Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
最初はモモイが発明家、ミドリがロボット。一度試すごとに、三人で持ち手を入れ替えていく。モモイは最速で走り、ミドリは逆向きに進み、アリスは途中で止まった。
三度目の組み合わせで、ロボットが床をすり抜けて落ちた。
モモイ「あっ、いま落ちた!」
ユズ「アリスちゃん、そこ、もう一回できる?」
アリス「はい! ここで、モモイを待ってたんです!」
ユズは画面を戻した。三人が同じ場所をのぞき込み、アリスの手元を見守る。
止まった直後に床が切り替わる。その動きをもう一度試してもらうと、同じようにロボットが落ちた。ユズは画面を見たまま、小さくうなずいた。
ユズ「分かった。動いている間しか、足元があるか調べてなかった」
モモイ「じゃあ止まった瞬間は、床がないことになってたんだ」
ユズ「そう。止まっている時も調べるようにするね」
アリスはコントローラーを置かずに待った。今度はユズが何を確かめたいか分かっている。同じ場所で止まり、逆向きで止まり、相手を待ってからもう一度動く。
アリス「大丈夫です! こっちから来ても落ちません!」
ミドリ「じゃあ、私は二人を重ねてみるね」
モモイ「私はぎりぎりで跳ぶ!」
三人が一斉に報告しようとして、ユズの手が止まった。
ユズ「ま、待って。順番に教えて……!」
ミドリが紙へ順番を書き、終わったものに丸を付ける。報告の仕方も、少しずつ揃っていった。
修正はコードだけでは終わらなかった。足場を変えたところへ絵を合わせ、説明の画像も撮り直す。モモイはその画面を見て、紹介文の一行を削った。
モモイ「これ、いまの動きだとできないから消すね」
ユズ「ありがとう……。次に変えたら、わたしも先に言う」
アリス「アリスにも教えてください! 新しい方で、もう一度冒険したいです!」
その言葉にモモイが笑った。修正を知っておくことが、ただの作業の連絡ではなく、みんなで同じゲームを遊ぶためのことに聞こえた。
ロボットはもう落ちない。ユズは同じ場所を三度通してから、修正した版を保存した。
試遊版は完成した。しかしまだやることは残っている。
ここからは展示の支度だ。画面と展示物を机へ並べる。ミドリがパネルを指し、モモイが説明し、アリスがその通りに操作する。ユズは少し離れた場所から、三人の動きを見た。
完璧になったと言い切るのは、まだ怖い。それでも、一人では調べなかった動きまで確かめられた。分からないことを全部自分の中へ抱え込まずに済んだ。
ミドリ「ユズちゃん、ここ、もう終わった印を付けていい?」
ユズ「うん。そこは、いいと思う」
紙の上へ大きな丸が付いた。モモイが隣へもう一つ星を描き、アリスも自分のペンを探し始める。ユズは笑いながら、丸は一つで分かると伝えた。
モモイは丸の付いた紙を掲げたが、ミドリにまだ片付けないでと言われた。明日、質問された時にも使うものだ。
モモイ「そっか。持っていく方ね!」
アリスが紙を受け取り、機材と一緒にしまう準備をした。ユズはそれを見て、小さく礼を言った。何を直したかを覚えている人が、いまは自分以外にも三人いる。