ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている 作:はらへりニャンコ
「アタシはマツリカ。アローラから、きたんだ」
マツリカと名乗った、絵の具の香り漂う金髪の女性。
その隣には、蝶のような、妖精のようなポケモン――アブリボンがいる。
最低限の旅道具と、大きなスケッチブック。
どうやら、かなり身軽な旅をしているらしい。
「カントーの自然とポケモンを絵にしたいんだけど、絶好のスポットがわからなくて」
「それで、道案内をしてほしいと」
「そう!」
なるほど。
ひょっとしたら、この人が第一の試練に関わっているのかもしれない。
ナツメさんは、クチバシティに行けば「世界を教えてくれる人」がいると言っていた。
目の前にいるのはアローラ地方から来た女性。
条件は、かなり一致している。
「いいよ。手伝ってあげる」
私は笑って手を差し出した。
「私はリーフ。よろしくね」
「よろしく、リーフ!」
マツリカは嬉しそうに、その手を握った。
◆
「それで、マツリカは何か描きたいものがあるの?」
歩きながら尋ねると、マツリカはスケッチブックを抱えたまま答えた。
「いつもはアローラの風とポケモンが導くまま、いいなと思ったものを描いてるの」
「……」
むう。
分からん。
何をマツリカちゃんが求めているのか、さっぱりだ。
そんな私の横で――。
「アオーウ」
いつの間にか、リオルがマツリカのスケッチブックを覗き込んでいた。
そして、嬉しそうに笑っている。
「うわっ、これいいじゃん!」
私も覗き込む。
絵心というものには、とんと自信がない私でも一目でわかった。
これは凄い。
火山の噴火を見つめる登山家とブーバー。
水平線に沈む夕陽を眺めるアシレーヌ。
夜空に輝く、色とりどりのメテノ。
森の奥にあるツリーハウスで暮らすヤレユータン。
どの絵にも、アローラの豊かな自然と、そこに暮らすポケモンたちが描かれている。
自然の中で生きるポケモン。
ポケモンと共に暮らす人々。
その両方が、絵の中で一つになっていた。
「凄い……」
思わず見入ってしまう。
「いつも、こういう自然とポケモンを描いてるの?」
「そう」
マツリカは嬉しそうに頷いた。
「自然は素晴らしい。全ての人とポケモンを包み込む大きさ」
独特な口調で語るマツリカ。
「ふむ……」
自然の中に生きるポケモン、か。
そうなると――。
あそこがオススメだな。
◆
「というわけで、やってきました!」
私は両手を広げる。
「セキチクシティの自然保護区!」
「ポケモンがイキイキ! 最高!」
メタングに乗ってやってきたのは、セキチクシティにあるサファリパーク横の自然保護区。
ここには昔から続いているポケモン牧場がいくつも存在し、ケンタロスやガルーラ、コダックといったポケモンたちが、のびのびと暮らしている。
「アローラにも牧場はあるけれど、こんなにも大きくて、人との距離が近いところは見たことない」
「へぇ。昔住んでたマサラタウンなんかにもあるし、ポケモン牧場って言えば、こういうものなのかなーって思ってた」
「これがカントーの自然……人との繋がり!」
マツリカの目がキラキラと輝く。
どうやら、かなり気に入ってくれたらしい。
すると彼女はスケッチブックとペンを取り出し――。
「リーフも、お絵描きしよ!」
「私も!?」
思わず自分を指差す。
「下手くそだよ!?」
「絵に上手い下手はない」
マツリカは真剣な顔で言った。
「自然とポケモンをよく見れば、筆が進むよ!」
「……そういうものなの?」
というわけで。
私も絵に挑戦してみることになった。
何を描こうかと辺りを見渡す。
すると、池の上の岩でゴロンと横になっているヤドンが目に入った。
「あれなら、あまり動かなそうだし……」
ヤドンを描いてみる。
……が。
「…………」
予想の何倍も難しい。
「お肌のヌメヌメに覆われた桃色って、どうやって描けばいいの……」
「メタァ……」
絵を描くのに集中しすぎた私を気遣って、メタングが声をかけてくれた。
「ん?」
よく見ると――。
自慢の鋼鉄が、少し曇っているではないか。
「……あ」
これはいけない。
私は絵筆を置く。
「ちょっと待ってね。磨いてあげる」
布を取り出して、メタングの身体を丁寧に拭いていく。
「メタァ……」
「うんうん。ここも汚れてるねぇ」
磨けば磨くほど、メタングの身体がピカピカになっていく。
「……うん。やっぱり綺麗」
「メタァ!」
そんなことをしているうちに――。
「リーフー、どんな絵描けたー?」
「ハッ!?」
マツリカの声で我に返る。
しまった。
メタング磨きに夢中になってしまい、絵を描くのを完全に忘れていた!
「えっと……」
私の前にあるのは、ほとんど何も描かれていないスケッチブック。
「……」
「……」
マツリカが、私のスケッチブックを見る。
「……」
「……」
そして、にっこり笑った。
「わかるよ」
「え?」
「アブリボンを描こうとすると、鱗粉の飛び散り方に拘りたくなって、日が暮れちゃうから」
「いや、それはマツリカだけじゃないかな!?」
どうやら、この人も相当な凝り性らしい。
するとマツリカが、何かを思い出したらしく、突然顔を上げた。
「そうだ!」
「ん?」
「向こうで、搾りたてのモーモーミルクを使ったソフトクリームが売ってたんだ」
「ソフトクリーム!?」
「休憩がてら、食べに行かない?」
「行く~~!!」
絵のことなど、完全に頭から吹き飛んだ。
◆
そこからは、試練のことも絵のことも忘れ。
私たちは遊び尽くした。
搾りたてのミルクを使った濃厚なソフトクリームに舌鼓を打ったり。
ポニータライド体験で牧場の風を感じたり。
コンパンの可愛らしい行列を眺めたり。
気がつけば、すっかり日が暮れ始めていた。
「いやー、サファリゾーンって、こんなにも楽しめる場所だったんだねー!」
前に来た時は、大物釣りに夢中だったんだっけ。
そのまま通り過ぎてしまった場所だったけれど。
こんなに楽しい場所があったなんて、知らなかった。
「リーフ、楽しそう」
マツリカが、嬉しそうに笑う。
「後で描こう」
「え?」
「今日のリーフ」
そう言って、マツリカはスケッチブックを抱える。
「楽しそうなリーフ、描きたい」
「……そっか」
なんだか、少し照れくさい。
私は誤魔化すように、空を見上げた。
夕陽が、セキチクシティの建物と自然を優しく照らしている。
いつまでも見ていられそうな光景だった。
「――そうだ」
ふと思いつく。
「おいで、メタング」
「メタァ!」
ボールから出てきたメタングを夕陽の前に立たせる。
先ほどピカピカに磨いた鋼鉄の身体が、夕陽を反射して赤く輝いた。
「……」
私はスケッチブックに向かう。
そして――。
数十分後。
「できた!」
完成した絵には、セキチクシティの夕焼けに照らされた自然と建物。
そのすぐそばには、赤い光を受けてどこかノスタルジックに輝くメタングが描かれていた。
「……」
我ながら完璧な出来栄えだ。
美術館に贈呈してもいいだろう。
「メタング、キラキラ!」
マツリカが絵を覗き込む。
「リーフの中で、メタングは輝いて見えるんだね!」
「メッタァ!」
メタングも嬉しそうに鳴いた。
「そ、そんなに褒められると照れるな……」
美術館に飾るのは無しだ。
恥ずか死してしまう。
するとマツリカが、目を輝かせる。
「もっとカントーのポケモンを見てみたい!」
そして、私の手を取った。
「リーフ、案内して!」
「いいよ!」
私は笑って頷く。
どうやら今日一日では、全然足りないらしい。
・マツリカ登場。
レッツゴーピカブイで登場していたので、出してみるのも面白いかなと思って登場。アニポケ設定なのでキャプテンではないです。
リーフに使わせたいZ技
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ノーマル
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くさ
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でんき
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ドラゴン
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フェアリー