凄かった」
「そっか……」
二人がそこまで言うなら、やめておこう。
しかし、そうなると午後からものすごく暇だな……。
そんな私に、シゲルがニヤリと笑う。
「ところで、バッジはどれだけゲットしたんだい?」
「三つ。そっちは?」
「僕らも三つさ」
シゲルがティーカップを置く。
「同じ個数のバッジを持つもの同士、実力を確かめないかい?」
ほう。
バトルの申し込みですか。
実のところ、ハナダジムが不完全燃焼に終わってしまい、少々物足りなかったのである。
「いいよ。ハルくんもやる?」
「臨むところだ。じゃあ早速、ジョーイさんからポケモンを受け取ってくるぜ!」
「決まりだね」
◆
「じゃあ、まずは僕からだな」
バトルコートに向かい合って立つのは、私とシゲル。
ハルは審判役だ。
「じゃ、1vs1で。準備!」
私はモンスターボールを構える。
「行こう、フシギソウ!」
「フーシ!」
対するシゲルもボールを投げる。
「行くよ、ニドキング!」
「ニーゴォ!」
フシギソウとシゲルのニドキングが睨み合う。
初戦は、どくタイプ同士のマッチアップだ。
「では……バトル開始!」
「ニドキング、かえんほうしゃだ!」
「フシギソウ、タネばくだん!」
ニドキングが口を開く。
次の瞬間、猛烈な炎が吐き出された。
対するフシギソウは、背中の花から大量の種を撃ち出す。
ドドドドッ!
タネばくだんの衝撃が炎を押し返し、爆風によって炎の勢いが一瞬だけ弱まる。
「やっぱり、わざマシンで技を覚えさせていたか!」
やはりシゲル。ゲットしたポケモンの育成に余念がない!
ならば――。
「だったらこっちも特訓の成果を見せるよ! くさわけ!」
「ニドキング、角でつつく!」
「フーシ!」
フシギソウが地面を蹴る。
生い茂った草をかき分けながら、一気に加速。
同時にニドキングも地面を蹴った。
「ニーゴォ!」
巨大な角が迫る。
ドゴォン!
正面からぶつかり合った二匹。
ひこうタイプの技にニドキングのパワー、その相乗効果は凄まじい。
フシギソウの身体が浮き上がり、そのまま空中へ吹き飛ばされる。
「フー!」
「フシギソウ!」
シゲルが追撃を命じる。
「ニドキング、かえんほうしゃ!」
「まだまだこっから! のしかかりよ!」
「ニーゴォ!」
「フーシ!」
ニドキングが再び口を開く。
炎が迫る。
だが、フシギソウは空中で体勢を立て直そうとする。
「その技はジャンプしないと使えない! 足の踏み場もない空中じゃあ意味がないよ!」
チッチッチッ。
うちの子を舐めてもらっちゃ困りますな。
フシギソウは空中に吹き飛ばされても諦めない。
伸ばした蔓が地面へと向かう。
そして――。
「捕まえて!」
蔓がニドキングの身体へ絡みついた。
「ニーゴォ!?」
「これは!?」
ハルが驚く。
「フシギソウがニドキングを捕まえたぞ!」
「そのまま――引っ張って!」
「フーッ!」
グンッ!
フシギソウが蔓を思いっきり引っ張る。
すると、ニドキングの巨体が少しだけ地面を滑り――。
「ニーゴォ!?」
物凄い勢いで、空中のフシギソウが地面に引き寄せられる。
「のしかかり!」
「フーシ!」
ドゴォン!
空中から落下してきたフシギソウが、そのままニドキングへと叩きつけられた。
二匹が地面に転がる。
私は胸を張った。
「どーよ見た? うちの子のセ・ン・ス♪」
「なるほど……」
シゲルが顎に手を当てる。
「くさわけですばやさが上がったから、空中でも蔓を使って動けるようになったのか……」
「正解!」
地面に着地したフシギソウとニドキングは、再び睨み合う。
ここまでの攻防で、かなり削った。
だが、二段階進化しているニドキング。
残り体力は、向こうの方が多いだろう。
これ以上、まともに技を受けるわけにはいかない。
しかし――。
今のフシギソウには、ニドキングの弱点を突ける技がない。
ならば、少しでも攻撃を重ねるしかない。
「いっぱいタネばくだん!」
「ニドキング、かえんほうしゃで焼き尽くせ!」
「ニーゴォォ!」
「フーシ!」
再び、炎と爆弾がぶつかり合う。
ドォン!
ドォン!
しかし今度のニドキングは、炎を吐きながらゆっくりと前進してくる。
「フシギソウ、負けないで!」
炎の勢いが増す。
タネばくだんが一つ、また一つと焼き尽くされる。
そして――。
「フーシ……!」
炎がフシギソウを包み込んだ。
「フシギソウ!」
爆発が二匹を包み込む。
黒い煙がバトルコートを覆った。
やがて煙が晴れる。
そこに倒れていたのは――。
「フ、フシギ……」
目を回したフシギソウだった。
「勝った!」
シゲルが拳を握る。
……と思いきや。
「ニー……」
ニドキングもまた、勝利の雄叫びを上げる前に膝をついた。
そして――。
バタン。
「キーン……」
「なっ……!?」
シゲルが目を見開く。
「どういうことだ!?」
ハルが戦場を確認する。
「あー……」
そして、納得したように頷いた。
「炎に包まれたフシギソウのタネばくだんが、途中で緑色に輝いたんだ」
「緑色に……?」
「うん。かえんほうしゃを押し切って、そのままニドキングの開いた口に命中した」
ハルは苦笑する。
「多分、あれはエナジーボールだと思う」
「……」
つまり。
最後の最後で、フシギソウが覚えかけていたエナジーボールを放ったということか。
「というわけで、この勝負は――引き分け!」
「フシギソウ……!」
私は倒れたフシギソウへ駆け寄る。
「よく頑張ったね。ありがとね……」
抱き上げたフシギソウの緑色の身体には、ところどころ火傷の跡が残っている。
私は優しく頭を撫でる。
「治療が終わったら、いっぱい褒めてあげるからね」
そして。
好物の木の実も、沢山買ってあげよう。
◆
「では、続いてリーフ対ハルの対決。両者、準備!」
「行こう、マンキー!」
「キーッ!」
「クラブ、いっけー!」
「ブッブッブッ!」
ハルが繰り出したのは、橙色の甲殻を持つ蟹。
クラブ。
こっちはマンキーの初陣だ。
「バトル開始!」
「マンキー、クロスチョップ!」
「かたくなるで防げ!」
マンキーが地面を蹴る。
両腕を交差させ、クラブへ突撃。
しかし――。
「ブッ!」
クラブは身体を丸め、甲殻を硬化させる。
ガキィン!
マンキーの渾身の一撃が、硬い殻に弾かれた。
「硬い……!」
「メタルクロー!」
クラブが巨大なハサミを振り下ろす。
「マンキー、掴んで!」
「キーッ!」
マンキーがハサミを両手で掴む。
そのまま――。
「ちきゅうなげ!」
「ブッ!?」
マンキーが大きく跳躍。
クラブを持ち上げたまま空中で身体を回転させる。
そして――。
ドゴォン!
落下の勢いそのままに、クラブを地面へ叩きつけた。
「ブーッ!」
「しっかりしろクラブ!」
クラブは痛がりながらも立ち上がる。
両腕のハサミを振り上げ、マンキーを威嚇する。
「キーッ!」
「いいぞ、マンキー!」
初陣だというのに、いい動きをしている。
「これで決めるわ!」
私は拳を握る。
「きあいだめからのクロスチョップ!」
「ッキー!」
マンキーが大きく息を吸う。
全身に力を込め、集中。
そして――。
高く跳ぶ。
その勢いのまま、必殺の十字手刀を叩き込む!
「ハル、どうする!?」
シゲルが叫ぶ。
ハルは迷わない。
「諦めるなクラブ!」
そして――。
「バブルこうせんと、れいとうビームだ!」
「ブッブッブー!」
クラブが口から大量の泡を吐き出す。
同時に、ハサミから冷気のビーム。
二つの遠距離攻撃が、空中のマンキーへ向かって飛んでいく。
「マンキー!」
「キーッ!」
クロスチョップとバブルこうせんが激突。
さらに、その隙間を縫うようにれいとうビームが走る。
ドンッ!
バトルコートに水蒸気が立ち込める。
そして――。
「……?」
ハルが眉をひそめる。
「クラブ……?」
バブルこうせんの青い光が、徐々にクラブの身体を包み込んでいく。
「まさか、このタイミングで!?」
シゲルが叫ぶ。
クラブの身体が大きくなっていく。
甲殻がより硬く。
両腕のハサミが、より巨大に。
そして――。
「ブッ……」
その姿が変わった。
「……キングラー!」
「よっしゃあ!」
ハルが拳を突き上げる。
進化したキングラーが雄叫びを上げる。
「ガアアアアッ!」
そして、その巨大なハサミを振り上げた。
「マンキー、避けて!」
「キーッ!?」
ドゴォン!
巨大なハサミが、マンキーの頭上へ叩きつけられる。
「ぐっ……!」
マンキーが地面を転がる。
「キングラー、アームハンマーだ!」
「ガアアアッ!」
キングラーが再度大きく腕を振り上げる。
そして――。
ドゴォン!
アームハンマーがマンキーを叩き飛ばした。
マンキーの身体が地面を何度も跳ねる。
そして、動かなくなった。
シゲルが確認する。
「マンキー、戦闘不能! キングラーの勝ち!」
「……負けちゃったか」
私はマンキーをボールへ戻す。
まさか、この場でハルのクラブが進化するとは。
もっと強力な技をマンキーに覚えさせていれば。
そんな考えが一瞬、頭をよぎる。
……いや。
仮定の話はやめよう。
マンキーは精一杯頑張った。
それに応えられなかったのは、私の不始末である。
私はモンスターボールを見つめる。
「ごめんね、マンキー」
そして、ハルを見る。
「ハル……進化、おめでとう」
ハルは少し驚いた顔をした後、笑った。
「ありがとう」
「次は負けないからね」
「俺も、次も勝つからな」
キングラーが巨大なハサミを掲げる。
「ガアアッ!」
「キー……」
ボールの中からマンキーの声が聞こえる。
初陣は敗北。
それでも――。
私たちの旅は、まだ始まったばかりだ。
次は勝とう。
今度こそ、もっと強くなって。
・連結技と同時技について
複数の技を絶え間なく繋げて新たな性質の発現や技の強化を行うのが連結技、同時技はそれを一度に行う高難易度戦術。どちらも技の4枠が埋まるのでホイホイ使えるものではなく、どちらかと言えばポケモンコンテストで使われるパフォーマンス。元ネタはポケダンのれんけつわざ。
成功難易度は
変化技連結<攻撃+変化連結<攻撃技同士の連結<(初心者の壁)<同時技≦多重連結・多重同時技<(壁)<メガシンカなどの特殊戦術
投稿時間何時くらいがいい?
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