ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
「マンキー、ありがとう。休んでいてくれ」
「キィー……」
リーフは倒れ込んだマンキーをボールへ戻す。
先ほどのマンキーの動きは見事だった。
ドードリオの『ふきとばし』を受け、偶然にもピカチュウとマーシャドーが戦っていた虹の岩の近くまで吹き飛ばされたマンキー。
そこで仲間の危機を察した彼は、迷うことなく駆けつけた。
『みがわり』を使ってピカチュウを守ると、そのまま離脱。
サトシたちと合流し、大きな岩の陰まで逃げてきたところで、ついに体力を使い果たして倒れたのだった。
「リーフ、ありがとう!」
「礼には及ばない」
「マーシャドーって……あんなに強いポケモンなの……!?」
マコトの声が震えている。
無理もない。
先ほどマーシャドーが放った一撃。
あまりにも桁外れだった。
僕も、あんな技を見たのは初めてだ。
「あれは……アローラ地方に伝わる、全力のZ技じゃ……」
ボン爺は険しい表情で、虹の岩だったものを見つめる。
「しかし、なぜマーシャドーが……あの技を使えるんじゃ……?」
予想外の事態を前に、誰も答えを返せない。
ポケモンたちは皆、限界に近い。
それでも、マーシャドーによって心を閉ざされた野生ポケモンは、まだ数多く残っている。
先ほどのクロスの末路……
最悪のイメージが頭の中をよぎる。
このままでは暴走したポケモン達が山を降りて、多くの人を襲うだろう。
それだけは、絶対に止めなければ。
だが、僕のルカリオももう限界だ。
もはや……打つ手はないのか。
諦めの結論に達しようとしていたその時。
「……まだ、希望なら残されている」
突然、リーフが立ち上がった。
その目には、まだ諦めの色がない。
「なんだって!?」
「嘘……リーフ、何か秘策があるの!?」
「ブラストバーン、ハイドロカノン、ハードプラント。そして、ピカチュウ最強の技……ボルテッカー」
リーフは、一つ一つの技の名を口にする。
「この四つの究極奥義なら……マーシャドーにも届くかもしれない」
確かに、その四つの技はどれも桁外れの威力を持つ。
伝説級の相手にも通用すると言われるほどの技だ。
けれど――。
「無理だ。そんな技を覚えているポケモンは、ここにはいない!」
「だから今、ここで覚えるんだ」
「なんだと!?」
ソウジが目を見開く。
「先ほどのガオガエンを倒した、リザードンの『かえんほうしゃ』を覚えているか?」
「うん。確かに、普通の『かえんほうしゃ』とは比べ物にならない威力だったけど……」
「恐らく、あのリザードンは虹の岩に宿っていた、ホウオウ、エンテイ、スイクン、ライコウの記憶を読み取ったんだろう」
リーフは静かに言葉を続ける。
「そして、その記憶がリザードの中に眠っていた潜在能力を呼び覚ました。だからこそ、あの土壇場で進化を成し遂げた」
「俺も見た!」
サトシが声を上げる。
「あれは……エンテイたちの記憶だったのか!」
サトシの中で、これまでの疑問が一本の線で繋がっていく。
旅の中で出会った伝説のポケモンたち。
ホウオウ。
エンテイ。
スイクン。
ライコウ。
そのすべてとの出会いが、あのリザードの進化を後押ししたのだ。
「ならば、もう一度同じことができるかもしれない」
リーフは、自分の手を見つめる。
「リオルとルカリオの波動を通して、虹の岩に残された記憶を導く。そして、その記憶を通じて、リザードン、ポッチャマ、ピカチュウ、三匹の潜在能力を目覚めさせる」
「それに、フシギソウのハードプラントを合わせる」
リーフはマーシャドーを見据えた。
「四つの力を重ねればマーシャドーの全力とも、戦えるはずだ」
そんなことが……本当に可能なのか。
しかし――。
僕は、リーフがこんな状況で適当なことを言っているとは思えなかった。
それに……。
リーフは、いついったいどこでそんな知識を身につけたんだ?
「やろうぜ、みんな!」
サトシが拳を握り締める。
「俺たちで、閉ざされたポケモンたちの心を救うんだ!」
「うん!」
「ああ!」
「ピッカ!」
「グオウ!」
「ポチャ!」
「カァ!」
「オウ!」
「ならば、ますます時間が必要じゃな」
ボン爺は懐から煙玉を取り出した。
それを野生ポケモンたちの群れへ向かって投げつける。
「それっ!」
ドンッ!!
白い煙が一気に広がり、野生ポケモンたちの視界を奪っていく。
その隙に、ボン爺は隠れていた岩陰から飛び出した。
「老人の気骨を見せてやるわい!」
懐から取り出した更なる煙玉を手にボン爺は叫ぶ。
「お前さんたち、こっちじゃ!」
野生ポケモンたちの注意が、ボン爺へ向けられる。
時間を稼ぐために。
ほんの少しでも、仲間たちが準備する時間を作るために。
ボン爺は一人、群れの中へ飛び込んでいった。
◆
「始める前に、言っておくことがある」
サトシ、ピカチュウ、リザードン、マコト、ポッチャマ、ソウジ、ルカリオ、そしてリーフとリオル。
四人と五匹は手を繋ぎ、輪を作っていた。
リーフは目を閉じ、静かに呼吸を整える。
「伝説のポケモンが持つ記憶には、私たちの知らないものも数多く存在する」
「だから、すべての情報がそのまま流れ込んでくるわけじゃない」
リーフは一度、全員を見渡した。
「私たちの記憶の中から、それぞれに最も近いものへと置き換えられる」
「何を見ても……驚くなよ」
リーフがリオルの手を強く握る。
「いくぞ……◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️……!」
瞬間。
四人と五匹の中へ、凄まじい勢いで記憶が流れ込んできた。
遥か彼方まで続く、果てのない青。
その空を駆ける、一羽の巨大な影。
ホウオウが見た世界。
熱を帯びた大地。
そこから生まれる、数え切れない生命。
エンテイが見つめた命。
静かな水面。
そして、その水を渡り歩く一匹の姿。
スイクンが旅した海。
暗い森を駆け抜ける閃光。
大地を震わせる轟音。
ライコウが駆け抜けた山。
そして――。
四つの記憶が重なった瞬間。
世界が、まばゆい虹色の光に包まれた。
◆
――駆け抜ける。
夜と雪が支配する吹雪の中。
僕は必死に走り続ける。
身体が冷たい。
視界が霞んで見える。
四本ある足の感覚は、とうになくなっていた。
それでも走る。
失くしたものを見つけるために。
――見つけた。
小さな光。
雪の中でうずくまり、今にも消えてしまいそうな光。
僕はそれに駆け寄る。
そして、光を守るように、強く抱きしめた。
意識が遠くなっていく。
それでも、抱きしめた光の温かさだけは、ずっと胸に残っていた。
「……そうか」
ソウジは静かに呟く。
「ずっと、そばにいてくれてたんだね。レントラー」
そして、微笑んだ。
「これからも、ずっと一緒だよ」
◆
「ママなんて大っ嫌い! もう知らない!」
キッカケは、些細なことだった。
何度目かの大喧嘩に発展した私は、逃げるように家を飛び出した。
ジムバッジを集めてポケモンリーグで優勝すれば、ママも私を認めてくれる。
そう思ってシンオウ地方を旅していたのに。
「なんで……なんで勝てないのよ……」
気づけば、負けるのが怖くなっていた。
ベッドの中から、一歩も踏み出せなくなっていた。
「ポチャ! ポッチャポッチャ!」
そんな私を元気づけようと、あなたはいつも鳴いていたっけ。
技を繰り出したり。踊ったり。カントー地方のパンフレットを持ってきてくれたり。
いつの間にか、私は再び笑えるようになっていた。
「ねぇ、ポッチャマ」
私は、あなたを見つめる。
「この旅が終わったら、フタバタウンに帰ろう」
そして――。
「ママにいっぱい伝えよう。私たちの旅の話を!」
◆
「リザードン、フリーザーの上を取れ!」
「グオオ!」
リザードンは凍った翼を力強く羽ばたかせ、伝説の青い鳥を追い越した。
「一撃で決めるぞ! オーバーヒート!」
かえんほうしゃとは比べ物にならない炎が、リザードンから溢れ出す。
地獄の炎が、みずのはどうごとフリーザーを焼き尽くす。
しかし――。
伝説のポケモンは止まらない。
「ヒュオオオ!」
フリーザーの硬い翼が、リザードンを空から叩き落とした。
だが。
リザードンの炎は、まだ消えていない。
「そうだ、俺たちはどこまでも飛べる。どこへでも行ける!燃え上がれ、リザードン!!」
「グオオオッ!!」
リザードンは力を振り絞る。
「ちきゅうなげだ!」
そして、フリーザーの一撃を掴むと――。
そのまま地面へ投げ飛ばした。
地面にぶつかったフリーザーは、倒れたまま飛び上がることはなかった。
リザードンは、勝利の炎を天へ描いた。
「リザードン!お前は最高のポケモンだぜ!」
リザードンの炎が世界を埋め尽くす。
そして――。
◆
「なぁ、ピカチュウ。今更だけど、いいか?」
「ピカピ?」
「なんでいつも、ボールに入るのを嫌うんだ?」
「……キミと、一緒にいたいから」
「……そうか」
「ピカチュウ。いつか俺がポケモンマスターになった時、そこにいてくれよな」
「ピカチュウ~」
・究極奥義について
原作の究極技に加えて、ボルテッカー・りゅうせいぐん・てっていこうせん等、数多の技の頂点に立つ最高難易度技の総称。
一度習得するだけでもそのタイプが持つ力の本質に触れるため、習得した技全体の威力を引き上げる副次効果が確認されている。(呪術廻戦の黒閃のイメージ)
実はとある技も体系化された結果、究極奥義となっている。
みんな誰が好きですか?
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リオル
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フシギソウ
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バタフリー
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マンキー