Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
床に張り付いたロボットが、天井を逆さに歩いた。
モモイ「それ! そういうのが見たかった!」
モモイが拍手する。アリスも続いた。
ただ、次に発明家を近づけると、工具だけが天井へ飛んだ。工具を消すと扉が開かない。ロボットを離すと床の裏へ落ちる。
面白い一瞬を残すために、新しい処理が増えていった。
ミドリ「この部屋だけ特別な処理が多くなってきたね……」
ミドリは説明文を足した。ユズは三部屋をつないだが、初めて遊ぶ人のための確認時間は残らなかった。
最初に逆さ歩きができた時は、全員が画面の方へ寄った。ロボットの大きな足が天井を踏み、工具鞄が下へ垂れている。
アリス「すごいです! さっきと同じ部屋なのに、違う道が見えます!」
モモイ「でしょ! このまま隠し通路にも行ける!」
ミドリ「隠し通路の絵はまだないよ」
モモイ「いまから……だめ?」
ミドリは返事の代わりに、増えた作業の紙を見せた。モモイは少しだけ声を小さくする。
新しい遊び方は確かにあった。しかし磁石から離れる方法が部屋ごとに違い、一つ目ではボタンを離すだけ、二つ目では反対方向へ押す必要があった。
ユズ「同じにしたいんだけど……こっちを直すと、さっきの場所で引っかかっちゃって」
アリス「では、ここでは反対を押すんですね。アリス、覚えました!」
覚えたアリスは進めた。まだ説明を聞いていなかったモモイは、同じ場所で止まった。
モモイ「えっ、なんで落ちないの? さっきはすぐ落ちたのに!」
ミドリ「そこは離すだけじゃだめなんだって」
モモイ「そんなの初めて聞いた!」
ユズの肩が小さく縮んだ。さっきはアリスとミドリにしか話していなかった。モモイは隣にいたけれど、その時は自分の画面を見ていた。
ミドリが操作の説明を足す。文字を増やすと、今度は小さな発明家が隠れてしまう。枠を上へ動かすと移動床に重なり、下へ動かすと足元が見えなくなった。
アリス「ミドリ、少し小さくしたらどうでしょう?」
ミドリ「読めなくなっちゃうかも……。うん、言い方を短くしてみる」
修正は進んでいた。けれど一つの変更が次の変更を呼び、最初に試そうとしていたことが後ろへずれていく。ユズは三部屋を接続し、少なくともゴールへ行ける手順を確かめた。
モモイは天井を歩く映像を保存した。ここを気に入ってくれる人はいると思う。そう思うからこそ、残したかった。
モモイ「次は、知らない人が触ってもできるようにしよう」
ユズ「うん。どこで困るか、ちゃんと見たいね」
完成までに確かめたい項目は、机の端の紙に残った。画面の中のロボットは逆さのまま、足場が動くのを待っていた。
画面を閉じる前に、ユズは説明が必要な場所を数え直した。モモイは隣で聞き、覚えているから平気だと言いかけて口を閉じる。
モモイ「……初めての人は、ここから覚えるんだよね」
ミドリがうなずいた。三人の返事を聞きながら、アリスは次に試す時には説明を見ずに歩いてみようと思った。