Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
搬入用のケースを閉めかけて、ミドリが止まった。
ミドリ「ねえ。最後にこれ、決めよう。ずっと後回しにしてたでしょ」
モモイはケースから手を離した。ユズがタイトルの入力欄を画面に呼び出し、アリスも椅子を寄せた。
ミドリが画面を指す。
『タイトル未定』
発明家の名前は『PLAYER 1』。ロボットの名前は『PLAYER 2』。
モモイ「よし、今度こそ名前を決めよう!」
アリスも大きくうなずいた。
モモイがペンを走らせる。
モモイ「『歯車の果てまで、きみと』! 発明家がリベット、ロボットがアトラス。壮大な感じ!」
ミドリは別の紙を並べた。
ミドリ「私は『ちいさなネジと、おおきな手』。発明家はネジ、ロボットはテト。絵と一緒に覚えてもらえるかなって」
アリス「アリスは『おかえり、相棒!』がいいです。仕掛けのたびに、どちらかが先に行って、どちらかが待っていて……最後にまた会えた時に、言うんです」
アリス「名前は、発明家がトコ、ロボットがマモです! トコトコ歩く発明家を、大きなロボットが守ります!」
ミドリ「かわいい名前だね!」
アリス「はい!」
ユズは三枚を並べて、順に読んだ。
ユズ「どれも……わたしたちが作ったゲームの名前、だね」
一つだけ選ぶ。残りは消さず、企画ノートへ挟んでおくことにした。
三枚の候補を前に、モモイはまず自分の案を一番上へ置いた。ミドリがすぐ元の並びへ戻す。
ミドリ「順番で決めないからね」
モモイ「分かってるって! 見やすくしただけ!」
アリス「では、アリスの案も大きく書きます!」
ユズ「あ、えっと……大きさも、同じ方が……」
四人は笑って、紙の幅を揃えた。たったそれだけで、いよいよ本当に名前を決めるのだという気分になる。
モモイの案は、時計塔の外にも冒険が続いていそうだった。大きなロボットの名前を声に出すと、何かを背負って遠くまで歩く姿が浮かぶ。ミドリは長いタイトルを小さな画面へ収め、二行に分ける位置を確かめた。
モモイ「ね、エンディングを見た後に思い出してもらえそうでしょ?」
ミドリ「うん。短く呼ぶ時に何て言うかも、考えておくとよさそう」
ミドリの案は、二人の絵をそのまま見ているようだった。小さな工具と大きな手。何をするゲームか、初めて見る人にも伝わるかもしれない。
アリス「このタイトルだと、二人が並んでいる絵を見たくなります!」
ミドリ「そう思ってもらえたら、嬉しいな」
アリスの案は、声に出して読むと明るく響いた。長い冒険の終わりにかける言葉でも、短い部屋から戻ってきた時の言葉でも似合う。モモイは声に出してから、終了画面にも置けると言った。
ユズは三つとも、仮のタイトル画面へ一度ずつ入れてみた。同じゲームなのに、文字が変わると始まる前の気分が変わる。
ユズ「名前って……最後に付けるだけじゃ、ないんだね」
モモイ「もう付けるのは最後だけどね!」
ミドリ「お姉ちゃんも忘れてたでしょ」
名前を決めても、機能は一つも増えない。これまで作ってきたゲームが、誰かに呼んでもらえる作品になる。ユズは入力欄を空け、三人の顔を見た。
使わなかった候補も、ノートに残しておく。いつか別のゲームに似合う日が来る。今夜は、この二人に持たせる一組を選ぶ。
▶ モモイの、冒険の先を感じさせる名前を選ぶ [NODE 102]
▶ ミドリの、二人の姿が浮かぶ名前を選ぶ [NODE 101]
▶ アリスの、また会えた時の一言から取った名前を選ぶ [NODE 081]