Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
磁石の紙を、モモイは捨てずに「次に作るもの」の箱へ入れた。
モモイ「先にこっちを、絶対面白くしよう」
床の端に立つ。真ん中に立つ。二人で乗る。ユズが試す順を決め、アリスが落ち方を報告する。
ミドリは、動く方向を床の縁に矢印で描いた。
ミドリ「これなら、初めて見ても分かると思う」
夕方には、一部屋を最後まで遊べた。
モモイは磁石の紙を箱から少し引き出し、また戻した。
モモイ「……三部屋できてからだよね! 我慢!」
ユズはうなずき、同じルールを残りの部屋にも反映した。
実際に絞ってみると、移動床一つにも分からないことは多かった。二人が端に立つと、画面から片方が見切れる。真ん中に重なると、どちらを動かしているか分かりにくい。
ミドリ「ちょっと待って。この絵、重なると見えなくなる」
モモイ「じゃあロボットを透けさせる?」
アリス「幽霊ロボットですか!?」
モモイ「そういう設定でも……」
ミドリ「増やさない!」
笑いながらも、ミドリは二人の輪郭を描き分けた。ユズは重なった時に少し位置がずれるようにする。アリスは同じところへ何度も戻り、今度はどちらの足も見えると教えてくれた。
最初に遊べた部屋へ、モモイが少し意地の悪い足場を足した。慣れたユズなら越えられるが、アリスは二回続けて落ちた。
アリス「うう……コンティニューです! 今度こそ!」
ユズ「ここ、端から跳ばなくても大丈夫だよ」
ミドリ「それ、絵で分かるかな。印を少し手前に付けようか」
モモイ「えー、でも簡単にならない?」
アリス「アリス、どこから跳ぶのか分かってから練習したいです!」
モモイは一瞬黙り、次は自分で遊んだ。印があってもタイミングは必要だった。着地できた時の嬉しさは、まだ手に残っている。
モモイ「……これなら、いいかも」
ユズはその部屋を基準にして、残りの場所にも同じ動きを反映した。違う部屋へ行った途端に滑り方が変わることがないよう、足元の数字を揃える。ミドリは印の位置を見比べ、アリスは覚えた動きが次でも使えるかを試した。
三部屋を抜けた時、モモイは箱の磁石案へもう一度目をやった。捨てていないから、あとから取り出せる。今夜使わなかっただけで、この案はまだ生きている。
ミドリ「次に作る時は、工具がくっつくかも決めてからね」
モモイ「分かってるって。……鞄だけくっつくのは?」
ユズ「それは、次のメモに書いておくね」
アリスは最後の部屋をもう一度始めた。誰も操作を教えなくても、最初の床で覚えたように走り、跳び、止まる。四人はその動きを、しばらく黙って見ていた。
アリスは最後に、わざと何もしないで待ってみた。モモイが隣から、今度はどうしたのと聞く。
アリス「待っている人もいると思ったので!」
ユズはうなずき、そのままでも床の動きが崩れないことを確かめた。急いで進む時だけでなく、立ち止まって考える時にも使える仕掛けになっていた。