ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
「行くよ、イーブイ!」
「……バリヤード」
「ブイブーイ!」
「バリバリー!」
イーブイ、最初のバトル。
お相手は、パントマイムパフォーマーのような姿をしたポケモン――バリヤードだ。
「イーブイ、かみつく!」
「……リフレクター」
イーブイが鋭い牙を剥き出しにして突っ込む。
しかし、バリヤードの前に透明な障壁が展開された。
ガキン!
「ブイ!?」
イーブイの牙が弾かれる。
「わるだくみ。繋げて、マジカルシャイン」
バリヤードの身体から、強烈な光が迸った。
一度、二度、三度。
連続で発射された光弾が、イーブイへ襲いかかる。
「イーブイ、すなかけ!」
「ブイ!」
イーブイが地面を蹴り上げる。
舞い上がった砂塵が視界を覆い、マジカルシャインの光を逸らしていく。
しかし完全には避けきれない。
「ブイッ!」
わるだくみによって強化された攻撃が、イーブイの身体を掠める。
「イーブイ!」
「ブイ……!」
まずい。
このままでは押し切られる。
「戻って、イーブイ!」
私はボールを構える。
「お願い、メタング!」
「メタァ!!」
イーブイを戻し、代わりにメタングを繰り出す。
「……マジカルフレイム」
「サイコショック!」
バリヤードの手から不思議な色をした炎が放たれる。
対するメタングは、念動力を一点に集中。
二つの攻撃が正面からぶつかり合った。
ゴオオオッ!
「メタァァ……!」
「バリ……!」
炎と超能力が拮抗する。
「わるだくみ……」
ナツメが次の指示を出そうとしたその時。
「とっしん!」
「……!」
メタングが炎の中へ突っ込んだ。
「メタァァァァッ!!」
マジカルフレイムの熱をものともせず、一直線に突き進む。
「……!」
ナツメの目が僅かに見開かれる。
「サイコショック……特殊技でありながら、相手の防御を使って攻撃する技」
ナツメはメタングを見つめる。
「その性質を利用して、リフレクターに僅かな隙間を作った……そこを抜けてきたのね」
ナツメの分析通り。
メタングはリフレクターの障壁を正面から破壊するのではなく、サイコショックで生じた僅かな隙間を強引にすり抜けた。
「バリーン!?」
そのままメタングの身体がバリヤードへ激突する。
ドゴォン!
「バレットパンチ、連続で!」
間髪入れず。
メタングの拳が光を纏う。
ドゴッ!ドコドコッ!
「バリバリーン……!」
バリヤードが大きく吹き飛び、そのまま地面に倒れた。
「……」
「バリヤード、戦闘不能!」
「ふぅ……」
私は小さく息を吐いた。
危なかった。
もし、あのままひかりのかべまで貼られていたら、さらに厳しい戦いになっていただろう。
それに――。
「メタング」
私はメタングを見る。
マジカルフレイムの中に突撃するなんて、かなり無茶をさせてしまった。
「大丈夫……?」
「メタァ!」
メタングは片腕を高く持ち上げ、元気よく答えた。
まだまだ大丈夫。
そう言っているようだった。
「……よし!」
ナツメが静かにモンスターボールを取り出す。
「……次は、この子よ」
ボールが開く。
「ライチュウ」
「ライラーイ!」
「……!」
出てきたのは、黄色いライチュウ。
しかしマチスさんのライチュウとは明らかに違う。
耳の先が黒く、尻尾の形も違う。
「アローラ地方のライチュウ……!」
リージョンフォームだ。
「飛んで」
「ライ!」
ライチュウが自らの尻尾を足元へ滑り込ませる。
その瞬間残っていたリフレクターが、ライチュウのサイコパワーに反応するように形を変えた。
まるで、大きな波のように隆起していく。
「ライラッ!」
ライチュウはその上へ飛び乗る。
まるでサーフィンでもするように、リフレクターの上を滑っていく。
「……10万ボルト」
「ライラーイ!」
バチバチバチッ!
上空から、無数の電撃が雨のように降り注ぐ。
「メタング、でんじふゆう!」
「メタァ!」
メタングの身体が浮かび上がる。
「バレットパンチで追いかけて!」
「メタァ!」
メタングが拳を構え、上空のライチュウを追いかける。
だが、ライチュウの方が圧倒的に速い。
「……!」
ライチュウはリフレクターを足場に、縦横無尽に飛び回っている。
メタングの拳が空を切る。
「ライ!」
「メタァ!」
追いかける。
逃げる。
その繰り返し。
そして――。
「今よ」
「ライラーイ!」
バチィィィン!!
至近距離から放たれた10万ボルトが、メタングを直撃した。
「メメメメメッ!?」
「メタング!」
メタングの身体が激しく痙攣する。
そのまま地面へ落下――。
ドォン!
「メタァ……」
「……!」
まだだ。
まだ立てる。
そう思った瞬間。
「……かみなり」
「ラァーイ!」
ゴロゴロゴロゴロ……。
天井の向こうから、雷鳴が響く。
「え?」
次の瞬間。
バァァァン!!
巨大な雷が天井から降り注ぎ、メタングを地面へ叩き落とした。
「メタァ……」
「メタング、戦闘不能!」
「……」
私は唇を噛む。
完全にしてやられた。
ライチュウの速さに、メタングではついていけなかった。
最初からこうそくいどうを積んでいれば――。
いや、今さら後悔しても遅い。
ライチュウは、まだ空を飛んでいる。
あの速度にあの機動力。
ロトムでも追いかけるのは難しいだろう。
「……だったら」
私は隣を見る。
そこには私の新しい仲間が、今か今かと出番を待っていた。
「ここは任せたよ、イーブイ!」
「ブイブイ!」
私は一度、イーブイをボールへ戻す。
ここは――切り札の使いどきだ!
◆
かつて、ダイマックス現象はガラル粒子が存在するガラル地方独自の物であった。
しかし、月面開発の中で見つかった月の願い星がダイマックス研究を1000年進め、バトルの常識を変えた。
宇宙空間の太陽光発電で生産された電力を、大量の願い星で安定した人工ガラル粒子に変換して地上へと届ける『クレセリアシステム』が提唱されたのだ。
今は各地方の大きなバトルスタジアムで試験運用が行われており、ダイマックスが世界中のポケモンバトルで使われる戦術になる日もそう遠くないだろう。
閑話休題。
右腕につけたダイマックスバンド。
その内部のねがいぼしとスタジアム中のガラル粒子が結びつき、イーブイにエネルギーが集まる。
赤い光を纏ったイーブイを、私は勢いよくスタジアムへ投げた。
「キョダイマックス!」
「ブゥ〜イ〜!」
もふもふの塊がスタジアムを揺らす。
かつて私をもふもふの虜にし、サトシ達と全力を尽くしてなんとかしたキョダイマックスイーブイ。
こうして仲間として見る背中の、なんと頼もしいことか。
「……そう、ここでそれを使うのね」
巨大なイーブイを見ても、ナツメさんの冷静さは変わらない。
「イーブイ、キョダイホウヨウ!」
「まもる!」
ライチュウが尻尾を盾にして防御の姿勢をとる。
しかし――。
ズドォォォン!
巨大なイーブイのもふもふが、ライチュウを押し潰した。
「ラァ〜イ〜……♡」
もふもふから出た後のライチュウは、すっかりイーブイの虜だ。
「……メロメロ状態」
ナツメさんが静かに呟く。
「ダイアーク!」
「ブゥイィィィ!」
イーブイの周囲に巨大な闇の触手が現れる
触手はライチュウの周りを囲むと、漆黒の大爆発を引き起こした。
ドォォォン!!
「ラァ〜イ〜……」
「ライチュウ、戦闘不能!」
「いいよ、イーブイ!」
「ブゥイ〜!」
私は大きく手を振る。
これでナツメさんの手持ちは最後の一匹だけ。
ナツメさんはライチュウをボールへ戻す。
そしてキョダイマックスイーブイ越しに、私を見つめた。
「……ここまでは、そんな予感がしていたわ」
「そうですか?」
「ええ」
ナツメさんは、わずかに目を細める。
「私の未来予知は、滅多に外れないの」
そう言うと、ナツメさんは最後のモンスターボールを取り出した。
「この後の予知もね……!」
「……!」
ボールが開く。
「フー!」
飛び出してきたのは、二本のスプーンを持った黄色いポケモン――フーディン。
そしてナツメさんは、もう一つの道具を取り出した。
スプーンのような形をした器具。
その握り手には、小さな球体が埋め込まれている。
ナツメさんが、その球体へ軽く触れた。
「……!」
空気が震える。
「来る……!」
私は直感する。
「フーディン――メガシンカ!」
フーディンの身体が虹色の光に包まれる。
その姿が、大きく変化していく。
体表は紫色が占める割合が増え、顎には立派な髭が生えた。
そして宙には、五本のスプーンが浮かび上がる。
「……!」
ナツメさんの切り札、メガフーディン。
ジムバトルは、いよいよクライマックスへ突入しようとしていた。
・月の願い星とダイマックスの普遍化
月の願い星はムゲンダイナの亡骸。かなり綺麗な状態で残っており、地上に持ち帰るよりそのまま宇宙空間で利用した方が効率的だということで『クレセリアシステム』が開発されました。
現状の課題は地上でガラル粒子を取り扱うのに必要な、願い星に代わるガラル粒子制御デバイスの開発。
その為マクロコスモスのムゲンダイナ研究は止まっていません。悪の組織にムゲンダイナの存在がバレると確実に狙われるので、秘密裏に進めないといけないのが辛いところ。
リーフに使わせたいZ技
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くさ
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でんき
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ドラゴン
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フェアリー