ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
「…………ん~」
なんだろう。
すごく……気持ちいい。
身体全体を包み込む、ふわふわとした感触。
柔らかくて。
暖かくて。
まるで巨大な毛布にくるまれているみたい。
「んふふ……」
思わず頬を埋める。
ふわっ。
もふっ。
「…………最高……」
ここ数日の旅の疲れが、一気に抜けていくようだった。
こんなに気持ちいい場所が、この世にあったなんて。
もう起きたくない。
ずっとここにいたい。
「…………すやぁ」
再び眠りへ落ちようとした、その時。
「……リーフ?」
遠くから、誰かの声が聞こえた。
「リーフー!?」
うーん……。
今はちょっと忙しい。
二度寝という、大切な仕事の最中なのだ。
「……すやぁ」
「クオン?」
リオルの声。
どうしたの?
私は今、とても重要な任務の最中なのだ。
「…………」
ふわふわ。もふもふ。暖かい。
「……クオン」
リオルの声が、妙に低くなった。
次の瞬間――。
「はっけい!」
「え?」
ドンッ!!
「ぐえっ!?」
お腹に強烈な衝撃が叩き込まれた。
私は勢いよく飛び起きる。
「いったぁぁぁ!?」
何事!?
寝ていたはずなのに!
「クオン!」
目の前には、拳を構えたリオル。
「ちょっとリオル!? 何するの!?」
「クオンクオン!」
何やら必死に訴えている。
……え?
なに?
「リーフ! 危ないから、こっちへ!」
今度はカンナさんの声。
「え?」
振り向く。
その瞬間――。
「ラプラス、れいとうビーム!」
「ラァァァァァ!」
「えええええ!?」
ビィィィィィィン!!
目の前が真っ白になった。
「さ、寒っ―――!?」
全身が一瞬で凍りつきそうな冷気。
「ちょっとぉぉぉぉぉ!?」
私は震えながら立ち上がる。
そしてようやく周囲を見渡した。
「…………」
街中が、めちゃくちゃになっていた。
巨大な何かが暴れ回っている。
電撃が走り、瓦礫が飛ぶ。
人々が悲鳴を上げて逃げ惑う。
そして――。
「ピカァァァァァァ!!」
「ブイィィィィィィ!!」
「ニャアアアアアス!!」
三つの巨大な影が、街の中央で暴れ回っていた。
「…………」
私は呆然と、その光景を見つめる。
「……何これ?」
その時。
巨大な黄色いポケモンが、こちらへ向かって大きく尻尾を振り回した。
「ピカァァァァァ!!」
「うわあああああ!?」
その頭には――。
「サトシ!?」
「た、助けてくれぇぇぇぇぇ!!」
サトシが、巨大化したピカチュウの頭にしがみつきながら叫んでいた。
「…………」
私はもう一度、周囲を見る。
そして――。
さっきまで私を包み込んでいた、あのふわふわした感触を思い出した。
「…………まさか」
私はゆっくりと、自分の身体を見下ろす。
服のあちこちに、大量の白い毛が付着していた。
「…………」
嫌な予感がする。
ものすごく嫌な予感がする。
「リーフ!」
カスミが叫んだ。
「あれ、イーブイよ!」
「…………え?」
私は巨大な影の一つへ目を向ける。
そこにいたのは巨大な身体。
そして、その身体を覆うふわふわで、もふもふの毛。
「…………」
私は絶句した。
「……私、あの子に包まれて寝てたの?」
「ク、クオン……」
リオルが、ものすごく呆れた顔をしていた。
◆
「ど、どういうことなのよ~~!」
第三の巨大なポケモン。
その頭上には、ムサシとコジロウが必死にしがみついていた。
「ニャアアアアアア!」
巨大なニャースは二人のことなど気にも留めず、街中を暴れ回っている。
出店をなぎ倒し、家を破壊し。
巨大な爪で道路をえぐっていく。
「なんでなんで!?なんでニャースが大きくなっちゃってんのよ!?」
「キョダイマックスしてるんだ!」
「キョダイマックス!?」
「コレクションの中にあったガラル地方のねがいぼしに、石質暴走光線が当たっちゃったんだ!」
コジロウが頭を抱える。
「そのせいで拡散したガラル粒子に当てられたポケモンたちが、次々とキョダイマックスしちゃったんだよぉ!」
「なんとかしなさいよぉ~~!」
「そんなこと言われてもぉ~~!」
ムサシとコジロウの悲鳴に答えられるものはその場にはいなかった。
何しろ、当の本人たちも、巨大ニャースの上で振り落とされないようにするので精一杯なのだから。
◆
「不味いわね……」
カンナさんが、苦虫を噛み潰したような表情で呟く。
「イーブイもニャースも完全に暴走している。サトシくんのピカチュウは、サトシくんの言うこと自体は聞いているけれど……」
「身体を上手く動かせてないってことですか?」
「ええ。あれだけ巨大になると、普段の感覚では身体を操れないわ」
カンナさんは巨大ピカチュウを見上げる。
その背中では、サトシが必死にバランスを取っていた。
「だから、私はサトシくんのところへ行くわ」
「じゃあ、イーブイは……」
「リーフちゃん、カスミちゃん、タケシくん」
カンナさんが、こちらを見る。
「あなたたちは、イーブイをお願いできる?」
「はい!」
私は頷いた。
「……やろう、カスミ! 私たちで、イーブイを助けよう!」
「ええ!」
「任せろ!」
カンナさんはモスノウにつかまると、キョダイマックスピカチュウの上にいるサトシのもとへ飛んでいった。
「行くよ!」
三つのボールが開く。
「メタァ!」
「ネール!」
「ヘアッ!」
私のメタング。
タケシのハガネール。
そしてカスミのスターミー。
三匹が巨大なイーブイを見上げる。
「ブイィィィィィ……!」
イーブイは、苦しそうに身体を震わせていた。
そして――。
「ブイィィィィィ!!」
巨大な身体を揺らしながら、こちらへと勢いよく飛びかかってくる!
「来るよ!」
◆
「メタング、コメットパンチ!」
「ハガネール、ストーンエッジ!」
「スターミー、アクアブレイク!」
三方向から、渾身の技が飛ぶ。
ドゴォン!!
ザシュッ!!
バシャァァン!!
三つの攻撃が、巨大イーブイへ次々と突き刺さった。
しかし――。
「ブイ~~!」
「……全然効いてない!?」
イーブイを覆う、巨大なもふもふの毛。
それがまるで分厚い鎧のように私たちの攻撃を受け止めていた。
「そんな……!」
「ブイィィィィ!」
巨大イーブイが、そのまま身体を倒してくる。
「逃げて!」
私は叫んだ。
「その毛に捕まったら駄目!」
私には分かる。
あのもふもふは――。
気持ちいい。
ものすごく気持ちいい。
だからこそ――。
「気を抜いたら、そのまま包まれるよ!」
「駄目、間に合わない!」
巨大な影が、三匹を覆う。
「ブイィィィィィ!!」
ドサァァァァン!!
「メタァ!?」
「ネール!?」
「ヘアッ!?」
三匹が、巨大な毛の中へ埋もれていく。
「みんな!」
私は慌てて駆け寄る。
すると、巨大イーブイが顔を上げた。
「ブイ?」
イーブイの体が持ち上がったその瞬間。
ハガネールの身体から、ハート型のエフェクトが浮かび上がる。
「……え?」
「ネ~~ル……」
ハガネールが、ぼんやりとイーブイを見つめている。
「ハガネール!?」
タケシが叫ぶ。
「まさか……メロメロ!?」
イーブイのキョダイホーヨー。
その圧倒的な威力だけではない。
性別が違えば、相手をメロメロ状態にしてしまう。
「ハガネール! しっかりしろ!」
「ネ~~ル……」
「駄目だ……完全に骨抜きにされてる」
タケシが頭を抱える。
カスミがスターミーを見る。
「スターミーは性別不明だから、メロメロは効いてないみたいね」
「私のメタングも……」
メタングとハガネールは平然としている。
「でも、攻撃が届かないんじゃ意味がない……!」
私は巨大イーブイを見上げる。
やはり、逆転の鍵はZ技。
でも、今ここで撃っても、あの巨大なもふもふの毛に阻まれれば、有効打になるとは思えない。
「……どうすればいいの?」
「ブイィィィ……!」
その間にもイーブイの暴走は続いていた。
まるで自分の身体の中に溢れ出した力を外へ追い出そうとするように、建物へ身体を擦り付ける。
ドゴォン!
壁が崩れる。
バキバキバキッ!
看板が折れる。
「イーブイ……」
私は拳を握る。
このままでは――。
街も。そして、イーブイ自身も。
「このままじゃ、街もイーブイも……」
「一体、どうすれば……!」
カスミが叫ぶ。
その瞬間だった。
「ピィ~~~~~~!!!」
「…………え?」
轟音が響いた次の瞬間――。
ドゴォォォォォォン!!
大地そのものが、大きく揺れた。
・突然のキョダイマックスレイド
コジロウが持ってた願い石は、悪の組織らしく闇市場で入手した裏の品。
アレは厳密には石ではないのだが……新作兵器と反応しちゃった結果大変なことになったみたい。
リーフに使わせたいZ技
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ノーマル
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くさ
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でんき
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ドラゴン
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フェアリー