ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている   作:はらへりニャンコ

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幕間③ リーフvsサトシ!(後編)

 

 

 

 

 

相性不利は仕方ない。ここは、一気に決める!

 

「がんせきふうじ!」

 

「メッタァ!」

 

メタングの周囲に岩が浮かび上がる。

 

「そして、でんじふゆう!」

 

「メッ!」

 

岩だけでなく、メタング自身がふわりと宙へ浮かび上がった。

 

「グオオ?」

 

リザードンが空中のメタングを見上げる。

 

「いくよ!」

 

メタングが浮かせた岩を、次々とリザードンへ向かって飛ばしていく。

 

「グオオオッ!」

 

サトシの指示に合わせ、リザードンが岩をかわす。

 

右、左、上。

 

「まだまだ!」

 

次々と岩が飛んでくる。

 

「かわし続けろ、リザードン!」

 

「グオオ!」

 

リザードンが岩の隙間を抜けていく。

 

だが――。

 

「そこ!」

 

メタングが一気に加速した。

 

「グオッ!?」

 

リザードンの背後。

 

メタングの鋼鉄の腕が、リザードンの翼を掴む。

 

「捕まえた!」

 

「グオオオ!?」

 

リザードンが必死に身体を捻る。

 

しかし――。

 

「逃がさないよ!」

 

メタングが身体を回転させる。

 

「メメタァ!」

 

そのままリザードンを巻き込みながら、メタング自身の体も高速回転していく。

 

「グオオオオオオッ!!」

 

全力のZパワーを纏った回転が嵐を引き起こす。

 

「決めるよ!」

 

「メメメメメタタタアッ!!」

 

私は左腕を突き出し、黄金色に輝くZリングを掲げた。

 

「超絶螺旋連撃!!」

 

「メッタァァァ!!」

 

ドォォォォォォォン!!

 

銀色の螺旋を纏ったメタングが、リザードンを正面から貫く。

 

「グギャアアアアア!!」

 

リザードンの巨体が、大きく吹き飛ばされる。

 

ドォン!!

 

そのまま地面へ叩きつけられた。

 

「リザードン、戦闘不能!」

 

「……!」

 

「あれが、鋼タイプのZ技!」

 

「リザードンを倒しちゃった!」

 

カスミとタケシも、思わず声を上げる。

 

私は小さく息を吐いた。

 

やった。

 

ようやくサトシのリザードンを倒した。

 

けれど、まだ終わっていない。

 

サトシは最後のモンスターボールを握っていた。

 

「サイドン、キミに決めた!」

 

「サァイ!」

 

地面を揺らしながら、巨大なポケモンが姿を現す。

 

「……あれが、サトシのサイドンか」

 

二回戦で戦ったサイドンよりも一回り大きい。

 

そして、何より頑丈な波動を感じる。

 

「……タフそう」

 

身体の奥に、ものすごい生命力が詰まっている。

 

「勝つよ、メタング!」

 

「メッタァ!」

 

「優勝しようぜ、サイドン!」

 

「サァイ!」

 

メタングとサイドン。

 

二匹が、互いを見据える。

 

◆

 

バトルの様子を見守っていた観客席にて。

 

「サトシ、勝てるかしら?」

 

カスミが不安そうに呟いた。

 

「サイドンにとっては厳しい状況だな」

 

いつもの変わらない声のトーンで、タケシが戦況を分析した。

 

「先ほど使ったでんじふゆうで、今のメタングには地面タイプの技が効かない」

 

「うちおとすが当たれば解除できる筈だが、リーフがそれを許すとは思えないだろう……」

 

この勝負、どっちが勝ってもプロテクターはサトシの手に渡る。

 

それでも。

 

「サイ……」

 

「メタ……」

 

両者のポケモンに、勝利を譲るなんて考えは微塵もなかった。

 

◆

 

「メタング、コメットパンチ!」

 

「メッタァ!」

 

メタングが一気に突っ込む。

 

鋼鉄の拳が銀色に輝いた。

 

「サイドン、メガホーン!」

 

「サァイ!」

 

サイドンも真正面から迎え撃つ。

 

巨大な角と、鋼鉄の拳。

 

二つの攻撃が――。

 

真正面から激突した。

 

ドゴォォォン!!

 

衝撃で地面が震える。

 

「メッ……!」

 

メタングが押し戻される。

 

やっぱり、パワーではサイドンが上。

 

「そのまま押し切れ!ほのおのきば!」

 

「サァァイ!」

 

燃える牙を光らせたサイドンが再び突進する。

 

「てっぺきで弾け!」

 

「メッタァ!」

 

二度目の激突。

 

炎の牙を鋼鉄のボディが弾く。

 

「サァイ!」

 

「コメットパンチ!」

 

「メタァ!」

 

三度。

 

四度。

 

何度も技と技がぶつかり合う。

 

サイドンの一撃は重い。

 

一発受けるだけでも、メタングの身体が大きく揺れる。

 

それでも――。

 

「メッタァ!」

 

メタングは拳を振るう。

 

そして。

 

「……きた」

 

私は気づいた。

 

メタングの拳から、今までとは違う力を感じる。

 

「攻撃力が上がった!」

 

「メッタァ!」

 

コメットパンチには、たまに使用者の攻撃力を上げる効果がある。

 

メタングの拳が、先ほどよりも明らかに速く、重くなっている。

 

「もう一度!」

 

「メッタァァァ!」

 

サイドンが必死に迎え討とうとする。

 

「サイドン、メガホーン!」

 

「サァァァイ!」

 

巨大な角が迫る。

 

「コメットパンチ!」

 

「メッタァ!」

 

ドゴォォォォン!!

 

「サイドンが押された!?」

 

サイドンの巨体が、僅かに後退した。

 

「もう一度!」

 

メタングが追撃する。

 

「コメットパンチ!」

 

「サァイ!?」

 

さらに後退。

 

「すごい……!」

 

さっきまではメタングが押されていた。

 

それが今では――。

 

メタングが、サイドンを押し始めている。

 

「メッタァ!」

 

一撃。

 

「メッタァ!」

 

二撃。

 

「メッタァァァ!」

 

三撃。

 

銀色の拳が、次々とサイドンへ叩き込まれる。

 

「サァ……!」

 

サイドンが苦しそうに後退する。

 

「サトシ!」

 

カスミは思わず声を上げた。

 

「分かってる!」

 

サトシも叫ぶ。

 

「サイドン、まだいけるな!」

 

「サァァァイ!」

 

サイドンが踏ん張る。

 

巨大な脚で地面を踏みしめ――。

 

メタングを睨み返す。

 

「まだ倒れてない……!」

 

「メッタァ!」

 

メタングが再び拳を構える。

 

「このまま押し切るよ!」

 

「メッタァァァ!」

 

「サイドン、メガホーン!」

 

「サァァァァイ!!」

 

サイドンが最後の力を振り絞って突撃する。

 

巨大な角が迫る。

 

「れいとうパンチ!」

 

「メッタァァァ!!」

 

拳と角がぶつかる。

 

ドォォォォン!!

 

「サァ……!」

 

サイドンの身体が大きく揺れる。

 

そして――。

 

サイドンが、片膝をついた。

 

「あと一撃!」

 

私は拳を握る。

 

「メタング、トドメのれいとうパンチ!」

 

「メッタァァァ!!」

 

メタングが跳び上がる。

 

冷気を纏った拳が眩い光を放つ。

 

「サイドン!」

 

サトシが叫ぶ。

 

サイドンが顔を上げる。

 

「サァ……」

 

もう、身体は限界に近い。

 

それでも。

 

その瞳から、闘志だけは消えていなかった。

 

「……」

 

サトシの表情が変わる。

 

何かを決意したように、静かに息を吸う。

 

そして――。

 

「サイドン」

 

「サァイ!」

 

「最後まで、諦めるな」

 

「サァ……!」

 

サイドンが立ち上がる。

 

メタングが迫る。

 

あと少し。

 

あと一撃で――。

 

「メタング!」

 

「メッタァァァ!!」

 

拳が振り下ろされる。

 

その瞬間。

 

「――つのドリル!!」

 

「……え?」

 

サイドンの角が高速で回転した。

 

「サァァァァァイ!!」

 

「なっ……!?」

 

メタングの拳を紙一重でかわし、そのまま身体を捻る。

 

「メタング、避けて!」

 

「メッ!?」

 

間に合わない。

 

巨大な角が、メタングへ迫る。

 

「サァァァァァァァ!!」

 

ズドォォォォォン!!

 

「メタァァァッ!?」

 

一撃。

 

たった一撃だった。

 

メタングの身体が大きく吹き飛ばされる。

 

そのまま、鋼鉄の巨体が地面へ叩きつけられた。

 

「メタング!」

 

私は叫ぶ。

 

「メッ……タ……」

 

メタングは起き上がろうとする。

 

しかし。

 

身体が動かない。

 

「メタング、戦闘不能!」

 

審判の声が響く。

 

「サイドンの勝ち!」

 

「……負けた」

 

私はあまごいが止んだ空を見上げた。

 

一撃必殺技は相手に当たっても、そのまま有効打になるとは限らない。

 

互いの能力差にもよるが、成功する確率は30%程だと言われている。

 

それを引いてしまうとは、サトシは運がいい。

 

「……お疲れ様、メタング、みんな」

 

◆

 

「……サイ」

 

「どうしたんだよ、サイドン。お前が欲しがっていたプロテクターだぜ」

 

試合後、サイドンは手に入れたプロテクターを装着するのを拒否したのだった。

 

「もしかして、つのドリルで勝ったのが不満なんじゃない?」

 

「そうなの?」

 

「サイ」

 

カスミの予測を、サイドンは首を縦に振る形で肯定した。

 

あの時、3割の博打に成功したのは偶然。

 

このバトルスタイルではこれから先、進化してもサトシを支えることができない。

 

そうサイドンは思っているのだろう。

 

……あのお嬢様がサイドンに惚れた気持ちが、なんとなくわかったかもしれない。

 

「わかった。じゃあこれは預かっておくよ。進化したくなったら、いつでも言ってくれ」

 

「サァイ」

 

私も、サイドンを見習わないとな。

 

運が悪かったとはいえ敗北は敗北。

 

しかも、こっちはZ技まで使ったのだ。

 

次のバトルでは勝てるように、特訓を重ねなければ。




次回から本編に戻ります。

・転生リーフちゃんの秘密
モンスターボールの投げ方は杉内俊哉の投球フォームを右投げ用にアレンジしたスリークォーター投法。
野球には詳しくない作者だが、あのリズムと脱力、投げた後の足の動きが気に入りました。

リーフに使わせたいZ技

  • ノーマル
  • くさ
  • でんき
  • ドラゴン
  • フェアリー
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