ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている   作:はらへりニャンコ

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第59話 リンドウの秘策

 

 

 

 

 

コンテストアイドル、ルチア。

 

十歳のトレーナーデビューと同時にポケモンコンテストデビュー。

 

そして十一歳でグランドフェスティバル初優勝。

 

その後も各地のグランドフェスティバルで三度の優勝を果たし、トライポカロンでは現カロスクイーン。

 

さらにはパルデア地方でポケモンコンテストを開催し、その後の定期的な興行にも成功するなど、数々の実績を残してきた。

 

まさに、現代最高峰のポケモンコーディネーター。

 

しかも、コンテストデビューした年にはホウエン地方のジム巡りにも挑戦している。

 

その結果はポケモンリーグ本戦進出、正真正銘の実力者である。

 

そんな圧倒的な格上のトレーナーが――。

 

今、私たちの前に立ちはだかっている。

 

「……どうする、フシギバナ?」

 

「バナ」

 

フシギバナは、事態の深刻さが分かっていないのか、呑気に返事を返してきた。

 

……うん。

 

頼もしい。

 

頼もしいんだけど――。

 

「んあ~……」

 

現在は小休憩中。

 

本来なら軽食を取ったり、ポケモンたちのコンディションを確認したりする時間だ。

 

しかし、今の私にはお茶を胃袋に流し込むように飲むのが精一杯だった。

 

先ほどのルチアの演技はまさに神がかっていた。

 

最初は燃える炎のだいもんじを纏い、夜空に輝くファイヤーを表現。

 

ゆきげしきの中でりゅうのまいを踊り、寒空を飛ぶフリーザーを再現。

 

そして最後、ソーラービームを雪の結晶に反射させることで、無数の光が稲妻のように会場を駆け巡った。

 

その雷光に照らされたチルタリスの姿はまるで、雷雲に住むと伝えられるサンダーそのものだった。

 

カントー地方に伝わる伝説の鳥たち。

 

それを、たった一匹のチルタリスと四つの技だけで表現してみせた。

 

しかも、ただ技を使っただけじゃない。

 

それぞれの技の見せ方。

 

チルタリスの動き。

 

照明の角度。

 

会場の空気。

 

その全てを計算したうえで、一つの壮大な物語に仕上げている。

 

……勝てるのか?

 

今の私に。

 

「んあ~……」

 

考えれば考えるほど、敗北の二文字が頭の中でダンスを踊っている。

 

ナツメさんの言ってた本当の試練とは、きっとこのことなんだろうな。

 

「リーフさん、大丈夫ですか?」

 

「大丈ばない」

 

「ダイジョバナイ……?」

 

リンドウさんもどうすべきか悩んでいる様子だ。

 

しばらく私の顔を見つめた後――。

 

「あっ!」

 

突如何かを思いついたように、リンドウさんが手を叩いた。

 

「そうだわ! リーフさん、ちょっとこちらに来てください!」

 

「んあ?」

 

「秘策を思いつきました!」

 

◆

 

「ちょっと、苦しいんだけど……」

 

「もう少しだけ我慢してくださいね。これでよし!」

 

更衣室から出た私は、改めて姿鏡を見る。

 

そこに映っていたのは――。

 

いつもの私とは、少し違う姿だった。

 

淡い緑と白を基調とした着物ドレス。

 

袖や裾には植物を思わせる模様があしらわれ、濃い緑と金色の差し色が全体を引き締めている。

 

和装らしい上品さがありながら、動きやすさも考えられたデザイン。

 

今回のコンテストには、ぴったりの衣装だった。

 

「リーフさんには、これが似合うなと思っていました!持ってきてて良かったです!」

 

リンドウさんが嬉しそうに笑う。

 

「秘策って……これ?」

 

「ええ」

 

リンドウさんは胸を張った。

 

「良い服を着れば、気分も良くなるかと思いまして」

 

そんなことで、良くなるの?

 

当初はそう思った。

 

「……」

 

改めて、鏡の前で一回転してみる。

 

裾がふわりと広がる。

 

袖が揺れる。

 

その姿を見ていると――。

 

「……ふふっ」

 

さっきまで胸の中を埋め尽くしていた不安が、少しずつ薄れていく。

 

「悪くないかも」

 

「でしょう?」

 

リンドウさんが笑う。

 

「衣装もコンテストの大切な要素です。何より、ステージに立つ人が自信を持てることが一番ですから」

 

「……そっか」

 

私はもう一度、鏡を見る。

 

鏡の中の私は、どこかシャキッとしていた。

 

「ありがとう、リンドウさん!」

 

「ええ。お互い、優勝を目指して頑張りましょう!」

 

「うん!」

 

さっきまでの弱気は、もうない。

 

勝てるかどうかなんて――。

 

今は考えなくていい。

 

やることは一つ。

 

全力で、フシギバナと戦うだけだ。

 

◆

 

ポケモンコンテスト第二審査、コンテストバトル。

 

このバトルでは、通常のポケモンバトルとは異なり、両者にポイントゲージが存在する。

 

華麗に技を決めたり、相手の攻撃を上手くかわしたりすることで相手のポイントを減らし、先にポイントを0にした方が勝者。

 

タイムアップとなった場合は、残ったポイントが多い方の勝ち。

 

もちろん、通常のバトルと同じように、相手のポケモンを戦闘不能にしても勝利となる。

 

「さあ、盛り上がりも最高潮!」

 

司会者の声が会場中に響き渡る。

 

「ポケモンコンテスト・タマムシシティ大会! コンテストバトル第一試合は、ホウエンNo.1アイドル、ルチアさんに新人コーディネーターのリーフさんが挑みます!」

 

大歓声の中、私はバトルコートへ向かって歩いていく。

 

向かい側から歩いてくるのは――。

 

青を基調としたアイドル衣装を着たルチア。

 

あちこちに取り付けられた白い綿は、雲のような翼を持つ彼女のパートナー、チルタリスを思わせる。

 

そして何より――。

 

その笑顔。

 

ステージ上で輝いていた彼女が、今は私に向かって笑いかけている。

 

まるで青空の天使だ。

 

「すごいすごい! そのドレス、あなたとフシギバナにすっごく似合ってるよ!」

 

「あ、ありがとう……」

 

やっぱり、人に褒められるのは慣れないな……。

 

「さっきのあなたのステージ、バッチリ見てたよ!」

 

ルチアは目を輝かせる。

 

「フシギバナが、すっごくキラキラしてた!」

 

「え?」

 

「おかげで私もチルルも、本気になれたんだ!」

 

ルチアは嬉しそうに笑う。

 

「ありがとう!」

 

「……」

 

意外だった。

 

ルチアほどの人でも――。

 

私たちの演技を見て、本気になってくれた。

 

なんだか、それだけで少し勇気が湧いてくる。

 

「あなたとなら、最高のバトルができそう!」

 

ルチアがモンスターボールを構える。

 

「お互い遠慮はなしだよ! 楽しんでいこうね!」

 

私もボールを握り直す。

 

「うん……!」

 

そして――。

 

「「勝負だ!」」

 

「チルタリス!」

 

「フシギバナ!」

 

「チルルー!」

 

「バーナ!」

 

私のフシギバナと、ルチアのチルタリスがステージへ飛び出す。

 

私を応援してくれたリンドウさんのためにも――。

 

負けられない!

 

「さあ、コンテストバトル――」

 

司会者が腕を振り上げる。

 

「開始です!!」

リーフに使わせたいZ技

  • ノーマル
  • くさ
  • でんき
  • ドラゴン
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