ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
メガシンカ。
人とポケモンの絆によって、ポケモンの限界を超えた進化を行う特殊戦術の代表格。
メガフーディンから溢れ出す波動の力は、これまで見てきたどのポケモンとも比べものにならない。
「進化を超えたメガシンカ……実際に見るのは初めてかしら?」
「はい……」
ナツメさんは淡々と語る。
「昨今のポケモンリーグでは、特殊戦術を使ってくるトレーナーは珍しくないわ。本当はジムリーダーが使うべきものではないけれど……」
……って。
特殊戦術ありの追加ルール、勝手に設けたの!?
そんな私の心のツッコミをよそに、ナツメさんは静かに言葉を続けた。
「……ポケモンリーグに挑みたければ、私を倒してから行きなさい」
無理やり話を終わらせたナツメさんが、メガフーディンへ指示を飛ばす。
「メガフーディン、サイコキネシス」
「イーブイ、キョダイホウヨウ!」
「ブゥ〜イ〜!」
巨大化したイーブイが、メガフーディンへ勢いよくのしかかる。
しかし。
「……!」
メガフーディンは念動力を使い、迫り来るもふもふの巨体を押し返した。
そのまま空中へ浮かせたイーブイを――。
「……!」
五本のスプーンが一斉に動く。
ドゴッ!
「ブイッ!?」
スプーンによる強烈な一撃が、イーブイの身体を弾き飛ばした。
その衝撃もあってか、キョダイマックスの制限時間が尽きる。
イーブイの身体を包んでいた巨大な光が消え、元の大きさへ戻っていく。
「イーブイ、かみつく……!」
「サイコキネシス」
イーブイが飛びかかる。
しかし、その前にメガフーディンの念動力がイーブイの身体を掴んだ。
「ブイッ!?」
宙へ持ち上げられ……。
ドゴォン!
地面へ叩きつけられる。
「イーブイ!」
さらに念動力によって身体を振り回され、何度も地面へ叩きつけられる。
「ブイ……」
最後の一撃。
ドォン!
イーブイは、その場に力なく倒れ込んだ。
「イーブイ、戦闘不能!」
「……」
私は倒れたイーブイを見つめる。
「……強い」
エリカさんにキョウさん、マチスさん
これまで戦ってきたジムリーダーたちは、皆強かった。
けれど――。
ナツメさんは、その中でも別格だった。
放たれるプレッシャーが、まるで違う。
それも相まって、実際以上に強く見えてしまう。
「……でも」
私は残ったモンスターボールを見る。
「これで最後だ」
笑っても泣いても、これが最後のジム。
そして、最後のバトル。
あとは――。
「ポケモンを信じるだけだ」
私はボールを握りしめる。
「決めるよ、ロトム!」
「ロトロトロト!」
ボールから飛び出して来たのは、ここヤマブキシティの地下で出会ったロトム。
今回はフォルムチェンジせず、ゴーストタイプのままバトルする。
「……来たわね」
ナツメさんが、静かにロトムを見つめる。
「ロトム、あやしいひかり!」
「ロト!」
ロトムの身体から、不思議な光が放たれる。
「マジカルシャイン」
メガフーディンも光を放つ。
二つの光が正面から激突し――。
バァン!
閃光が花火のように飛び散った。
「トリックで回り込んで、シャドーボール!」
「ロトォ!」
閃光に視界を奪われた、その一瞬。
ロトムが姿を消すと、メガフーディンの背後へ回り込んだ。
「シャドーボール!」
ズドン!
至近距離から放たれた闇の弾が、メガフーディンへ直撃する。
「……!」
しかしメガフーディンは倒れない。
「まだまだ元気……って顔してるね」
「ええ」
ナツメさんは微笑む。
「サイコキネシス」
「……!」
メガフーディンの周囲から、凄まじい念動力が迸った。
「ロトォ!?」
ロトムの身体が見えない力に捕らえられる。
「ロトム、トリックで逃げて!」
「ロトッ!」
ロトムが一瞬で姿を消す。
まるでテレポートしたかのように、一瞬でサイコキネシスの拘束から抜け出した。
……だけど。
「その程度、既に予知しているわ」
「……!」
逃げた先にはすでにメガフーディンが立っていた。
「終わりよ」
五本のスプーンが宙を舞う。
そして、メガフーディンの両手にも闇の力が集まっていく。
「シャドーボール」
「……!」
スプーンから五つ。
さらに、両手から二つ。
合計七つのシャドーボールが生み出される。
「ロト……!」
七つの闇が、ロトムを囲む。
逃げ場がない。
「これで終わりよ」
シャドーボールが一斉に放たれる。
その瞬間。
「――そこだあああっ!」
「ロトォッ!」
ロトムが最後の切り札を切った。
七つのシャドーボール。
そのうち五つの軌道が、突然変化する。
「……!」
メガフーディンへ向かって飛んでいく。
「!?」
ドゴォン!ドゴォン!ドドドゴォン!!
五つのシャドーボールが、メガフーディンへ連続して直撃する。
「フーディン!?」
ナツメさんの表情が初めて大きく揺れた。
「最後の賭け……!私たちの勝ちだ!」
……いや、まだだ。
まだ、終わっていない。
メガフーディンは五発もの攻撃を受けても、倒れていない。
だったら――。
「ロトム!」
「ロト!」
私は叫ぶ。
「シャドーボール、一杯!」
「ロトォォォ!」
ロトムが空高く浮かび上がる。
その身体から、一発。
そして――。
メガフーディンから奪い取った五本のスプーン。
そこに込められた念力によって、五つのシャドーボールが新たに生み出される。
合計六発。
「行けぇぇぇ!」
六つの闇が、一斉にメガフーディンへ襲いかかる。
「……!」
ナツメさんが目を見開く。
「……やられた」
ナツメさんは、静かにロトムを見つめる。
「トリックによる移動は、気を引くためのブラフ……本命は、メガフーディンの使うスプーンを奪うことだったのね……!」
その通り。
最初から、スプーンを奪うためにトリックを繰り返していた。
そして今。
そのスプーンを使って、メガフーディン自身の力を利用している。
「シャドーボール!」
ドドドドドドッ!
六発のシャドーボールが、ほぼ同時にメガフーディンへと叩き込まれる。
「フーディン!」
ナツメさんが叫ぶ。
メガフーディンは、まだ倒れない。
「……!」
これでも耐えるのか。
なら――。
「ロトム!」
「ロト!」
私は最後の指示を叫んだ。
「ポルターガイストォ!」
「ロトロトロトォォォ!」
ロトムの周囲に五本のスプーンが集まる。
スプーンが回転し、渦を巻き――。
巨大な闇となって、メガフーディンへ襲いかかった。
「――!」
何度もシャドーボールによって特防をググッと削られたメガフーディン。
そこへ叩き込まれる、ロトム最大級の一撃。
「ロトォォォォォッ!」
ゴオオオオオオッ!
暗黒の嵐がメガフーディンを包み込むと、その巨体を空高く巻き上げた。
「フーディン!」
次の瞬間。
ドォォォン!!
メガフーディンが地面へ叩き落とされる。
静寂。
スタジアム中が、しんと静まり返る。
やがて――。
メガフーディンを包んでいた光が消えていく。
メガシンカが解除された。
「……」
ナツメさんは、倒れたフーディンを見つめる。
そして――。
「フーディン、戦闘不能!」
審判が高らかに宣言する。
「よって、勝者――チャレンジャー・リーフ!」
「……!」
「やったあああ!」
私は思い切り拳を突き上げた。
「ロットォォ!」
ロトムも嬉しそうに私の周囲を飛び回る。
「やった……!」
最後のジム。
最後のバトル。
「勝った……!」
私はロトムを抱きしめた。
「ありがとう、ロトム!」
「ロトロト!」
こうして。
私のカントー地方ジム巡り。
最後の戦いが――終わった。
◆
「ゴースト、ゴールドバッジよ」
「ゴ〜ス」
何処からともなく現れたゴーストが、ゴールドバッジを手渡してくれた。
……って、ゴースト?
エスパージムのオチがゴーストタイプってあり?
「コイツの数少ない友達みたいなものさ。演出だと思っておくれ」
いつの間にか、バトルコート横の観客席には元気そうな老婆が立っていた。
「それよりもナツメ! また勝手にジムのルールを変えたね! メガシンカは流石にアウトだよ!」
「キクコ……この前、四天王会議で特殊戦術推奨派でしたよね……」
「でしたもヘチマもないよ! また下らないことに超能力を使ったね! それと、『キクコさんとお呼び』って、何回言ったら分かるんだい!」
キクコと呼ばれた老婆は、ナツメを叱りながら私の前へ歩いてくる。
「ナツメ。この子がリーフだね?」
「ええ」
「そうかい」
老婆は私を見ると、ニヤリと笑った。
「あたしゃキクコ。カントー四天王で、ワタルやカンナの同僚さ」
「四天王!? どうしてここに!?」
「このナツメは困ったちゃんでね」
キクコさんは呆れたように肩をすくめる。
「気に入らないチャレンジャーは超能力でジムから追い出し、気に入った奴は人形にしてコレクションしちまう。挙句の果てに『予知夢で見た』ってことで、チャレンジャーを徹底的にメタってしまうのさ」
「……」
「その結果、攻略者はゼロ。みんな人形にされちまったってわけだ」
「は、はぁ……」
……ヤマブキジム。
思っていた以上に魔境だった。
「流石にやり過ぎだってことで、この私が監督役を務めているんだよ」
キクコさんは、やれやれと首を振る。
「全く。純粋にバトルを楽しめないのかねぇ!」
「キクコの言う『バトルを楽しむ』は、一方的に相手をボコボコにするの間違い……」
「ナツメ!」
ナツメさんが淡々と言い返す。
「手加減が下手くそすぎて、今まで取った弟子にはみんな逃げられてしまったの……」
「お黙り!」
……なんだろう。
そう言い合っている二人の間に流れる空気は、不思議と穏やかだった。
まるで、年の離れた母親と娘みたいだ。
「それより、こいつで今期のチャレンジャーは最後なんだろ?」
キクコさんが私を見る。
「どうせなら、弟子にとっちまいな!」
「弟子ですか!?」
「リーグで勝つには、それが手っ取り早いだろ?」
キクコさんは大きくため息を吐く。
「あたしゃ仕事が多くてね。我儘娘のお守り……ゲフンゲフン、監督役をいつまでも務めるわけにはいかないのさ」
「私は、あなたがいいならいいけど……」
ナツメさんが私を見る。
「どうする?」
ジムリーダーに弟子入りすれば、確かに強くなれる。
それに私の手持ちには、エスパータイプのメタングがいる。
強く育てるためのアドバイスも聞けるかもしれない。
「……」
私はナツメさんを見る。
そして――。
「はい!」
私は元気よく返事をした。
「よろしくお願いします!」
「……そう」
ナツメさんは、ほんの少しだけ笑った。
こうして。
ヤマブキジムでの激闘を終えた私は――。
新たな師匠を得ることになった。
ナツメは媒体によってキャラが大きく違うけど、書いてみたらなんとかなった。
リーフに使わせたいZ技
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ノーマル
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くさ
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でんき
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ドラゴン
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フェアリー