Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
アリスは三部屋目まで進んでから、入口へ引き返した。
モモイ「どうして戻るの?」
アリス「置いてきた箱が必要かもしれません」
必要はない。四人のうち三人は、そう知っている。
ミドリが案内を足そうとすると、モモイは首を振った。
モモイ「でも、自分で気づく方が嬉しいじゃん」
ユズ「このあと鐘まで行っても、クリアしたって分かるかな……」
ユズの問いに、アリスが時計塔を見上げる。
試遊後の感想は何行にもなった。どれも直すなら、かなり時間がかかる。
途中で届いたユウカの連絡には、搬入時刻と試遊時間の目安が書かれていた。一組が遊べる時間は短い。
全員の視線が、感想の一行目へ戻った。
アリスが戻った場所を、ミドリは画面に印を付けた。間違いと書こうとして、手が止まる。箱が必要だと思った理由を、まだ聞いていなかった。
ミドリ「アリスちゃん、どうしてこの箱だと思ったの?」
アリス「最初の部屋で、大事そうに置いてありました。最後にも使うのかと思って……」
モモイ「確かに。あの置き方、イベントアイテムみたいだね」
ユズ「作ってる時は、そこまで考えてなかった……」
アリスは少し不安そうに三人を見た。皆がもう分かっていることを、何度も聞いてしまっている気がした。
アリス「アリスが覚えていないだけだったら、すみません」
ミドリ「違うよ。聞けてよかった。初めて遊ぶ人も、同じことを考えるかもしれないし」
その返事を聞くと、アリスはもう一つ気になった場所を教えた。ゴールの鐘を鳴らしても、そのまま歩けるから、まだ次があるように見えるという。
モモイ「終わりって出した方がいいかな?」
アリス「それなら分かります! でも、クリアした二人が喜ぶところも見たいです!」
ミドリ「……それは描きたい」
モモイ「でしょ! 絶対入れよう!」
ユズが時計を見た。新しく全部の動きを作る時間はない。いまある絵でできることなら、少しはありそうだった。
感想を全部並べると、まだまだ手を入れたい。分かりにくい印、小さな文字、寄り道から戻る距離、鐘を鳴らした後の反応。遊べなくなる問題と、もっと嬉しくなる工夫とが同じ紙に混ざっていた。
アリス「アリスも手伝います。どこから試したらいいですか?」
ユズは返事をする前に、紙を机の中央へ置いた。担当ごとに分ければすぐ作業を始められる。一方で、全員が別々に直したものを最後に合わせる時間も必要だった。
ミドリ「全部直すなら、矢印と説明が重ならないようにしないと」
モモイ「でも、いま見つけたんだよ? そのままにするのも嫌だよ」
それも分かる。だから、何を今夜直し、何を次へ残すか決めるのは簡単ではなかった。ユズは三人の顔を見た。誰か一人だけが決めて、あとから理由を説明するより、いまここで同じ紙を見て決めたかった。
アリスは自分の感想のうち、もう一度試したい場所へ小さな印を付けた。直すのは、一部でいい。好きだったところは残しておきたい。ミドリはその印を見て、直す時に消してはいけないものもあるのだと気づいた。
▶ 感想を全部拾い、各担当ができるだけ直す [NODE 065]
▶ まず四人で、発表までに直す三点を選ぶ [NODE 053]