Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム   作:瑠璃色ゲンソウ

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003

ミドリ「もう少し下げて。……あ、そこ!」

アリスは指先の力を少し抜いた。持ち上がった歯車が下がり、ミドリの合わせた小さな歯車と噛み合う。

カチン、と小さな音がした。

アリス「宝箱、開きました!」

モモイ「獲得アイテム、ねじ三本!」

モモイが大げさに宣言する。ユズは笑いながら、動きをもう一度お願いした。

ユズ「強ければいいんじゃなくて、相手に合わせて力を変えるんだね」

 

扉が開いた瞬間、アリスは中をのぞき込んだ。ねじは確かに三本だった。光る宝石も、次の部屋へ進む鍵もない。

アリス「……本当に、ねじでした」

モモイ「レア素材かもしれないよ!」

ミドリ「勝手に持って帰らないでね」

アリス「はい。でも、宝箱を開けられたのは嬉しいです!」

ミドリも同じだった。大げさな報酬はなくても、自分の合図でアリスの手が動き、そのおかげで歯車が噛み合った感覚が指先に残っている。

ユズに頼まれて、もう一度箱を閉めた。今度はモモイが軽い方の取っ手を持つ。アリスは慣れたつもりで重い取っ手を引いたが、モモイはすぐに声を上げた。

モモイ「待って待って! まだこっちのが噛み合ってない!」

アリス「あっ、すみません! 今度はモモイの合図を待ちます!」

同じ教材でも、相手が違うと当然手を動かすタイミングが変わる。ユズは数字を書く代わりに、モモイがどこで止めてほしいと言ったかを記録した。

二回目に開いた時は、モモイが先に笑った。アリスもつられて笑い、支えていた手をゆっくり離す。

モモイ「こういうの! できたって、すぐ二人とも分かるのがいい!」

ミドリ「音も大事なのかな。さっき、開く音がした時にすぐ分かったし」

ユズ「うん。見てない方にも分かる音があると、遊びやすそう」

アリス「効果音なら、アリスが口で出せます! ガッチャン!」

モモイ「今のどうやったの!? だまされるくらい上手だったけど!」

ミドリは笑いながら、紙に大きな手を描いた。人の手をそのまま写すより、思いきってロボットにした方が力持ちだと伝わる。工具を持つ発明家は、ロボットの腰くらいの背丈にすると、並べた時に面白い。

モモイ「え、それロボット?」

ミドリ「うん。力持ちの方は、人の手より分かりやすいかなって」

アリス「では、小さい方が発明家ですね! 工具を持っています!」

ミドリ「いまはまだ、そう描いてみただけだけどね」

ユズは絵を見て、実物とゲームの違いを一つ付け足した。ゲームでは疲れないから、ロボットが支えるだけならずっと待っていられてしまう。

ユズ「待ってる間も、何かできた方がいいのかな。相手を見るとか、支える場所を変えるとか」

四人は教材を元どおりに戻し、動かした歯車を最初の位置へそろえ直した。ねじもしっかり元のように仕舞った。

ここでの経験は何枚かのメモになった。モモイは破らないよう、珍しく丁寧に鞄へしまった。

 

ユズは取っ手を引く強さだけでなく、二人が合図した順番も書いていた。モモイが何の記録か尋ねると、あとで同じ遊びを画面にしたいから、と答えた。ミドリはそのメモの横へ、支える手と工具を描き足した。

 

帰り道、ミドリが描いた二人組は、小さな発明家と大きなロボットになった。

ミドリ「この子が仕掛けを直して、こっちが支えるの。片方だけでは帰れない場所もある」

アリス「今度は発明家が助ける番ですね! ロボットを置いてはいけません!」

アリスが絵の二人を、指で順番にたどった。

 


 

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