Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
台を入れ替えたミドリの画面の中では、キャラが待ってる橋の前がほとんど見えなかった。
ミドリ「えっ、こんなに見え方違ってたんだ」
モモイ「だから待っててって言ったでしょ!」
モモイは橋を動かすスイッチを押したまま待った。
モモイ「……着いた?」
ミドリ「まだ。もうちょっと。……3、2、1、「いま!」」
二人で声を合わせてお互い目の前のスイッチを押す。
ギミックが稼働し、扉が開いた。ゲームクリア!
得点表示を確認するより先に、二人とも相手を見て喜びを共にした。
ミドリ「声を掛け合うのが大事、キャラの役割もちょっと違う、と。見た目を結構変えたら遊ぶ側もわかりやすいかな……?」
そう言いながらミドリがメモ帳へ描いたのは、大きな手を持つ姿と、その腰までしかない小さな人物だった。
みんながそれを覗き込む。
ユズ「役割の違う2人……力持ちな巨人と器用な小人……?」
アリス「なんだかリオとアバンギャルド君みたいですね!」
モモイ「なんだかそれっぽい! 小さい発明家が装置を直して、力持ちロボットが道を作る、とか!」
ミドリ「それいいかも! ちょっと待って、ラフ描いてみる!」
クリア後の画面に、記録の更新は出なかった。それでもモモイはそれを気にせず、代わりにさっきの橋があった場所を指でなぞった。
モモイ「交代して分かったんだけど、待ってる方もけっこうソワソワするんだね」
ミドリ「そうだよ。渡ったのか分かんないし、タイムアップも近づくし」
モモイ「うん。さっき急かしてごめんね、ミドリ……」
ミドリは少し意外そうに姉を見た。モモイは視線をそらし、代わりに膝の上の紙を引き寄せる。
モモイ「だから、こっちでは待ってる方にも何か見せたい! 待ち時間が長いとだんだん支えてるロボットの腕がぷるぷるしてくるとか!」
ミドリ「それ、私が描くんだけど」
モモイ「絶対かわいいよ!」
アリス「ずっと震えていたら心配です! 早く仕掛けを解きたくなります!」
ミドリは言い返しかけてから、ロボットの腕へ小さな線を足した。プルプルしてる。何をさせたいかが分かれば、必要な絵も浮かんでくる。
ユズ「力で解決するギミック、仕掛けを解くギミック、大変そうだけど、やってみたいな」
モモイ「出来るよ! みんなでなら!」
アリスは紙の端へ指を置き、そこからまるで発明家を動かすかのように紙上をあちらこちらへとなぞった。
アリス「ここについたら、今度は発明家が装置を動かしてロボットの道を作るんです!」
モモイ「そしたら、呼べるようにもしたいね! こっちこっち、って!」
案が一つ出てはまた一つ、また一つと増えた。ミドリは全部を描き起こす代わりに、忘れないようにとメモを残した。まずは、相手が渡ったと分かること。そして、渡った側にも相手を迎える仕事があること。
部室へ戻る電車で、モモイは追加の機能をまだ考えていた。アリスは隣で熱心に聞き、時々大きくうなずく。ユズは二人の話を聞きながら、メモ帳に細い矢印を一本ずつ引いた。
ミドリ「今日の取材、ちゃんと役に立ったね」
モモイ「だから言ったじゃん! ゲームセンターに行きたいだけじゃないって!」
ミドリ「行きたいだけでもあるって言ってたよ」
モモイ「両方でいいでしょ!」
アリスが笑う。その膝の上で、発明家とロボットの紙が電車の揺れに合わせて少しずれた。アリスは二人が離れないよう、紙を両手で押さえた。