ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
追記:ひょっとしたら自分とそっくりなテーマで小説を書いている人がいるかも…マジで似ているのは偶然ですごめんなさい。自分なりに差別化頑張ります。
研究所を出ると、そこには大勢の人が集まっていた。
「いけいけシゲル! いいぞいいぞシゲル!」
……訂正。
大勢の人を、シゲルが呼んでいた。
相変わらず、すごい人気だ。
そろそろサトシがやってくる頃だろう。
私もリオルをお姉ちゃんに預けて、いよいよ冒険を始めなければならない。
そんなことを考えていると――
「ごめん、ちょっといいかな?」
声を掛けられた。
振り返ると、トキワシティから来た少年が立っている。
「どうしたの?」
「さっきのリオルへの指示、すごかったな。トレーナーの経験もあるみたいだし……俺の最初のバトル相手になってくれないかな?」
おっと。
目と目が合う前からバトルの申し込みとは。
なかなか積極的な子だ。
こちらとしても、フシギダネの実力を確かめておきたい。
悪くない。
「いいよ。オーキド博士に、研究所の裏を借りられないか聞いてくるね」
「ありがとう! 俺、ハルって言うんだ。よろしくな!」
「リーフだよ。よろしくね」
こうして、私は初めてのポケモンバトルをすることになった。
◆
「んじゃ、ルールは一対一。使用できる技は四つまで。私が止めたら、すぐに指示をやめる。いいね?」
審判役を買って出てくれたのは、お姉ちゃんだった。
どうやらシゲル応援団があまりにも騒がしかったので、何事かと思って研究所まで来たらしい。
……私の家から、結構離れているはずなんだけど。
もしかして、意外と近くまで来ていたのかな?
そんなことを考えている間にも、バトルの準備は進んでいく。
「やるぞ、ヒトカゲ!」
「カゲ!」
ハルがボールからヒトカゲを繰り出す。
対する私は――
「頑張ろう、フシギダネ」
「……ダネ」
……あれ?
フシギダネのテンションが低い。
バトルが苦手なのか。
それとも――タイプ相性が不利だと理解しているのか。
後者だとしたら、克服しなければ。
これから先、難しい強敵だらけなのだ。
タイプ相性程度で怖気づいていたら、この先やっていけない。
「では――バトル開始!」
お姉ちゃんの声が響く。
「ヒトカゲ、ひっかく!」
「フシギダネ、なきごえ!」
先手はハルに譲る。
こちらは、まずフシギダネの戦意を引き出すことを優先する。
「なきごえ」でヒトカゲの攻撃力を下げ、物理攻撃の威力を抑える。
ヒトカゲの爪がフシギダネを捉えた。
「ダネッ!」
それでも、そこまで大きなダメージにはなっていない。
よし。
「フシギダネ、体当たり! 連続で!」
「……ダネ!」
フシギダネが地面を蹴る。
近づいてきたヒトカゲへ、何度も身体をぶつけていく。
「カゲッ!」
「そのまま押して!」
体当たりを繰り返し、ヒトカゲの態勢を崩していく。
いける。
そう思った、その時。
「ヒトカゲ、ひのこだ!」
「カ、カゲ……!」
ヒトカゲが口を開く。
リーフの背筋に冷たいものが走った。
「技の隙を与えちゃ駄目! そのまま押し切って!」
このバトル。
ひのこをまともに撃たれたら終わる。
タイプ相性が悪い以上、このまま一気に押し切るしかない。
フシギダネは何度もぶつかり、ヒトカゲの動きを止めていた。これならーー
「……いちかばちかだ」
ハルが呟いた。
「ヒトカゲ、えんまく!」
「カ……カゲェ!」
ヒトカゲの鼻と口から、黒い煙が一気に噴き出す。
「なっ――」
瞬く間に煙が辺りを包み込み、フシギダネの視界を奪っていく。
「ダネッ!?」
嘘。
「えんまく」……。
それ、今の段階で使えるの!?
私の想定にはなかった。
動揺が、そのままフシギダネに伝わってしまったのかもしれない。
フシギダネは動けない。
その隙に、ヒトカゲは距離を取る。
そして、喉の奥に火の力を集めた。
「今だ! ひのこ!」
「カーゲェ!」
「ダネェ――!」
炎が煙を切り裂き、フシギダネへ直撃する。
効果は抜群。
おまけに急所に入ったのか、フシギダネは目を回し、その場に倒れ込んだ。
「フシギダネ、戦闘不能!」
お姉ちゃんが手を上げる。
「よって、勝者――ハルくんのヒトカゲ!」
「よっしゃあああああ!」
ハルが拳を突き上げる。
「……」
負けた。
その事実を理解するのに、少し時間がかかった。
◆
「さっきのバトル、敗因は分かってるよね?」
「……うん」
お姉ちゃんの問いに、私は俯いた。
敗因を挙げたら、きりがない。
タイプ相性が不利なのにバトルを受けたこと。
えんまくを使われる可能性を考えていなかったこと。
そして何より――
フシギダネが、私を信用していないこと。
それが何よりも悔しくて、ショックだった。
「そう落ち込まないの」
お姉ちゃんは優しく言う。
「旅をしていれば、負けることもある。ポケモンに疑われることだってあるんだから。今回は、いい練習になったでしょ?」
でも――。
実際、自分を信用していないフシギダネと一緒に旅をするのは危険だ。
この先の一番道路が、どれだけ危険なのかは、リオルと何度も歩いた私にはよく分かっている。
野生のポケモンに襲われたら?
もし、もっと強いポケモンと遭遇したら?
このままでは、トキワシティに辿り着くことさえできないかもしれない。
そんな私を見て、お姉ちゃんは少し考えるように黙った。
そして――
「……よし。リーフ、いいかい?」
「……?」
「そのフシギダネは、リオルとは違う」
お姉ちゃんは、フシギダネを見る。
「波動であなたの心を読めないし、レベルだって低い。それは分かるわよね?」
「……うん」
「でも、その子には――リオルにも、誰にもできないことができる」
「……?」
「まずは、それを見つけなさい」
お姉ちゃんは笑った。
「そうしたら、その子のことが好きになれるから」
「好きになれる?」
私は首を傾げた。
「好きになってくれる、じゃなくて?」
「そう」
お姉ちゃんは頷く。
「まずはポケモンを好きになる。それが、トレーナーに必要なことだよ」
「……」
そうだ。
リオルの時だって、最初から仲良くなれたわけじゃない。
あの時の私は、ボロボロになったリオルを止めようとして。
一緒に戦おうとして。
そうやって、少しずつ仲良くなっていった。
だったら――。
なんだ。
簡単なことじゃないか。
私はフシギダネの前にしゃがみ込んだ。
「フシギダネ」
「……ダネ」
「さっきは、私が弱くてごめんね」
フシギダネは黙って私を見る。
「でも、私はあなたと一緒がいいの」
少しだけ、胸が苦しくなる。
「だから……一緒に冒険しない?」
「……ダネ」
返事は短かった。
そっけない。
どこか緊張しているようにも見える。
研究所で初めて出会った時から、それは変わっていない。
でも――。
それでいい。
ここから始めていくんだ。
私は立ち上がり、フシギダネに笑いかけた。
「じゃあ、私たちはそろそろ行くよ」
そして、お姉ちゃんはリオルと一緒に立ち上がった。
「ニビシティで待っていてね」
「オォン!」
リオルが力強く鳴いた。
リオル。
待っててね。
私、あなたに相応しいポケモントレーナーになるから。
・ハル 見た目はレッツゴーシリーズの男主人公。SV主人公と1字違いなのは投稿直前に気づいた。
主人公にはガンガン敗北させていきたい。でもリオル強くしすぎちゃったかも…
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