ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている   作:はらへりニャンコ

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第35話 ポケモンタワー地下迷宮

 

 

 

 

 

ポケモンタワー。

 

ヤマブキシティから少し離れた場所にある、シオンタウン。

 

そこにそびえ立つ、七階建ての巨大な塔だ。

 

この白い塔が建てられた目的は一つ。

 

ポケモンたちへの追悼。

 

亡くなったポケモンたちの墓を建て、トレーナーたちがかつてのパートナーを偲ぶ。

 

本来は、そのための集団墓地なのだ。

 

しかし神聖な場所だったはずの塔は、いつからかゴーストタイプのポケモンが棲みつく魔境へと変貌してしまった。

 

今ではジムバッジを持たない者の立ち入りは禁止されている、カントー地方屈指の危険地帯として恐れられている。

 

そんなポケモンタワーの裏手。

 

そこには、古びた石畳が広がっていた。

 

一見すると、ただの空き地にしか見えない。

 

ダイゴさんが草に覆われた地面を、フシギソウのいあいぎりで切り裂かせると――。

 

「……!」

 

草の下から、石造りの扉が姿を現した。

 

地下へと続く、巨大な扉。

 

「ポケモンタワーが建つ前から、ここは墓地だったんだよ」

 

ダイゴさんが、扉を眺めながら言う。

 

「その頃は、地下に墓を作っていたんだ」

 

「地下墓地……」

 

私は扉へ近づく。

 

隙間から流れてくる空気は冷たく、どこか湿っていた。

 

そして――。

 

「……なんだろう。この臭い」

 

「クオン……」

 

リオルも鼻をひくつかせる。

 

「僕も少し気になっていてね」

 

ダイゴさんが苦笑する。

 

「ここの民宿に泊まった時、最近地下から変な物音や嫌な臭いがするって聞いてね。気になったから調べてみたんだ」

 

「それで、この地下墓地の存在を?」

 

「そういうこと」

 

ダイゴさんは扉の前にしゃがみ込み、周囲を観察する。

 

私も、暗闇へと続く階段を見る。

 

私の波動は、その先に広がる空間を捉えていた。

 

広い。

 

想像していたより、ずっと広い。

 

まるで地面の下に、もう一つの町が存在しているみたいだ。

 

「この地下に、強くなる秘訣が眠っているんですか?」

 

私は振り返って尋ねる。

 

ダイゴさんは、静かに首を振った。

 

「それは、わからない」

 

「……」

 

「でも、今のキミたちに必要なのは経験だ」

 

ダイゴさんの視線が、私とリオルへ向く。

 

「ポケモンと共に歩み、ポケモンと一緒に試練を超えていく」

 

「……」

 

「そうすれば、道は開けるよ」

 

その言葉は、とても穏やかだった。

 

けれど。

 

今の私には、その言葉が妙に胸へ刺さった。

 

ここ数日、私は勝つことばかり考えていた。

 

負けた。

 

だから、新しいポケモンが必要だ。

 

弱点がある。

 

だから、それを補わなければならない。

 

……でも。

 

それだけで、本当にいいのだろうか。

 

「念のため、通信機とあなぬけのひもを渡しておく」

 

ダイゴさんが、小さな通信機と道具を差し出す。

 

「何かあったら、すぐに戻ってきてくれ」

 

「はい」

 

私はそれらを受け取った。

 

改めて、地下への入り口を見る。

 

中は暗く、何も見えない。

 

けれど。

 

私の波動は、その先に広がる空間をしっかりと捉えていた。

 

「……行こう、リオル!」

 

「アウッ!」

 

私はリオルと顔を見合わせる。

 

怖くない。

 

……いや。

 

正直に言えば、怖い。

 

だけど。

 

何が待っていようと関係ない。

 

私たちは――。

 

強くなるんだ。

 

私たちは、暗闇へと歩を進めた。

 

◆

 

二人の姿が、階段の先へと消えていく。

 

やがて。

 

扉の向こうから聞こえていた足音も、完全に聞こえなくなった。

 

「……リーフくん」

 

ダイゴは、誰もいなくなった地下への入り口を見つめていた。

 

「今のキミは、大事なものを忘れている」

 

その表情に、先ほどまでの穏やかな笑みはなかった。

 

「でも、すぐに見つけられるはずだよ」

 

そして、小さく笑う。

 

「キミには、頼れるポケモンたちがついているから」

 

ダイゴは立ち上がる。

 

「さてと」

 

振り返った先には、草を切り裂いたことで剥き出しになった地面。

 

そこには――。

 

「……これは」

 

何本もの、大きなタイヤの轍が残されていた。

 

「車……?」

 

ただの車ではない、かなり重量のある車両の轍だ。

 

それらの跡は何処かへと向かって一直線に伸びている。

 

「誰かが、この地下に何かを運び込んでいる……いや、運び出しているのか……?」

 

ダイゴは顎に手を当てる。

 

「これは、少し厄介なことになっているかもしれないね」

 

そう呟くと、彼もまた調査を開始した。

 

◆

 

地下墓地。

 

階段を降りた先には、想像を遥かに超える広大な空間が広がっていた。

 

「……すごい」

 

私は思わず立ち止まる。

 

そこには無数の石造りの墓が並んでいた。

 

壁にも、天井にも。

 

古い文字が刻まれている。

 

ところどころに置かれた小さな燭台には、誰が灯したのか分からない青白い炎が揺らめいていた。

 

「クオン……」

 

リオルが私の腕に寄り添う。

 

「大丈夫だよ、リオル」

 

私は頭を撫でてやる。

 

「私の波動なら、何か近づいてきても分かるから」

 

そう言って、意識を集中させる。

 

周囲にいるポケモン。

 

小さな生き物。

 

遠くにある壁。

 

その向こう側の空間。

 

地下迷宮全体を、少しずつ探っていく。

 

……ゴースト。

 

何匹かいる。

 

けれど、こちらから離れていく個体ばかりだ。

 

「この辺りのゴーストポケモンは、私たちを襲ってこないみたい」

 

「クオン」

 

「もしかすると、ここが墓地だからかな」

 

私は歩き出す。

 

古い墓石の間を抜ける。

 

その瞬間。

 

「……!」

 

背筋が凍った。

 

何かいる。

 

「リオル!」

 

私は咄嗟にリオルを抱き寄せる。

 

波動を広げる。

 

一匹。

 

二匹。

 

三匹。

 

……違う。

 

もっといる。

 

「……嘘」

 

波動が捉えた反応が、次々と増えていく。

 

十。

 

二十。

 

三十。

 

「リオル……」

 

「ク、クオン……?」

 

「走るよ」

 

「アウッ!」

 

次の瞬間。

 

壁から、黒い影が飛び出した。

 

「ゲンガァァァァ!!」

 

「――っ!」

 

一匹。

 

二匹。

 

三匹。

 

壁から。

 

床から。

 

天井から。

 

まるで地下墓地そのものから湧き出してくるかのように、無数のゲンガーが姿を現した。

 

「ゲンガー!?」

 

一斉に赤い目がこちらを向く。

 

「そんな……!」

 

多すぎる!

 

「リオル、こっち!」

 

私はリオルの手を掴み、走り出す。

 

「ゲンガァァ!」

 

「ゲンガッ!」

 

「ゲンガァァァァ!!」

 

背後から大量の足音。

 

いや。

 

足音ですらない。

 

壁の中をすり抜けるように、ゲンガーたちが迫ってくる。

 

「速い!」

 

「クオン!」

 

「振り返らないで!」

 

通路を右へ。

 

その先を左へ。

 

波動で道を確認しながら、とにかく走る。

 

けれど。

 

「……行き止まり!?」

 

目の前に、巨大な石壁。

 

「そんな……!」

 

背後から、ゲンガーの群れが迫ってくる。

 

逃げ場がない。

 

「リオル、上!」

 

「クオン!」

 

私たちは同時に頭上を見る。

 

天井に、小さな亀裂があった。

 

「リオル、あそこ!」

 

「アウッ!」

 

リオルが私を押し上げる。

 

私は亀裂に手をかけ、必死によじ登った。

 

「早く!」

 

リオルも続いて飛び上がる。

 

その瞬間。

 

「ゲンガァァァァァ!!」

 

無数の影が、私たちへ襲いかかった。

 

「きゃあああああ!!」

 

私はリオルを抱きしめた。

 

そして。

 

二人は、暗闇の奥へと転がり落ちていった。




ポケモンタワーって墓地だらけだとしたら、お墓が増えたらどうしてたんでしょうか。増築?

あとお香の臭いが地上のお墓よりキツそう

みんな誰が好きですか?

  • リオル
  • フシギソウ
  • バタフリー
  • マンキー
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