ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている   作:はらへりニャンコ

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第57話 第2の試練

 

 

 

 

 

クチバシティの研究所。

 

進化の街。

 

そして、タマムシデパート。

 

私たちは思いつく限りの場所へ問い合わせを続けた。

 

目的はただ1つ。

 

本物の太陽の石を手に入れること。

 

そして――。

 

「1週間後、タマムシシティで行われる大会の優勝賞品が、太陽の石だそうです」

 

ニワカゼさんが、調べ上げた情報を私たちへ伝えた。

 

「つまり、その大会に優勝すれば……」

 

リンドウさんが呟く。

 

「本物の太陽の石が手に入るんですね」

 

「よし!」

 

私は拳を握った。

 

「そうと決まれば特訓だね!」

 

「クサ〜!」

 

クサイハナもやる気満々だ。

 

私はさっそく外へ向かおうとした。

 

しかし――。

 

「待ってください」

 

ニワカゼさんに肩を掴まれた。

 

「へ?」

 

「これは、リーフさんの想像するようなポケモンバトルの大会ではありません」

 

「……ほへ?」

 

嫌な予感がする。

 

リンドウさんも首を傾げた。

 

「では、一体なんの大会なのですか?」

 

「ポケモンコンテストです」

 

「…………」

 

ポケモンコンテスト。

 

ポケモンのパフォーマンスや、コンテストバトルという特殊なルールのポケモンバトルを通して、ポケモンの魅力をアピールする大会。

 

アニメでは、ハルカやヒカリが挑戦していた。

 

確か、2人ともかなり苦労していたはずだ。

 

ポケモンの強さだけでは勝てない。

 

技の美しさや演出にタイミング。

 

トレーナーとの息の合ったコンビネーション。

 

そして――。

 

ポケモン自身の魅力。

 

それら全てを組み合わせて、観客や審査員の心を掴まなければならない。

 

「ポケモンコンテスト、か……」

 

私はフシギバナを見る。

 

……私にできるのだろうか。

 

前回、絵を描くだけでも大苦戦した私だ。

 

ましてや今回は、ポケモンを使ったパフォーマンス。

 

練習できるのは1週間。

 

いや。

 

実際には移動時間もある。

 

自由に使えるのは、数日程度だ。

 

正直に言えば――。

 

優勝できる気がしない。

 

「……」

 

私が黙っていると。

 

「何をボーッとしているんですか、リーフさん」

 

リンドウさんが立ち上がった。

 

「特訓に行きますよ」

 

「リンドウさん、流石にポケモンコンテストは――」

 

「まあ」

 

リンドウさんが微笑む。

 

「リーフさんは、私を誰だと思っているんですか?」

 

「え?」

 

「ムラサメ植物園は、カントー地方でも有数の植物園です」

 

リンドウさんは胸を張る。

 

「そこを管理する私が、植物ポケモンの美しさをアピールできずに、この植物園の主人の座に座れるとでも?」

 

「クサ〜!」

 

隣のクサイハナも、やる気満々で鳴いた。

 

「……なるほど」

 

どうやらリンドウさんも、本気で優勝を狙うつもりらしい。

 

私とは目的が違う。

 

私は試練を超えてポケモンリーグに出場するため。

 

リンドウさんは――。

 

クサイハナの美しさを証明するため。

 

でも、目指す場所は同じ。

 

「リーフさん」

 

リンドウさんが私を見る。

 

「大会では、お互い正々堂々と競い合いましょう」

 

「……うん」

 

私は笑った。

 

「もちろん。私も負けないよ」

 

「ええ。私も負けません」

 

「クサ!」

 

「バナ!」

 

フシギバナも力強く鳴く。

 

「よし!」

 

私は拳を握る。

 

「やろう、フシギバナ!」

 

「バナ!」

 

こうなったら、やるだけやってみる。

 

――いや。

 

それじゃ駄目だ。

 

これは私の第二の試練。

 

太陽の石を手に入れるため。

 

そして、ナツメさんから課された試練を乗り越えて、ポケモンリーグへ進むため。

 

「絶対、優勝してやるんだから!」

 

「私もです!」

 

「クサ〜!」

 

こうして――。

 

私とフシギバナ。

 

リンドウさんとクサイハナ。

 

2組のコンビによる、特訓が始まった。

 

◆

 

まず、私たちが取り組んだのは――。

 

「植物について勉強しましょう」

 

「……え?」

 

机の上に置かれた大量の資料。

 

植物図鑑。

 

ポケモン図鑑。

 

専門書。

 

さらには、何やら分厚い論文まである。

 

「いや、コンテストってこういう勉強から始めるものなの!?」

 

「当然です」

 

リンドウさんは笑顔だ。

 

「植物ポケモンの魅力を引き出すには、その身体の構造や生態を理解する必要があります」

 

「うっ……」

 

これは逃げられない。

 

「では問題です」

 

「はい」

 

「光合成とは、どういう仕組みですか?」

 

「…………」

 

「どうしました?」

 

「……光を浴びて、元気になる?」

 

「やり直しです」

 

「はい……」

 

こうして始まった、リンドウ先生による超スパルタ植物講義。

 

光合成の仕組み。

 

植物の育成に必要な栄養素の役割。

 

植物ポケモンの体内における水分循環。

 

技によって発生する花粉や胞子の違い。

 

そして、ポケモンごとの花や葉の形状。

 

「フシギバナの花は、単純に大きいから美しいわけではありません」

 

リンドウさんが、私の相棒を見る。

 

「花の色。

 

葉の広がり。

 

身体とのバランス。

 

そして、日差しを受けた時に見せる表情。

 

それら全てが魅力なのです」

 

「なるほど……」

 

フシギバナが、少し誇らしそうに胸を張る。

 

「バナ!」

 

「あなた自身が一番よく分かっているようですね」

 

「バナ!」

 

……なんだか、私よりフシギバナの方が勉強できている気がする。

 

◆

 

一方。

 

リンドウさんとクサイハナも、別の特訓を始めていた。

 

「クサイハナ」

 

「クサ?」

 

「あなたの魅力は、進化していないことではありません」

 

リンドウさんはクサイハナの前にしゃがみ込む。

 

「あなたがクサイハナであること、そのものです」

 

「……クサ」

 

「だから、進化後のラフレシアやキレイハナを真似する必要なんてありません」

 

クサイハナの表情が、少しだけ明るくなる。

 

「まずは、あなたが一番得意なことを見せてください」

 

「クサ〜!」

 

クサイハナが大きく息を吸う。

 

そして――。

 

「クサァ〜……」

 

甘く柔らかな香りが、周囲へ広がっていく。

 

「……綺麗ですね」

 

リンドウさんが目を細める。

 

「その香りを中心に演技を組み立てましょう」

 

◆

 

そして、私たちのパフォーマンス作りも始まった。

 

「フシギバナの魅力……」

 

私は相棒をじっと見る。

 

大きな花。

 

広い葉。

 

太い四本の脚。

 

そして――。

 

「やっぱり、花だよね」

 

「バナ?」

 

「せっかくだから、花を主役にした演技にしよう」

 

まずは、花を大きく見せる。

 

「フシギバナ、はなびらのまい!」

 

「バナァ!」

 

大量の花びらが宙を舞う。

 

綺麗だ。

 

でも――。

 

「うーん。これだけだと普通だなぁ」

 

ならば。

 

「つるのムチ!」

 

「バナ!」

 

伸びた蔓が花びらを絡め取り、空中へ高く持ち上げる。

 

そこへ――。

 

「ソーラービーム!」

 

「バナァァ!」

 

太陽の光を集めた巨大な光線が、花びらの中心を貫く。

 

光を浴びた花びらが一斉に輝き、まるで花火のように四方へ散っていく。

 

「……!」

 

思わず息を呑む。

 

「どうかな?」

 

「バナ!」

 

フシギバナも嬉しそうだ。

 

「いいね!」

 

私は拳を握る。

 

「他にも色々考えてみようか!」

 

◆

 

その頃。

 

「クサイハナ、あまいかおり!」

 

「クサ〜!」

 

リンドウさんの指示で、クサイハナの周囲に甘い香りが広がる。

 

続いて――。

 

「かふんだんご!」

 

「クサ!」

 

淡い黄色の花粉が舞い上がる。

 

「そして、ムーンフォース!」

 

「クサァァ!」

 

月のような光が花粉を照らす。

 

キラキラと輝く粉が、まるで夜空の星のように舞い踊った。

 

「……綺麗」

 

思わず呟く。

 

リンドウさんも満足そうに頷いている。

 

「ええ。クサイハナの魅力を、しっかりと引き出せています」

 

クサイハナも嬉しそうに笑う。

 

「クサ〜!」

 

私たちはそれぞれ、自分たちのポケモンと向き合いながら、パフォーマンスを磨いていった。

 

◆

 

そして――。

 

第2審査、コンテストバトルに向けた特訓。

 

「フシギバナ、だいちのちから!」

 

「バナァ!」

 

地面が隆起する。

 

私は飛び出した岩を足場にして、フシギバナへ指示を出す。

 

「そのまま、ソーラービーム!」

 

「バナァァ!」

 

空中へ向けて放たれた光線が、太陽の光を受けて眩く輝く。

 

「もう一度!」

 

何度も繰り返す。

 

ただ強い技を撃つのではない。

 

技から技へ。

 

動きから動きへ。

 

1つの演技として繋げる。

 

一方、リンドウさんも――。

 

「クサイハナ、ヘドロばくだん!」

 

「クサ!」

 

紫色の弾丸が飛ぶ。

 

「そのまま、ムーンフォース!」

 

「クサァ!」

 

毒の塊が月光に包まれ、紫色の光を散らしながら弾ける。

 

「素晴らしいです!」

 

リンドウさん自身も楽しそうだ。

 

「もう一度いきますよ!」

 

「クサ!」

 

2人とも、完全に本気だった。

 

同じ植物ポケモンを使っている。

 

それでも、目指している表現はまったく違う。

 

私とフシギバナは――。

 

力強く、華やかに。

 

リンドウさんとクサイハナは――。

 

優雅に、そして繊細に。

 

それぞれが、自分たちだけの魅力を探していた。

 

失敗して。

 

やり直して。

 

また失敗して。

 

それでも――。

 

少しずつ形になっていく。

 

「フシギバナ」

 

「バナ?」

 

「私たち、意外とやれるかもね」

 

「バナ!」

 

フシギバナが嬉しそうに鳴いた。

 

その一方で――。

 

「クサイハナ」

 

「クサ?」

 

「あなたは、あなたのままで十分美しいですよ」

 

「クサ〜!」

 

クサイハナが嬉しそうに笑った。

 

◆

 

そして――。

 

1週間は、あっという間に過ぎた。

 

「ポケモンコンテスト、タマムシシティ大会!」

 

華やかな会場。

 

大勢の観客。

 

色とりどりの照明。

 

舞台中央には、巨大なスクリーン。

 

そして、そのステージの上に並ぶトレーナーたち。

 

その中には――。

 

リーフとフシギバナ。

 

そして、リンドウとクサイハナ。

 

「……緊張するね」

 

私はフシギバナの入ったモンスターボールを握る。

 

「バナ……」

 

フシギバナも少しだけ緊張しているようだ。

 

その少し離れた場所では、リンドウさんもクサイハナのモンスターボールを握っている。

 

「クサ……」

 

「大丈夫ですよ、クサイハナ」

 

リンドウさんが優しく微笑む。

 

「私たちならできます」

 

「クサ!」

 

リンドウさんがこちらを見る。

 

「リーフさん」

 

「うん?」

 

「今日はライバルですね」

 

「そうだね」

 

私は笑う。

 

「でも、負けないよ」

 

「ええ。私も負けません」

 

フシギバナとクサイハナが、互いを見つめる。

 

「バナ!」

 

「クサ!」

 

まるで2匹も、お互いに宣戦布告しているようだった。

 

私とフシギバナは、リーフの石を手に入れるため。

 

リンドウさんとクサイハナは、自分たちの魅力を証明するため。

 

目的は違う。

 

けれど――。

 

目指すのは、ただ1つ。

 

「絶対に優勝するよ、フシギバナ!」

 

「バナァ!」

 

「私たちも、優勝を目指しましょう」

 

「クサァ!」

 

第2の試練。

 

太陽の石を手に入れるための戦いが始まる。

リーフに使わせたいZ技

  • ノーマル
  • くさ
  • でんき
  • ドラゴン
  • フェアリー
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