ベイブレードNEO Season4   作:マツザキ蓮

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パラレルワールド編
ベイブレードNEO・4 第1話 もう一つの世界


古代より甦りし厄災・ソラナキを倒し、根尾町を救ったソウタ達。

 

しかし、この時は彼らはまだ知る由もなかった。

 

新たな魔の手が迫っているということに――。

 

「あと少し……あと少しだ……。この世界を『手に入れる』まで……」

「そうすれば……我が『弟』が……!」

 

――根尾通り――

 

「やべぇ……! 完全に寝過ごした……!」

 

ソウタはあろうことかまたしても寝坊をかましてしまい、急いで学校に向かっている最中だった。

 

そんな中……。

 

「キャッ……!」

 

通りの曲がり角で見知らぬ少女と衝突したと同時に彼女のポケットからベイが落ちた。

 

「あっ……! 悪い、ついよそ見しちまって……」

「これお前のベ……えっ……!?」

 

少女の顔とベイを見た瞬間、ソウタは思わず言葉が途切れてしまった。

 

その理由は……。

 

(青と白の髪色、そして青い瞳……。どことなく俺と似ている……)

(そして、この赤いベイ……ドラグニルか……? 3枚刃は同じだが、エアダクトがついている……!)

 

ソウタの特徴である青と白の髪色、青い瞳と合致。

 

更にはブレードが赤く塗装され、形状も異なっていたとはいえ、ドラゴンのブレードチップからドラグニルであることを心の中で理解した。

 

「どうかした?」

 

「……! いや、何でもない」

 

そう言って、ベイを拾い上げ、ハンカチで吹いた後彼女へ渡す。

 

「じゃあな!」

 

ソウタは急いでその場を後にし、学校へ向かってその足を力強く踏みしめる。

 

「蒼龍ソウタ、『もう一人の私』が『あいつ』を止められるか確かめさせて……」

 

――根尾中ベイブレード部部室――

 

学校が始まってから暫くして、昼休みを迎えた。

 

大勢の生徒が行き交う中、部室では……。

 

「マジでやらかした……」

 

「先生、怒りを通り越して呆れてたからね……」

 

ソウタはというと結局のところ、遅刻をしてしまった。

 

しかし、ツバサが言うには担任は怒るどころか呆れていたとのこと。

 

「全く、あの時の激戦が嘘みたいだ……」

 

ヒカルも少し呆れる様子を見せる。

 

そんな中、部室のドアが軋む音を立てながら開かれる。

 

「やっと見つけた」

 

「……! お前は、あの時の……!」

 

ドアを開けて入ってきたのは朝の曲がり角で出会った少女だった。

 

「知っているのか?」

 

「ああ、朝急いでいる時に曲がり角でぶつかって……」

 

「そんなシチュエーション実際にあったのか……」

 

「一旦それは置いといて……」

「そこのお前、名前は?」

 

バンの質問に答えつつ、少女にその名を問う。

 

「私は『蒼龍想』。蒼龍ソウタ、『別世界のあなた本人』よ」

 

「え……。な……、何だってッッッ!?」

 

「ちょっと待って、別世界とはつまり……パラレルワールドってことか!?」

「そして、そこの世界の俺は女の子なのかよ!?」

 

なんと、その少女は蒼龍想と名乗り、パラレルワールドのソウタ本人であるという。

 

別世界のソウタの来訪に彼らは驚きを隠せなかった。

 

「想、お前が別世界のソウタだということは一旦受け止めよう。だがここに来た理由は……?」

 

「単刀直入に言うわ。このままだと、この世界が混沌に陥る可能性があるの」

 

ヒカルの質問に「この世界が混沌に陥る可能性」があると言う。

 

「混沌……?」

 

「簡単に言うとこの世界とパラレルワールドが一つになってしまうってこと」

「更に言えば世界や歴史の混在、今を生きている人達のアイデンティティの崩壊が起こりかねないわ」

 

想曰く、ソウタ達の世界とパラレルワールドが混ざり合う恐れがあるとのこと。

 

それによって起こりうる危険の具体例まで出し、ソウタ達に危機感を持たせる。

 

「マジかよ……! 超大変じゃねえか……!」

 

「つまりお前はその事態を防ぐのに相応しいか、俺達の実力をテストするためにこの世界へ来た。そう考えていいんだな?」

 

「もちろんよ。そして……蒼龍ソウタ。あなたがどれほどの強さか見せてもらいたいの」

「私と……この『サイバードラグニル』に……!」

 

「サイバードラグニル!?」

 

(サイバードラグニル……。別世界のドラグニルはそんな名前なのか……)

 

想が持つ別世界のドラグニル……サイバードラグニル。

 

朝見た時と同様、3枚刃に搭載されているエアダクトが目を引く。

 

それでも、ソウタにあるのはワクワク感だけだった。

 

「もちろんだぜ、想。厄災を超えた俺に怖いものはねえ!」

「ヒカル、審判を頼むぜ」

 

「了解した」

 

ヒカルに審判をしてもらい、バトルの準備に移る。

 

「Ready……Set!」

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

解き放たれた2つのドラグニル、どちらに軍配が上がるか分からない勝負だ。

 

初手からブレード同士の金属音をスタジアム内に響かせる。

 

「流石この世界の私。ちょっとやそっとのことじゃ倒れないわね」

 

「当たり前だ、もう一人の俺といえど勝ちを譲る気はねえぜ」

 

「なら……少し本気を出させてもらうわ」

 

ソウタと想、世界線が異なる自分同士の対話を繰り広げる中、サイバードラグニルが動き出す。

 

「!!」

 

軸先がスタジアムにグリップし、加速していく。

 

(これは……!? アルティメットドラグニルとは異なる、全く違った方法での加速だ……! しかも……)

「何て速さだ……!」

 

遂に追いつかれ、サイバードラグニルはアルティメットドラグニルをスタジアムの壁の方に弾き飛ばした。

 

「ソウタ! ドラグニル!」

 

バンとヒカル、ツバサが焦る中……ソウタは慎重に状況を見極めていた。

 

「けど……俺は幾つもの戦いを仲間達と乗り越えてきた! 俺はもう一人の俺自身を超えてやるぜ!」

 

レガシーギアのディスク部分によるバウンドがスタジアムの壁に激突した際の衝撃を殺し……

 

「行こうぜ、相棒《ドラグニル》!!」

 

ソウタの声に応じるかのように軸先が格納、一気に加速した。

 

「!」

(やっぱり強いわね……。この世界の私は……)

 

ソウタの熱意に触れ、想は優しい笑みを浮かべる。

 

アルティメットドラグニルは勢いのまま、サイバードラグニルに激突し、バーストフィニッシュを勝ち取った。

 

「アルティメットドラグニル、バーストフィニッシュ! ソウタの勝ちだ!」

 

「よっしゃぁぁぁぁ!」

 

「その強さ、やはり本物ね。蒼龍ソウタ、あなたにはこの世界の危機を救える可能性があるわ」

 

ソウタが勝利を収め、ヒカルが改めて想に問う。

 

「では改めて聞こう。想、お前がいた世界では何が起こっていたんだ? なぜこの世界が狙われることに……」

 

「……少し長くなるわ。私がいた世界では少しだけ科学が進んでいるの。ベイブレードにおいてもその技術はこの世界より活かされているわ」

 

「けど問題はここから。ある日、巨大な地震が起こり町の中心部の殆どが甚大な被害を受けたの。メディアによれば19年ぶりに……。混乱が収まらない中、一人の人物が声を上げたわ」

 

「そいつの名は『Dr.カイン』。別世界の根尾町に本拠地を構える『根尾第一研究所』の所長。彼はこう言ったわ。『君達に宣言する。この世界ともう一つの世界を一つにする』と」

 

「続けて『他の世界からエネルギーを取り込まなければこの世界の技術の復興は不可能だ』と宣言し、並行世界を調べた結果、一番エネルギーが強いあなた達の世界が選ばれたの」

 

彼女が言うにはパラレルワールドでは19年ぶりの巨大地震が起こり、その混乱に対して「Dr.カイン」という人物が名乗りを上げ、自分達の世界とソウタ達の世界を一つにしようとしているとのこと。

 

「そっちもそっちで大変なことになっているのは分かった。けど……他の世界にまで干渉してくるのは違うんじゃないか?」

 

「……」

 

「一つ聞いてもいいかい。君は別世界から来たと言った」

「この町のどこかにその世界への出入り口が……?」

 

ツバサは想がどうやってこの世界に来たのかを問う。

 

「あるけど……結構分かりにくいところかも。ついてきて」

 

――根尾の竹藪――

 

彼女の案内に従い、ついて行くとソウタ達は竹藪に行き着く。

 

「ここは? 竹藪と小屋?しかない……」

 

「その名の通り、『根尾の竹藪』よ。根尾通りの北の方にあるから知らない人も多いわ」

 

ソウタの反応から、ここに来たのは今日が初めてのようだった。

 

「そして……ここが別世界への出入り口……!」

 

想は鍵を取り出し、小屋のロックを解除。

 

小屋の中に入ったソウタ達の視界には古ぼけた扉が映っていた。

 

「この扉を開ければその世界に……!」

 

ソウタがドアノブに手をかけた瞬間、強烈な光が彼らを包み込む。

 

扉を超えた先にあったのは彼女の言うとおり、別世界の根尾町だった。

 

「……!ここが別世界の根尾町……?」

「それにしては町並みが全然違う……! まるで未来都市だ」

 

サイバーパンクな町並みにソウタ達は町中を見渡してしまうほどに圧倒されていた。

 

「ここが私達の世界の根尾町。科学が発展している分、町の景色もそれに相応しくなっているわ」

 

「この世界のバン達はどんな感じなんだろうなあ……」

 

「……申し訳ないけど異なる世界の自分同士が出会うと混乱を招きかねないわ。」

「私とあなたはそれぞれ同じ立場《ポジション》の人間……でも性別が違うからまだセーフなの」

 

「なんか……ごめん……」 

 

「一応言っておくと、この世界のバンは『根尾中ベイブレード部部員』、ヒカルは『根尾中生徒会副会長』、ツバサは『根尾中の生徒』よ。私は『根尾中生徒会長兼ベイブレード部部長』をしているわ」

 

「やっぱり微妙に違うんだな。こっちの世界のバンは『根尾中ベイブレード部部長』でヒカルは『根尾中生徒会長』、ツバサは『象栄からの転校生』だし……」

「……そういえばこの世界から元の場所に戻るにはどうすればいいんだ?」

 

やはりパラレルワールドなだけあって、人物の特徴も僅かだが異なっていた。

 

「……扉を通れば元の場所に戻れるけど、その度に扉がある場所が変わるわ。要は行き来するうえで避けては通れない道ってこと」

 

「ええ……」

 

元の世界に帰るにはその都度、扉を見つける必要がある。

 

思わぬ制約にソウタは無意識に頬を指でなぞった。

 

――根尾第一研究所――

 

「蒼龍想、別世界の者と接触したか……。邪魔をするというのなら消えてもらおう……」 

 

その一方で、根尾第一研究所の所長・Dr.カインは彼らの様子をドローンカメラで撮影していた。

 

厄災から町を救ったベイブレード部。

 

彼らは別世界からの来訪者とともに新たな冒険へ踏み込んでいく。

 




__イメージCAST―

蒼龍ソウタ:小林千晃 

門守バン:梶裕貴

一角ヒカル:小野賢章

焔ツバサ:榎木淳弥

蒼龍想:高橋李依
(髪型:青と白のセミロング/目の色:青)

根尾第一研究所

Dr.カイン:加瀬康之
(髪型:銀色のロングヘア/目の色:青)

ナレーション:森川智之

ベイブレード

サイバードラグニル.Ln3.Lv
(ランススリー・レベル)

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