ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている   作:はらへりニャンコ

19 / 22
私用ですがこの前人生初のソロキャンプに行ってきて、夜中に落ちてきた木の葉や近所の犬の声にビビりまくってました。
ポケモンが近くにいる野宿の安心感ってすごい。

本日からオマケ込みで20話超の長編始まります。


第19話 悠情編Ⅰ/伝説との遭遇

 

 

 

 

 

エリカさんとの激闘から数日後。

 

私たちはタマムシシティでショッピングやゲーム、そして同じように旅をしているトレーナーたちとのポケモンバトルを楽しんでいた。

 

どうもエリカさんの手持ちのジムバッジが切れたらしく、リーグ本部から届くのを待っているのだ。

 

そういうこともあるんだね。

 

なので、その間は英気を養っているわけである。

 

決してサボりではない。

 

「さて、今日はどこに行こうか」

 

「アウッ!」

 

ポケモンセンターで朝食を取りながら新聞を読む。

 

なんとも優雅な朝である。

 

そんなことを考えていると――。

 

「どうしたの!? すごいボロボロよ!」

 

「エンテイが……現れて……!」

 

穏やかなブレイクファストタイムは、ボロボロになったシャワーズを抱えて駆け込んできたトレーナーによって粉々に砕かれた。

 

「エンテイって、あの!?」

 

「ああ。本来ならジョウト地方に棲息していると言われている、伝説のポケモンだよ……。森で見つけたんだけど、僕のシャワーズがまともに相手にされずに倒されたんだ……」

 

「まだ近くにいるかもしれない!」

 

「レイドを組むんだ! 森を探せ!」

 

伝説のポケモンが現れた。

 

その報告は、水面に落ちた石のように一気に波紋を広げていく。

 

その場にいたトレーナーたちは我先にと森へ向かっていった。

 

その中に――。

 

二つ、見知った波動を感じる。

 

「サトシ!」

 

「ピッカ!」

 

「リーフ! 聞いたか! エンテイが現れたって!」

 

「うん。絶対に強いポケモンだ……。コンビを組んで捜索しよう!」

 

「ピッカ!」

 

「オオゥ!」

 

私とサトシは、他のトレーナーたちの後を追うように森の中へと飛び込んでいった。

 

◆

 

「でも、この森かなり広いよ! どこを探す!?」

 

「さっきのトレーナーがシャワーズを連れて逃げて来た時、トレーナー自身はそこまで汚れてなかったんだ! だからエンテイと戦ったのは、そこまで森の奥じゃないはず!」

 

なるほど。

 

サトシ、あの短時間でそこまで見ていたのか。

 

マサラタウンにいた頃は、そこまで細かいことを気にする性格ではなかったはずだ。

 

彼も旅の中で成長しているのだろう。

 

私も意識を集中させ、波動を探る。

 

森の中を流れる無数の生命の気配。

 

木々。

 

虫ポケモン。

 

小さなポケモン。

 

そして――。

 

数十分後。

 

山道の近くから、異質な波動を感じ取った。

 

炎。

 

いや――。

 

炎なんて生易しいものではない。

 

まるで、地中から巨大な火山そのものが姿を現したような波動。

 

「……見つけた」

 

思わず声が漏れる。

 

「ここから北西! 距離300メートル!」

 

「よし、行くぞピカチュウ!」

 

「ピッカ!」

 

私たちは崖をジャンプで飛び降り、そのまま開けた空間へ飛び出した。

 

そこには――。

 

いた。

 

燃える火山をそのまま獣の姿にしたようなポケモン。

 

巨大な身体。

 

炎のようなたてがみ。

 

大地を踏みしめる四本の脚。

 

そして、何者にも屈することを知らないような眼。

 

エンテイ。

 

伝説のポケモン。

 

その存在だけで、周囲の空気が変わっていた。

 

そのエンテイを、髪をヘアゴムで一つにまとめた少女が追い詰めている。

 

「ポッチャマ、バブルこうせん!」

 

「ポチャアアア!」

 

ポッチャマが嘴から大量の泡を吐き出す。

 

しかし――。

 

エンテイは、跳んだ。

 

巨体からは想像もつかないほど軽やかに宙へ舞い、ポッチャマが撃った無数の泡をすべてかわす。

 

そして――。

 

姿が消えた。

 

「……え?」

 

違う。

 

消えたんじゃない。

 

ドシンッ!

 

私たちの――。

 

背後だ。

 

「……ッ!」

 

サトシも私も、思わず息を呑んだ。

 

近くに立っているだけで、汗が噴き出す。

 

呼吸をするたび、肺の中まで熱せられるような感覚。

 

エンテイがこちらを見ただけで、身体が本能的に「逃げろ」と叫んでいる。

 

これは――。

 

野生のポケモンが放つ波動じゃない。

 

格が違う。

 

生物として強いとか、レベルが高いとか。

 

そういう話ではない。

 

何百年と語り継がれてきた伝説が、今、目の前に立っている。

 

これが――。

 

伝説のポケモン、エンテイ。

 

「……ッ!」

 

心臓の鼓動が止まらない。

 

落ち着け、私。

 

「……ピカチュウ!」

 

サトシが先に動いた。

 

「10万ボルト!」

 

「ピィーカァーチュー!」

 

凄まじい電撃がエンテイへ向かって走る。

 

だが――。

 

エンテイは、再び大きく跳んだ。

 

雷撃を紙一重でかわし、そのまま私たちのいた崖の上へ着地する。

 

そして――。

 

「グオオオオオゥ!!」

 

咆哮。

 

ただの鳴き声ではなかった。

 

空気そのものが震える。

 

木々が揺れ、鳥ポケモンたちが一斉に飛び立つ。

 

次の瞬間。

 

エンテイの口から巨大な炎が放たれた。

 

「「「うわわわっ!」」」

 

私たちは慌ててその場から逃げる。

 

炎が大地を焼き、木々を焦がす。

 

そのままエンテイは私たちから離れるように走り出す。

 

――が。

 

その行く手を、一匹のポケモンが塞いだ。

 

青と黒の体毛。

 

赤い瞳。

 

ルカリオ。

 

おかっぱ頭のトレーナーが指示を出す。

 

「ルカリオ、はどうだん!」

 

ルカリオが両手に波動を集める。

 

巨大な青い光球が、エンテイへ向かって放たれた。

 

直撃。

 

爆発。

 

大量の煙が立ち込める。

 

「やったか!?」

 

煙が晴れる。

 

そこには――。

 

無傷のエンテイが立っていた。

 

傷一つない。

 

「……え?」

 

ルカリオのトレーナーが固まる。

 

エンテイは、ゆっくりと顔を上げた。

 

「グオオ……」

 

その眼に怒りが宿る。

 

次の瞬間。

 

「グオオオオオオオオオッ!!」

 

巨大な火球が放たれた。

 

ルカリオのはどうだんよりも遥かに大きい。

 

「ルカリオ!」

 

炎がルカリオを包み込み、その身体を大樹へ叩きつける。

 

ドォン!!

 

叫ぶおかっぱ頭。ルカリオは力を失いぐったりと倒れる。

 

「ピカチュウ、もう一回10万ボルト!」

 

「ポッチャマ、今度はハイドロポンプよ!」

 

「ピィーカァーチュー!」

 

「チャアア、ポチャア!」

 

サトシとポッチャマのトレーナーが同時に攻撃を仕掛ける。

 

だが、エンテイはまたしても跳んだ。

 

電撃と激流が空を通り過ぎる。

 

そして――。

 

着地。

 

ズドォン!!

 

地面が揺れる。

 

「グオオオオオゥ!!」

 

再び咆哮。

 

吹き飛ばされるポケモンとトレーナーたち。

 

まるで「お前たちでは相手にならない」と言わんばかりだった。

 

そしてエンテイは、愚かな挑戦者たちに背を向ける。

 

そのまま森の奥へ立ち去ろうとする。

 

――だが。

 

「リオル!」

 

私は一歩前へ出た。

 

リオルも私の隣に立つ。

 

「じしん!」

 

「ウオオオオオォウ!!」

 

◆

 

私だって、サトシほどではない。

 

でも、ポケモンセンターでエンテイと遭遇したトレーナーを観察していた。

 

タイプ相性で有利なシャワーズを、あれほど簡単に倒した。

 

ルカリオのはどうだんを受けても無傷。

 

ピカチュウの10万ボルトすら、まともに受けることなくかわしている。

 

そんな化け物相手に――。

 

何の準備もせず挑むと思ったか。

 

サトシたちが戦っている間。

 

私はリオルに指示していた。

 

『つるぎのまいを三回!』

 

『オウッ!』

 

鋭い舞が、リオルの筋力を高める。

 

限界まで高められた攻撃力。

 

リオルの身体から、青白い波動が噴き上がる。

 

「いけぇぇぇぇぇ!」

 

「オオオオオオオオオォン!!」

 

リオルが足元を渾身の力で殴りつけた。

 

ズガァァァン!!

 

地面が爆ぜる。

 

固い大地が裂け、巨大な岩盤が持ち上がる。

 

巨大な土の刃がエンテイへ向かって突き刺さる。

 

さらに倒れた木々が巻き込まれ、エンテイの巨体へ次々とぶつかっていく。

 

ズドン!

 

バキィッ!

 

ドォォン!

 

そして――。

 

大量の樹木が、エンテイの上へと崩れ落ちた。

 

「……流石に、これなら――」

 

倒せる。

 

そう思った。

 

――その瞬間。

 

「……グオオオオオゥ」

 

地鳴りのような声が聞こえた。

 

木々の山が――。

 

赤く染まる。

 

「……え?」

 

次の瞬間。

 

轟ッ!!

 

炎が爆発した。

 

エンテイの身体そのものが、巨大な炎の塊と化していた。

 

頭上の木々が、一瞬で灰になる。

 

炎を纏ったエンテイが、ゆっくりと立ち上がる。

 

傷は――。

 

ない。

 

「…………」

 

言葉が出なかった。

 

三回積んだつるぎのまい。

 

リオル渾身のじしん。

 

大量の倒木。

 

それらすべてを受けても。

 

エンテイは倒れなかった。

 

それどころか――。

 

こちらを振り返った。

 

「グルルルル……」

 

その視線だけで、身体が竦む。

 

伝説。

 

その言葉の意味を、私は初めて理解した気がした。

 

強いから伝説なのではない。

 

伝説として語り継がれるほどの存在だからこそ――。

 

私たちが、恐怖を感じる。

 

エンテイは、それを証明するように一度だけ咆哮した。

 

「グオオオオオオオオオオオッ!!」

 

そして――。

 

森の奥へ消えていった。

 

◆

 

「……逃げられちゃったか」

 

「逃げられちゃったか、じゃなぁい!!」

 

「私たちまで殺す気!?」

 

「必死に戦っている俺たちを尻目に、よくものんびり力を貯めていたものだな!」

 

あ。

 

やば。

 

さっきまで一緒に戦っていた三人が、揃って私に詰め寄ってくる。

 

「そんな、酷い……。私はあなたたちと力を合わせてエンテイをゲットしようと、私にできることをしていたのに……」

 

「嘘泣きしても無駄よ! 泣きたいのは私たちの方なんだから!」

 

「というか、お前が俺たちの邪魔をしなければ、こんなことにならずに済んだかもしれないだろ! 俺はリーフと一緒にエンテイと戦うつもりだったんだよ!」

 

「何よ、失礼ね! アンタが私の邪魔をしてきたんでしょ!」

 

「何だと!?」

 

ポッチャマを連れた少女の頭の中からは、すでに私への怒りは消えていたらしい。

 

今度は、その矛先がサトシへ向かっていく。

 

「何よ、やる気?」

 

「ああ、やる気だ。俺はマサラタウンのサトシ。こっちは友達のリーフだ!」

 

「私はフタバタウンのマコト! そこの男子、こいつを倒したら次はアンタとバトルよ!」

 

「俺はトバリシティのソウジ。忠告しておく。じきに嵐がやってくる。嫌なら、とっととポケモンセンターに帰るんだな」

 

そう言うと、ルカリオをモンスターボールへ戻した少年は足早に去っていった。

 

そのまま二人はポケモンバトルを始める。

 

……ケンカの元凶になったはずの私は、完全にほったらかしだ。

 

「オォン……」

 

「えっと、うん……」

 

私は辺りを見渡す。

 

地面はあちこちひび割れている。

 

樹齢百年を超えていそうな木々は大地に倒れ、砕け、燃えカスになっていた。

 

「……とりあえず、嵐が来る前に掃除しようか」

 

「オウ……」




・「キミに決めた」編
劇中展開にそいつつ独自解釈多めです。
ライコウとかライコウとかライコウとか……

・伝説や幻のポケモンの扱いについて
準伝説や一部幻のポケモンは数で囲んだり作戦を立てればなんとかできる。ゲットしている人もいるかも。
禁止伝説級のポケモンは本物の怪物。ゲットしている人がいたらその人がポケモンマスター。規格外の存在故、研究は全く進んでいないのが現状である。

みんな誰が好きですか?

  • リオル
  • フシギソウ
  • バタフリー
  • マンキー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。