Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
ユズが紙に三つの丸を描いた。
ユズ「進めなくなるところ。目的が分からないところ。それと……」
モモイ「鐘が鳴ったら、ちゃんと嬉しいこと!」
モモイが三つ目を埋めた。
ミドリ「じゃあ、私は出口の見え方から考えるね」
アリスは紙をのぞき込んだ。自分が書いた感想のうち、丸の付いていない行の方が多い。
モモイ「……三つって決めると、少なく見えるね」
ユズ「うん。まず、この三つを最後までやってみよう」
ユズは紙をキーボードの脇へ置いた。四人から見えるよう、少しだけ向きを変える。
紙の上に三つだけ丸を付けると、アリスは残った項目を心配そうに見た。
アリス「こっちは、まだ直さなくてもいいのですか?」
ユズ「忘れないようにはしておくよ。……でも、今夜はこっちから」
ミドリ「全部始めて、どれも途中になると困るからね」
モモイ「明日、遊んでもらってから直した方がいいのもあるかもしれないし!」
モモイも少し惜しそうだった。それでも、今日見せたいところに丸を付けたのは自分だ。三人へ説明した言葉を、もう一度自分で確かめているように見えた。
最初に、進めなくなる箇所を調べた。アリスが迷った道をもう一度歩き、ユズが戻れることを確かめる。次に、出口が分かるようにミドリが光を足した。
アリス「あっ、さっきよりこっちが明るいです! ここへ行けばいいのでしょうか?」
ミドリ「うん。言わなくても気づいてくれたね」
モモイ「じゃあ、その後に鐘が鳴って――」
最後の演出は、思ったより相談が長くなった。派手な文字を出したいモモイと、二人の姿を見せたいミドリで、最初は画面の中心を取り合った。
ユズ「文字が先だと……二人が隠れちゃうね」
アリス「二人を見てから、文字が出ても嬉しいと思います!」
試してみると、ちょうどよかった。鐘が鳴り、発明家とロボットが並ぶ。その後に短い終了の言葉が出る。新しく何枚も描かなくても、いまある絵の見せ方で雰囲気は変わった。
モモイ「……もう一回見よう!」
ミドリ「お姉ちゃん、三回目」
モモイ「好きなところは何回見てもいいでしょ!」
アリスは嬉しそうにコントローラーを持ち直した。ユズも今度は止めなかった。最初から最後まで通して見ること自体が、確認になる。
三つの修正を終えると、四人は展示の説明も同じ画面に合わせた。直さなかった場所は別の紙へ移す。忘れたのか残したのか、自分たちにも分かるようになった。
ユズ「これで、明日持っていこう」
言い切ってから、少し緊張した顔になる。モモイが大きくうなずき、ミドリは保存した画像を確認した。アリスは最後にもう一度、二人が並ぶところを見ていた。
モモイは残した感想にも、小さな丸を付けようとしてやめた。終わった印と混ざってしまう。
モモイ「こっちは、次の楽しみって書こう」
ミドリ「直すところだけどね」
モモイ「よくなるのは楽しみでしょ!」
ユズもアリスも、その言い方にはうなずいた。今夜の作業を終えることと、もう作らないことは、同じではなかった。