ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
時間は少し遡る。
石質暴走光線の影響を受けた直後から、ピカチュウは意識を保っていた。
ねがいぼしから離れていたこと。
そして何より、頼れるトレーナーがすぐそばにいたこと。
そのおかげなのかもしれない。
「ピカチュウ、アイアンテール!」
「ピカァー……」
サトシの指示に応えようとするピカチュウだが――。
ズルッ!
「ピカァ!?」
足を滑らせ、そのまま勢いよく地面へ倒れ込んだ。
ドゴォォォン!!
巨大な身体が地面を叩きつけ、周囲の瓦礫をさらに細かく砕いていく。
「ピ、ピカチュウ!?」
「ピカ……」
立ち上がろうとするピカチュウ。
しかし、巨大化した身体は思うように動かない。
腕を振れば、その勢いだけで身体が傾く。
一歩踏み出せば、足元の地面が沈む。
自我を保っていることと――。
巨大化した身体を自由自在に操れることは、全くの別問題だった。
「くそっ……!」
サトシが歯を食いしばる。
「これじゃあ、まともに戦えない……!」
別のポケモンで戦おうと、懐のモンスターボールへ手を伸ばした。
その時だった。
「サトシくん!」
「……え?」
上空から声が響く。
「キョダイバンライよ!」
「カンナさん!」
モスノウに掴まったカンナさんが、こちらへ飛んできた。
「今のピカチュウは、普通の技が使えないわ! キョダイマックスによって、技が変化しているの!」
カンナさんが指を伸ばす。
「電気タイプの技は――全部、キョダイバンライになるわ!」
「キョダイ……バンライ……!」
「そう!」
その頃、巨大ニャースは――。
「ニャアアアアアア!」
モスノウが放ったれいとうビームを避けながら、街中を暴れ回っていた。
「モスノウ! そのまま動きを止めて!」
「モスノォォ!」
モスノウが巨大ニャースの周囲を飛び回り、れいとうビームを何度もぶつけていく。
ニャースの進路が塞がれ、その場に釘付けになる。
「急いで、サトシくん!」
カンナさんが叫ぶ。
「イーブイもキョダイマックスしているわ。カスミちゃんたちだけでは手が足りないの!」
「分かりました!」
サトシがピカチュウの背中で立ち上がる。
「ピカチュウ!」
「ピカ!」
「キョダイバンライだ!」
「ピッカァァァァァァァ!!」
巨大なピカチュウの身体から、凄まじい電気が迸る。
だが――。
先ほどまでのように、無闇に電気を放つことはしなかった。
サトシの言葉を理解し。
巨大な身体の感覚を掴み。
その力を、一点へと集中させていく。
「今だ!」
「ピカァァァァァァ!!」
ピカチュウが電気のエネルギーを、上空へ向かって撃ち放つ。
バリバリバリバリッ!!
曇天を貫いた電撃が、空一面へと広がっていく。
そして――。
ゴロゴロゴロゴロ……。
「……来る!」
次の瞬間。
ドォォォォォン!!
渦巻く曇天から、無数の雷が降り注いだ。
バリバリバリバリバリッ!!
「ニャアアアアアアア!?」
幾筋もの雷が、巨大ニャースを直撃する。
「「ギャアアアアアア!!」」
ニャースの悲鳴と、ムサシとコジロウの悲鳴が重なる。
「な、なんなのよ、この雷ィィィ!?」
「いつものピカチュウの10万ボルトより、尾骶骨にくるぅぅぅ!!」
ドゴォォォォォン!!
巨大ニャースを包み込んだ電撃が、大爆発を起こした。
その衝撃で――。
「「「うわぁぁぁぁぁぁ!!」」」
ニャースごと、ムサシとコジロウが空の彼方へ吹き飛ばされていく。
「「「いつもより電力強めで、やな感じ~!」」」
◆
そして現在。
「ピカチュウ、もう一度キョダイバンライだ!」
「ピカアアアア!」
再度の万雷が、キョダイマックスイーブイへ降り注ぐ。
もふもふの毛をも貫いた巨大な雷が、イーブイへ直撃する。
「ブイィィィィ……!」
イーブイが苦しそうに鳴き声を上げる。
「ピカチュウがキョダイダイマックスしていられる時間は、もう殆ど残っていないわ……!」
それでも、カンナさんの表情は緊張している。
かつてガラル地方へ赴いた際、ワイルドゾーンでキョダイマックスポケモンとの交戦経験がある彼女からすれば、本来ダイマックス環境にないこの街で、これ以上戦い続けるのは無謀だった。
「サトシくん!」
「はい!」
「最後のキョダイバンライは、リーフちゃんに合わせて!」
「分かりました!」
「リーフちゃんは、Z技を!」
「えっ!?」
私は、もう一度イーブイを見上げる。
「でも、ここからじゃ……」
あの巨大な身体を覆う、もふもふの壁。
隙間はない。
どこを狙っても、十分な威力を叩き込めそうにない。
その時――。
「私に任せて!」
カスミが前へ出た。
「スターミー!」
「ヘアッ!」
倒れていたスターミーが立ち上がり、再びイーブイへ向かっていく。
「こうそくいどう!こうそくスピン!サイコカッター!おまけにアクアブレイク!」
「ヘアアアアッ!!」
四つの技を、ほぼ同時に繰り出す。
それは、並大抵のトレーナーには到底出来ない超高難度の戦術。
そんな離れ業を可能にしたのは地道な鍛錬と――。
カスミとスターミーの絆があってこそだった。
「ヘアアアアアア!!」
物凄いスピードで回転するスターミー。
その身体から伸びる刃が、イーブイの毛を次々と刈り取っていく。
「今よ、リーフ!」
「ええ!」
私は拳を握る。
「行くよ、メタング!」
「メタァ!」
私のZリングと、メタングが黄金の光で結ばれる。
同時に――。
「俺たちも行くぞ、ピカチュウ!」
「ピィ~~~!!!」
巨大ピカチュウの身体から、凄まじい雷撃が迸る。
天空を揺るがす雷。
大地を貫く螺旋。
「キョダイバンライ!」
「超絶螺旋連撃!」
ドォォォォォン!!
二つの必殺技が、イーブイへ同時に突き刺さった。
◆
「はい、あなた方のポケモンは元気になりましたよ。ピカチュウも異常なしです!」
「良かったな、ピカチュウ!」
「チャア~~♪」
診察を終えたピカチュウは、サトシの肩に乗ると嬉しそうに鳴いた。
イーブイが元に戻ったあの後。
見たこともない天変地異を前に、多くのポケモントレーナーが慌てて隣町から駆けつけてきた。
しかし、冷静なカンナさんの説明を聞くことで、少しずつ落ち着きを取り戻していった。
今は、壊れた街の復興や傷ついたポケモンたちの手当てを、街の住人たちと協力して行っている。
暴走したイーブイも、すぐに元いた研究所へ送られ、診察を受けた。
体調に異常はなく、既に元気に跳び回っている。先ほど研究者からそう連絡が来た。
何はともあれ、ポケモンにも人にも重症者や死者がいなかったのは、不幸中の幸いだっただろう。
私たちは街の復興を彼らに任せ、次のジムへ旅立つことにした。
そして――サトシは。
「カンナさん、本当にこれを貰っていいんですか?」
カンナさんから、トリコロールカラーのアームバンドを受け取っていた。
「ええ」
カンナさんが微笑む。
「ワタルが嬉しそうにあなたたちのことを話す理由が、分かったわ」
「……?」
サトシが首を傾げる。
「そのダイマックスバンドがあれば、特定のスタジアムでポケモンをダイマックスさせることができるわ」
カンナさんが説明する。
「ジムリーダー戦ではリーグ規定で使うことは出来ないけれど――あなたのポケモンリーグ挑戦を、私も応援しているわ!」
「はい! ありがとうございます、カンナさん!」
新たな力を手に入れて、私たちの旅はまだまだ続いていく。
・サトシ、ダイマックスを習得する。
ポケモンリーグでリーフとぶつかった際にフェアな戦いができるよう、テコ入れしました。
・昨今のトレーナーのキーアイテム事情
①キーストーンとメガストーン:最も有名な特殊戦術。各地で採掘されており、まだ数は少ないながらも、カロス地方やホウエン地方の伝道師の活動により世界中で広まりつつある。
②Zリング:リーフみたいな裏口を除けば、田舎のアローラ地方でしか入手できない為、大半の人間が存在を知らない。
③ダイマックスバンド:流通してるのが一地方限定なのはZリングと同じだが、ガラルリーグは世界的にも有名なポケモンリーグなので、そこでメインとなっているダイマックスの知名度はそこそこ高い。各地のスタジアムも続々とダイマックスに対応できるよう改修が進められている。
④テラスタルオーブ:製造できるのがパルデア地方だけ、しかも使用にはテラスタル研修が必要なとから使用者は少ない。一応テラスタル研修は希望者なら誰でも受けられるので窓口は広いと言える。昔は使えるのがパルデア地方限定だったが、最新型はエネルギーさえチャージしていればどこの地方でも使えるアニポケ仕様になっています。
リーフに使わせたいZ技
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ノーマル
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くさ
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でんき
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ドラゴン
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フェアリー