ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている   作:はらへりニャンコ

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第42話 甦れヘラクロス

 

 

 

 

 

「それがZリングか。初めて見たな」

 

「ふふん、私だけの特別製なのですよ」

 

P-1グランプリの大会後。

 

エビワラーのおっちゃんがご飯をご馳走してくれるというので、ありがたくご馳走になっている私たち。

 

この町で最も評判の高い焼肉店らしく、何のポケモンのお肉なのかは分からないが、どのお肉もとにかく美味い。

 

「アオン!」

 

「ピカチュウ~♪」

 

リオルやピカチュウたちは、優勝賞品としてもらった極上ポケモンフーズを美味しそうに食べている。

 

しかしそこにサトシとヘラクロスの姿はなかった。

 

「ヘラクロス、大丈夫かしら。物凄く落ち込んでいたけれど……」

 

「ううむ。サトシくんと仲良くなるためには、一回天狗の鼻を折った方がいいかなーと思ったけれど……もしかして、余計なことしちゃいました?」

 

すると、おっちゃんが口を挟んだ。

 

「いや、因果応報。盛者必衰。いずれ、あのヘラクロスが壁にぶつかるのは必然のこと。そこからどう立ち直るかが肝心である」

 

確かに。

 

あの調子では、私が手を出さなくても、どこかで負けていたであろう。

 

今頃、サトシくんと和解しているのかな……。

 

いや。

 

むしろ、まだ喧嘩していたらどうしよう。

 

「ちょっと様子を見に行ってくるね」

 

「なら私も行こうかしら。この調子だとサトシ、夕飯抜きになりそうだしね」

 

私たちはリオルとピカチュウを連れて、店を出た。

 

◆

 

「にしてもサトシとヘラクロス、どこ行っちゃったのかしら?」

 

「虫ポケモンなんだし、山じゃないかな?」

 

波動を辿りながら、暗い山道を歩くこと十数分。

 

その先から、何かが激しくぶつかる音が聞こえてきた。

 

「そうだ、ヘラクロス! もっとまっすぐ角をぶつけるんだ!」

 

「へーラァ!」

 

ゴォンッ!!

 

見ると――。

 

ヘラクロスが、サトシの持った丸太に何度も角をぶつけている。

 

そしてサトシは、その全てを真正面から受け止めていた。

 

その顔には大粒の汗が浮かんでいたが、ヘラクロスを受け止める足腰はびくともしなかった。

 

「サトシ、凄い汗……。一体いつから特訓を……」

 

「こりゃ邪魔しちゃあ悪いわね。私たちは帰りましょうか……」

 

カスミがそう言った。

 

その次の瞬間――。

 

バシュッ!!

 

「え?」

 

何かが私たちを包み込んだ。

 

それが網だと分かった時には――。

 

「「きゃあああ!?」」

 

「アオン!?」

 

「ピカ!?」

 

私とカスミ、そしてリオルとピカチュウは、まとめて空中へ吊り上げられていた。

 

「リーフ!?カスミ!?」

 

「何よこれ!?」

 

そして――。

 

「「「だーはっはっはーい!」」」

 

前世で散々聞いた声が響く。

 

「なんだかんだと聞かれたら!」

 

「答えてあげるが世の情け!」

 

「世界の破壊を防ぐため!」

 

「世界の平和を守るため!」

 

「愛と真実の悪を貫く!」

 

「ラブリーチャーミーな敵役!」

 

「ムサシ!」

 

「コジロウ!」

 

「ニャースでニャース!」

 

「銀河を駆けるロケット団の二人には!」

 

「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!」

 

「ニャーンテニャ!」

 

「ソーナンス!」

 

ロケット団!

 

この名乗り口上……パチモノではなく、ムコニャ本人たちか!

 

「うふふ、P-1グランプリ優勝者もこの通り! 私たちの手にかかればイチコロよ!」

 

「珍しいリオル! しかも珍しい色違い! サカキ様も大喜びだぜ!」

 

「やっぱり狙いはリオルか……!」

 

私は網を引きちぎろうと力を込める。

 

「ぐっ……!」

 

けれど、網はびくともしない。

 

「それはニャー達が夜鍋して作った、ケーシィの毛で作った特製ネット! 格闘タイプにはびくともしないんだニャ!」

 

「「「色違いのリオルに、ピカチュウゲットでいい感じ~!」」」

 

「そんなことさせるか!」

 

サトシが叫んだ。

 

「エスパータイプには虫タイプだ! ヘラクロス、キミに決めた!」

 

「ヘラッ!」

 

ボールから飛び出したヘラクロスは、昼間の暴走が嘘のようにサトシの指示へ反応した。

 

「ヘラクロス! 気球を落とすんだ!」

 

「ヘラァ!」

 

ヘラクロスが地面を蹴り、大きく跳躍する。

 

そのままロケット団の気球へ向かって飛んでいく。

 

「そうはさせないぜ!」

 

コジロウがスイッチを押した。

 

「カイロスロボ、発進!」

 

ガシャン!!

 

気球から巨大なカイロス型ロボットが飛び出した。

 

「ヘラァ!?」

 

地上でヘラクロスとロボットが激突する。

 

ガギィン!!

 

互いに押し合う二体。

 

だが――。

 

「ぐぐぐ……!」

 

「ヘ、ヘラァ……!」

 

ロボットのパワーは凄まじい。

 

少しずつ、ヘラクロスが崖際へ押し込まれていく。

 

「ヘラ……」

 

その光景を見たリオルが、網の中から声を上げた。

 

「クオン!」

 

「リオル?」

 

「リオル! どうしたの?」

 

「クオン! クオン!」

 

リオルは必死に叫んでいる。

 

その声を聞いたヘラクロスが、一瞬だけこちらを振り向いた。

 

「ヘラ……」

 

リオルは、ヘラクロスをじっと見つめている。

 

波動を通じて――何かを伝えている。

 

「……一緒に戦おう」

 

リオルの目が、そう語っているように見えた。

 

ヘラクロスの表情が、わずかに変わった。

 

「ヘラ……」

 

その瞬間。

 

「そうだ、ヘラクロス!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「お前には俺がいる!」

 

ヘラクロスが振り向く。

 

「俺たちで、リオルたちを助けるんだ!」

 

「ヘラァ……!」

 

ヘラクロスの身体に、再び力が戻っていく。

 

そして――。

 

「うおおおおおっ!!」

 

サトシがロボットへ体当たりした。

 

「サトシ!?」

 

人間の力でどうにかなるはずもない。

 

……普通なら。

 

だが。

 

「ヘラァァァ!!」

 

ヘラクロスが雄叫びを上げた。

 

サトシとヘラクロス。

 

二人がかりでロボットを押し上げる。

 

「「「うそーん!?」」」

 

「も、持ち上げちゃった……」

 

「ヘラクロスのパワーが上がったんだわ!」

 

「うおおおおおっ!」

 

「ヘラァァァァァ!!」

 

二人の力が一つになる。

 

そして――。

 

「うりゃあああああ!!」

 

「ヘラァァァ!!」

 

ドォン!!

 

ロボットが宙へ放り投げられた。

 

そのまま気球へ突っ込んでいく。

 

「うわああああっ!?」

 

ガシャン!!

 

ロボットの角が、私たちを捕らえていた網に引っかかった。

 

ビリビリビリッ!!

 

網が破れ、私たちは地面へ落下する。

 

「きゃっ!」

 

「アオン!」

 

「ピカチュウ!」

 

リオルが私を抱えて着地し、ピカチュウも無事に地面へ降り立った。

 

「よしっ!」

 

「「「あ~! 夜鍋して作ったのに!」」」

 

ロケット団が泣き叫ぶ。

 

「ピカチュウ、10万ボルト!」

 

「リオル、しんくうは!」

 

「ピィーカーチュー!」

 

「クオオオゥ!」

 

バリバリバリッ!!

 

ドォォォン!!

 

雷撃と衝撃波が、ニャースの形をした気球を直撃する。

 

「「「やな感じ~!」」」

 

夜空に輝く大爆発。

 

星の彼方へ、ロケット団が吹き飛んでいった。

 

◆

 

「それじゃあヘラクロス。修行、頑張れよ!」

 

「ヘラッ!」

 

翌日。

 

サトシくんは、ヘラクロスをおっちゃんのジムへ預けることにしたらしい。

 

ヘラクロスと一緒に戦うには、サトシくんはまだまだ実力不足。

 

だから、まずはヘラクロス自身が修行を積み、サトシくんがバッジを8個集めたところで、オーキド研究所へ送ってもらうとのことだ。

 

「サトシ、本当に良かったのか?」

 

タケシが尋ねる。

 

「ああ」

 

サトシは、遠くなっていくヘラクロスを再度見つめた。

 

「アイツも俺も、まだまだ強くなれる」

 

そして、少しだけ笑う。

 

「そのためには、一度別れた方がいいかもって思ったんだ」

 

「……」

 

私は、その言葉を聞いて思う。

 

P-1グランプリで負けたこと。

 

サトシの言うことを聞かなかったこと。

 

それでも、最後にはサトシと一緒に戦ったこと。

 

ヘラクロスはきっと、あの街の戦いで何かを見つけたのだ。

 

「じゃあ代わりに、私がついていこうかな」

 

「リーフ!」

 

カスミが嬉しそうに笑う。

 

「ええ、あなたなら大歓迎よ! これからよろしくね!」

 

「うん、よろしく!」

 

リオルも隣で拳を握る。

 

「アオン!」

 

こうして――。

 

私たちは次の街。

 

セキチクシティへ向けて、再び歩き出した。




・ヘラクロス、また会う日まで
オコリザルの離脱回とリザードンの離脱回がごっちゃになっちゃいました。
ポケモンリーグまでには戻ってくる予定です。

リーフに使わせたいZ技

  • ノーマル
  • くさ
  • ほのお
  • みず
  • でんき
  • むし
  • ひこう
  • いわ
  • どく
  • じめん
  • こおり
  • エスパー
  • ゴースト
  • ドラゴン
  • あく
  • フェアリー
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