ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
嬉しくてふるいたてるです!(使いたいのだがビルドアップが便利すぎて出番が来ない技)
治療を終えたフシギソウたちをジョーイさんから受け取ると、辺りはすっかり暗くなっていた。
「こりゃ、今からハナダシティを出るのはキツそうだな」
「そうだね。今日もハナダシティに泊まろうか」
「うん。ひっさびさのお風呂〜」
そういえば、ニビシティのポケモンセンターには泊まらず、辿り着いたその日のうちにおつきみ山へと登った。
その後もキャンプをしながら旅を続けていたので、こうしてポケモンセンターに泊まるのは久しぶりだ。
キャンプにはキャンプの良さがある。
星空を眺めながらご飯を食べたり、焚き火を囲んだり。
それはそれで楽しいのだが――。
シャワーもお風呂もない。
これがかなり辛い。
久しぶりに温かいお湯に浸かって、身体の疲れを全部洗い流したい。
「じゃあ、風呂入ってくる!」
「僕も行こうかな」
「俺も!」
こうして私たちは、久々のポケモンセンター泊を満喫することになった。
◆
「そういえば、サトシくんは?」
綺麗サッパリとしたお風呂上がり。
私たちはポケモンセンターに併設されている食堂とは別の、街の食堂で夕飯を食べていた。
この街自慢の養殖魚を使った新鮮なお刺身定食だ。少々値段は張るが、それに見合った味がある。
「おいしい……」
思わず頬が緩む。
トロを一切れ口に運ぶ。
脂が乗っていて、とろけるような食感。
うん。
これは当たりだ。
なんのポケモンのトロかわからないけど。
「お祖父様の研究所でピカチュウを貰って、仲良くなったってのは電話で聞いたけど」
シゲルがヤドンの尻尾の刺身を摘まみながら聞いてくる。
「ディグダの穴からクチバシティに行ったみたい」
私はホウオウのことは黙っておこうと思いながら答える。
「マジか。この街の掲示板に『サトシのバーカ!』って書いたのが無駄じゃないか」
「何やってるんだよ、お前……」
ハルが呆れた顔をする。
どうやら二人とも、ご飯を楽しみながら情報交換する気らしい。
店内には他に客もいない。
「なんでも、珍しいポケモンを追っかけて来たみたいだよ?」
「珍しい、ね……」
シゲルが首を傾げる。
「サトシのことだから、どんなポケモンも珍しい扱いなんじゃないかな?」
「あはは……」
さては博士から、虹色の羽のことを聞かされていないな。
実際にホウオウの羽を見たシゲルの顔。
ちょっと見てみたかった。
そんなことを考えていると、お吸い物を飲み終えたハルが話題を変えた。
「そういえば、サウナで聞いたんだけど、今ヤマブキシティ方面が渋滞気味らしい」
「「なんだって?」」
私とシゲルの声が重なる。
「ロケット団のアジトが見つかって、警察が検問を強化しているみたいなんだ。なんでも、とんでもなく強いポケモントレーナーが大暴れしたらしいよ」
「ああ、それ多分私のお姉ちゃん」
「え?」
「急いでクチバシティに行かなきゃって言ってたから、当て逃げ感覚で始末したんでしょ」
「何やってるんだよ、お前のお姉ちゃん……」
シゲルが呆れた顔をする。
「しかし、そうなると困ったな。僕は車で旅しているから、確実に巻き込まれることになるぞ……」
「僕は地下通路を迂回して、先にクチバシティのジムに挑戦するつもりだよ。リーフも一緒に来る?」
「その申し出はありがたいけど、ごめん」
私は首を横に振る。
「ヤマブキシティにいる父さんと母さんが心配だから、様子を見に行かなくっちゃ」
「なら、ここでお別れだね。また会おうね」
「次に会う時までに、強いポケモンを捕まえておくから、楽しみにしておいてくれたまえ」
「私も、今度はあなたたちに勝てるよう鍛え直すよ。またどこかでね」
こうして私たちは、ひとまず別れることになった。
◆
翌日。
隣町にして、私の故郷。
ヤマブキシティにやってきた。
街の至る所に警官やジョーイさん、そして彼らのガーディが配置されている。
普段のヤマブキシティとは違い、どこかピリピリとした雰囲気だ。
どうやらロケット団の一件で、警戒態勢が敷かれているらしい。
怪しまれないよう、なるべく堂々と歩く。
そして数十分。
ようやく、父さんと母さんの家まで辿り着いた。
「ただいま〜」
「まあ、リーフ! リオルもおかえり!」
「オウ!」
玄関を開けると、母さんが出迎えてくれた。
やっぱり。
記憶通り、今日は母さんが休みの日みたいだ。
本当なら父さんも家にいてくれると良かったんだけど――。
「父さんは?」
「今は出張よ。セキエイ高原の北部に行ってるみたい」
「そっか」
まあ、父さんも仕事がある。
仕方ない。
「へえ、これがフシギソウにマンキーね」
母さんが私の仲間たちを見る。
「リーフらしいポケモンたちじゃない」
「ソウ」
「キー」
「バタフリーは、あの子もゲットしていたわね」
「ああ、そういえばそうだった」
母さんは笑いながら、居間を指差す。
「何もない家だけど、ゆっくりしていってちょうだい」
「フリー」
こうして私たちは、久しぶりに家でくつろぐことになった。
本当なら、ヤマブキシティに来たら、この街の友達にも会いに行く予定だった。
それに格闘道場にも、リオルとマンキーを連れていきたかった。
特にマンキーは、私が昔通っていた道場でどんな反応をするのか楽しみだったのだが――。
「今は、外に出ない方がいいわね」
母さんが言う。
「街のあちこちに警察がいるでしょう? 住民にも不要不急の外出は控えるよう呼びかけているの」
「だよねぇ」
仕方がない。
今日は家でゆっくり過ごすとしよう。
「そういえば」
母さんが思い出したように手を叩く。
「10歳の誕生日がまだだったわね。何か欲しいものはある?」
「誕生日プレゼント……」
そういえば、まだだった。
いつも家族揃ってご飯を食べるだけで満足していたので、特に欲しいものがあるわけではない。
強いて言うなら――。
「リオルへのアクセサリーかな」
「アクセサリー?」
「うん。できれば、いざという時用の発信機付きで」
色違いのリオル。
しかも、私の相棒。
これから先、ロケット団に狙われる可能性を考えると、何らかの対策はしておきたい。
「わかったわ」
母さんはあっさり頷いた。
「アクセサリーについては父さんに頼んで、何か買っておくわね。次にヤマブキに帰ってくる前には連絡してちょうだい」
「ありがとう、母さん!」
「どういたしまして」
そうして久しぶりの家族との時間を過ごしていると、ふと思い出した。
「そういえば、ナツメさんのジムは?」
「最近、ロケット団とは関係なく一騒動あったらしくてね。今は休業状態みたいよ」
「へぇ……」
ナツメのジムでも何かあったらしい。
私の知っている世界とは、少しずつ違ってきている。
まあ、ここまで来たら今さら驚くことでもないか。
「それじゃあ、今日は家でゴロゴロして――」
私はソファに身体を預ける。
「明日からタマムシシティへ旅を再開しますか」
リオルも私の隣へやってきて、ぽすんと座った。
「オウ」
その頭を撫でる。
フシギソウも、マンキーも。
みんな少しずつ強くなっている。
まだまだ足りない。
シゲルには勝てず、ハルには負けた。
次に会った時には、今度こそ勝ちたい。
そのためにも――。
「明日から、また頑張ろうね」
「オウ!」
リオルが拳を握る。
・ハルのキングラーについて
明確に原作サトシくんのキングラーということにします。リーグぶっつけ本番で出したら進化したあのトンデモ個体を旅で使っていたらとんでもない強さになりそう
なおリーフのマンキーとサトシのオコリザルは別個体です。あの子が野生ポケモンを率いてる姿が想像できないので……
・ヤマブキジムは後回し
少し前にサトシくんはアニメのように超能力の前にゲームオーバーになりかけたりゴーストと仲良くなったりしていた。トキワジム並に洒落にならない魔境である。
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