ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている   作:はらへりニャンコ

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第31話 悠情編XIII/キミと一緒に

 

 

 

 

 

「マンキー、ありがとう。休んでいてくれ」

 

「キィー……」

 

リーフは倒れ込んだマンキーをボールへ戻す。

 

先ほどのマンキーの動きは見事だった。

 

ドードリオの『ふきとばし』を受け、偶然にもピカチュウとマーシャドーが戦っていた虹の岩の近くまで吹き飛ばされたマンキー。

 

そこで仲間の危機を察した彼は、迷うことなく駆けつけた。

 

『みがわり』を使ってピカチュウを守ると、そのまま離脱。

 

サトシたちと合流し、大きな岩の陰まで逃げてきたところで、ついに体力を使い果たして倒れたのだった。

 

「リーフ、ありがとう!」

 

「礼には及ばない」

 

「マーシャドーって……あんなに強いポケモンなの……!?」

 

マコトの声が震えている。

 

無理もない。

 

先ほどマーシャドーが放った一撃。

 

あまりにも桁外れだった。

 

僕も、あんな技を見たのは初めてだ。

 

「あれは……アローラ地方に伝わる、全力のZ技じゃ……」

 

ボン爺は険しい表情で、虹の岩だったものを見つめる。

 

「しかし、なぜマーシャドーが……あの技を使えるんじゃ……?」

 

予想外の事態を前に、誰も答えを返せない。

 

ポケモンたちは皆、限界に近い。

 

それでも、マーシャドーによって心を閉ざされた野生ポケモンは、まだ数多く残っている。

 

先ほどのクロスの末路……

 

最悪のイメージが頭の中をよぎる。

 

このままでは暴走したポケモン達が山を降りて、多くの人を襲うだろう。

 

それだけは、絶対に止めなければ。

 

だが、僕のルカリオももう限界だ。

 

もはや……打つ手はないのか。

 

諦めの結論に達しようとしていたその時。

 

「……まだ、希望なら残されている」

 

突然、リーフが立ち上がった。

 

その目には、まだ諦めの色がない。

 

「なんだって!?」

 

「嘘……リーフ、何か秘策があるの!?」

 

「ブラストバーン、ハイドロカノン、ハードプラント。そして、ピカチュウ最強の技……ボルテッカー」

 

リーフは、一つ一つの技の名を口にする。

 

「この四つの究極奥義なら……マーシャドーにも届くかもしれない」

 

確かに、その四つの技はどれも桁外れの威力を持つ。

 

伝説級の相手にも通用すると言われるほどの技だ。

 

けれど――。

 

「無理だ。そんな技を覚えているポケモンは、ここにはいない!」

 

「だから今、ここで覚えるんだ」

 

「なんだと!?」

 

ソウジが目を見開く。

 

「先ほどのガオガエンを倒した、リザードンの『かえんほうしゃ』を覚えているか?」

 

「うん。確かに、普通の『かえんほうしゃ』とは比べ物にならない威力だったけど……」

 

「恐らく、あのリザードンは虹の岩に宿っていた、ホウオウ、エンテイ、スイクン、ライコウの記憶を読み取ったんだろう」

 

リーフは静かに言葉を続ける。

 

「そして、その記憶がリザードの中に眠っていた潜在能力を呼び覚ました。だからこそ、あの土壇場で進化を成し遂げた」

 

「俺も見た!」

 

サトシが声を上げる。

 

「あれは……エンテイたちの記憶だったのか!」

 

サトシの中で、これまでの疑問が一本の線で繋がっていく。

 

旅の中で出会った伝説のポケモンたち。

 

ホウオウ。

 

エンテイ。

 

スイクン。

 

ライコウ。

 

そのすべてとの出会いが、あのリザードの進化を後押ししたのだ。

 

「ならば、もう一度同じことができるかもしれない」

 

リーフは、自分の手を見つめる。

 

「リオルとルカリオの波動を通して、虹の岩に残された記憶を導く。そして、その記憶を通じて、リザードン、ポッチャマ、ピカチュウ、三匹の潜在能力を目覚めさせる」

 

「それに、フシギソウのハードプラントを合わせる」

 

リーフはマーシャドーを見据えた。

 

「四つの力を重ねればマーシャドーの全力とも、戦えるはずだ」

 

そんなことが……本当に可能なのか。

 

しかし――。

 

僕は、リーフがこんな状況で適当なことを言っているとは思えなかった。

 

それに……。

 

リーフは、いついったいどこでそんな知識を身につけたんだ?

 

「やろうぜ、みんな!」

 

サトシが拳を握り締める。

 

「俺たちで、閉ざされたポケモンたちの心を救うんだ!」

 

「うん!」

 

「ああ!」

 

「ピッカ!」

 

「グオウ!」

 

「ポチャ!」

 

「カァ!」

 

「オウ!」

 

「ならば、ますます時間が必要じゃな」

 

ボン爺は懐から煙玉を取り出した。

 

それを野生ポケモンたちの群れへ向かって投げつける。

 

「それっ!」

 

ドンッ!!

 

白い煙が一気に広がり、野生ポケモンたちの視界を奪っていく。

 

その隙に、ボン爺は隠れていた岩陰から飛び出した。

 

「老人の気骨を見せてやるわい!」

 

懐から取り出した更なる煙玉を手にボン爺は叫ぶ。

 

「お前さんたち、こっちじゃ!」

 

野生ポケモンたちの注意が、ボン爺へ向けられる。

 

時間を稼ぐために。

 

ほんの少しでも、仲間たちが準備する時間を作るために。

 

ボン爺は一人、群れの中へ飛び込んでいった。

 

◆

 

「始める前に、言っておくことがある」

 

サトシ、ピカチュウ、リザードン、マコト、ポッチャマ、ソウジ、ルカリオ、そしてリーフとリオル。

 

四人と五匹は手を繋ぎ、輪を作っていた。

 

リーフは目を閉じ、静かに呼吸を整える。

 

「伝説のポケモンが持つ記憶には、私たちの知らないものも数多く存在する」

 

「だから、すべての情報がそのまま流れ込んでくるわけじゃない」

 

リーフは一度、全員を見渡した。

 

「私たちの記憶の中から、それぞれに最も近いものへと置き換えられる」

 

「何を見ても……驚くなよ」

 

リーフがリオルの手を強く握る。

 

「いくぞ……◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️……!」

 

瞬間。

 

四人と五匹の中へ、凄まじい勢いで記憶が流れ込んできた。

 

遥か彼方まで続く、果てのない青。

 

その空を駆ける、一羽の巨大な影。

 

ホウオウが見た世界。

 

熱を帯びた大地。

 

そこから生まれる、数え切れない生命。

 

エンテイが見つめた命。

 

静かな水面。

 

そして、その水を渡り歩く一匹の姿。

 

スイクンが旅した海。

 

暗い森を駆け抜ける閃光。

 

大地を震わせる轟音。

 

ライコウが駆け抜けた山。

 

そして――。

 

四つの記憶が重なった瞬間。

 

世界が、まばゆい虹色の光に包まれた。

 

◆

 

――駆け抜ける。

 

夜と雪が支配する吹雪の中。

 

僕は必死に走り続ける。

 

身体が冷たい。

 

視界が霞んで見える。

 

四本ある足の感覚は、とうになくなっていた。

 

それでも走る。

 

失くしたものを見つけるために。

 

――見つけた。

 

小さな光。

 

雪の中でうずくまり、今にも消えてしまいそうな光。

 

僕はそれに駆け寄る。

 

そして、光を守るように、強く抱きしめた。

 

意識が遠くなっていく。

 

それでも、抱きしめた光の温かさだけは、ずっと胸に残っていた。

 

「……そうか」

 

ソウジは静かに呟く。

 

「ずっと、そばにいてくれてたんだね。レントラー」

 

そして、微笑んだ。

 

「これからも、ずっと一緒だよ」

 

◆

 

「ママなんて大っ嫌い! もう知らない!」

 

キッカケは、些細なことだった。

 

何度目かの大喧嘩に発展した私は、逃げるように家を飛び出した。

 

ジムバッジを集めてポケモンリーグで優勝すれば、ママも私を認めてくれる。

 

そう思ってシンオウ地方を旅していたのに。

 

「なんで……なんで勝てないのよ……」

 

気づけば、負けるのが怖くなっていた。

 

ベッドの中から、一歩も踏み出せなくなっていた。

 

「ポチャ! ポッチャポッチャ!」

 

そんな私を元気づけようと、あなたはいつも鳴いていたっけ。

 

技を繰り出したり。踊ったり。カントー地方のパンフレットを持ってきてくれたり。

 

いつの間にか、私は再び笑えるようになっていた。

 

「ねぇ、ポッチャマ」

 

私は、あなたを見つめる。

 

「この旅が終わったら、フタバタウンに帰ろう」

 

そして――。

 

「ママにいっぱい伝えよう。私たちの旅の話を!」

 

◆

 

「リザードン、フリーザーの上を取れ!」

 

「グオオ!」

 

リザードンは凍った翼を力強く羽ばたかせ、伝説の青い鳥を追い越した。

 

「一撃で決めるぞ! オーバーヒート!」

 

かえんほうしゃとは比べ物にならない炎が、リザードンから溢れ出す。

 

地獄の炎が、みずのはどうごとフリーザーを焼き尽くす。

 

しかし――。

 

伝説のポケモンは止まらない。

 

「ヒュオオオ!」

 

フリーザーの硬い翼が、リザードンを空から叩き落とした。

 

だが。

 

リザードンの炎は、まだ消えていない。

 

「そうだ、俺たちはどこまでも飛べる。どこへでも行ける!燃え上がれ、リザードン!!」

 

「グオオオッ!!」

 

リザードンは力を振り絞る。

 

「ちきゅうなげだ!」

 

そして、フリーザーの一撃を掴むと――。

 

そのまま地面へ投げ飛ばした。

 

地面にぶつかったフリーザーは、倒れたまま飛び上がることはなかった。

 

リザードンは、勝利の炎を天へ描いた。

 

「リザードン!お前は最高のポケモンだぜ!」

 

リザードンの炎が世界を埋め尽くす。

 

そして――。

 

◆

 

「なぁ、ピカチュウ。今更だけど、いいか?」

 

「ピカピ?」

 

「なんでいつも、ボールに入るのを嫌うんだ?」

 

「……キミと、一緒にいたいから」

 

「……そうか」

 

「ピカチュウ。いつか俺がポケモンマスターになった時、そこにいてくれよな」

 

「ピカチュウ~」




・究極奥義について
原作の究極技に加えて、ボルテッカー・りゅうせいぐん・てっていこうせん等、数多の技の頂点に立つ最高難易度技の総称。
一度習得するだけでもそのタイプが持つ力の本質に触れるため、習得した技全体の威力を引き上げる副次効果が確認されている。(呪術廻戦の黒閃のイメージ)

実はとある技も体系化された結果、究極奥義となっている。

みんな誰が好きですか?

  • リオル
  • フシギソウ
  • バタフリー
  • マンキー
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