ラスボス機体の癖に、スーパーロボット系の主人公機を気取っているんですけど?   作:げげるげ

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温泉回は入れられる内に入れておく!! これが勝利の鉄則だ!!!
でも、エッチなのはほどほどにしないとレーティング的に駄目になっちゃうからね、気を付けようね。

はい、投稿します。


第5話 リザルト

 白亜の少女が、僕の隣に居た。

 外見年齢は小学校高学年から中学校一年生ぐらい。

 背丈は僕の胸元程度。

 日本ではなかなか見ることの出来ない、腰まで伸びた真っ白な長髪の少女だ。

 しかし、その白は初雪のように無垢な印象を抱かせない。

 

 ――――何もかも焼き尽くした後に積もる、真っ白な灰。

 

 身に纏う喪服のような黒衣も相まって、その少女の色合いは不吉さを感じさせる。

 けれども、それだけで終わらないのは、尋常では無い美貌の持ち主だからだ。

 左目を黒革の眼帯で覆っているというのに、そのいかつい要素すら覆す美貌だからだ。

 

 幼さを残しつつも、どこか老獪な印象を抱かせる赤銅色の瞳。

 容易く人の魂を喰らいそうな朱色の唇。

 傾国の美女に幼年期があるとすれば、このような形だろうと誰もが納得する美貌。

 そんな美少女が今、僕の隣に居る。

 

 それはまぁ、良い。

 いいよ、別に。居ても困らないし。ただ、問題が一つ。

 

「二名様でご宿泊ですね?」

「うむ! 我らはこう見えても夫婦でな? 今日は新婚旅行なのじゃ!」

 

 異世界旅館の女将さんに、白亜の美少女――マガツが馬鹿なアドリブをかましたことだ。

 あのさ? 事前の打ち合わせでは違ったよね? 兄妹の予定だったよね?

 

「そ、そうですか…………ええと、奥様が随分と若いようですが?」

 

 異世界なのに和装の女将さんが、『え? 警備の人を呼ぼうかしら?』みたいな視線を僕に向けて来る。

 恐らく、異世界でもマガツの外見年齢ではアウトなのだろう。

 僕ぐらいの年齢ならば、あるいは異世界でも成人扱いになるのだろうが、流石にマガツは駄目。外見小学生から中学生のラインは駄目。

 だが、ここで言い淀んでは余計な騒ぎが起きてしまう。

 いくら大神殿から離れた温泉街までやって来たとはいえ、ここで騒ぎを起こせば追手に情報を与える可能性が大だ。

 故に、僕はマガツの馬鹿からのキラーパスに、こう答えた。

 

「あははは、そうですよね。僕と同じ年齢なんですけどね…………あの時から、僕だけがずっと年を取って変わり続けている……」

 

 そう、『明らかに何か重そうな事情がある顔』で、それっぽいことを答えたのだ。

 現代日本ならば、『何を馬鹿な事』で即座に逮捕だが、ここは魔法も巨大ロボットも居るファンタジー世界である。

 

「――っ!? まさか、『邪神の呪い』でしょうか!?」

 

 すると、御覧の通り、女将さんは勝手に勘違いしてくれた。

 だが、ここで頷いたり、急いで肯定してはいけない。それは三流詐欺師の行動だ。

 

「…………あははは」

 

 力なく微笑み、そっとマガツの手を握る。

 これよ、これ。この儚げな態度。曖昧に返答を拒否する所作。

 下手に嘘を重ねるよりも、こういう演技を入れた方が、相手を騙せるってもんだよ。

 

「そんな――いえ、失礼しました」

 

 ただね? ちょっとね? 上手く騙し過ぎてしまったというか。

 女将さんは深々と頭を下げると、真剣な表情で僕たちと視線を合わせた。

 

「ご夫婦の旅行が幸いのものになるよう。我ら従業員一同、誠心誠意尽くさせていただきます」

 

 痛いよぉ! 心が痛いよぉ!

 善人を騙すのは普通に心が痛いよぉ!!

 

「ふふふっ。素敵な宿じゃな、我が夫よ」

「ああ、そうだね。僕の可愛い奥さん」

 

 というか、大体お前のキラーパスが悪いのに、何を綺麗な笑顔で腕を組んで来るんだよ、この馬鹿はぁ!? 何の時間!? 何の試し行為!? 絶対に、普通の兄妹の設定の方が、この余計な時間は無かった…………いや、まぁ、それはそれで、明らかに外見が違う兄妹という、疑問を抱かせることになるか? あえて、馬鹿みたいな設定にした方が、後々の追及は少なく済むのか?

 

「んっ(可愛らしいキス待ち顔)」

「ははっ、こんなところではしたないよ。ほら、部屋に行くまで待ってて」

 

 でも、これだけは確かだ。

 この馬鹿は、僕をからかって楽しんでいる。

 

 

 

 さて、どうして異世界に和風温泉街なんて代物があるのか?

 マガツ曰く、『召喚勇者』による文化の流入のためらしい。

 あれだね。結構な確率で日本人とか呼び出されているんだね?

 …………いや、でも、数百年スパンで召喚されているにしては、この旅館の内装といい、温泉街の建物だったり、どうにも現代風に見えるんだけれども?

 

「別に、我らの世界とお主の世界の時間軸が合っているわけではないからのう。というか、そもそもずっと同じ世界を対象として、勇者を召喚しているわけでもない」

「というと?」

「まず、我らとお主の世界以外にも、世界というのは数多に存在する」

「並行世界……とは違うか。ええと、じゃあ、多数世界?」

「この世界の人間たちは、邪神の復活を予知すると、都合の良い手駒を得られそうな異世界を検索する。その後、国を選び、人を選び、勇者として召喚するわけじゃ」

「つまり、この温泉街を作るきっかけになったのは、日本人じゃなくて、日本人っぽい文化の勇者たちだったってこと?」

「いいや。この世界の人間たちは、『最初の勇者召喚』の際、日本という国の平和な時代の若者たちが、非常に都合よく動くことを学んだ。故に、異世界を検索する際、『日本』という国家が存在すること条件としている……その点で言えば、あながち並行世界も間違っておらぬな。今まで、この世界に召喚された日本人は、お主の世界とは異なる世界の日本人だったというわけじゃ」

「…………要するに、多数世界で日本ピックアップ召喚?」

「概ねその通りじゃ」

「この例えが通じる当たり、マジで数百年前にも『現代日本』から色々と勇者が召喚されていたんだなぁ」

 

 僕とマガツは、案内された部屋に入った瞬間、ごろごろと畳の上に転がった。

 何故か?

 疲れたんだよ! 普通に!! 初ロボット戦闘だぞ!? 召喚からノンストップで色々やったんだぞ!? もう、くったくた! くったくただよ!! はー、畳の上で寝転がるの気持ちいいー!

 

「このまま寝たい」

「ほう、ではそうするか?」

「…………やるべきことがあるから、がんばりまぁす!」

「それでこそ」

 

 僕は体を起こすと、仕方なしにマガツと向き合う。

 そう、まだ眠っていられない。

 ――――レライエのパイロットたちをどうするかの問題が残っている限りは。

 

「では、そろそろ『本日の敗者』から出すぞ」

 

 がぱり、とマガツが縦に割れて、そこからずるりと人が二人分出て来る。

 先ほどまでの癒しが台無しになる光景である。

 マガツの人間形態が美少女なだけに、余計にグロテスクな吐き出し方だ。

 

「ふぃー、すっきりした」

 

 一仕事終えた、と言わんばかりのすっきりとした顔のマガツ。

 既に割れた状態から人間に戻っているが、マガツが人間形態になった時から密かに続いていた、僕の浮ついた心は先ほど完全に死んだ。

 こいつは女子ではなく、邪悪な生物だと再確認しました、はい。

 

「あ、あちきたちをどうするつもりでしゅか!?」

「ううう……」

 

 なお、畳の上に転がされた二人は、レライエのパイロットである魔女と勇者の二人。

 

「言っておくけど! あちきはどんな拷問を受けようが、絶対に祖国の不利益なことは話さないでしゅ! それぐらいなら、自害するでしゅ! リエも同じ気持ちでしゅ!」

「違うよ? シャル、私は普通に死にたくないんだけど???」

 

 シャルと呼ばれた魔女は、泥沼のような不思議な髪色の女性だった。

 二十代前半ぐらいの外見年齢で……こう、背も高ければ胸もでっかい。超でかい。更に、体型を強調するようなパイロットスーツを着ているので、余計に……いや、何この巨乳? え? 胸が本体??? っと、落ち着け。胸に意識を持っていかれるな。

 

「ほほう?」

 

 ほら、相棒が邪悪な目でこっちを見てる!

 違うよ!? 違うからね!

 僕は気分を取り直して、勇者の方を――僕よりも低い背丈で、色々と貧相な体つきの女性の方を見た。うん、大体同い年ぐらいかな? こう、普通というか……見ている者の心が穏やかになる体型で非常によろしいね! パイロットスーツがぴちぴちしていても、全然心が乱れないぜ! ありがとう!

 

「ううっ、何故かとんでもない侮辱を受けた気分です……」

 

 気のせいだよ!

 

「さて、マサヒコ」

「うん」

「我らはレライエを打破し、この通り、パイロットの生け捕りに成功した」

「そうだね」

「ならば、次にすることは分かっておるな?」

「うん。情報収集ってことだね?」

「その通り。じゃがな? この手の尋問というのは古今東西、難しいものじゃ」

 

 やれやれ、と肩を竦めてマガツは語る。

 

「痛みを与えるのも、薬を使うのも、ある一定以上の訓練を受けている者に対しては効果が薄い」

「わ、私は! 死にたくないので情報を出しまぁす!」

「その前に、あちきがリエを殺すのでしゅ」

「ばーか! ばーか! お互いに拘束されているのに、何ができるんですか、ばーか!」

「あちきが自害すると、リエも同時に死ぬ契約魔術があるでしゅ」

「くそったれですねぇ!!」

 

 ぎゃあぎゃあ、とこれから待ち受ける尋問を前に騒ぐレライエパイロットコンビ。

 確かに、マガツの言う通り、中々に尋問するには一筋縄ではいかなそうだ。

 

「というか、そもそもマガツは尋問とか得意なの?」

「ふくくくっ。尋問? この我が? 造作ない――いや、そうする必要も無いと言っておこう」

 

 そして、マガツも経験が無さそうな口ぶりなのだが……どうにも、表情に焦りが無い。

 それどころか、僕に対して良いところを見せられる絶好の機会! みたいな顔をこっちに向けている。

 ええと、あれかな? 何か特殊な魔術でも使うのかな? ほら、ファンタジーの世界だとそういう尋問特化の魔術があるかもだし。

 

「何故ならば、我の情報収集とはこうするからじゃ! えいっ!」

「「はうっ!?」」

 

 などと考えていると、マガツのスカートの下から二本の触手が飛び出た。

 細長い触手だった。

 それらは素早く動くと、シャルとリエ、二人の耳にどちゅりと音を立てて接続される。

 

「ほれ、この通り――――情報とは直接脳から吸い上げるのが一番じゃ!」

「え!? 殺した!!??」

「殺してはおらん。そもそも、脳の一片たりとも傷つけてはおらん。ほれ、みよ、この苦痛を感じず。むしろ快楽に浸る二人の姿を」

「「あっあっあっ」」

「非常に人道的な情報収集じゃろう?」

「絵面が最悪ぅ!」

 

 エロゲーの導入みたいになってるぞ、これ!!

 

「むぅ、文句ばかり……我は別に、このままこやつらの脳を喰らってもいいのじゃが……」

「マガツ最高! マガツ最高! 超人道的配慮! 流石は愛と正義のマガツオー!」

「むふー」

 

 満足げな表情で溜飲を下げるマガツ。

 あぶねぇ。発言には気を付けないと……とりあえず、愛と正義を前面に押し出せば、どうにかマガツの邪悪成分はギリギリ中和できるので、今後もやらかさないように注意し続けないとだね。

 

「さて、そうこう言っている間に、情報の吸い出しは完了じゃ」

「「あうっ!?」」

 

 ずるり、耳から触手が引き抜かれると、二人は揃って気絶した。

 先ほどまであれほど元気だった二人だが、やはり人間は脳に干渉を受けると色々と脆いことがよくわかる…………なんか、こっちが悪役みたいな絵面に……いや、大丈夫! 正義は! 正義はこっちにある! だって、僕たちの方が強かったし!!

 

「ここからは、巻き添え召喚系勇者であるマサヒコのために、先ほど取得した情報も合わせて、色々基本的な説明をしておこうと思うのじゃが……ふむ」

「うん? 何? 何でそこで悩むの? 僕、説明好きだよ? むしろ、早く説明して欲しい」

「突然じゃが、マサヒコは童貞か?」

「突然過ぎる!? いや、まぁ、童貞ですけど!? 清い体ですけど! それが何か!?」

「むふー」

 

 マガツは何やら可愛らしい少女の笑みで、ぺちぺちと倒れているシャルの胸を叩き始めた。

 

「では、我が脳を操作して、良い感じにこの体を操るから、今の内に捨てておくのじゃ、その童貞を!」

「捨てないよ!?」

「むぅ、何故に?」

「言ったじゃん! 性奴隷にしないって言ったじゃん!」

「性奴隷にはせぬよ? こやつらは軽く洗脳――絆の力で仲間にした後、帝国に潜伏させて埋伏の毒とするから」

「今、洗脳って言った!?」

「ええい、うるさい。散々、非戦闘員も含めて虐殺したのじゃから、こうやって人道的配慮をしている分、むしろ厚遇じゃろう?」

「それは……」

 

 マガツの言っていることには一理あった。

 確かに、この二人は大神殿で虐殺を行っている。軍事作戦であったとしても、それは変わらない。

 

「大体、勇者は除くが、この魔女は歴戦のプロじゃろう? 敗北した後、その身を貪られる程度の覚悟はしておるはずじゃが? 否、むしろ、童貞が初々しい感じにブチ犯すのならば、まだマシな境遇と言えるはず…………なぁに、お主の世界の戦争でも、同じようなことは誰でもやっているじゃろ?」

 

 邪悪な表情と甘ったるい声で、僕を邪悪の道へと誘うマガツ。

 こいつ、これでも愛と正義のロボットのつもりなんですよ?

 

「それでも、僕は嫌だ。ここでこの人をブチ犯せば、僕は元の世界に帰っても、その感触に囚われて、苦しむことになるだろうから」

「ふむ…………つまり、ブチ犯すという選択肢が日常に入り込むようになると?」

「なんだその最悪の呪い……まぁ、でも、そういうことだね」

「なるほどのぅ。ふむ、それならば仕方がないか。我、こういうお人形劇が得意なのに」

 

 邪悪溢れる言葉を吐いて、しょんぼりするマガツ。

 そういうところだよ、マジで。

 

「それと! これが一番大事なんだけど!」

 

 故に、僕は相棒の邪悪さを薄めるため、こっぱずかしい本音を叫ぶことにした。

 

「僕は! 初めては好き合っている人が良いんだよ!」

「む? 愛のあるセックスでなければ駄目だと?」

「そうだよ!!」

 

 僕が真っ赤な顔で言い切ると、マガツは何かを考える素振りをした後、得心が言ったというように手を打った。

 

「そうか。なるほど、そういうことか!」

「わかってくれた? 大丈夫? 僕はそろそろ、お前と正しく意思疎通できているかどうか心配になって来たけど」

「案ずるな。わかっておる……我も性急すぎて済まなかった。童貞は基本的にバッドステータスじゃから、さっさと捨てた方が良いという善意だったのじゃ」

「ん、ん……まぁ、言いたいことは色々あるけど、わかってくれたならそれでいいよ」

 

 僕とマガツは互いに握手を交わし合い、相互理解を高める。

 これから共に異世界で戦い抜く関係なのだ。馬鹿みたいことでも、きちんと納得して分かり合うことに越したことはない。

 

「では、脱線してしまったが、本題に入ろう」

「わぁい、説明の時間だー!」

「うむ。だが、あまりダラダラと無駄に長い説明をしても仕方がないので、肝心なことを最初に言っておこう」

 

 話がシリアスに戻ったので、僕は姿勢を正してマガツの言葉を待つ。

 

「まず、改めて言うが、我の目的は邪神の討伐。愛と正義のスーパーロボットとして、その名を歴史に刻むことじゃ」

「そうだね。僕としては、それに付き合うのは普通の男子高校生では不可能だから、その内見捨てられることを前提として動こうとは思っていたけど」

「なんと!?」

「マガツは僕の我儘を受け入れて、力を貸してくれたからね。お前が僕を見限らない限りは、正義の味方として振る舞い、頑張ってお前について行こうと思うよ」

「……っ!」

 

 意外だ。

 僕としては、マガツの言葉に当たり前の返事をしたつもりなのだが、マガツはやたら驚いたように目を見開いた後、がしっと力強く僕の両手を掴んで来た。

 

「我は嬉しい、お主のような契約者を――相棒を持てて! そして、恥じよう。最悪、パイロットは洗脳して確保すればいいや、と思っていた自分自身を!」

「うん、もっと恥じろ? 愛と正義の定義を見つめ直せ?」

「これならば、後顧の憂いも無くお主に告げられる」

 

 僕が笑顔で苦言を呈するのにも構わず、マガツは感極まった笑みで告げる。

 

 

「実は、邪神は全部で三柱居るのじゃが、我の目的はその全ての討伐なのじゃ」

「んんんん???」

 

 

 歴戦のパイロットを倒せたんだから、意外と楽勝かも!? などと思っていた異世界ロボット戦記が、意外と難易度ハードモードだったことを。

 

 

●●●

 

 

 はぁい、異世界の露天風呂を堪能中の佐藤雅彦でぇす。

 えー、マガツの説明をざっとまとめると以下のようになります。

 

 

・邪神は全部で三柱居るよ!

 

・何処に居るの? 大陸を三つに割っている国家のところにそれぞれいるよ!

 

・この三つの国家の特徴を雑に説明するよ!

 

・アルバート王国。魔法主体の文明。二番目に領土がでかい。個人が強い。

 

・ヴァイス帝国。魔法工学主体の文明。一番領土がでかい。軍隊が強い。

 

・メリパス共和国。医療と娯楽が主体の文明。領土は猫の額。一部以外はクソ雑魚。

 

・邪神たちは基本、自分たちが封印されていた国家から滅ぼして行くよ!

 

・邪神たちは人間が大嫌いだから、大体皆殺しにして行くよ!

 

・人類は邪神たちに対抗するため、悪魔と契約を結んだよ!

 

・悪魔と契約した人間は魔女と呼ばれていたよ!

 

・魔女は魔神機というロボットを展開可能だよ!

 

・でも、魔神機は燃費がクソだから、異世界から勇者を召喚するよ!

 

・魔女は各国でそれぞれ六人存在するよ! つまり、魔神機は各国六体だよ!

 

・仮に、戦いの中で魔女を失っても、悪魔と再交渉して補填は可能だよ!

 

・ただし、対価がクソ高いので、よほど切羽詰まってないとやらないよ!

 

・邪神に対抗するための魔神機なのに、どうして各国が戦争状態に?

 王国と帝国は意外と余裕があるからだよ!

 

・ノウハウが溜まっているから、邪神一体に付き三体の魔神機の連携で安定して倒せるよ!

 

・邪神の死体は、国家にとって貴重な素材が沢山あるから、出来れば沢山欲しいよ!

 

・だから殺す!! 敵国をぶち殺して! 敵国の邪神を横取りする!!!

 

 

 はい、大体こんな感じ。

 人間、下手に余裕が出来るとろくなことにならないね、という話でした。

 

「――だから、三国が邪神を討伐する前に、マガツが討伐する。もう二度と復活しないように、邪神の魂を浸食し、砕く……うーん。控えめに言ってもパブリックエネミー待った無しの行動だけど、戦争の根幹を断つってのはまぁ、マガツにしてはまともな考えかな?」

 

 僕は湯船に体を沈めながら、ぽつぽつと取り留めも無く呟く。

 

「色々大変そうだけど。でも、打算ありでも僕に手を差し伸べたのはマガツだけだったし。やれるところまでは頑張ってみるかなぁ……全方位に喧嘩を売るのも、ボッチの僕ならいつものことだしね。今回はそれがたまたま国家単位になっていると思おう」

 

 異世界召喚。

 勇者。

 魔神機。

 邪神。

 テンシ。

 ――――マガツ。

 物凄い濃い一日だったけれども、でも、こうして僕は生きている。

 ファンタジーの世界でも、どうにかこうにか、僕のボッチスタイルは通用している。

 いや、流石にその内にメッキが剥がれて、痛い思いをするかもしれないけど。

 

「それに、幸いなことに……いや、エリートボッチとしては怠慢なことに。今の僕は一人じゃないみたいだし。うん、寂しくないのは悪くない」

 

 相棒と呼ばれちゃったからね。

 死なない程度に頑張るさ。

 

 

 

「待っていたぞ、マサヒコ! さぁ、絆の力を深めるためにセックスなのじゃ!!」

「んんんん???」

 

 温泉から上がって部屋に戻ると、絶妙にはだけた浴衣姿のマガツが待っていた。

 えっと、あのね? 僕はついさっきまで、シリアスに一日の締めを決めて来たばっかりなんだけど?

 

「あのさ? 言ったよね? 僕、やらないって言ったよね?」

「うむ。マサヒコは戦果としてのセックスは嫌だと言った。初めてのセックスは愛があるものがいいと言っていた」

「でしょ!? じゃあ、なんで!!?」

「だからこそ、相棒である我が一肌脱ぐわけだ!」

 

 むふー、と得意げな表情のマガツ。

 こいつ、この表情をする時、ろくでもないことしか考えてないな?

 

「我とお主は、戦いを経て絆を結んだ相棒同士! 更には! ロボットアニメでは愛の力によってパワーアップするという現象もある! つまり、我とお主がセックスすれば! マサヒコの童貞は捨てられて! しかも、我らが揃ってパワーアップ! 得しかない行為じゃろう!?」

「そっか。一日の終わりで疲れているから、この一言で終わりにするね? バーカ!!!」

「何故に!!?」

 

 この後、僕はぎゃあぎゃあと騒ぐ相棒を説き伏せてから、布団の中で気絶するように眠った。

 どうやら、この世界は僕にシリアスな締めというのを許してくれないらしい。

 




捕虜二名は野生に返しました。
多分、帝国編で出て来るでしょう。帝国編があれば。
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