ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている   作:はらへりニャンコ

53 / 53
第50話 ラストピース

 

 

 

 

 

これまでカントー中を旅して、集めてきたバッジは七個。

 

手持ちのポケモンは――。

 

リオル・フシギバナ・オコリザル・ロトム・メタングの五体。

 

そして今日。

 

カントー地方最後の一匹が、私の仲間になる。

 

◆

 

クチバシティ郊外にあるポケモン研究所。

 

そこで私を待っていたのは――。

 

「ブイブイ!」

 

元気いっぱいの、茶色いポケモンだった。

 

「久しぶり、イーブイ!」

 

私はしゃがみ込み、両手を広げる。

 

するとイーブイは、嬉しそうに私の胸へ飛び込んできた。

 

「ブイ~!」

 

「ふふっ」

 

かつて進化の街で出会った、進化しないイーブイ。

 

その毛並みのもふもふっぷりは、私の記憶にあったそれと、全く変わっていなかった。

 

あの時はキョダイマックスして暴走してしまったけれど――。

 

その後、研究者たちが詳しく調査を続けてくれていた。

 

なんでもキョダイマックスできる力を持つイーブイは進化できないというのが彼らの立てた結論らしい。

 

そして昨晩。

 

調査を終えたイーブイを、私に譲りたいという連絡が届いたのだ。

 

「でも……本当に私でよかったんですか?」

 

私はイーブイを優しく撫でながら尋ねる。

 

すると、研究員の一人が笑顔で答えてくれた。

 

「はい。あの時、リーフさんはイーブイのことを何度も心配してくれましたよね」

 

「……」

 

「あのことを、イーブイも覚えていたのでしょう」

 

研究員は、少しだけ笑みを深くする。

 

「研究所に戻ってきてからも、何度もリーフさんの写真を眺めていたんですよ」

 

「写真を……?」

 

「ええ」

 

研究員が一枚の写真を見せてくれる。

 

そこには――。

 

進化の街で撮ったのであろう、私が写った写真をじっと見つめるイーブイの姿が写っていた。

 

「ブイ……」

 

イーブイが少し照れくさそうに鳴く。

 

「……イーブイ」

 

思わず頬が緩んだ。

 

あの時は、ただ目の前で苦しんでいるこの子を助けたいと思っただけだった。

 

まさか。

 

こんな形で、もう一度会えるなんて。

 

「きっとリーフさんなら、この子を幸せに育ててくれるはずです」

 

研究員がイーブイを見る。

 

「これから、よろしくお願いしますね」

 

「ブイブーイ!」

 

イーブイが元気よく鳴いた。

 

私はイーブイを抱き上げる。

 

「分かりました」

 

そして――。

 

「これからよろしくね、イーブイ!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが嬉しそうに尻尾を振る。

 

こうして。

 

私の手持ちに――。

 

最後の仲間が加わった。

 

◆

 

「それと、これもどうぞ」

 

「……?」

 

研究員から渡されたのは、一つの腕輪だった。

 

「これは……?」

 

「ダイマックスバンドです」

 

「ダイマックスバンド!?」

 

思わず声が大きくなる。

 

「はい。イーブイはキョダイマックスが可能な個体ですから」

 

研究員が説明する。

 

「ただ、私たちはポケモンの進化に関する研究が中心です」

 

そう言って、研究員は苦笑する。

 

「ですから、ダイマックスに関する設備や研究資料を持っていても、私たちには使う機会がほとんどありません」

 

「そんな大事なものを……?」

 

「イーブイをお願いするお礼とでも思ってください」

 

「でも……」

 

私が戸惑っていると、研究員は優しく笑った。

 

「それに、この子がこれから旅をするなら、きっと必要になるかもしれませんから」

 

「……」

 

私は腕輪を見る。

 

そして、隣で嬉しそうに尻尾を振るイーブイを見る。

 

「……ありがとうございます」

 

本当に。

 

何から何まで感謝してもしきれない。

 

「大切に使います」

 

◆

 

研究所を出る。

 

隣には――。

 

「ブイ!」

 

新しい仲間。

 

「これで……六匹」

 

私は腰のモンスターボールを眺める。

 

七つのバッジ。

 

六匹の仲間。

 

カントー地方の旅も――。

 

いよいよ最後の一歩だ。

 

「残るバッジは、あと一つ」

 

私は前を見る。

 

目的地は――。

 

ヤマブキシティ。

 

カントー最大級の都市にして、エスパータイプのジムリーダー・ナツメが待つ街。

 

「……よし」

 

最後のピースが揃った。

 

なら――。

 

最後のバッジを取りに行こう。

 

「行こう、イーブイ!みんな!」

 

「ブイブイ!」

 

私たちは、ヤマブキシティへ向かって歩き始めた。

 

◆

 

そして――。

 

ヤマブキシティ。

 

巨大な都市の中心部。

 

その一角に、異様な存在感を放つ建物が立っていた。

 

「あなたがここに来るのを待っていたわ、リーフ」

 

「え?」

 

振り向く。

 

そこに立っていたのは――。

 

不思議な波動を漂わせる、カントー屈指の超能力者。

 

そして――。

 

ヤマブキジムのジムリーダー、ナツメさんだった。

 

いつの間にか背後を取られていた……

 

「ナツメさん……」

 

「久しぶりね」

 

ナツメさんは静かに私を見る。

 

その瞳は、まるで私の奥底まで見透かしているようだった。

 

「かつて私たちは、二度すれ違った」

 

「……」

 

「一度目は、私の用意ができていなかったから」

 

ナツメさんが指を一本立てる。

 

「二度目は――あなたの心が不安定だったから」

 

二本目の指が立つ。

 

「そして、ようやく三度目」

 

ナツメさんが、わずかに微笑んだ。

 

「こうなる予感は、だいぶ前からしていたわ」

 

「予感……?」

 

「ええ」

 

ナツメさんはジムの扉へ視線を向ける。

 

「あなたがここへ来ることを」

 

「……」

 

何だろう。

 

この人に見つめられていると、妙に落ち着かない。

 

それなのに――。

 

不思議と逃げたいとは思わなかった。

 

「今回の私のジムバトルは3vs3」

 

ナツメさんが淡々と告げる。

 

「さらに特殊ルールとして、メガシンカやダイマックスなどの特殊戦術を、一度だけ使用可能とするわ」

 

「わかりました」

 

私は頷く。

 

定位置となった肩の上では――。

 

「ブイブイ!」

 

イーブイもやる気満々だ。

 

私はその小さな身体を軽く撫でる。

 

「大丈夫」

 

やれることは、全部やってきた。

 

七つのバッジ。

 

六匹の仲間。

 

そして――。

 

目の前には、最後のジム。

 

「さあ、最後のバッジを取りに行こうか」

 

「ブイ!」

 

私たちは、ヤマブキジムに入ると互いにバトルコートで向き合った。




・リーフのカントーパーティ、これにて完成
リオル、フシギバナ、オコリザルの性別は♂。イーブイだけが♀です。

リーフに使わせたいZ技

  • ノーマル
  • くさ
  • でんき
  • ドラゴン
  • フェアリー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ただ思うがままに初代ポケモンの世界を堪能するTSおっさんのお話(作者:茜 空)(原作:ポケットモンスター)

タイトル通り。▼初代ポケモンの世界に入り込んだおっさんがただただこの世界を堪能するだけのお話。▼実際プレイして、それを元に自由気ままに面白おかしく書いています。▼独自設定あり。▼主人公は脳内思考は男のまま、会話や外面はキャラ作ってます。▼ロールプレイってそういうもんでしょ。▼ただ、女の子の身体と年齢に精神共々色々引っ張られてる模様。しょうがないね。▼不定期更…


総合評価:53/評価:4/連載:22話/更新日時:2026年10月25日(日) 15:10 小説情報

めざせ、ポケモンマスター!(作者:瓶詰め蜂蜜)(原作:ポケットモンスター)

アニポケのサートシくんに転生した。▼けど、この世界はどうやら前世で見ていたアニポケのものとは違うようで……。▼どうせサートシくんに転生したのなら、全ての種類のポケモンと出会い、ポケモンマスターになる事を目指してもいいよな!▼


総合評価:1048/評価:7.89/連載:31話/更新日時:2026年10月18日(日) 10:03 小説情報

ポケットモンスター~波動の眼を持つ少年~(作者:レイザル)(原作:ポケットモンスター)

なんか知らん間にアニポケの世界に転生してた。そんなポケモン大好きな主人公が送る▼物語だ。とりあえずポケモン廃人でありながらもエンジョイすることは忘れないぜ!


総合評価:980/評価:7.57/連載:83話/更新日時:2026年10月27日(火) 12:00 小説情報

主人公じゃない私のポケモンワールド異聞録(作者:時緒)(原作:ポケットモンスター)

死んだら異世界転生した。転生先はカントー地方マサラタウン。性別は女で続投。▼世間のトレンドに乗った形とはいえスーパーマサラ人ほどの身体能力は無いし、ポケモンの言葉が分かるわけでもないし、超能力者でも高貴な一族の末裔でも勇者の生まれ変わりでもない。何より肝心のポケモン知識がお粗末すぎて、転生ものでお約束の俺TUEEE展開なんてものは夢のまた夢。▼せめて主人公達…


総合評価:2205/評価:8.51/連載:33話/更新日時:2026年10月05日(月) 07:00 小説情報

映像機画版携帯獣世界転生物語(作者:こうすけ増田劇場版)(原作:ポケットモンスター)

なんか知らんがアニポケの世界に転生してた。


総合評価:2989/評価:7.46/連載:41話/更新日時:2026年10月25日(日) 00:05 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>