ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
ポケモンの化石をシゲルと一緒に掘っていたら、みんなが化石を掘り当てた所で目覚めた古代のポケモンそのものに襲われたり。
その時サトシが拾ったポケモンのタマゴからトゲピーが孵ったものの、サトシではなくカスミに懐いてしまったり。
そんなハプニングとアクシデントの末――。
私たちは、グレンシティへと辿り着いた。
……しかし。
グレンジムでも、アクシデントが待ち受けていたのだった!
「ここのジムリーダーは、温泉旅行ついでに挑んでくるようないい加減なトレーナーに嫌気がさして、ジムリーダーを引退してしまったのだ」
ボロボロになったグレンジムの前。
そう話すのは、地元の怪しげなおっちゃんだった。
そんな怪しげなおっちゃんは、ペンションの経営者でもあるらしい。
「今日は特別に泊めてやろう」
「ありがとうございます!」
というわけで、私たちはそのペンションに泊めてもらうことになった。
「上は大雨、下は大火事、なーんだ?」
突然、おっちゃんがなぞなぞを出してきた。
サトシが腕を組む。
「真夏のアスファルトに降る、突然の大雨?」
「グラードンとカイオーガの激突?」
私も答えてみる。
「それが答えのなぞなぞって嫌だなー……」
タケシが遠い目をする。
すると、カスミが呆れたようにため息をついた。
「温泉に決まってるじゃない……」
「正解!」
というわけで。
私たちは、ペンション自慢の天然温泉へやって来た。
「はぁ~~……溶ける~~……」
湯船に肩まで浸かり、思わず声が漏れる。
「リーフって、一見頼もしそうだけど……本当にだらしないわね……」
「だらしもたわしもありませんわ~~……」
温泉。
それは身体も心もほぐしてくれる、地球が生んだ最高の発明品だ。
永遠に浸かっていたくなる……。
「ピィ~♪」
どうやら、タマゴから孵ったトゲピーにも、温泉の素晴らしさが分かるらしい。
嬉しそうに湯船を泳いでいる。
本来、お風呂で泳ぐのはいけないのだが――。
女湯には私たちしかいない。
多少のヤンチャは大目に見てあげよう……。
そうして浸かること数十分。
「ピィ?」
トゲピーが、ギャラドスの形をした湯口に興味津々で近づいていく。
そして――。
カチッ。
「……?」
その瞬間。
ゴボゴボゴボ……。
「え?」
湯船の水が、みるみるうちに減っていく。
「ええっ!?」
ザァァァァ……。
「温泉ちゃん!?」
私は慌てて手を伸ばす。
「行かないで温泉ちゃん……!」
「嘆くところじゃないでしょ!」
カスミのツッコミが飛んでくる。
やがて湯が完全に抜けると――。
湯船の底から、地下へと続く階段が姿を現した。
「…………」
「…………」
「……行ってみる?」
「行くしかないでしょ!」
私たちは急いで着替え、サトシたちと合流して階段を降りていった。
そして――。
◆
「地下にバトルコート……?」
サトシが目を丸くする。
「よく整備されているわね。こんな地下のバトルコート、一体誰が使っているのかしら?」
地下には、地上のボロボロなジムとは正反対の、カスミが言う通り立派なバトルコートが広がっていた。
しかも――。
暑い。
ものすごく暑い。
まるで炎の中にいるような熱気が充満している。
その中央に、一人の男が立っていた。
「うおおおーす!」
先ほどまで好々爺のような雰囲気だった男が、突然大声を張り上げる。
「ペンションの管理人というのは表向きの姿!」
男が胸を張った。
「わしこそが、燃えるグレンジムのジムリーダー――カツラ!」
「「えええええ!?」」
この人がジムリーダーだったのか!
カツラさんは、先ほどまでとはまるで別人のように、元気いっぱいに地下空間に大きな声を響かせる。
「ワシはここで、やる気溢れるポケモントレーナーを待っておった!」
そして、こちらへ指を突きつける。
「さあ強者たちよ! バトルの用意はいいかー!!」
「望むところだ!」
「望むところよ!」
「「…………あ」」
またサトシと声が被った。
……今回はサトシに先を譲ろう。
「その勢いやヨシ!」
カツラさんが満足そうに頷く。
「しからば、そのヘッドフォンをつけるがよい!」
「ヘッドフォン?」
次の瞬間。
カチャッ。
地面から二つのヘッドフォンが飛び出してきた。
「えっと……これをつけてバトルするのかな?」
「なんでヘッドフォン? 音楽でも流しながら……」
私とサトシは、それぞれヘッドフォンを装着する。
その瞬間――。
「…………え?」
サトシの声が聞こえなくなった。
「サトシ?」
「…………」
サトシも口を動かしている。
けれど、何も聞こえない。
「サトシ、どうしたの!?」
「…………!?」
さらに――。
ガコンッ!
天井から黒い幕が降りてきた。
「えっ!?」
私とサトシの間を完全に遮る。
「サトシ!?」
向こうからサトシが何か叫んでいる。
しかし、声は届かない。
カツラさんの声だけが、ヘッドフォン越しに響く。
「そのヘッドフォンは、お互いの声だけが聞こえなくなる仕組み!」
「ええっ!?」
「これで互いに話すことも、ジェスチャーで情報を伝えることもできなくなった!」
なんて無茶苦茶な……!
カツラさんが楽しそうに笑う。
「ワシの試練はチャレンジャーが一体ずつ! ワシは二体を同時に繰り出してバトルを行う、変則ダブルバトル!」
「変則ダブル……!」
「互いのコミュニケーションが取れない中、どうやって燃え盛る炎ポケモンを攻略するかな!?」
「そんなルールありなの!?」
カスミが叫ぶ。
「いや」
タケシが落ち着いた声で答える。
「ポケモンリーグの定めたバトルルールにはマルチバトルもある。カツラさんは、特殊な状況でもチャレンジャーが戦えるかを見極めたいんだ」
なるほど……。
つまり今回、私が戦う相手はカツラさんだけじゃない。
コミュニケーションが取れないサトシが――。
敵になることも。
頼もしい味方になることもある。
そんな状況で、ポケモンたちとどう戦うか。
それが、この試練なのだ。
◆
「では始めるぞ!」
カツラさんが両手を広げる。
「レディィィ!?」
「行こう、オコリザル!」
「ムキムキッ!」
「リザードン、キミに決めた!」
「グオオオオオ!」
カツラさんもモンスターボールを投げる。
「燃え上がれ――ウインディ! ブーバー!」
「ワウッ!」
「ブーバァ!」
今回、選出予定だったロトムは外した。
水タイプになれるロトムだが、そのバトルスタイルは超変則的である。
その特殊さ故にサトシを振り回してしまう恐れがあるのだ。
代わりにオコリザルを選んだ。
選出理由はマンキー時代に遡る。
オコリザルは、ピカチュウのピンチを『みがわり』で助けたことがある。
正面から殴り合うだけではない。
仲間を守り、戦況を変える。
そのサポート能力に期待しての選出だ。
そしてサトシが選んだのはリザードン。
私が知る限り、炎タイプの技に耐性を持つポケモン。
そして私はライゼン山脈で、リザードンのバトルを見たことがあるため、連携を取りやすい。
今回のルールなら、かなり理にかなった選択だ。
だが――。
「…………」
ウインディとブーバー。
二体から放たれる熱気は、リザードンにも負けていない。
強敵だ。
「始めぇぇぇ!!」
「リザードン、げんしのちから!」
リザードンが翼を広げる。
周囲の岩が宙へ浮かび――。
「グオオ!」
一斉にウインディへ叩きつけられる。
ドガガガガッ!
「ウインディ!」
カツラさんが叫ぶ。
「しんそく! ブーバーはあやしいひかり!」
ウインディが一気にリザードンへ迫る。
その隙に、ブーバーが怪しい光を放った。
「……!」
リザードンが光を見た瞬間。
「グ……!?」
身体がふらつく。
まずい!
「オコリザル、いわなだれ!」
「ムキッ!」
オコリザルが大量の岩を叩き落とす。
ドガガガガッ!
地面へ激突した岩が次々と砕け散り、土煙が一気に舞い上がった。
「ウインディ、見失うな!」
「ブーバー!」
しかし、怪しい光は土煙に遮られ、リザードンには届かない。
「グオオ!」
リザードンが大きく後退する。
「オコリザルって、あんなこともできるんだ!」
カスミが驚く。
「サポート能力がかなり高い!」
タケシも感心したように頷いた。
「サトシのオコリザルとは、違った育て方をしているようだ!」
その一方で――。
カツラさんの目が鋭くなる。
「なるほど……まずはオコリザルから仕留めるのが上策と見た!」
「えっ……!」
「ウインディ、つばめがえし!」
「ワウッ!」
「ブーバー、ニトロチャージ!」
「ブーバァァ!」
二体が同時に飛び出す。
狙いは――オコリザル。
二体から放たれる攻撃の波動が、はっきりとオコリザルを捉えている。
「まずい……!」
このままじゃ避けきれない!
「オコリザル!」
その瞬間――。
「グオオオオッ!」
リザードンが飛び込んできた。
ガキィィン!!
ウインディとブーバーの攻撃を、両方まとめて受け止める。
「えっ……?」
リザードンが、こちらを振り向いた。
ほんの一瞬。
言葉は聞こえない。
でも――その目を見れば分かった。
「……!」
私は拳を握る。
「うん!」
リザードンは再び敵へ向き直る。
「リザードンは私が守る!」
声は届いていない。
それでも――。
「サトシ!」
私は叫ぶ。
向こう側で、サトシも叫んでいる。
「ああ!オコリザルは俺が守る!」
もちろん、その声は私には聞こえない。
だけど。
今は、それでいい。
私たちはポケモンを信じる。
そして――ポケモンたちも、互いを信じる。
「オコリザル!」
「リザードン!」
二人の声が重なる。
「いわなだれ!」
「げんしのちから!」
ドガガガガッ!!
無数の岩が降り注ぐ。
そして、宙に浮いた岩が次々と弾丸のように飛んでいく。
ウインディとブーバーの身体が、大きく揺らいだ。
「グルル……!」
「ブーバァ……!」
しかし、カツラさんは笑う。
「まだまだじゃ!燃え上がれ、二体とも!」
両手を天へ掲げる。
「フレアドライブじゃあああ!!」
ゴォォォォォォ!!
地獄の業火がフィールドを覆い尽くした。
岩すら赤熱し、土煙すら炎に呑まれていく。
「オコリザル!」
私は叫ぶ。
「ムキィィ!」
その姿は炎の向こう。
見えない。
聞こえない。
それでも――。
「……大丈夫」
私は拳を握った。
「オコリザルなら、きっと大丈夫!」
やがて、炎が晴れていく。
そして――。
そこに立っていたのは。
「なんとぉ!?」
リザードンだった。
その翼に包まれて――。
「ムキィ……!」
オコリザルが立っていた。
しかも、その両手を握りしめている。
「きあいだめ……!」
「ムキィィィィ!!」
オコリザルの全身から、凄まじい気迫が噴き上がった。
リザードンが翼を広げる。
その視線が、こちらを向く。
「……今だ!」
私は拳を突き出した。
「オコリザル、きあいパンチ!」
「ムッキィィィィィ!!」
ズドォォォォン!!
オコリザルの鉄拳が、ウインディを真正面から吹き飛ばした。
「ウインディィィ!?」
そして――。
リザードンも翼を広げる。
「グオオオオオオ!!」
サトシが叫ぶ。
リザードンの動きだけで、私は何を言っているのか理解した。
「りゅうのはどう!」
「行けぇぇぇぇ!!」
リザードンの口から、青白い炎が解き放たれる。
ドォォォォォォン!!
最大火力の一撃が、ブーバーを真正面から焼き尽くした。
そのまま二体は戦闘不能になった。
「うおおーす!良き連携だったぞ二人とも!」
ヘッドフォンを外した私はサトシとハイタッチを交わした。
「サトシ、ありがとう!」
「リーフが最初にリザードンを助けてくれたおかげさ!」
言葉は通じず、最初はどうすればいいのかわからなかった。
でも、行動で示したらそれに応えてくれた。
言葉なんていらない。
「守りたい」
その気持ちを、行動にする。
そうすれば――。
ポケモンは、ちゃんと応えてくれる。
それは野生のポケモンと絆を結び、ゲットする過程によく似ていた。
「マグマより熱い絆、ヨシ!」
カツラさんが満足そうに頷く。
そして、二つのバッジを持ってきた。
「お前達にこそ、これは相応しい! クリムゾンバッジだ!」
「「クリムゾンバッジ、ゲットだぜ!」」
◆
「じゃあね、サトシ。」
「アオン!」
フェリーに乗った私は港側のサトシ達に大きく手を振った。
トキワシティに戻るサトシ達とはここでお別れだ。
「じゃあなリーフ!ポケモンリーグで会おうぜ!」
「しっかりねー!」
「元気でなー!」
「ピッカチュウー!」
カスミ、タケシ、そしてピカチュウ。
短い間一緒にいたが、みんな素敵な仲間達だった。
フェリーは進む。次なる目的地はクチバシティーー電気タイプのジムリーダー、マチスのジムだ。
・ダブルバトル、試しに書いてみたけど難しい……
今後ダブルバトルは書かないかも
・サトシ達とはここでお別れ
一度マサラタウンに戻ってから、トキワジムに挑む予定とのこと
リーフに使わせたいZ技
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ノーマル
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くさ
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でんき
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ドラゴン
-
フェアリー