ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
「きゃあああああ!!」
暗闇の中を、私とリオルは転がり落ちていく。
「クオン!」
「リオル!」
咄嗟に抱きしめる。
身体が何度も石壁にぶつかり――。
ドサッ!
「……っ!」
ようやく、地面へ叩きつけられた。
「痛たた……」
「ク、クオン……」
「大丈夫?」
「アウ……」
リオルを抱き起こす。
幸い、大きな怪我はない。
けれど。
「……ここ、どこ?」
辺りを見回す。
そこは先ほどまでの地下墓地とは、明らかに違っていた。
広い。
天井は高く、壁には無数の古い石碑が並んでいる。
そして。
「……また地下?」
波動を広げる。
上下右左、どこまでも続く空間。
どうやら、さっきの地下墓地よりもさらに深い場所へ落ちてしまったらしい。
「参ったな……」
通信機を取り出す。
しかし、ザーッという雑音が返ってくるだけだった。
「通信も届かない……」
「クオン……」
「うん。まずはここから出よう」
私は立ち上がる。
その時だった。
「……あ」
足元に、小さなボタンのようなものが落ちている。
拾い上げる。
「これ……誰かの服についていたのかな?」
表面には、何かのマークが刻まれていた。
けれど、今は考えている暇がない。
「行こう、リオル」
「アウッ!」
私たちは迷宮の奥へと進み始めた。
◆
しばらく歩くと、最初の障害にぶつかった。
「……うそ」
目の前に、巨大な瓦礫の山が道を塞いでいた。
天井から崩れ落ちたらしい。
人間一人では、とても動かせない。
「リオル、しんくうは!」
「アウッ!」
リオルが両手を突き出す。
「しんくうは!」
ズバッ!
風の刃が瓦礫へ叩き込まれる。
しかし。
ガラガラッ!
崩れた石が少し動いただけだった。
「うーん……」
波動で探る。
瓦礫の向こう側には、確かに通路がある。
でも、これを全部どかすのは無理だ。
「だったら……」
私はモンスターボールを取り出す。
「出てきて、フシギソウ!」
「ソウッ!」
続いて。
「マンキー!」
「キーッ!」
二匹が姿を現す。
「三人とも、力を貸して!」
フシギソウがつるを伸ばす。
リオルが瓦礫の隙間へ身体を滑り込ませる。
そしてマンキーが――。
「マンキー、押して!」
「キーッ!」
三匹が、それぞれ違う方向から力を加える。
「せーの!」
ズズズズ……。
巨大な瓦礫が動く。
「もう一回!」
「ソウッ!」
「アウッ!」
「キーッ!」
ドォン!
ついに、大きな石が横へ転がった。
「やった!」
私は思わず三匹を抱きしめる。
「みんな、すごい!」
「ソウ!」
「アウッ!」
「キーッ!」
三匹とも嬉しそうだ。
……さっきまで、私は新しいポケモンが必要だと思っていた。
でも。
今、私の前にいる三匹だけでも。
ちゃんと道を切り開ける。
そんなことを思いながら、先へ進んだ。
◆
その後も、地下迷宮にはいくつもの障害が待ち受けていた。
崩れた橋。
深い亀裂。
水の溜まった通路。
そして、巨大な鉄格子。
「リオル、あの壁の向こうに道はある?」
「クオン!」
波動で周囲を探るリオル。
その指示に従って、フシギソウがつるを伸ばす。
崩れかけた足場を補強し、橋を渡れるようにする。
「フシギソウ、ありがとう!」
「ソウッ!」
次は鉄格子。
「マンキー、お願い!」
「キーッ!」
マンキーが両手で鉄格子を掴む。
「うおおおおおっ!!」
ギギギギ……。
少しずつ。
本当に少しずつ。
鉄格子が持ち上がっていく。
「頑張って!」
「キーッ!!」
ガシャン!
鉄格子が持ち上がった。
「やった!」
私たちは、その隙間をくぐり抜ける。
「マンキー、凄いよ!」
「キー!」
褒められたマンキーは、嬉しそうに胸を叩いた。
その姿を見て、私も笑う。
……なんだ。
ちゃんと、進めているじゃないか。
◆
さらに奥へ進んだところで。
「……これは」
目の前に、巨大な崖が現れた。
下は真っ暗。
向こう岸までは、数メートル。
「これ……飛び越えるのは無理だよね」
リオルを見る。
「クオン……」
フシギソウを見る。
「ソウ……」
そして、マンキーを見る。
「……マンキー?」
マンキーは、崖の前に立った。
その身体は、疲れている。
それでも。
「キー……」
一歩。
前へ。
「マンキー?」
拳を握る。
「キーッ!」
ドン!
地面を殴りつける。
「どうしたの?」
マンキーの身体から、赤い光が溢れ始めた。
「……え?」
怒り。
悲しみ。
悔しさ。
これまでの戦いで積み重ねてきた、たくさんの感情。
それらすべてが、一つの力へと変わっていく。
「マンキー……!」
赤いオーラが、拳へ集まる。
「キーッ!!」
ドォン!
マンキーが地面を殴った。
衝撃で足元の岩盤が砕け、向こう岸へ飛び出す。
「す、すごい……!」
マンキーは、その勢いのまま向こう岸へ着地した。
そして。
振り返る。
「キーッ!」
まるで「来い!」と言っているみたいだった。
「ふふっ」
私は笑う。
「じゃあ、お願いしようかな」
リオルが私を抱えて跳ぶ。
フシギソウはつるを伸ばし、ターザンのように向こう岸へ渡る。
最後に。
「マンキー、ありがとう!」
「キーッ!」
マンキーが笑う。
その瞬間。
「……え?」
マンキーの身体が、突然光に包まれた。
「マンキー!?」
眩い光が身体を覆い、姿が大きく変わっていく。
腕が太くなる。
身体が大きくなる。
顔つきも、より険しく。
そして――。
光が消える。
そこに立っていたのは。
「……オコリザル?」
「ムッキィィ!!!」
新たな姿へ進化した、オコリザルだった。
「進化……した……」
私は呆然とする。
オコリザルは拳を握ると、先ほどとは比べ物にならない力を放った。
「ムキムキッ!!!」
「マンキー……いや、オコリザル」
私は笑った。
「おめでとう」
「ムキッ!」
嬉しそうに拳を突き上げる。
図鑑を開く。
そこには、新たなわざの名前が表示されていた。
『ふんどのこぶし』
「……これが、さっきの技」
怒り。
悔しさ。
それらを力へ変える拳。
私はオコリザルを見つめる。
ここ数日の敗北。
勝たなければならない。
もっと強くならなければならない。
新しいポケモンを探さなければならない。
ずっと、そんなことばかり考えていた。
だけど。
「……私、焦ってたのかもしれない」
「ムキ?」
私はリオル、フシギソウ、そして進化したばかりのオコリザルを見る。
「勝てないからって、すぐに何かを変えようとしてた」
リオルが私の隣へ歩いてくる。
「クオン」
「でも……」
私はリオルの頭を撫でる。
「私たちは、私たちの時間で進んでいけばいいんだよね」
「アウッ!」
フシギソウも嬉しそうに鳴く。
「ソウッ!」
オコリザルも拳を突き上げる。
「ムキッ!!」
「うん」
私は三匹を見て、笑った。
「焦らなくていい」
勝つことだけが、強くなることじゃない。
一緒に歩いて。
一緒に悩んで。
一緒に失敗して。
そして。
一緒に、少しずつ前へ進んでいく。
それが私たちの旅なんだ。
「リオル、フシギソウ、オコリザル!」
三匹が私を見る。
「行こう!」
私は迷宮の奥へ視線を向けた。
「私たちの歩幅で、進もう!」
三匹の声が、地下迷宮に響き渡った。
そして。
その声を聞いたように。
迷宮のさらに奥から――。
ゴトン。
何かが動く音がした。
「……?」
私は足を止める。
「今の、何?」
リオルが耳を立てる。
フシギソウが周囲を見回す。
オコリザルは拳を構えた。
そして。
暗闇の奥で。
一瞬だけ、何かの赤い光が瞬いた。
「……まだ、何かいる」
私たちは顔を見合わせる。
「行こう」
今度は、恐怖よりも楽しさが勝っていた。
私たちの冒険は――。
まだ、始まったばかりなのだから。
・マンキー、オコリザルに進化
流石にこれから先マンキーだとキツイということで進化させました。
みんな誰が好きですか?
-
リオル
-
フシギソウ
-
バタフリー
-
マンキー