ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
「行こうか、リオル!」
「アオウ!」
三番手のリオルが、元気よく飛び出す。
私のリオルの特性は、せいしんりょく。
あくのはどうを受けても怯まないため、先ほどの連結技は使えない。
やけに長い間を挟んで、キョウさんが指示を飛ばした。
「……ベトベトン、ヘドロウェーブ」
「ベトオオオオ!」
ベトベトンの身体から、紫色の毒の波が一気に広がった。
「足にメタルクロー! 繋げて、こうそくいどう!」
「クオン!」
リオルの両足が銀色の光に包まれる。
ガッ!
鋼の力で足をコーティングした瞬間、リオルが駆け出した。
迫り来るヘドロウェーブ。
その波の頂点を――。
タンッ!
蹴る。
さらに次の波へ。
タンッ!
また蹴る。
まるで荒波を渡るように、リオルが毒の波の上を疾走する。
「ベトオオ!?」
「今だ!」
一瞬でベトベトンの懐へ。
「メタルクロー!」
「クオン!」
ガギィン!
鋼の爪がベトベトンの身体を切り裂く。
「ベトォ!」
「もう一度!」
右、左、正面。
リオルはベトベトンの周囲を高速で旋回しながら、何度も素早く蹴りを叩き込む。
「ベトォォォ……!」
「まだ!」
私は攻撃を止めない。
ベトベトンが大きく身体を振るう。
しかし――。
「遅い!」
リオルが身体を低く沈め、腕の下を潜り抜ける。
そして、そのまま背後へ。
「クオン!」
ドンッ!
背中へ強烈な蹴り。
「ベトオォォ……!」
ベトベトンの巨体が前のめりになる。
「ベトベトンの頭を押さえつけて!」
リオルが飛び上がる。
私はキョウさんを見る。
まだ、四つ目の技の指示がない。
恐らく――しねんのずつき。
リオルの弱点を突ける技なら、決め手になる。
だからこそ。
「そのまま攻撃を続けて!」
「クオン!」
リオルが再びベトベトンへ飛び掛かる。
その瞬間――。
「……ベトベトン」
キョウさんが静かに口を開いた。
「おきみやげの術」
「えっ!?」
ベトベトンの身体から、突然、紫色の光が溢れ出した。
「ベト……オオオオオッ!」
最後の力を振り絞るような咆哮。
紫色の光がリオルへ絡みつく。
「クオン!?」
リオルの身体から力が抜ける。
同時に――。
ベトベトンの身体からも力が消えていく。
ドサッ。
「ベトォ……」
「ベトベトン、戦闘不能!」
「……!」
私は目を見開いた。
戦闘不能になる代わりに、相手の能力を大きく下げる技――おきみやげ。
ベトベトンは、自分が倒れることまで計算に入れていた。
「……驚いたかな?」
「ええ……はい」
キョウさんの表情は穏やかだった。
「トレーナーによっては、このような自ら瀕死となる技を嫌い、それを使用するトレーナーを非難する者もいる」
倒れたベトベトンを見ながら、キョウさんは続ける。
「しかし、ポケモンバトルとは軍団で戦うもの」
キョウさんの目が鋭くなる。
「任務遂行のためには、己の命をも厭わないこと――それこそが、忍者の極意なり!」
そして、最後のモンスターボールを構えた。
「我が秘奥義、とくと味わえ!」
ボールが開く。
「出番だ、マタドガス!!」
「ドォガアアアス!」
ドンッ!!
煙とともに、二つの顔を持つマタドガスが現れる。
その身体からは、先ほどのモルフォンやベトベトンとは比較にならないほどの波動が漲っていた。
「リオル、一度戻って……」
私はボールを構える。
けれど――。
「クオン!」
「リオル?」
リオルが首を横に振った。
まだ戦う。
そう言っている。
「……分かった」
私はボールを下ろす。
「あなたを信じる!」
「クオン!」
「もう一度、こうそくいどう!」
リオルが走り出す。
だが――。
「ねっぷうでござる!」
「ドガアアアス!」
ゴオオオオオッ!!
マタドガスの口から、猛烈な熱風が放たれた。
「速さで抜けて!」
リオルが横へ飛ぶ。
しかし、熱風はバトルコート全体を包み込み、逃げ道そのものを奪っていく。
「くっ……!」
リオルの足が止まった。
「動いて!」
「ク、クオン……!」
熱風が身体を叩き続ける。
こうそくいどうで速度を上げても、その速度を活かせる場所がない。
「今のマタドガスは、モルフォンとベトベトンの覚悟を背負っている!」
キョウさんが叫ぶ。
「逃げてばかりでは勝てぬぞ!」
「……!」
さらに熱風が強くなる。
リオルの身体が浮き上がり、そのまま地面を転がった。
「クオン!」
「トドメだ!」
マタドガスが大きく息を吸い込む。
「ヘドロばくだん!」
紫色の毒ガスが一点に集まっていく。
巨大な球体。
まるで毒そのものを凝縮した爆弾。
「ドガアアアス!」
ドォン!!
爆発。
リオルの身体が吹き飛ばされる。
「~~っ!」
私は拳を握りしめる。
今のリオルでは勝てない。
だったら――。
「リオル、ごめん!」
ボールを向ける。
「てだすけ!」
「……アオオオオオウ!」
リオルが最後に大きく吠えた。
その声とともに、身体から波動が溢れ出す。
それは私ではなく――。
私の手の中のモンスターボールへ。
「……!」
ボールの中にいるダンバルへ、リオルの波動が流れ込んでいく。
「クオン……!」
そして、リオルは力尽きた。
ドサッ。
「リオル……」
私は唇を噛む。
「ごめん……本当に、ごめん……」
「俯くな!」
キョウさんの声が響いた。
「最後のリオルの叫びは、お主を責めているのではない!」
「……!」
「リオルは、お前とお前のポケモンを信じ、最後まで戦い抜いた!」
キョウさんが私を真っ直ぐ見つめる。
「ならば、それに応えるのが本当のポケモントレーナー! 最後まで諦めるな!」
「……はい!」
私は涙を拭った。
リオルが託してくれた。
だったら――。
私も託す。
「行こう! ダンバル!!」
「ダンバァ!」
ダンバルが飛び出す。
小さな身体に、まだリオルの波動が残っている。
「これが……リオルから託された力」
てだすけの力を乗せられるのは、一度だけ。
チャンスは――一回。
「参る!」
キョウさんが手を上げる。
「マタドガス、えんまく!」
「ドガアアアス!」
ボォォォォ……!
黒い煙が一気に広がった。
「……見えない」
私は目を閉じる。
視覚を捨てる。
代わりに――波動を広げる。
「……」
ダンバルの位置。
マタドガスの位置。
壁、空、地面。
すべての存在を波動で感じ取る。
「来る……!」
マタドガスが動いた。
右。
消えた。
左。
また消えた。
上。
下。
縦横無尽。
「速い……!」
煙の中を、マタドガスが飛び回る。
狙いはダンバル。
「どこ……?」
一瞬の静寂。
そして――。
「マタドガス、のしかかり!」
「ドガアアアス!」
……上!
「ダンバル、しねんのずつきで飛び上がれ!」
「ダンバァ!」
ダンバルが地面から飛び上がる。
その頭部が青白い光に包まれた。
「ドガァァ!」
「ダァァ!」
ドゴォン!!
空中で二匹が激突する。
凄まじい衝撃が爆発し、バトルコートを覆っていたえんまくが一気に吹き飛んだ。
マダドガスは上から、ダンバルは下から。
二匹が空中で鍔迫り合いをする。
「互角……!」
キョウさんが驚く。
「ほう……!」
「ダンバル、諦めるな!」
「ダァー……ンバァール!」
その瞬間。
ダンバルの身体から――青い光が溢れ出した。
「……え?」
光がどんどん強くなる。
ダンバルの身体が浮き上がる。
そして――。
逞しい腕が、鋼の身体に生える。
身体が大きくなり、形を変えていく。
「ダァァァァ!」
「まさか……!」
青い光が弾ける。
「メッターング!!」
「進化だと!?」
そこに立っていたのは、二本の腕を持つ鋼のポケモン。
「メタング……!」
「メッタァ!」
メタングがダンバルを弾き飛ばす。
そのまま、マタドガスへ追撃した。
「マタドガス、ねっぷうで迎え撃て!」
「ドガアアアス!」
「しねんのずつき!」
「メッターング!」
鉄をも溶かす熱風を、メタングの頭突きが押しのける。
ドォォォン!!
押し負けたのはマタドガスだった。
「なに!?」
メタングがさらに押し込む。
「リオルから託された力……!全部受け取って!」
「メッターング!!」
ズガァァァン!!
巨大な念動力の塊がマタドガスを地面へ叩き落とす。
「ドガァァァス……!」
マタドガスが倒れる。
熱風が消える。
静寂。
審判がマタドガスを確認し、そして――。
「マタドガス、戦闘不能!」
腕を上げる。
「よって勝者――チャレンジャー、リーフ!」
「やったぁ!」
私は拳を握りしめた。
ロトム。
リオル。
そして――メタング。
一匹でも欠けていれば、掴めなかった勝利。
誰か一匹だけの勝利じゃない。
みんなで繋いだ――私たちの勝利だ。
キョウさんがゆっくりと歩み寄ってくる。
「よくぞ、リオルの期待に応えた!」
そして、懐からバッジを取り出した。
「受け取れ。ピンクバッジだ!」
「ありがとうございます!」
私は両手でピンク色のバッジを受け取る。
「ピンクバッジ、ゲット!」
◆おまけ◆
その後――。
サトシ達がジムへとやってきて。
「「「うわあああ!」」」
ジム中に仕掛けられた罠という罠に、次々と引っかかっていく三人。
「くふふ!」
「……アオウ」
私たちはモニター室で、緑茶片手にその様子を楽しんでいた。
あー、面白い。
・おきみやげ、だいばくはつなどの自爆技について
積極的に使うものではないですが、実際にこういった技の可能性についてもバトルの中で教えるのがジムリーダーというもの。
・速攻進化、メタング
人から貰ったポケモンはよく成長しやすい……あとはダイゴさんのポケモンだから?
リーフに使わせたいZ技
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ノーマル
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くさ
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でんき
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ドラゴン
-
フェアリー