Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
アリス「はい、待っています! 橋ができたら、モモイを迎えに行くクエストですね!」
アリスはコントローラーを膝に置いた。
ユズが数行を書き直す。ミドリは橋の位置を描き、モモイがその上へ四角を落とし続ける。
五度目で、橋は消えなくなった。
アリス「今度はアリスが、モモイの道を開きます!」
画面の奥から橋が伸びた。モモイの四角が渡ってくる。
モモイ「お待たせ!」
ユズは、その何気ない声を聞いて顔を上げた。
ユズ「……これ、いいかもしれない」
送り出して、迎えに行く。
そんな二人の形が決まった。
橋が消えないことを確かめると、モモイは今度は端で跳ね始めた。ユズの指がキーボードの上で止まる。
ユズ「そ、そこはまだ……!」
モモイ「大丈夫、落ちたら教えるから!」
言い終わる前に落ちた。
アリス「ああっ! モモイ、いま迎えに……あれ、橋が戻りません!」
ミドリ「お姉ちゃん。直ったばっかりのところ、すぐ壊さないでよ」
モモイ「私が壊したんじゃないって! 見つけたの!」
ユズは慌てて画面を戻し、落ちた位置を聞いた。ミドリは笑いながらもメモを取り、アリスは同じところへ行けるよう、もう一度スイッチを押す。
一回目に渡れただけなら、偶然で済んだ。二回目、三回目と試すうち、橋の端で何が起きているか分かってきた。ユズの返事からためらいが減り、モモイの報告も少しずつ具体的になる。
ユズ「そこ、もう一回だけ。ジャンプしないで歩いてみて」
モモイ「了解! ……今度は大丈夫!」
アリス「アリスも行きます! あ、橋を押しているのはアリスでした」
ミドリ「次のスイッチはロボット側にあるんじゃない?」
アリスは画面の向こうを見た。モモイの四角の横にあるボタンが、今度はこちらの道を開く。さっきのやり取りが逆になった。
モモイ「ほら、アリス。もう渡っていいよ!」
アリス「はい! 今度は待っていてください!」
二つの四角が揃ったところで、ユズはようやく椅子の背へ体を預けた。途中まで書いたままになっていた試作に、自分以外の人の声が付いた。その声を聞きたくて作っていたのだと、いまになって思い出した。
ミドリはテストプレイからインスピレーションを受けて色々なイラストを描いていく。
画面の中の動きから、二人の姿が少しずつ決まっていった。
アリス「ユズ、もう一回だけいいですか? 今度はアリスが大きい方を使いたいです!」
ユズ「うん。じゃあ、交代しようか」
日付もタイトルも仮のままだった。でも、もう一回遊びたいと頼まれた試作品は、戸棚へ戻す必要がなくなっていた。
ユズは新しい版の名前へ日付を入れた。モモイが隣から、今度こそ本当に動く方だねと言う。
ユズ「うん。どれか分からなくならないようにする」
ミドリはそこへ二人の仮絵も揃えた。アリスが次に遊ぶ時、同じ橋へ戻ってこられるように、四人で保存先を確かめた。