ラスボス機体の癖に、スーパーロボット系の主人公機を気取っているんですけど? 作:げげるげ
はい、投稿します。
割と駄目駄目な、どうしようもない性格の同級生が居るんだけどね?
うん、そいつは僕と違って顔は美形なんだよ。そう、美形。美形だけどね? そんな要素なんて、吹き飛ぶほど駄目な奴なのさ。
人の家の冷蔵庫に置いてあるプリンを食べることなんて序の口。
基本的に、借りた物は自分の物だと勘違いしている。
遅刻は当たり前。前なんか、待ち合わせの時間なのに、まだ布団の中で寝てたからね?
万引きや恐喝の類はしていないっぽいけど、近所の子供を集めてカードパックを大量に仕入れるような真似をしていたし。
人から嫌われ得るような行為を、全く気にせずやるような奴だ。
その癖、密かにモテたい願望があるのが度し難い。
大勢の男子から告白されて、それを纏めて振るような生活が夢だと語っていたことがある。うん、馬鹿だね……ああ、一応は女子だよ、女子、そいつ。
非処女の方がモテるというくだらない俗説を聞いて、幼馴染のイケメンに土下座しながら現金を掲げて、『セックスしてくれぇ! 私を女にしてくれぇ!』と頼み込むぐらい、女子として終わっているけどね?
その後、幼馴染のイケメンに自分の親を呼ばれて、ガチ説教をくらっていたよ。
馬鹿だね。
いや、本当に馬鹿。
幼馴染のイケメンに断られたから、その次に僕に声をかけて、『仕方ない! お前で妥協してやるか! こんな美少女とセックス出来て幸せだろ!?』と肩を叩いてくるぐらいに馬鹿。
当然、僕は呼んだよ。
幼馴染のイケメンと、彼女の両親をセットで召喚したよ。
基本的に幼馴染のイケメンは性格が物凄く善良な人なんだけど、あの人が誰かをゴミのような目で見ている瞬間とか、初めて見たからね?
まぁ、そんなわけで、駄目駄目で、どうしようもない性格の同級生が居るわけだけど。
――――そいつは僕よりも圧倒的に強い。
笑えるぐらいに強い。
前なんか、熊の頭部を人差し指一本で消し飛ばしていた。
多分、姿形だけ人間なだけで、僕らと別種の類だと思う。
そんなクソ強い癖に、滅多に暴力は振るわないところが、幼馴染のイケメンや僕が、なんだかんだ彼女を見捨てられない理由なんだろうけど…………まぁ、要するに、僕が何を言いたいかと言えば。
「ははははっ! いいぜぇ! いいぜぇ!! 久しぶりに血が滾って来たぁ!! どっちかが死ぬまでやろう!!!」
「やらないよ、馬鹿」
エリスの姉様――レーナは『そういうタイプの人間』で、現在進行形で物凄く苦戦しているということだよ。
●●●
事の成り行きは簡単だ。
ウルの工房から飛んで行ったレーナを探しに行った僕たちは、割とすぐに見つかった。
大体、百メートルも離れていない道端で「いててて」などと頭をさすっていた居たのである。
なお、エリスが言った通り、その体にはかすり傷一つ付いてなかった。
頑丈すぎる。
「姉様。馬鹿で変態な姉様」
「んおっ!? その声は、我が妹ぉ! どーしたぁ!? また飯でも集りに来たか!? それともあれか? なんかやばい奴でも引っかけたか!? 任せとけ、アタシがぶち殺してやる!」
「違うわ。姉さんに紹介したい人が居るの」
「紹介したい人? つまり……そうか、お前もついに結婚するような年齢に……」
「馬鹿」
そして、馬鹿すぎる。
レーナはおおよそ、物事を脊髄反射で判断するような人間に見えた。
その場の快不快で反射的に動く類の人種……つまり、僕の苦手なタイプである。
…………別に、同族嫌悪じゃないよ?
「おう、じゃあ、なんだ? 何のために紹介すんだ?」
「それは、攻略のため。姉様、この二人は姉様と同じく、最下層に居る暗黒竜の討伐を目的として――」
「お前らかぁ!!」
エリスの言葉を置き去りに、レーナが僕の元へと飛び込んで来る。
その速度たるや、まさしく疾風。
「お前らが! 竜を殺すって言った奴らかぁ!!」
「ぬおっ!?」
叫び声と共に振るわれる剛腕は、まさしく怪力無双。
とっさに防御して、攻撃を受け流さないと骨が折れていたところだぜ!
「いいだろう! つまり、アタシと喧嘩だな!?」
「違うわ、姉様」
「どっちが暗黒竜を殺すのに相応しいか、勝負しようって腹だな!?」
「違うわ、姉様」
「いいだろう! やってやるさぁ! 今までも! これからも! アタシが探索者最強で! 竜を殺すに相応しいって教えてやるぅああああ!!!」
「人の話を聞いて」
駄目だね、これは。
エリスが必死に呼びかけても、全く耳に入らず、僕を殴り続けている。
この手の人種は、興奮している時に何を言っても無意味だ。せめて、一旦、その怒りが収まるか、『会話するに値する』と示さなければ、行動を止めようとしないだろう。
「はい、よいしょっと!」
「ごぼあ!?」
故に、僕は地元の武術家からパクった技術でレーナの態勢を崩し、打撃を打ち込む。
今度は魔力をぶち込んでないので、内臓から破裂することは無いだろうけども。
「ははははっ! 外見の割には、意外とやるじゃねぇか! おっと! 外見で人を判断するのは駄目だったな! 安静だぜ、アタシ! 人は見た目じゃない! 力! 性癖! 魂!」
全く効いていない。
鍛えられない内臓を撃ち抜く打撃を受けても、まるで何の痛痒も無いかかのような表情だ。
うーん、これは魔力を込めて叩き込んでも、普通に耐えられた奴かな?
「これ、行けるかな? 魔物よりもよほど強そうに見えるんだけど」
ともあれ、だ。
ここはどうにか、僕一人でレーナを制圧しなければならない。
「…………まだ、私は弱い……おのれ……」
何故ならば、恨みがましくレーナを睨むエリスは、まだ鍛錬が足りていない。
「困ったら、いつでも我に任せるのじゃ、マサヒコ。そのための触手だからのう」
マガツに任せると、仲間にする相手に触手プレイをぶち込んでしまう。
ここで僕がレーナをどうにかする方が、結果的には後から僕が楽になる奴である。
流石に、往来で触手プレイは衛兵とか来ちゃう。
「さぁ、やるぜ、やるぜ、やるぜぇええええ!! 肉体言語のセッションだ!! アタシに! お前を理解させてくれぇ!!」
「ああもう! これだから馬鹿で強い人は!」
レーナが打撃を振るう嵐となって、僕の元に到来。
人一人――否、大型の魔物すら容易く殺す連打を、僕は神経を尖らせて、全てを受け流す。
そんなこと可能なのか? と思われるかもしれないが、可能である。
この世界に来てから、魔術を覚えた僕ならば!
身体強化でバリバリ自分の実力に下駄を履かせることが可能!
「っだらぁ!」
「みぎょ!!?」
更には、僕は雷系の魔術もこっそりと覚えている。
これを全力で放てば、いくらなんでもレーナは気絶――してないなぁ、うん。
「ははははっ! 刺激的だぁっ! 今度、アタシの性欲解消にそれを使ってくれよぉ!」
「さいってー!!」
地元の女子のように叫ぶと、戦闘が再開される。
レーナの動きは全く鈍っていない。あれだけの雷を受けた癖に。それどころか、どんどと動きの切れが増しているような気がする。いや、確実に増しているな、これ。
「いいねぇ! いいねぇ! 人間相手じゃあ、中々ここまで来れねぇんだよ! さぁ、もう一つギアを上げていくぞっ!!」
「しんどい! とてもしんどい!!」
ねぇ、今のレーナ、音速に近い動いで動いてない? 何故に? どうやって?
もういっそのこと、衛兵とか来た方がいいんじゃないか? とか思うけれども、周囲に居る野次馬は安全圏で、僕とレーナのどっちが勝つか賭けている始末。
どうにも、探索者同士の喧嘩なんて衛兵を呼ぶに値しない、日常茶飯事らしい。
一瞬、マガツに触手を頼もうかと思ったけれども、ぐっと堪える。
大丈夫、俺はやればできる子! 大概のことはできる子!!
「ええい、やってやるよぉおおおおっ!!」
レーナの強さはシンプル故に付け入る隙が無い。
ただ純粋に強いタイプだ。
身体能力がスバ抜けて高くて、魔力が豊富にあるから、あらゆる魔術をレジストする。
ならばどうする?
こういう時どうする?
「しゃあっ!」
そうだね、こちらも全力での力づくだね!
体力、魔力、知識、経験、その他諸々を絞り出して、僕はレーナの打撃を受けきる!
「ごぶぼ!?」
あ、一発ミスった! 肋骨折れて死にそう! はい、こんな時の回復魔術! はい、治った! 死んでない。
この間、僕は攻撃の手を緩めず、一歩踏み込んで。
「そろそろ時間だぁ!」
たっぷりとレーナに打ち込み続けていた、浸食の力を発動させた。
「んおっ!?」
僕は武器創造と同じく、権能の力をある程度扱える。
そして、レーナの打撃を捌きながら、僕はコツコツと浸食を打ち込み続けていたのだ。
故に、もはやレーナの肉体は僕の支配下――のはずなのだが、普通に全然浸食をレジストしてくるので、普通にとどめの一撃を放ちまぁす!! ええい、少しでも動きが止まったなら、十分だって考えてやらぁ!!
「我流・
レーナが硬直した一瞬の内に、僕は数十の打撃を打ち込んだ。
それらはレーナの肉体の中で交差し、更に衝撃が弾けるように倍増して。
「がぁ!!?」
吠えるような声と共に、レーナが白目を剥いて倒れこむ。
「はぁ、はぁ、はぁっ!」
だが、僕は残心を忘れない。
きっちりと意識を失っていることを確認して――死ねやこらぁ! という気分で撃ち込んだ必殺技でも意識を奪うのがやっとという事実に驚愕しながらも、ようやく気絶を確認。
「勝ったぞ、おらぁあああああ!!」
僕は右手を掲げて、やけくそ交じりに勝利宣言をしたのだった。
「流石です、兄様。まさか、姉様に勝つなんて」
「疲労困憊だけどね!」
僕は満面の笑みで抱き着いてきたエリスの頭を撫でる。
周囲の野次馬が無責任に歓声を上げているが、そちらには応えない。
何故ならば。
「ぷっはぁ! 負けたぁああああ!! くそぉ、お前強いなぁ!!」
この通り、レーナは気絶してから直ぐに起き上がって、まるで行動に支障がないような面をしているからです。
あの、常人なら体が粉々に弾け飛ぶ必殺技を食らわせたのですが、それは。
「へっ! ここまで強いなら、認めざるを得ないな! 良いぜ! お前は今日から、共に最下層を目指すライバルだ! どっちが竜をブチ犯すかは、早い勝ちだからな!」
「姉様、違う」
「おう? なんだ、エリス。何が違うって言うんだよ?」
「兄様――この方は自分で暗黒竜を倒さなくてもいいって。ただ、暗黒竜を倒す探索者をスカウトして、色々と支援したいんだって。私もセットで」
「ほう! つまり、姉妹丼ってことかよ!」
「違う。兄様はパトロンみたいなことをしてくれるという話」
「はっはっは! なるほど、そうかぁ! なーんだ、それを早く言ってくれよぉ!」
バンバンと僕の背中を力強く叩くレーナ。
うん、この人はあれだね。良くも悪うも、荒くれ者って感じの人だね。
少々、人の話を聞かな過ぎるところはあるけど。
「姉様が人の話を聞かないだけ。もっとまともな人間になって」
「おう! 竜を殺したらな!」
「姉様はそればっかり」
「仕方ねぇさ! 五年前……あの恐るべき大魔女からの侵攻に対して、このバルムを守った暗黒竜の姿……あれを見ちまったらもう…………ブチ犯すしかねぇよな!」
「兄様。ちなみに、姉様は強者に対する殺害をセックスと捉えている変態よ」
「そっかぁ」
僕は深く考えることを止めた。
変態と付き合うコツは、必要な時以外のツッコミを放棄することである。
じゃないときりがないからね!
「あ、だけどよぉ、兄様とやら!」
「佐藤雅彦だよ。よろしく」
「おう、マサヒコ! アタシさぁ、ウルの工房から出禁くらってんだよね! 理由は、卸したばかりの偽神機を翌日にスクラップにしたから!」
「……何故にスクラップに?」
「なぁ、マサヒコ……最高速ってさぁ……出し続けたら壊れる速度なんだなぁ……」
僕はエリスに視線を向ける。
すると、エリスは無言で首を横に振った。
どうやら、こういう感じが通常運転らしい。
「兄様、こんなんでも姉様は強いし、偽神機の操縦も、街一番なの」
「そっかぁ…………まぁ、新型偽神機のテスターという名目で乗せて、後は僕が間に入って怒りを宥める感じで行こうか」
「マジかよ! 愛しているぜ、マサヒコ! 胸揉むか? 胸!」
「結構です」
僕は今後の苦労を創造しつつも、とりあえず安堵の息を吐いた。
凄まじい才能がある者。
街一番のメカニック。
街一番の探索者。
後は、僕らが上手くフォローして、最下層まで突き進ませるだけである。
…………まぁ、その『だけ』が難しいんだけどね!
●●●
その後の二週間は、割と怒涛の日々だった。
「エリス!」
「はい!」
「とりあえず、白兵戦は免許皆伝!」
「やったぁ!」
「次は偽神機の操縦に移る!」
「はい!」
「…………えー、街一番の探索者にして、偽神機乗りに色々と話を伺ったところ、ほとんどが擬音の説明だったので、僕が色々試して実証した者のみ、伝える形式にします」
「兄様の負担が凄まじい……尻尾触る?」
「触らせていただきます……」
まず、エリスに偽神機の乗り方を覚えさせないといけない。
マガツオーのように精神同調で動かせればいいのだが、流石にそれは不可能。ある程度、パイロットの意思に従って動くものの、反応が鈍すぎるため、普通に操縦するためのレバーやペダルなどのコントローラーを動かした方がマシである。
そして、その偽神機の動かし方が一番上手いレーナは説明力が皆無。
仕方がなく、僕がレーナの説明から要訣を抜き取って。
「ウル。適当な練習機を一つ買うよ!」
「俺の作品に適当な代物なんざ一つもねぇ!」
「いや、手抜きじゃなくて、ジャストフィットという意味で」
「それを早く言え!!」
練習用の偽神機を購入。
購入費用は、僕らからウルに渡したテンシなどの素材分がある。
なので、後二台ぐらいは偽神機を変える資産はあるのだ。だけど、練習で偽神機を壊したらウルがブチ切れることは予測できるので、丁寧に扱おうと思う。
「…………ふぅー。まぁ、こんなもんかぁ」
なお、偽神機の操縦の仕方は、大体三時間ぐらいで覚えた。
多少の荒はあるかもしれないが、レーナの技術をエリスに教えるための試運転ぐらいは可能になったので問題無いだろう。
「はははっ! 気持ち悪いほどの才能だなぁ、おい! マサヒコ! お前も機体に乗れ!!!」
「暗黒竜の意向で、僕らは討伐に参加できないんだよ」
「…………え? お前、暗黒竜と知り合いなの? 好みとかわかる? どういう死に方がしたいとか言ってた?」
「とりあえず、探索者が自分の命に届くほど頑張るのが好きらしいよ?」
「っしゃあ!! 両想い!!」
レーナの扱いは、慣れれば意外と難しくはない。
基本的に、最下層に到達し、暗黒竜を討伐することが目的の人間なので、それに沿わないことを言わなければ問題ないのだ。
だから、問題があるとすれば一つ。
「だから! 僕が!! 魔力を充填すれば済むことでしょうが!!!」
「駄目だ!! エネルギーの問題を解決しねぇと、真に魔神機を超えたとは言えねぇ!」
ウルとの新型偽神機の製造が、ちょっと難航していることである。
骨組みは出来た。
素材も厳選した。
試算すると、魔神機を越える性能を実現することは可能だった。
多少、パイロットに負荷がかかり過ぎる問題は、コクピットを複座式にして、負担を分散させることで解決した。
後は実際に組み立てるのみ――――となったところで、ウルが『やっぱり駄目だ!』と言い出したのである。おのれ。
「じゃあ、魔力の問題は機械式の魔力炉で補いなよ!」
「高額になるだろうが! つーか、街に出回っている一番高性能な奴でも、連戦に耐えられる代物じゃねぇんだよ!」
「じゃあ、無理じゃん!」
「無理じゃねぇ! 燃費の問題を解決すれば、完全に魔神機を超えられるんだ!!」
「んもー! 我儘メカニック!!」
このように、ウルが燃費部分にこだわってしまったので、現在はマガツの知識から使えそうなものをサルベージ中だ。
ただ、マガツの知識は邪悪な物も多いので、適度に休憩しなければ正気度が削れてしまう。
「…………はぁ。せめて、六枚翼のテンシのコアでもあったらなぁ」
僕はそんなことを呟きながら、マガツの知識の要訣をノートに書き写す。
ああ、そうだ、後は食事の準備をしないと。
エリスは食事の質が強さに直結する。手抜きは出来ない。
ウルも神経を使い過ぎて、ろくに胃が食べ物を受け付けない状態だ。かなり消化に優しいものを用意して、少しでも体をまともな状態に戻さなくては。
極限状態だからいい作品が出来る、というジンクスはもちろんあるだろうが、基本的に人間というのは健康だった方が良い。
「さて、後は――」
動いた。
動いて、探して、考えて、戦って、料理して、その他色々と動いた。
もちろん、きちんと睡眠はとっているので悪しからず。
少々問題はあるものの、ウルが納得できる新型偽神機さえ作り上げれば、後は最下層までダンジョンを攻略すればいいだけ。
問題ない、順調だ。
だからこそ、ここが僕の頑張り時――――なのだけれどもね?
「もしもーし? マガツ? なんで触手? ねぇ? なんで僕を触手で拘束しているの?」
僕は今、マガツの触手に縛られて動けない状態だった。
ええと、マガツに何か失礼なことでもしただろうか?
それともまさか、最近構っていないから? いやいやいや、でも偽神機の製造のために、結構な時間は一緒に過ごしていたはずなんだけど。
「マサヒコ。我が相棒よ」
「うん、何? 僕、忙しいんだけど――」
「最後に休憩したのはいつじゃ?」
「……うん? いや、いやいや、マガツも隣に居たでしょ? ほら、一緒に六時間きっちり睡眠を取ったわけだし。もう大丈夫だよ?」
「最後に、気を抜いてだらけた姿になったのはいつじゃ?」
「いやいや、そんなの…………まぁ、良いじゃん」
そんなの、割とこの世界に召喚されたからほぼ皆無だったわけだけれども?
でも、口に出すと確実に怒られる気配がするので、黙る僕である。
「沈黙は『全く休めてない』と判断する」
「そんな無慈悲な!?」
「阿呆、慈悲があるからこう言っておるのじゃ、まったく」
しゅるしゅると触手が僕をマガツの前まで引っ張って行く。
流石に、そこそこの付き合いなので、いきなり洗脳はしてこないだろうけども、何をするつもりなのやら。
「マサヒコ。我の権限で、お主は今日、強制的に休みになる」
「そんな殺生な!」
「既に、他の面子には連絡済み。ああ、ウルには直接、我の知識から使えそうなものを触手でぶち込んでおいたのじゃ」
「ああ、ウルが知らない内に触手プレイに!?」
「そんなことよりも」
「そんなことよりも!?」
マガツはキスできそうなほど近くまで僕に近寄ると、にぃと邪悪な笑みを浮かべた。
「デートをするぞ、マサヒコっ!!」
「えっ、マガツが!!? できるの!!!?」
そして、下手に悪逆非道なことを言われるよりも、よほど心配になる発言をした。
…………とりあえず、このデートが休暇になるかどうかは、微妙なところだと思う。
レーナは偽神機が大破しても、「あー、しくじった」と言いながら無傷で帰還します。