ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている   作:はらへりニャンコ

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アニメキャラ出す予定だったのに、いつの間にかオリジナル話になってしまっていた……


第45話 進化の街の、進化しなイーブイ

 

 

 

 

 

私たちの旅は続いていた。

 

サファリゾーンでは、ポケモンゲットのために釣りへ挑戦するも、まさかのボウズ。

 

サイクリングロードでは嵐に巻き込まれ、挙句の果てに自転車がパンク。

 

その場にいた地元のライダーさんに助けてもらったりと、色々ありながら旅を続けていた私たちは――。

 

「ここが、進化の街かぁ」

 

一つの街へと辿り着いた。

 

この街は、その名の通りポケモンの「進化」で有名な場所だった。

 

炎の石に雷の石、目覚め石に月の石。

 

その他にも、様々なポケモンの進化に必要な道具を取り扱う店が軒を連ねている。

 

街の中央にある大きなバザールには、色とりどりの進化の石が所狭しと並べられていた。

 

「すごい……」

 

見渡す限り、石、石、石。

 

その周囲には、進化に必要な道具を求めるトレーナーたちが集まって競りをしていた。

 

まさに進化の街。

 

そんな街を歩いていると、ふと隣を歩くサトシへ尋ねた。

 

「サトシは、ピカチュウのままでリーグ優勝を目指すんだよね?」

 

「ああ。クチバジムでそう決めたんだ」

 

サトシは迷いなく答える。

 

「リーフのリオルは進化するのか?」

 

「クオン……」

 

「リオル、ね……」

 

私は隣を歩くリオルを見る。

 

「本人はソウジのルカリオに憧れていたから、進化したいのは分かってるんだけど……」

 

リオルは少しだけ俯いた。

 

どういうわけか、何年経っても、リオルはルカリオに進化しない。

 

そもそも、この世界でも「なつき進化」というものは大きな謎の一つだ。

 

どのくらいの絆が深まれば進化するのか。

 

野生のピチューやルリリのように、トレーナーと関わらずになつき進化するポケモンは、一体何をきっかけに進化しているのか。

 

ゲームなら簡単に説明できることでも、この世界ではそうはいかない。

 

「……まあ、その辺を深く考えても仕方ないよ」

 

私はリオルの頭を撫でる。

 

「私たちは、私たちの歩幅でね?」

 

「クオン!」

 

リオルが元気よく頷いた。

 

結局、そういう結論に落ち着くのである。

 

私とリオルの間に絆がないなんてことはない。

 

なら、いつか。

 

ふとした瞬間に、進化する時が来るのだろう。

 

そんなことを考えながら、私は出店の食べ物を楽しんでいた。

 

今の私の手持ちポケモンに、進化の石を使って進化する子はいない。

 

だから、この街に来ても買うものは特に――。

 

「キャ~~~~!! カンナ様~~~~!!」

 

突然、隣から凄まじい歓声が上がった。

 

「……え?」

 

ビックリして振り向く。

 

「カンナ様って、あのポケモンリーグ四天王の!?」

 

サトシも驚いている。

 

人だかりの中心にいたのは――。

 

長い赤髪を後ろで一つにまとめ、スーツをピシッと着こなした女性。

 

ポケモンリーグ四天王が一人、カンナさんだった。

 

「初めまして。あなた達のことはワタルから聞いているわ」

 

カンナさんは微笑む。

 

「まさか偶然、期待のルーキーと会えるとはね」

 

「わ、私、カスミと言います!」

 

カスミが目を輝かせながら駆け寄る。

 

「あの! サインください!」

 

「ええ、いいわよ」

 

「ありがとうございます~~!」

 

カンナさんを「様」付けするほどの大ファンであるカスミをはじめ、周囲のファンから次々と握手やサインを求められる。

 

カンナさんは、一人ひとりに笑顔を向けながらテキパキと捌いていく。

 

……これが大人の余裕ってやつですな。

 

「カンナ様は、どうしてここに?」

 

ようやくファンの波が落ち着いたところで、カスミが尋ねる。

 

「シェルダーをパルシェンに進化させる為に必要な水の石を買いに来たのだけれど……」

 

カンナさんが少し困ったように笑う。

 

「どうやら今回は、取り扱っていないみたいでね」

 

「水の石がない!?」

 

カスミの目が見開かれた。

 

そして――。

 

「私に任せてください!」

 

「「え?」」

 

「行くわよ、サトシ! リーフ!」

 

「俺たちも!?」

 

「私たちも!?」

 

「当たり前でしょ!」

 

カスミに肩を掴まれる。

 

「カンナ様のためにも、キリキリ働きなさい!」

 

「「えぇ……」」

 

こうして私たちは、暴走するカスミに尻を叩かれながら、みずのいし探しに協力することになった。

 

◆

 

「売ってない……」

 

「こっちにもないぞ」

 

「カンナ様、もう少しだけ待ってください!」

 

街中を探し回ること数分。

 

水の石はどこも取り扱ってないか、売り切れていた。

 

そんな中、広場で一休みしていると……

 

「ブイブイ~~!」

 

「……ん?」

 

聞き慣れない鳴き声。

 

振り向くと、そこには一匹のイーブイがいた。

 

「イーブイ?」

 

「ブイブイ~!」

 

その足元に転がっているのは――。

 

「……みずのいし?」

 

さらにその隣には、ほのおのいし。

 

そして、かみなりのいし。

 

サトシたちも目を丸くした。

 

「なんだ、あのイーブイ?」

 

「イーブイが、進化の石で遊んでいる……」

 

三つの進化の石を、まるで玩具のように転がしている。

 

「オオウ?」

 

リオルも首を傾げる。

 

私が近づくと、イーブイは石をぽいっと放り出した。

 

「ブイブイ!」

 

「わっ!」

 

そしていきなり私の胸元へ飛び込んできた。

 

「よしよし……」

 

頭を撫でても逃げたりしない。

 

かなり人慣れしているイーブイみたいだ。

 

でも――。

 

「……というか待って」

 

私は腕の中のイーブイを見る。

 

「なんでこの子は進化の石に触れても進化しないの?」

 

「それが、私たちにも分からないのです」

 

「え?」

 

振り返ると、白衣を着た研究者と思しき一団が立っていた。

 

その一人が、イーブイを優しく抱き上げる。

 

「この子は私たちの研究所で保護しているイーブイなのです」

 

研究者の腕の中のイーブイは、幸せそうに研究者へ顔を向けた。

 

「イーブイは周囲の環境や時間帯、そしてトレーナーとのなつき度など、様々な要因によって進化先が変わるポケモンです」

 

「ですがこの子は、どのような方法を試してみても進化しないのです」

 

「進化の石を与えても?」

 

「はい」

 

「なつき度を高めても?」

 

「はい」

 

「パワースポットに連れて行っても?」

 

「はい」

 

「……不思議な子ね」

 

カンナさんの率直な感想に研究者が苦笑する。

 

「私たちが何度も進化の石を与えたせいで、この子は石を見ると玩具として遊ぶようになりました」

 

見ると、腕から飛び出したイーブイが先ほどの三つの進化の石を前足で転がしている。

 

「研究所に来てから、かなりの月日が経ちます」

 

「それでも、進化しない理由は分からないの?」

 

「ええ」

 

研究者は頷いた。

 

「そこで、今日はブースターやエーフィー、グレイシア、ニンフィアなどの進化系たちと触れ合わせれば、何か変化が起こるのではないかと思いまして、この子を連れてきたのです」

 

少し離れた場所では、イーブイの進化系たちが楽しそうに遊んでいる。

 

その輪の中へ、イーブイも駆けていった。

 

「ブイブイ!」

 

「……」

 

私は波動を広げる。

 

イーブイの身体と心。

 

周囲の波動。

 

「ううむ……」

 

おかしなところはない。

 

むしろ、健康なイーブイである。

 

「波動を見ても、他のイーブイと全く同じように感じる……違いがどこにもない……」

 

「ですよね……」

 

研究者も困ったように笑う。

 

「ブ〜イ!」

 

イーブイだけが純粋に笑顔だった。

 

◆

 

「「「だーはっはっはーい!」」」

 

その時だった。

 

空から、聞き覚えのある声が響く。

 

「……まさか」

 

見上げると 空にぷかぷか ニャース気球。

 

……こんなタイミングで一句出来上がってしまった。

 

「ロケット団……!」

 

ムサシ、コジロウ、ニャースの二人と一匹がこちらを見下ろしている。

 

「進化の石に、珍しいポケモン達!」

 

ムサシが笑う。

 

「みんなまとめて頂くぜ!」

 

コジロウも続く。

 

「今日は大収穫だ!」

 

「お前たちの好きにはさせない!」

 

「ピカピカ!」

 

サトシとピカチュウがが構える。

 

すると、ニャースが得意げにスイッチを取り出した。

 

「新兵器!『石質暴走光線』スイッチオンだニャ!」

 

ニャースがスイッチを押す。

 

気球から赤い光線が伸びた。

 

ビィィィィン!

 

赤い光が雷の石へ直撃した次の瞬間。

 

バリバリバリバリッ!!

 

「えっ!?」

 

雷の石から、とんでもない電撃が噴き出した。

 

「シビレビレー!!」

 

周囲にいた人とポケモンたちが、一斉に感電する。

 

「何が起きたの!?」

 

「この石質暴走光線は、当たった石の力を何倍にも増幅するんだニャ!」

 

ニャースが高笑いする。

 

「おミャーらが石の力に振り回されて倒れたところで、全部まとめてゲットだニャ!」

 

「そんなの無茶苦茶じゃない!」

 

しかし――。

 

「うわっ!?」

 

近くにあったリーフの石から、突然大量の蔦が飛び出して、周囲の人やポケモンを絡め取った。

 

「きゃあっ!」

 

月の石の周囲では――。

 

「な、なんだこれ!?」

 

「身体が浮いてる!?」

 

重力そのものがおかしくなっている。

 

「ま、眩しい~~!!」

 

「日焼けしちゃう〜!」

 

太陽の石は目を開けていられないほどの光を放っている。

 

炎の石。雷の石。月の石。光の石。闇の石。

 

ありとあらゆる進化の石が次々と暴走し、会場は一瞬で大混乱に陥った。

 

「スターミー!サイコキネシスで石を集めて……イャアア!燃える〜!」

 

「ラプラス、ふぶき!」

 

「ララァァァ!」

 

カスミとカンナさんも必死に暴走した石を抑えようとしているが効果は今ひとつみたいだ。

 

……それはそれとしてカンナさん。

 

会場全部まとめて凍らせるのはやめてください。

 

「うーん……」

 

ムサシが気球の上から会場を見渡す。

 

「思ったより効果が出てないわねぇ。今頃、会場のポケモンみんな倒れてるはずなんだけど……」

 

ニャースがゴソゴソと気球から何かを取り出した。

 

「気球の動きが遅いせいで、会場中の石に暴走光線が当たってないニャ!余計な物を捨てて軽くするニャ!」

 

「ちょ、それ俺のコレクション~~!」

 

コジロウが叫ぶ。

 

次の瞬間。

 

「ぽいっ!」

 

ニャースが気球から何かを投げ捨てた。

 

「俺のぉぉぉぉ!?」

 

落下していくコジロウのコレクション。

 

そこへ――。

 

ビィィィィン!

 

赤い光線が直撃した。

 

その瞬間。

 

突如青空を黒い雲が覆った。

 

「……え?」

 

突然の暗闇に会場は更なる混乱に陥る。

 

「今度はなによ!?」

 

その異変に真っ先に気付いたのは、サトシだった。

 

「ピカチュウ!?」

 

「ピカ……ピ……」

 

「リーフ! イーブイが!」

 

「え?」

 

私の目の前。

 

さっきまで元気だったイーブイが、苦しそうに身体を震わせていた。

 

「ブ……ブ……」

 

「イーブイ!?」

 

私は慌てて抱きしめる。

 

「大丈夫!?」

 

「ピカ……ピ……」

 

少し離れたところでは、ピカチュウまで苦しそうにしている。

 

「まさか……」

 

カスミが周囲を見渡す。

 

「暴走した雷の石が、ピカチュウとイーブイを苦しめているの!?」

 

「でも、他のポケモンは苦しんでないわ……」

 

カンナさんは周囲を見る。

 

会場にいたレアコイルもノズパスも。

 

他の電気に関係するポケモンたちも。

 

誰も苦しんでいない。

 

「……どうして、この二匹だけ?」

 

イーブイの身体を抱きしめる。

 

確かにイーブイの波動を感じる。

 

でも、何が起きているのか、サッパリ分からない。

 

「イーブイ……大丈夫?」

 

その瞬間。

 

「ピィ~~~!!」

 

「イーブォー!!」

 

轟音が響いた。

 

ドゴォォォォォン!!

 

大地そのものが、大きく揺れた。

リーフに使わせたいZ技

  • ノーマル
  • くさ
  • でんき
  • ドラゴン
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