ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
「フシギソウ、のしかかり!」
「フーシ!」
フシギソウが勢いよくモジャンボへ飛びかかる。
ズドンッ!
「モッジャ……」
「モジャンボ、戦闘不能! フシギソウの勝ち!」
その後のモジャンボとの戦いは、あっさりしたものだった。
マンキーのアクロバットとからげんきで受けたダメージが大きかったのか、モジャンボは大した行動もできないまま、フシギソウの連続攻撃で倒された。
「お疲れ様です、モジャンボ……。やはり、お強いですね」
「そうですか?」
「ええ。実はこのモジャンボ、本来はバッジを六個以上集めたトレーナー相手にしか繰り出さない子なんですの」
マジでか。
思い返せば、ラフレシアがリーフストームを使ってきた辺りから、エリカさんの波動が強くなっていた。
もしかして、最初から私の実力を見ながら少しずつ本気を出していたのか。
「くさタイプは弱点が多く、弱いタイプだと思われています。それに、タマムシシティを訪れたトレーナーの皆さんはデパートでわざマシンを買ってパートナーポケモンを強くしますの」
エリカさんは穏やかに笑う。
「ですから私は、他のジムリーダーたちより一層厳しく、トレーナーたちの実力を見極めているんですわ」
へ〜。
そんな事情があったのか。
目から鱗である。
「あなた相手なら、この子を出してバトルをしてもいいですわよね……」
エリカが最後のモンスターボールを手に取る。
「満開に咲きなさい!」
ボールから飛び出してきたのは――
「フィーアッ!!」
薄黄色い身体に四本の足。
尻尾と耳は植物の葉っぱのようで、頭にはアホ毛の代わりと言わんばかりに、一際大きな葉っぱが広がっている。
「リーフィア……!」
……って、ちょっと待って。
リーフィアの波動……。
お姉ちゃんのラプラスやソウブレイズ並みにあるんだけど!?
「ス、ストップ!ストップ! バトルを止めてくださいお二人とも!」
審判を務めているアドバイザーさんが慌てて試合を中断する。
明らかに普通ではないリーフィアを前に、観客席もざわざわと騒がしくなってきた。
「エリカさん、流石にそのリーフィアはジムバッジ三個のチャレンジャー相手には強すぎます!今すぐリーフィアをボールに戻して、ジムバトル用のポケモンに交代してください!」
「大丈夫です」
エリカは静かに答える。
「先ほども言った通り、ジムリーダーはチャレンジャーの力を見極めることこそ役目。リーフさんなら、このリーフィア相手でも十分に戦えるはずです」
「はぁ……分かりました。後でリーグ本部には報告しておきますよ」
お淑やかなエリカの熱意に押し切られたのか、アドバイザーさんは元の審判ゾーンへ戻っていった。
どうやらハードモードだったジム戦が、本来ならありえないヘルヘイム地獄インフェルノモードにレベルアップしたらしい。
「フシギソウ、行ける?」
「……フーシ!」
少し身体が固い。
それでも、私のフシギソウはやる気満々だ。
なら――最後まで一緒に戦おう。
「フシギソウ、どくどく!」
「にほんばれですわ!」
フシギソウが吐き出した猛毒がリーフィアへ絡みつく。
しかし――。
「リーフガードですわ。これでどく状態は効きませんわよ」
強い日差しを浴びたリーフィアの身体が輝く。
毒の影響を受けない。
……そうか。
リーフガード。
晴れの時なら状態異常にならない特性だ。
「だったら、それを活かす!」
私は叫ぶ。
「せいちょう!」
フシギソウも太陽の恵みを受け取り、身体に力を蓄えていく。
「フー……シィ!」
成長によって高まった力を、フシギソウは蕾へ集中させる。
「ヘドロばくだん!」
フシギソウの蕾から、紫色の毒の塊が撃ち出される。
普通のくさポケモンなら、効果抜群の大ダメージになるはずだ。
しかし――。
「ウェザーボール!」
「リィー!」
強い日差しを受け、ウェザーボールが炎の球へと変化する。
飛んできたヘドロばくだんを正面から焼き払い、そのままフシギソウへと直撃した。
「連続で!」
次々と放たれる太陽の球。
「フ、フギーッ!」
一発、二発、三発。
炎がフシギソウを吹き飛ばす。
そこへ――。
「シザークロスですわ!」
「フィアッ!」
リーフィアが一気に距離を詰める。
両前足の葉を交差させ、鋭い一撃を叩き込んだ。
「フシギソウ!」
ドサッ。
フシギソウが地面へ落ちる。
「フー……シ……」
「フシギソウ、戦闘不能! リーフィアの勝ち!」
圧倒的なリーフィアの実力に、観客席は大熱狂だ。
強い。
私のフシギソウはトキワジムにニビジムで活躍し、お姉ちゃんのフシギダネを倒したこともある強い子だ。
そんなフシギソウが手も足も出ずにやられた。
これがジムリーダーの本気か。
でも――。
私たちは諦めない。
まだ、この子がいる。
「行こう、バタフリー!」
「フリフリィー!」
出てきて早々、バタフリーは大きく羽ばたいた。
その瞬間、バトルコートに再び風が吹き始める。
おいかぜ。
私のやりたいことを感じ取って、自ら起こしてくれた風だ。
この風に乗って――勝利を掴む!
「とんぼがえり!」
「シザークロスとウェザーボール!」
リーフィアが一気に距離を詰める。
鋭い葉がバタフリーへ襲いかかり、途切れることなく炎の火球が飛んでくる。
一撃一撃が重い。
まともに受ければ、一瞬で戦闘不能にされる。
それでもバタフリーは攻撃を掻い潜り、リーフィアへ一撃を当てると、すぐさま身を引いた。
その一瞬後。
バタフリーがいた場所を、炎の火球が通過する。
ギリギリの勝負だ。
「アクロバットも連結!」
「フリィ! フリィ!」
私の指示にも力が入る。
バタフリーは力強く羽ばたきながら、風に乗って縦横無尽に飛び続ける。
リーフィアも負けじと追いかける。
やがて、リーフィアのシザークロスがバタフリーを捉えた。
「フリィ!?」
痛撃にバタフリーの動きが鈍る。
「これで決めますわ!」
エリカが最後の指示を飛ばす。
「とっておき!」
「フィィィア!」
リーフィアが身体を低く構える。
そして――。
一気に突進した。
向かい風を切り裂き、猛烈な速度でバタフリーへ迫ってくる。
しかも、ただ突っ込んでくるだけではない。
バタフリーの動きを先読みし、回り込むようにして進路を塞いでくる。
「……フィア?」
その瞬間。
リーフィアが、奇妙な違和感を感じた。
確かに、とっておきが当たった感触はある。
なのに――。
そこにバタフリーはいない。
自分の攻撃は、空を切っていた。
「みがわり……」
エリカが目を見開く。
「でも、バタフリーはすでに四つの技を使っている……まさか!?」
エリカが天井を見上げる。
そこには――。
一匹のバタフリーがいた。
銀色の鱗粉を撒き散らしながら、ガラス張りの天井近くを飛んでいる。
しんぴのまもりが生み出した鱗粉は強い日差しを浴びて、眩い金色に輝いていた。
「っ……!」
エリカが反応する。
「ウェザーボール!」
リーフィアが再び炎の火球を連射する。
先ほどフシギソウを戦闘不能に追い込んだ攻撃。
だが――。
今度は、一発も当たらない。
黄金色の光の筋が紡ぐ、バタフリーの幻像だけを次々と貫いていく。
「質量を持った残像とでも言うのですか!?」
――おいかぜ。
――しんぴのまもり。
――アクロバット。
――とんぼがえり。
これまで積み重ねてきた4つの技。
それらすべてを繋げる。
「四連結!」
私は拳を握る。
「フォーミュラー・インセクトォォォ!」
「フリフリフリフリィ!」
金色のバタフリーが加速する。
風を切り裂き、空を駆ける。
その速度は、鳥ポケモンやドラゴンポケモンにも負けない。
「いっけぇぇぇぇぇぇ!」
「フリイィィィィッ!!」
バタフリーが真正面からリーフィアへ突っ込む。
ドォォォン!!
渾身の四連結大技が、リーフィアへ直撃した。
「フィ……ア……!」
リーフィアの身体がスタジアムの奥まで吹き飛ばされる。
それでも――。
「フィ……ィ……」
リーフィアは、まだ立ち上がろうとしていた。
強い。
本当に強い。
ここまで受けても、まだ戦おうとしている。
だが――。
エリカが静かにモンスターボールを構えた。
「……もう十分ですわ」
光がリーフィアを包み、その身体をボールへ戻していく。
「……お見事」
審判が判定を下す。
「リーフィア、戦闘不能! バタフリーの勝ち!」
一瞬の静寂。
そして――。
ワァァァァァッ!!
観客席から、大歓声が巻き起こった。
「よって勝者、チャレンジャー・リーフ!」
私は肩で息をしながら、バタフリーを見上げる。
「……やったね」
「フリィ!」
バタフリーが嬉しそうに鳴いた。
三匹全員で戦った。
マンキーが削り、フシギソウが繋ぎ、最後はバタフリーが決めた。
ギリギリだったけど――。
私たちは、勝った。
エリカはリーフィアのボールを見つめ、それから私たちへ穏やかに微笑んだ。
「素晴らしいバトルでしたわ、リーフさん」
その言葉を聞いた瞬間。
ようやく実感が湧いてきた。
私たちは――タマムシジムを完全攻略したのだ。
・タマムシは難関ジムに強化
デパートにゲームコーナーと強化スポットがいっぱいあるんだもん、ジムリーダーの枷も緩いのである。
ただ今回みたいなことは稀。流石にあの後リーグから怒られたらしい
・質量を持った残像
元々エリカの一匹目はウツドンでしたが、これを言わせたかったのでラフレシアにしました(笑)
ポケモン二次創作においてバタフリーの強さはいくら盛っても構わない、タブンネ
投稿時間何時くらいがいい?
-
6時
-
12時
-
15時
-
17時
-
18字
-
20時
-
21時