英雄と呼ばれた僕は。   作:虎春

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第六話 英雄と未熟者

シルフィが出口へ向き直ろうとした、そのとき。

 

依頼掲示板の方から、場違いなほど明るく能天気な声が響いた。

 

栗色の髪の女冒険者「あ、ゴブリン討伐の依頼!しかも二十体討伐くらい余裕でしょ!」

 

シルフィとアイリスが、同時に声の方を見る。

 

シルフィは思わずその声と人に、ぽかんと小首を傾げた。

初めて見るタイプの人だった。こんな子犬のようにやかましい冒険者は見たことがなかったのだ。

 

シルフィ「……?」

 

対するアイリスにふと目を向けると、先ほどまでの丁寧な笑顔を消し、露骨に呆れた冷たい目、というより、またか、と言いたげな冷たいめで掲示板と少女に目を向けている。

 

アイリス「……」

 

やがて依頼書を握った小柄な女冒険者が、受付へトテトテと駆け寄ってきた。

 

身長はシルフィよりさらに僅かに低い。腰まで伸びた栗色の髪を高い位置でポニーテールに結び、栗色の瞳を期待に輝かせている。青いケープと駆け出し用の軽装を身につけ、腰には西洋式のショートソードを下げていた。

 

彼女――ルミリア・イグニス。年齢 24歳 性別 女 身長 148センチ バスト Cカップ 武器 ショートソード 容赦 小柄で可愛らしい。栗色の腰まである髪をポニーテールに結び、栗色の瞳をしている。 性格 新人駆け出し冒険者で、向こう見ずな部分もある。早く一人前の冒険者になりたいと夢を抱いている。

 

ルミリア「これにする! あたしだって、もう一人前なんだから!」

 

両手を腰へ手を当て、フンスッ!と胸を張り、依頼書をバン!と受付テーブルに叩きつけた。

 

アイリスは眉間を指で揉み、深く、それはそれは深くため息を吐いた。

 

アイリス「まだ鉄クラスの新米ど底辺駆け出し冒険者のあなたが、いきなりゴブリン討伐。それも二十体などという多数相手の依頼受注など、承諾しかねます。」

 

冷静かつ容赦のない一言に、ルミリアの勢いが僅かに削がれる。それでも彼女は拳を握りぐぬぬっと推されつつも、必死に言い返した。

 

ルミリア「あ、あたしも訓練はしっかりやってきたんだから、大丈夫だもん!カカシ相手にちゃんと斬撃も入れたし!ちゃんと剣も扱えるもん!」

 

受付を挟み、睨み合う二人。

 

その少し後ろで、シルフィは何が始まったのか分からないまま、きょとんとした顔で彼女たち。すなわち女の戦争というものを眺めていた。

 

白銀の剣聖が休息を求めて訪れた街で、新たな出会い?あるいは世界は別の意味で彼を休ませる気がないのか、あるいは新たな運命が動き始めようとしていた。

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