ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
最初に断っておきます。今回書きすぎた!
「ついに来たぜ、ライゼン山脈!」
「ピッカ!」
ついに辿り着いた、旅の目的地。
ライゼン山脈。
麓から伸びる道は、これまで越えてきたどんな山よりも険しく見える。
そして、その道の先から感じる波動は――今まで感じたことがないほど強かった。
「大きい……」
マコトが山を見上げる。
「この先に、ホウオウが……」
「ポチャチャア……」
波動を感じ取れないマコトとポッチャマも、この先に待つものの強大さを肌で感じているのか、いつもより背筋が伸びているように見える。
「ここまで来たら、あと一息だ……!」
ソウジが拳を握る。
「まずは事務所で登山受付をするぞ!」
小さい頃から憧れ続けたホウオウ。
その姿を間近で見られるかもしれない。
ソウジの期待は、今や最高潮に達していた。
――だからだろう。
「すみません。今は登山許可を出せません」
「はあああああ!?」
事務所の職員から入山申請を断られた瞬間。
ソウジの顔から、今まで見たことのない表情が飛び出した。
「どういうことだ!?」
「お、落ち着いてソウジ!」
「書類に不備はない! 登山道具も入念に準備した! 一体何が足りないというんだ!?」
「ソウジ! 事務所の人に突っかかるなって!」
「グギギ……駄目、止められない……!」
サトシ、マコト、私の三人がかりでソウジを押さえ込む。
クソっ……!
どんな馬鹿力だ、こいつ!
「誠に申し訳ございません。でも、今はどうしても無理なんです!」
ついには事務所の奥から、責任者らしき人物まで出てくる事態になってしまった。
「現在、カントー地方とジョウト地方の各地から、ライゼン山脈へ大量のポケモンが集まっているんです」
「大量のポケモン?」
「はい。テンガン山やハナダの洞窟に住むオヤブンポケモンたちの移動も確認されていまして……。それでポケモンリーグから、一般客の登山を禁止するよう通達があったんです」
「テンガン山に、ハナダの洞窟……」
ゲームでは殿堂入り後に入れる、隠しダンジョンみたいな場所。
この世界でも、凶暴なポケモンたちの住処として禁足地扱いされており、一般人の立ち入りは禁止の危険地帯らしい。
そして、そのポケモンたちがライゼン山脈へと集まっている。
「ホウオウの聖火の恩恵を受けようとしているんだ……」
私が呟く。
「じゃあ、この先にホウオウが来るのか!?」
サトシの目が輝く。
「だったら、何がなんでも行かないと!」
マコトも拳を握る。
「……クソッ! こんなところで!」
ソウジが悔しそうに事務所の柱を蹴りつける。
「ちょ、ちょっと!」
……こんなにムキになるソウジを見るのは初めてだ。
それだけホウオウに会いたいんだろうな。
私も、どうしても諦めきれなかった。
「何か用意できるものがあれば登れますか?」
「リーグからの命令ですので、私たちではなんとも……。ジムバッジが八個あれば、もしかしたら許可できるかもしれませんが……」
「俺の虹色の羽じゃ駄目ですか?」
サトシが胸元の羽を取り出す。
「おそらく、それだけでは……」
私もサトシも、まだバッジを八個集めきっていない。
このままでは、虹色の花に、羽を捧げられない――。
……ん?
待てよ。
虹色の花?
「……そうだ!」
私は懐からジムバッジの入ったバッジケースを取り出す。
「これなら!」
「?」
「トレーナーID、116448!リーフがライゼン山脈への登山を希望しているって、ポケモンリーグに伝えてください!」
「駄目ですよ。バッジ四個じゃ、リーグは相手にしてくれません」
「このバッジケースの写真を一緒に送ってくれれば大丈夫です!いいからとにかく連絡して!」
今の私が出せるありったけの波動を、ジリジリと事務員に押し付ける。
私の鬼気迫る波動に押された職員は、渋々PCを操作し始めた。
「リーフ、一体何を……?」
「ポケモンリーグに私の知り合いがいるの。その人に頼んでみる」
数分後。
先ほどの責任者が、慌てた様子で電話を持ってきた。
「リーフさん! あなた、一体何者なんですか!?あの方が、直接電話に出てくださっていますよ!」
「あの方?」
マコトが首を傾げる。
私は電話を受け取り、みんなにも聞こえるようにテレビ通話モードへ切り替えた。
空中ディスプレイに映し出されたのは赤髪の男性。
「やあ、久しぶりだね、リーフくん」
「「「チャンピオンワタル!?」」」
「お久しぶりです、ワタルさん」
「リーフ、ワタルと知り合いなのか!?」
「うん。タマムシシティで出会ったんだ」
「なんだ、リーフくん。みんなにスーパーレインボーバッジを見せていないのか?」
「「「スーパーレインボーバッジ!?」」」
「……あれ?」
私は首を傾げる。
「言ってなかったっけ?」
「聞いてないぞ!?」
「私も聞いてない!」
「僕も初耳だ!」
三人の視線が一斉に私へ突き刺さる。
「えーっと……」
私はバッジケースを漁りながら、少し昔の話を始めた。
◆
エンテイとの戦いが終わり、私とリオルが退院してから数日後のこと。
渡せなかったジムバッジの準備ができたとの知らせを聞いた私は、リオルたちを連れて再びタマムシジムを訪れていた。
そして、ジムに案内された私を待っていたのは――。
「チャ、チャンピオンワタル!?」
「正確には、カントー四天王兼ジョウトチャンピオンだがな」
カントー地方とジョウト地方。
二つの地方のポケモントレーナーの頂点に立つ男。
ドラゴン使いのワタル。
「何、そんなに怯えなくてもいい」
ワタルさんは豪快に笑う。
「今日は、本気のエリカに勝ったという君に会いにきたんだ。早速だが、君のポケモンを見せてくれないか?」
「ひゃい!」
私は慌ててボールを取り出した。
リオル。フシギソウ。バタフリー。マンキー。
四匹のポケモンを順番に見つめたワタルさんは、満足そうに頷いた。
「うん。皆、いい眼をしている。よくここまで育ててきたな!」
「ありがとうございます!」
ワタルさんに褒められた私は、思いっきり頭を下げる。
このままタマムシジムのバトルコートにまで頭が埋まりそうだ。
「いいだろう」
ワタルさんが胸を張る。
「カントー地方ポケモンリーグ四天王、ドラゴン使いのワタルの名において――リーフくんと、リーフくんのポケモンたちの実力を認めよう!」
「……!」
「エリカさん。早速、例のものを!」
「はい」
エリカさんが頷く。
「驚かせてごめんなさい、リーフさん。これを渡すには、四天王の誰かが直接、授与者を見定める必要があるのです」
そう言うと、エリカさんは鍵のかかった小さな箱を取り出した。
豪華な縁取りの施された箱。
薄く、名刺数枚しか収められそうにないほど小さい。
「あなたとのポケモンバトル。とても素晴らしいものでした」
エリカさんが微笑む。
「ささやかですが、これはそのお礼ですわ」
「どうぞ、受け取ってください」
鍵が回る。
カチリ。
箱が開かれる。
そこにあったのは――。
一枚のバッジだった。
「……っ!」
思わず息を呑む。
簡単に触れていいものではない。
本能的にそう感じた。
本来のレインボーバッジは、八枚のカラフルな花弁が中央の白いバッテンマークを囲むようなデザインをしている。
このバッジが形取っているのも、確かに華。
けれど、全くの別物だった。
ステンドグラスのような花弁。
周囲の光を内部で反射し、百万通りの色にその輝きを変えていく。
中央部は眩い金色。
その中心には、銀色のモンスターボールのマークが輝いている。
ポケモンリーグ公認の証。
そして、縁取りもまた重厚な金。
見た目だけでも、ずっしりとした重みを感じる。
「スーパーレインボーバッジ」
エリカさんが、その名を告げる。
「真に実力を認めた者にだけ私が渡す、特別なジムバッジですわ」
「スーパーレインボーバッジ……」
こんなものがあるなんて、初めて聞いた。
混乱する私に、ワタルさんが補足する。
「スーパージムバッジは、ジムリーダーが真に実力を認めたポケモントレーナーにだけ渡す、一つのポケモンジムを完全制覇した特別な証だ」
「一人のジムリーダーが渡せるのは、二十年に一人だけだとリーグ規則で決められている」
「に、二十年に一人……」
「つまり君は、タマムシジム公認の特別なポケモントレーナーとして認められたわけだ」
「……」
二十年に一度あるかないか。
特別なポケモントレーナー
……駄目だ。
話のスケールが大きすぎて、何一つ理解できない。
「う、受け取れませんよ、こんな貴重な品!」
私は慌てて首を振る。
「私には無理ですって!!」
「あなただからこそ、受け取って欲しいのです」
エリカさんはそう言って、私の手を優しく取った。
いつも花の手入れをしているからだろうか。
ふわりと、優しい香りがする。
「あの時のあなたとのバトルは、久々に熱くなりました」
エリカさんの表情が、少しだけ柔らかくなる。
「トレーナーとして大切なものを思い出せたのです」
そして。
「あなたにも、その大切なものを忘れないでもらいたいのです」
「エリカさん……」
私はバッジを見る。
「……わかりました」
そして、そっと手を伸ばした。
「スーパーレインボーバッジ、ありがたく頂戴いたします」
バッジを手に取った瞬間、確かな重みが伝わってくる。
一秒ごとに色を変える輝きは、この前サトシが見せてくれた虹色の羽にも負けていない。
「スーパーレインボーバッジ、ゲット!」
「アオウ!」「フーシ!」「フリー!」「ッキー!」
「流石に、それ一つでポケモンリーグへ挑戦できるようになるというわけではない」
ワタルさんがスーパーバッジについての補足をする。
「しかし、それは君の実力だけでなく、ポケモンと向き合ってきた足跡を示す証だ」
「困った時には、俺たちポケモンリーグを頼ってくれ。いつでも君の力になろう!」
「はい!」
エリカさんが、もう一つ何かを取り出した。
「これは、私からのプレゼントですわ」
渡されたのは、これまた金縁の施された緑色の本。
表紙には『草』。その一字が書かれていた。
「ウッドハンマー、はなびらのまい、ソーラービーム。そして究極奥義・ハードプラント」
「歴代のカントー草タイプ使いがまとめてきた、くさタイプのポケモンと技についての全てが書かれた秘伝書。その写しですわ」
「くさタイプの全て……!」
「ソウソーウ!」
話を聞いていたフシギソウが大喜びする。
「何から何まで、本当にありがとうございます!」
私は改めて、エリカさんとワタルさんに頭を下げた。
◆
「――ってことが、旅立つ前の日にあったんだけど……私、言ってなかったっけ?」
「「「聞いてないよ!?」」」
三人の声が事務所を揺らす。
あまりの凄さに、気づけば周囲には人が集まっていた。
「スーパージムバッジ……すげえ!」
サトシが目を輝かせる。
「俺も欲しいぜ!」
「狙ってゲットできるものではないな」
ワタルさんが笑う。
「基本的にカントー地方のジムバトルは三対三。最初の二匹との戦いの中でジムリーダーに実力を示し、エースポケモンを登場させる。そして、残った力でジムリーダーの全力に勝たねばならない」
「なるほど……」
「確か、リーフくんの前に授与されたのは四十五年ほど前だったんじゃないかな」
「四十五年!?」
「そんなに!?」
サトシとマコトが驚く。
その時だった。
サトシがスーパーレインボーバッジへ興奮気味に近づいた瞬間――。
私の持つスーパーレインボーバッジと、サトシの胸元にあるものが眩い光を放ち始めた。
「……え?」
「なんだ!?」
ワタルさんも驚く。
「これは……」
サトシが虹色の羽を取り出す。
「虹色の羽が反応してる!」
「なんだと!?」
ワタルさんが身を乗り出す。
「君、虹色の羽を持っているのか!?」
サトシが取り出した虹色の羽。
そして、私のスーパーレインボーバッジ。
二つは、まるで互いに呼び合うかのように光を強めていく。
そして――。
虹色の光が、空へ伸びた。
「……!」
光と光が繋がる。
一本の虹の橋となって、遠くへ伸びていく。
私たちは慌てて事務所の外へ飛び出した。
「……!」
目の前に広がった光景に、誰もが言葉を失った。
ライゼン山脈で一番高い山。
その山頂へ向かうように――。
巨大な虹の橋が架かっている。
「凄い……」
マコトが呟く。
「こんなにはっきりとした虹、初めて見た……」
「このスーパーバッジには何か仕掛けが仕込まれているんですか、チャンピオンワタル!?」
ソウジが食いつく。
「いや」
ワタルさんは首を横に振る。
「スーパージムバッジには、認定者識別用のICチップが埋め込まれているだけだ。そんな機能は搭載されていない」
「じゃあ、一体……」
「しかし――」
ワタルさんがバッジを見つめる。
「もしかしたら、鋳造の仕方が関係しているのかもしれない」
ワタルさん自身も、興奮を抑えきれていないようだった。
「カントー地方とジョウト地方のスーパージムバッジは、ルギアが住むとされるうずまき列島――銀岩島で採れる星の砂と、ライゼン山脈で自然にこぼれ落ちた虹色の岩」
「この二つを、ホウオウの聖火で鍛え上げることで作られているんだ」
ワタルさんが説明する。
「もしかしたら、この光はホウオウの聖火と虹色の羽が共鳴して生み出した物なのかもしれない」
「……!」
「虹色の岩に虹色の花が咲く時――」
ワタルさんは、遠くに架かる虹を見る。
「ホウオウが現れる」
「……!」
「言い伝えが本当なら、近くにホウオウがいるぞ!」
「「「「ホウオウ……!!」」」」
とうとう、ここまで来た。
マサラタウンを出たサトシが虹色の羽を見つけ。
エンテイを通じて私たち四人が出会い。
旅の中で、いろんなポケモンと出会い。
いろんな人と出会い。
そして――。
とうとう、ホウオウの膝元まで辿り着いたのだ。
「今すぐ俺も行きたいところだが……これから大きな仕事があるんだ」
ワタルさんが残念そうに笑う。
「リーフくん、サトシくん、マコトくん、ソウジくん」
そして、真剣な表情で告げる。
「ホウオウ探しは、君たちに任せたぞ!」
「「「「はい!」」」」
ワタルさん直々に、登山許可が下りた。
目の前には――。
虹の架かった、ライゼン山脈。
そして、その頂に待つもの。
「……」
私は、ぎゅっと拳を握る。
いよいよだ。
いよいよ――。
ホウオウに会う時だ!
リーフのトレーナーIDはルカリオのシンオウ図鑑Noと全国図鑑Noを繋げたものです。
・サラッと登場したワタルさん
仕事がなかったらカイリューにしんそくを使わせてでもライゼン山脈に向かう所でした。
・スーパーレインボーバッジと草の秘伝書
さよならしていくバタフリーがリーフに何か残せないかと思って、タマムシジムを魔改造しました。
実はこのスーパーバッジ、ワタルも知らない驚きのギミックが……!?
みんな誰が好きですか?
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リオル
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フシギソウ
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バタフリー
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マンキー