ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
ポケモンタワー。
ヤマブキシティから少し離れた場所にある、シオンタウン。
そこにそびえ立つ、七階建ての巨大な塔だ。
この白い塔が建てられた目的は一つ。
ポケモンたちへの追悼。
亡くなったポケモンたちの墓を建て、トレーナーたちがかつてのパートナーを偲ぶ。
本来は、そのための集団墓地なのだ。
しかし神聖な場所だったはずの塔は、いつからかゴーストタイプのポケモンが棲みつく魔境へと変貌してしまった。
今ではジムバッジを持たない者の立ち入りは禁止されている、カントー地方屈指の危険地帯として恐れられている。
そんなポケモンタワーの裏手。
そこには、古びた石畳が広がっていた。
一見すると、ただの空き地にしか見えない。
ダイゴさんが草に覆われた地面を、フシギソウのいあいぎりで切り裂かせると――。
「……!」
草の下から、石造りの扉が姿を現した。
地下へと続く、巨大な扉。
「ポケモンタワーが建つ前から、ここは墓地だったんだよ」
ダイゴさんが、扉を眺めながら言う。
「その頃は、地下に墓を作っていたんだ」
「地下墓地……」
私は扉へ近づく。
隙間から流れてくる空気は冷たく、どこか湿っていた。
そして――。
「……なんだろう。この臭い」
「クオン……」
リオルも鼻をひくつかせる。
「僕も少し気になっていてね」
ダイゴさんが苦笑する。
「ここの民宿に泊まった時、最近地下から変な物音や嫌な臭いがするって聞いてね。気になったから調べてみたんだ」
「それで、この地下墓地の存在を?」
「そういうこと」
ダイゴさんは扉の前にしゃがみ込み、周囲を観察する。
私も、暗闇へと続く階段を見る。
私の波動は、その先に広がる空間を捉えていた。
広い。
想像していたより、ずっと広い。
まるで地面の下に、もう一つの町が存在しているみたいだ。
「この地下に、強くなる秘訣が眠っているんですか?」
私は振り返って尋ねる。
ダイゴさんは、静かに首を振った。
「それは、わからない」
「……」
「でも、今のキミたちに必要なのは経験だ」
ダイゴさんの視線が、私とリオルへ向く。
「ポケモンと共に歩み、ポケモンと一緒に試練を超えていく」
「……」
「そうすれば、道は開けるよ」
その言葉は、とても穏やかだった。
けれど。
今の私には、その言葉が妙に胸へ刺さった。
ここ数日、私は勝つことばかり考えていた。
負けた。
だから、新しいポケモンが必要だ。
弱点がある。
だから、それを補わなければならない。
……でも。
それだけで、本当にいいのだろうか。
「念のため、通信機とあなぬけのひもを渡しておく」
ダイゴさんが、小さな通信機と道具を差し出す。
「何かあったら、すぐに戻ってきてくれ」
「はい」
私はそれらを受け取った。
改めて、地下への入り口を見る。
中は暗く、何も見えない。
けれど。
私の波動は、その先に広がる空間をしっかりと捉えていた。
「……行こう、リオル!」
「アウッ!」
私はリオルと顔を見合わせる。
怖くない。
……いや。
正直に言えば、怖い。
だけど。
何が待っていようと関係ない。
私たちは――。
強くなるんだ。
私たちは、暗闇へと歩を進めた。
◆
二人の姿が、階段の先へと消えていく。
やがて。
扉の向こうから聞こえていた足音も、完全に聞こえなくなった。
「……リーフくん」
ダイゴは、誰もいなくなった地下への入り口を見つめていた。
「今のキミは、大事なものを忘れている」
その表情に、先ほどまでの穏やかな笑みはなかった。
「でも、すぐに見つけられるはずだよ」
そして、小さく笑う。
「キミには、頼れるポケモンたちがついているから」
ダイゴは立ち上がる。
「さてと」
振り返った先には、草を切り裂いたことで剥き出しになった地面。
そこには――。
「……これは」
何本もの、大きなタイヤの轍が残されていた。
「車……?」
ただの車ではない、かなり重量のある車両の轍だ。
それらの跡は何処かへと向かって一直線に伸びている。
「誰かが、この地下に何かを運び込んでいる……いや、運び出しているのか……?」
ダイゴは顎に手を当てる。
「これは、少し厄介なことになっているかもしれないね」
そう呟くと、彼もまた調査を開始した。
◆
地下墓地。
階段を降りた先には、想像を遥かに超える広大な空間が広がっていた。
「……すごい」
私は思わず立ち止まる。
そこには無数の石造りの墓が並んでいた。
壁にも、天井にも。
古い文字が刻まれている。
ところどころに置かれた小さな燭台には、誰が灯したのか分からない青白い炎が揺らめいていた。
「クオン……」
リオルが私の腕に寄り添う。
「大丈夫だよ、リオル」
私は頭を撫でてやる。
「私の波動なら、何か近づいてきても分かるから」
そう言って、意識を集中させる。
周囲にいるポケモン。
小さな生き物。
遠くにある壁。
その向こう側の空間。
地下迷宮全体を、少しずつ探っていく。
……ゴースト。
何匹かいる。
けれど、こちらから離れていく個体ばかりだ。
「この辺りのゴーストポケモンは、私たちを襲ってこないみたい」
「クオン」
「もしかすると、ここが墓地だからかな」
私は歩き出す。
古い墓石の間を抜ける。
その瞬間。
「……!」
背筋が凍った。
何かいる。
「リオル!」
私は咄嗟にリオルを抱き寄せる。
波動を広げる。
一匹。
二匹。
三匹。
……違う。
もっといる。
「……嘘」
波動が捉えた反応が、次々と増えていく。
十。
二十。
三十。
「リオル……」
「ク、クオン……?」
「走るよ」
「アウッ!」
次の瞬間。
壁から、黒い影が飛び出した。
「ゲンガァァァァ!!」
「――っ!」
一匹。
二匹。
三匹。
壁から。
床から。
天井から。
まるで地下墓地そのものから湧き出してくるかのように、無数のゲンガーが姿を現した。
「ゲンガー!?」
一斉に赤い目がこちらを向く。
「そんな……!」
多すぎる!
「リオル、こっち!」
私はリオルの手を掴み、走り出す。
「ゲンガァァ!」
「ゲンガッ!」
「ゲンガァァァァ!!」
背後から大量の足音。
いや。
足音ですらない。
壁の中をすり抜けるように、ゲンガーたちが迫ってくる。
「速い!」
「クオン!」
「振り返らないで!」
通路を右へ。
その先を左へ。
波動で道を確認しながら、とにかく走る。
けれど。
「……行き止まり!?」
目の前に、巨大な石壁。
「そんな……!」
背後から、ゲンガーの群れが迫ってくる。
逃げ場がない。
「リオル、上!」
「クオン!」
私たちは同時に頭上を見る。
天井に、小さな亀裂があった。
「リオル、あそこ!」
「アウッ!」
リオルが私を押し上げる。
私は亀裂に手をかけ、必死によじ登った。
「早く!」
リオルも続いて飛び上がる。
その瞬間。
「ゲンガァァァァァ!!」
無数の影が、私たちへ襲いかかった。
「きゃあああああ!!」
私はリオルを抱きしめた。
そして。
二人は、暗闇の奥へと転がり落ちていった。
ポケモンタワーって墓地だらけだとしたら、お墓が増えたらどうしてたんでしょうか。増築?
あとお香の臭いが地上のお墓よりキツそう
みんな誰が好きですか?
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リオル
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フシギソウ
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バタフリー
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マンキー