英雄と呼ばれた僕は。 作:虎春
1日一話は必須で投稿していけるように頑張ります✨
重厚な城門の下に、硬い靴音が響く。
石畳を踏みしめる黒いブーツ。白と黒の衣に施された、繊細な金糸の刺繍。腰には黒塗りの鞘に収められた一振りの日本刀「無銘最上大業物」が、金具と鎖で静かに揺れている。
最後に映るのは、風に流れる白銀の髪と、左目を覆う黒い眼帯。その表面には金色の紋様が咲いていた。
城門を抜けた先には、人間だけでなく、獣人、エルフ、ドワーフたちが行き交う街並みが広がっている。種族の違いを気に留める者はいない。商人の呼び声、荷車の軋み、子どもたちの笑い声が、晴れ渡った空の下で溶け合っていた。
シルフィは立ち止まり、街の奥にそびえる王城を見上げる。
シルフィ「ここが中立国リベリアか……」
シルフィ・ストラウス、十六歳。
十四歳にして魔王軍一万を、ただ一人で滅ぼした。
龍を斬り、大陸を断って戦争を終わらせ、地殻を斬って地震を鎮め、雲を斬って天災すら退けた――数え切れぬ逸話を持つ伝説の剣士。しかしその容姿は美しい美少女にも見えるほどの、美貌を持ち、白銀の瞳、腰まではあろう白銀の長髪、華奢で美しいボディライン。
人々は彼を、畏敬を込めてこう呼ぶ。
――白銀の剣聖。
しかし当の本人は、周囲から注がれる視線にも、ひそひそと交わされる声にも興味を示さなかった。ただ気怠げに街を歩き、やがて一軒の建物の前で足を止める。
太い梁と石壁で造られた、中世風の大きな酒場。開け放たれた窓からは暖かな灯りと、料理の匂い、陽気な笑い声が漏れている。
軒先の木製看板には、力強い文字で店名が刻まれていた。
――酒場「酔いどれ亭」。
シルフィは看板を一度見上げると、静かに扉へ手をかけた。
酔いどれ亭・店内/昼
ギィ……。
木の扉が開き、外の白い光が店内へ差し込む。大勢の冒険者で賑わっていた酒場に、一瞬だけ風が通った。
シルフィは敷居を越え、淡々と声をかける。
シルフィ「お邪魔するよ」
その声に、泡立つ木製ジョッキを盆いっぱいに載せて運んでいた赤髪の女将が振り返った。
ミレリア「いらっしゃい!」
快活な声が、騒がしい店内にもよく通る。
女将――ミレリア・スカーレット。中立国のリベリアの酒場「酔いどれ亭」の女将。年齢 37歳 経歴 元冒険者。既婚者で子供が2人娘いる。 性格 勝ち気で男まさりの姉御肌。酔いどれ亭の店主をしており、多くの冒険者を優しく明るく迎える。 容赦 身長178センチ、体重60キロ、Eカップ、赤髪に、紅蓮の瞳、年齢は相応な若々しさを持つ。
入口に立つシルフィを上から下まで眺め、わずかに目を丸くした。次の瞬間には人懐こい笑みを浮かべ、空いているカウンター席を手で示す。
ミレリア「おや? ずいぶん綺麗な坊やだね! 長旅、疲れたろ? ここ座んな!」
あまりに自然な調子だった。
英雄を見る目でも、化け物を見る目でもない。ただ、旅に疲れた年下の客を迎える目だった。
シルフィの口角が、ほんのわずかに上がる。
シルフィ「ありがと。心遣い、痛み入るよ」
シルフィは腰の刀を外し、席の脇へ丁寧に立てかけてから、カウンターへ腰を下ろした。
予約投稿もつけてるので乞うご期待!