ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている   作:はらへりニャンコ

18 / 48
高評価、お気に入り登録ありがとうございます


第18話 香水とジムバトル(Hard)

 

 

 

 

 

「フシギソウ、のしかかり!」

 

「フーシ!」

 

フシギソウが勢いよくモジャンボへ飛びかかる。

 

ズドンッ!

 

「モッジャ……」

 

「モジャンボ、戦闘不能! フシギソウの勝ち!」

 

その後のモジャンボとの戦いは、あっさりしたものだった。

 

マンキーのアクロバットとからげんきで受けたダメージが大きかったのか、モジャンボは大した行動もできないまま、フシギソウの連続攻撃で倒された。

 

「お疲れ様です、モジャンボ……。やはり、お強いですね」

 

「そうですか?」

 

「ええ。実はこのモジャンボ、本来はバッジを六個以上集めたトレーナー相手にしか繰り出さない子なんですの」

 

マジでか。

 

思い返せば、ラフレシアがリーフストームを使ってきた辺りから、エリカさんの波動が強くなっていた。

 

もしかして、最初から私の実力を見ながら少しずつ本気を出していたのか。

 

「くさタイプは弱点が多く、弱いタイプだと思われています。それに、タマムシシティを訪れたトレーナーの皆さんはデパートでわざマシンを買ってパートナーポケモンを強くしますの」

 

エリカさんは穏やかに笑う。

 

「ですから私は、他のジムリーダーたちより一層厳しく、トレーナーたちの実力を見極めているんですわ」

 

へ〜。

 

そんな事情があったのか。

 

目から鱗である。

 

「あなた相手なら、この子を出してバトルをしてもいいですわよね……」

 

エリカが最後のモンスターボールを手に取る。

 

「満開に咲きなさい!」

 

ボールから飛び出してきたのは――

 

「フィーアッ!!」

 

薄黄色い身体に四本の足。

 

尻尾と耳は植物の葉っぱのようで、頭にはアホ毛の代わりと言わんばかりに、一際大きな葉っぱが広がっている。

 

「リーフィア……!」

 

……って、ちょっと待って。

 

リーフィアの波動……。

 

お姉ちゃんのラプラスやソウブレイズ並みにあるんだけど!?

 

「ス、ストップ!ストップ! バトルを止めてくださいお二人とも!」

 

審判を務めているアドバイザーさんが慌てて試合を中断する。

 

明らかに普通ではないリーフィアを前に、観客席もざわざわと騒がしくなってきた。

 

「エリカさん、流石にそのリーフィアはジムバッジ三個のチャレンジャー相手には強すぎます!今すぐリーフィアをボールに戻して、ジムバトル用のポケモンに交代してください!」

 

「大丈夫です」

 

エリカは静かに答える。

 

「先ほども言った通り、ジムリーダーはチャレンジャーの力を見極めることこそ役目。リーフさんなら、このリーフィア相手でも十分に戦えるはずです」

 

「はぁ……分かりました。後でリーグ本部には報告しておきますよ」

 

お淑やかなエリカの熱意に押し切られたのか、アドバイザーさんは元の審判ゾーンへ戻っていった。

 

どうやらハードモードだったジム戦が、本来ならありえないヘルヘイム地獄インフェルノモードにレベルアップしたらしい。

 

「フシギソウ、行ける?」

 

「……フーシ!」

 

少し身体が固い。

 

それでも、私のフシギソウはやる気満々だ。

 

なら――最後まで一緒に戦おう。

 

「フシギソウ、どくどく!」

 

「にほんばれですわ!」

 

フシギソウが吐き出した猛毒がリーフィアへ絡みつく。

 

しかし――。

 

「リーフガードですわ。これでどく状態は効きませんわよ」

 

強い日差しを浴びたリーフィアの身体が輝く。

 

毒の影響を受けない。

 

……そうか。

 

リーフガード。

 

晴れの時なら状態異常にならない特性だ。

 

「だったら、それを活かす!」

 

私は叫ぶ。

 

「せいちょう!」

 

フシギソウも太陽の恵みを受け取り、身体に力を蓄えていく。

 

「フー……シィ!」

 

成長によって高まった力を、フシギソウは蕾へ集中させる。

 

「ヘドロばくだん!」

 

フシギソウの蕾から、紫色の毒の塊が撃ち出される。

 

普通のくさポケモンなら、効果抜群の大ダメージになるはずだ。

 

しかし――。

 

「ウェザーボール!」

 

「リィー!」

 

強い日差しを受け、ウェザーボールが炎の球へと変化する。

 

飛んできたヘドロばくだんを正面から焼き払い、そのままフシギソウへと直撃した。

 

「連続で!」

 

次々と放たれる太陽の球。

 

「フ、フギーッ!」

 

一発、二発、三発。

 

炎がフシギソウを吹き飛ばす。

 

そこへ――。

 

「シザークロスですわ!」

 

「フィアッ!」

 

リーフィアが一気に距離を詰める。

 

両前足の葉を交差させ、鋭い一撃を叩き込んだ。

 

「フシギソウ!」

 

ドサッ。

 

フシギソウが地面へ落ちる。

 

「フー……シ……」

 

「フシギソウ、戦闘不能! リーフィアの勝ち!」

 

圧倒的なリーフィアの実力に、観客席は大熱狂だ。

 

強い。

 

私のフシギソウはトキワジムにニビジムで活躍し、お姉ちゃんのフシギダネを倒したこともある強い子だ。

 

そんなフシギソウが手も足も出ずにやられた。

 

これがジムリーダーの本気か。

 

でも――。

 

私たちは諦めない。

 

まだ、この子がいる。

 

「行こう、バタフリー!」

 

「フリフリィー!」

 

出てきて早々、バタフリーは大きく羽ばたいた。

 

その瞬間、バトルコートに再び風が吹き始める。

 

おいかぜ。

 

私のやりたいことを感じ取って、自ら起こしてくれた風だ。

 

この風に乗って――勝利を掴む!

 

「とんぼがえり!」

 

「シザークロスとウェザーボール!」

 

リーフィアが一気に距離を詰める。

 

鋭い葉がバタフリーへ襲いかかり、途切れることなく炎の火球が飛んでくる。

 

一撃一撃が重い。

 

まともに受ければ、一瞬で戦闘不能にされる。

 

それでもバタフリーは攻撃を掻い潜り、リーフィアへ一撃を当てると、すぐさま身を引いた。

 

その一瞬後。

 

バタフリーがいた場所を、炎の火球が通過する。

 

ギリギリの勝負だ。

 

「アクロバットも連結!」

 

「フリィ! フリィ!」

 

私の指示にも力が入る。

 

バタフリーは力強く羽ばたきながら、風に乗って縦横無尽に飛び続ける。

 

リーフィアも負けじと追いかける。

 

やがて、リーフィアのシザークロスがバタフリーを捉えた。

 

「フリィ!?」

 

痛撃にバタフリーの動きが鈍る。

 

「これで決めますわ!」

 

エリカが最後の指示を飛ばす。

 

「とっておき!」

 

「フィィィア!」

 

リーフィアが身体を低く構える。

 

そして――。

 

一気に突進した。

 

向かい風を切り裂き、猛烈な速度でバタフリーへ迫ってくる。

 

しかも、ただ突っ込んでくるだけではない。

 

バタフリーの動きを先読みし、回り込むようにして進路を塞いでくる。

 

「……フィア?」

 

その瞬間。

 

リーフィアが、奇妙な違和感を感じた。

 

確かに、とっておきが当たった感触はある。

 

なのに――。

 

そこにバタフリーはいない。

 

自分の攻撃は、空を切っていた。

 

「みがわり……」

 

エリカが目を見開く。

 

「でも、バタフリーはすでに四つの技を使っている……まさか!?」

 

エリカが天井を見上げる。

 

そこには――。

 

一匹のバタフリーがいた。

 

銀色の鱗粉を撒き散らしながら、ガラス張りの天井近くを飛んでいる。

 

しんぴのまもりが生み出した鱗粉は強い日差しを浴びて、眩い金色に輝いていた。

 

「っ……!」

 

エリカが反応する。

 

「ウェザーボール!」

 

リーフィアが再び炎の火球を連射する。

 

先ほどフシギソウを戦闘不能に追い込んだ攻撃。

 

だが――。

 

今度は、一発も当たらない。

 

黄金色の光の筋が紡ぐ、バタフリーの幻像だけを次々と貫いていく。

 

「質量を持った残像とでも言うのですか!?」

 

――おいかぜ。

 

――しんぴのまもり。

 

――アクロバット。

 

――とんぼがえり。

 

これまで積み重ねてきた4つの技。

 

それらすべてを繋げる。

 

「四連結!」

 

私は拳を握る。

 

「フォーミュラー・インセクトォォォ!」

 

「フリフリフリフリィ!」

 

金色のバタフリーが加速する。

 

風を切り裂き、空を駆ける。

 

その速度は、鳥ポケモンやドラゴンポケモンにも負けない。

 

「いっけぇぇぇぇぇぇ!」

 

「フリイィィィィッ!!」

 

バタフリーが真正面からリーフィアへ突っ込む。

 

ドォォォン!!

 

渾身の四連結大技が、リーフィアへ直撃した。

 

「フィ……ア……!」

 

リーフィアの身体がスタジアムの奥まで吹き飛ばされる。

 

それでも――。

 

「フィ……ィ……」

 

リーフィアは、まだ立ち上がろうとしていた。

 

強い。

 

本当に強い。

 

ここまで受けても、まだ戦おうとしている。

 

だが――。

 

エリカが静かにモンスターボールを構えた。

 

「……もう十分ですわ」

 

光がリーフィアを包み、その身体をボールへ戻していく。

 

「……お見事」

 

審判が判定を下す。

 

「リーフィア、戦闘不能! バタフリーの勝ち!」

 

一瞬の静寂。

 

そして――。

 

ワァァァァァッ!!

 

観客席から、大歓声が巻き起こった。

 

「よって勝者、チャレンジャー・リーフ!」

 

私は肩で息をしながら、バタフリーを見上げる。

 

「……やったね」

 

「フリィ!」

 

バタフリーが嬉しそうに鳴いた。

 

三匹全員で戦った。

 

マンキーが削り、フシギソウが繋ぎ、最後はバタフリーが決めた。

 

ギリギリだったけど――。

 

私たちは、勝った。

 

エリカはリーフィアのボールを見つめ、それから私たちへ穏やかに微笑んだ。

 

「素晴らしいバトルでしたわ、リーフさん」

 

その言葉を聞いた瞬間。

 

ようやく実感が湧いてきた。

 

私たちは――タマムシジムを完全攻略したのだ。




・タマムシは難関ジムに強化
デパートにゲームコーナーと強化スポットがいっぱいあるんだもん、ジムリーダーの枷も緩いのである。
ただ今回みたいなことは稀。流石にあの後リーグから怒られたらしい

・質量を持った残像
元々エリカの一匹目はウツドンでしたが、これを言わせたかったのでラフレシアにしました(笑)
ポケモン二次創作においてバタフリーの強さはいくら盛っても構わない、タブンネ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。