ポケモンTS転生〜リーフは原作を忘れかけている   作:はらへりニャンコ

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第7話 邂逅・主人公

 

 

 

 

 

翌日。

 

私は未だに残っている疲労を感じながら、重たい身体を無理やり起こし、フシギダネと一緒に朝ご飯を食べていた。

 

昨日はポケモンセンターと間違えてジムに入り、勢いでジム戦をして、グリーンバッジまで貰ってしまった。

 

……思い返してみても、何をしているんだ私は。

 

まあ、結果的には勝てたのでよしとしよう。

 

ちなみにポケモンセンターでは、ポケモンとトレーナー向けに食事や薬など、旅に必要な消耗品が販売されている。

 

食事の味は決して絶品とは言い切れない。

 

しかし安価で、栄養バランスもしっかり考えられているため、多くの新人トレーナーにとっては非常にありがたい存在だ。

 

特に旅を始めたばかりのトレーナーなんて、料理ができるとは限らない。

 

私だって料理はできなくはないが、朝から作る気力なんて残っていない。

 

そんなことを考えながら、ぼんやり朝食を食べていると――。

 

「お! おはようリーフ!」

 

ん?

 

誰だろう。

 

この街によく喋る友達なんて、いないはずだけど……。

 

声のした方へ振り向く。

 

そこにいたのは――。

 

「へぇ、リーフはフシギダネを選んだんだな!」

 

「ピッカ!」

 

……サトシだった。

 

「ふああ……おはよう、サトシだったかぁ」

 

「なんだよ、その反応!」

 

眠気に負けて大きなあくびをしながら挨拶する。

 

サトシの肩には、昨日までとは比べ物にならないほど仲良さそうなピカチュウが乗っていた。

 

「ピカ!」

 

「……」

 

なるほど。

 

ピカチュウと仲良くなったあたり、原作通りオニスズメに襲われて、ピカチュウの電撃で撃退したのだろう。

 

私が知っているアニメのサトシと、ほとんど同じ流れだ。

 

「ひょっとして、博士から貰ったのはあのピカチュウ?」

 

「そうだぞ!」

 

「よく懐いてるね」

 

「ピカ!」

 

ピカチュウも嬉しそうに胸を張る。

 

昨日の騒ぎが嘘みたいだ。

 

するとサトシが、何かを思い出したように目を輝かせた。

 

「そうだそうだ! 聞いてくれよリーフ!」

 

「あ、うん」

 

これは長くなるやつだ。

 

そう思ったが、サトシは構わず話し始めた。

 

博士から渡されたピカチュウが人間嫌いで、モンスターボールにも入ろうとせず、何かあるたびに電撃を浴びせてきたこと。

 

それでも無理やり一番道路を進んできたこと。

 

そして、オニスズメの大群に襲われたこと。

 

雨の中をピカチュウと必死に走ったこと。

 

最後にはピカチュウの雷がオニスズメたちを退けたこと――。

 

「それでさ!」

 

サトシは楽しそうに話を続ける。

 

「雨が上がったと思ったら、虹色のポケモンが空を飛んでいたんだよ!」

 

「虹色のポケモン?」

 

「そう! これがそのポケモンの羽なんだけど……」

 

そう言ってサトシが取り出したのは、一枚の羽だった。

 

暖かな光を放つ、虹色の羽。

 

「ブワッフォウ!?」

 

思わず変な声が出た。

 

「そ、それ……」

 

見間違えるはずがない。

 

「伝説のポケモン、ホウオウの羽じゃん!」

 

「え?」

 

「本当に伝説のポケモンを見たの!?」

 

「伝説……?」

 

サトシが首を傾げる。

 

ピカチュウも同じように首を傾げた。

 

「ピカ……?」

 

しまった。

 

この二人はホウオウを知らないのか。

 

私は興奮しながら説明する。

 

「その羽は間違いなくホウオウのものだよ!」

 

「ホウオウ……」

 

『虹色の羽に導かれ、ホウオウに会う者、虹の勇者とならん』……

 

そこで一度息を吸う。

 

「カントーのお隣、ジョウト地方に伝わる伝説だよ。詳しいことはほとんど分かっていない、未知のポケモンなんだ」

 

「へぇ……」

 

サトシは手の中の羽を見つめる。

 

そして――。

 

「ホウオウかあ……」

 

ニッと笑った。

 

「すげえ! もう一度会いてえ!」

 

「ピッカ!」

 

ピカチュウも元気よく鳴く。

 

どうやらサトシ達の旅の目的はホウオウ探しに決まったようだ。

 

「そういえば!」

 

サトシがこちらを見る。

 

「お前、リオルはどうしたんだよ? 一緒じゃないのか?」

 

「うん。リオルは今頃、お姉ちゃんと――」

 

今度はこっちが喋る番だ。

 

しこたま驚いてもらおうか。

 

 

私は昨日の出来事を、少しだけ大げさに話してやった。

 

リオルはお姉ちゃんと一緒にニビシティへ向かっていること。

 

フシギダネと旅したこと。

 

そして――。

 

昨日、サカキからグリーンバッジを貰ったことも。

 

……

 

しばらくして。

 

「へーっ、これがグリーンバッジかあ」

 

サトシは、私の手のひらに乗ったバッジを興味深そうに眺めている。

 

私も昨日は疲れ果てていたので、こうしてじっくり見るのは初めてだった。

 

草葉を模した緑色のバッジ。

 

光を受けるたびにキラキラと輝いている。

 

うむ。

 

この輝き。

 

見ているだけで誇らしくなる。

 

確か原作のサトシくんは、バッジを磨くのが趣味だったはずだ。

 

毎日ピカピカに磨きたくなる気持ちも分かる。

 

「俺もゲットできるかな?」

 

「無理無理」

 

「なんでだよ!」

 

「だって、まずあそこは電気タイプのピカチュウじゃ不利な地面タイプのジムだし」

 

「うっ……」

 

サトシがピカチュウを見る。

 

「それに、ジムリーダーのサカキはしばらく本業の会社経営で忙しくて、ジムを留守にするみたいだし」

 

昨日、ジムに置いてあった予定表を思い出す。

 

「だから、しばらく挑戦すらできないんじゃないかな」

 

「そうなのか……」

 

サトシは悔しそうに唸る。

 

しかし、次の瞬間には顔を上げた。

 

「なら!」

 

嫌な予感がする。

 

「お前とバトルしたいぜ!」

 

「え?」

 

「飯食ったらセンター裏のバトルコートに集合な!」

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

しかしサトシはもう歩き始めていた。

 

「じゃあ後でな!」

 

「……ご、強引な……」

 

私は呆れながらも、少しだけ笑った。

 

まあ、いいだろう。

 

私もサトシくんとは一度戦ってみたかった。

 

それに――。

 

試してみたい技もあるのだ。

 

「フシギダネ」

 

「ダネ?」

 

「今日の実験、付き合ってね」

 

「ダネ……?」

 

フシギダネが不安そうに首を傾げる。

 

大丈夫大丈夫。

 

たぶん。

 

きっと。

 

……まあ、何事も経験だ。

 

 

食事を終え、私たちはポケモンセンター裏にあるバトルコートへ向かった。

 

「じゃあ行こうか、フシギダネ!」

 

「ダネ!」

 

「ピカチュウ、キミに決めた!」

 

「ピッカ!」

 

ポケモンセンターには宿泊施設を始め、様々な設備が整えられている。

 

その中には屋外バトルコートも含まれている。

 

腕自慢のトレーナーたちが日々鎬を削ったり、公式イベントに使用されたりするほか、緊急時には野外治療所として利用されることもあるらしい。

 

つまり、旅の途中でポケモン同士を戦わせるにはうってつけの場所というわけだ。

 

「それじゃあ、始めるぞ!」

 

「よろしく!」

 

「ピカチュウ、でんきショック!」

 

「ピィーカァーチュー!」

 

ピカチュウの身体から電撃が迸る。

 

「フシギダネ、はっぱカッター!」

 

「ダァーネェー!」

 

無数の葉が飛び交い、電撃と激突する。

 

バチバチッ!

 

電気と草のエネルギーがぶつかり合い、爆発が起きた。

 

「おお……」

 

思わず目を細める。

 

やっぱり、このピカチュウは強い。

 

昨日、オニスズメの大群を追い払っただけのことはある。

 

単純な火力だけなら、かなりのものだ。

 

「フシギダネ!」

 

「ダネ!」

 

押されている。

 

だが、まだ問題ない。

 

「いいぞピカチュウ、そのままたいあたりだ!」

 

「ピカ!」

 

ピカチュウが地面を蹴る。

 

勢いに乗ったまま、一気にフシギダネへ突っ込んでくる。

 

ちょうどいい。

 

ここで新技の被験者になってもらおう。

 

「くふふ……」

 

「ダネ?」

 

「フシギダネ」

 

私は笑いながら指示を出す。

 

「――あまえるだよ」

 

「ダネダネェ~?」

 

フシギダネは首を傾げながら、くりっとした目でピカチュウを見る。

 

そして――。

 

にっこり。

 

「……」

 

ピカチュウの足が止まった。

 

「ピ……」

 

その表情が一瞬で緩む。

 

「ピッ……ピカァ……」

 

「よし!」

 

成功だ!

 

どうだ見たか!

 

うちの子のプリティーな姿を!

 

この可愛さには、あのピカチュウも攻撃の手を止めざるを得ない!

 

「そ、そんなのありかよ!」

 

サトシが驚愕している。

 

「ありだよ!」

 

私は胸を張る。

 

「あまえるは立派な技なんだから! ポケモンと技を理解していないようじゃ、勝てないよ!」

 

……まあ、これ覚えたのついさっきなんだけどね。

 

「フシギダネ、つるのムチ!」

 

「ダネ!」

 

フシギダネの背中から伸びた蔓が、動きを止めたピカチュウへ絡みつく。

 

「ピカッ!?」

 

そのままピカチュウを引き寄せる。

 

「今だよ!」

 

「ダネッ!」

 

至近距離から、はっぱカッターを連続で叩き込む。

 

「ピカァッ!」

 

ピカチュウは何とか耐えようとするが、先ほどの電撃戦ですでに体力を消耗している。

 

最後の一撃が決まり――。

 

「ピ……カ……」

 

ピカチュウは目を回し、その場に倒れ込んだ。

 

「ピカチュウ!」

 

サトシが駆け寄る。

 

私はフシギダネの頭を撫でた。

 

「よくやったね、フシギダネ」

 

「ダネ!」

 

嬉しそうに身体を揺らしている。

 

「リーフは強いな!」

 

サトシがピカチュウを抱き上げながら笑った。

 

「あっという間に負けちまったぜ」

 

「今回は相性もあったからね」

 

私はそう言いながら、サトシを見る。

 

「でも、やる気と根性だけでバトルに勝つのは難しいよ。勝ちたかったら、ポケモンとちゃんと向き合うことが大事」

 

……なんか説教臭くなっちゃったな。

 

たったバッジ一個の差なのに。

 

まあ、サトシくんならすぐに追いつくでしょ。

 

なんせ、この世界の主人公なんだから。

 

「バトルありがとうな!」

 

サトシは笑顔で手を差し出した。

 

「俺、これからホウオウが飛んでいった東の方へ向かうつもりなんだ」

 

「東か……」

 

それなら。

 

「私はニビシティに行くつもりだから、トキワの森までは一緒に行けるよ」

 

「本当か?」

 

「うん。東へ行くなら、トキワの森を抜けてディグダの穴を使えばいいからね」

 

「そうだな!」

 

サトシが嬉しそうに頷く。

 

「俺も森でポケモンをゲットしたいし、一緒に行こうぜ!」

 

「もちろん」

 

トキワの森。

 

カントー地方でも有数の広さを誇る森林地帯。

 

私にとっては、初めて訪れる場所ではない。

 

……前世のゲームでは、だけど。




はい、というわけで『キミにきめた』やります。

アニメ版とは完全なパラレルワールドということでサトシくんのポケモンを別の人がゲットしていたり、サトシくんには違うポケモンをゲットさせようかなと。

特に御三家は一匹だけでいいかなと考えているのでフシギダネとゼニガメは違うトレーナーの手持ちになるのは確定路線です。

色々戸惑うこともあるかと思いますが、何卒宜しくお願いします

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