夏目アンアンや他の魔女達を幸せにしたいTS幼女さん 作:雨神 白那
前日譚その4
あっ、はい………誠に申し訳ございませんでした……えっ?違う?
次の日の事だ。
朝起きて、お母さんとお父さんの間で考える。説明くらいはしないといけないだろう。………とても怖い、けど。前と同じようになることの方がもっと怖い。………だから………
結論から言うととっても簡単に終わった。お父さんもお母さんも優しく撫でながら聞いてくれた。………聞いてくれたと言うか、見てくれたと言うか。スケッチブックで会話をしながら、謝罪した。
自分のわがままで、二人をおかしくしてしまった。自分の言葉で、操り人形のようにしてしまった。そう締めくくった。………筈なのだが。
「アンちゃんはかわいいねぇ。」
「もう、あなた?そんなの当たり前でしょう?私たちの娘なのよ。」
『………怒らないのか?』
「どうして怒る必要があるんだい?」
「わざとじゃないんでしょ?アンちゃん。」
『当然だ。そんなことしない。』
「なら良いんじゃないかな。」
「娘のわがまま聞いてただけだものねぇ?」
『………ありがとう。』
といった様にスッと流されてしまった。話題は変わり、あの人………恐らくは、お父さんとお母さんを助けてくれた人。出来ることならまた会って話がしたい。………と見せた矢先に。
「………」ピンポーン
「あら、誰かしら?」
「アンちゃんは何か知ってる?」
「………」フルフル
「………」ピンポーン
「とりあえず開けてくるわね。」
「うん。お願い。」
そう言ってお母さんは玄関まで行った。
「………どうも。」
「………えっ。」
「知り合い?」
「アンちゃん?」
「………皆さん、昨日はすみませんでした。」
「………大丈夫。」
「………あぁ!さっき見せた昨日の人?」
「あぁ、今さっき見せた人か。いらっしゃい。」
「………えっ?なんでこんな歓迎されて?」
『当然だろう?だって、お父さんとお母さんを助けてくれた人なんだからな。』
………えっ?なにそれ知らない。どゆこと?確かに昨日その………すごかった二人を落ち着かせはしたけ……ど?………もしかして今までずっと?確かにそれなら昨日のこの子の顔に納得行くけど……えっ?
「もしかして………今までずっと?」
「………あぁ。」
「………そっか。じゃあ、たまたま良かったんだね。」
『………その。ありがとう。』
「………えっと、どういたしまして。」
『ところで、一つ聞いても良いか?』
「良いよ?」
『その。………なんで魔法が効かないのか。聞きたい。』
「えっ?魔法?………あ、あれ魔法なんだ。」
そう言ってあの人………雨神シロナは自分の力………魔法での【鎮静化】を教えてくれた。わがはいは言葉で【洗脳】が出来ると言ったら、相性が良いと笑ってくれた。
「自分は常日頃から自分に【鎮静化】を使ってるからね。」
「アンアンちゃんの言葉、そのまま聞けるよね。」
「………!!」
まさに目から鱗とはこの事だ。お父さんとお母さんもそうやって聞いた洗脳の効果を【鎮静化】したらしい。………ただ、完璧ではないから、他人に掛ける分にはもっと長期的に何度も掛ける方が良いと念押ししてきた。
「………だから、もしよろしければ、お二人に【鎮静化】を定期的に行使しようかと考えているのですが………いかがでしょうか?」
『良いのか?』
「君の負担にならないだろうか?」
「そうよ?シロナちゃんが辛いなら、無理しなくて良いのよ?」
「構いません。元より家に一人で居る身です。………何より、幼い子供の幸せの為です。大人として、幸福を享受して欲しい。」
『………ありがとう。』
「………少しいいかな?」
「………ええ……ちょっと……ねぇ?」
「どうかしました?」
『………?』
「………その。………シロナちゃん。」
「………今、おいくつかしら?」
「……?………あっ。」
『………大人?』
「………勘違いなら良いんだけど。」
「アンちゃんとそう変わらないんじゃないかしら?」
「………あー………っと……ですね………」
『………何歳なんだ?』
………やっばい荒唐無稽な話すぎて信じられる気がしないけど、どーしよっかなぁ………いやまぁ魔法があるんだし行ける………かなぁ?
「………その。荒唐無稽に聞こえるお話ですがそれでもよろしければ。」
『聞かせろ』
「………聞いておきたいかな。」
「ええ。シロナちゃんの事知りたいし!」
「………えっとですね………これは前世の話で………
シロナ………いや、お兄さんに聞いた話によれば、前世で事故死した後、目が覚めたら赤子になっていたそうだ。成人男性の身体から、幼い子供の女の子になったらしく、私と同じぐらいに産まれたみたいだ。
「………えっと。じゃあ、シロナくん……で良いのかな?」
「別にシロナちゃんで良いんじゃないかしら?」
「どちらでも……まぁ、呼び捨てでも特に異論はありません。」
『ならシロナと呼ぶ。』
「それで大丈夫だよ。」
………肉体的には同い年…と言えるだろう。精神的には二回り程上な様な気がするが。本人に異論無いなら別に良いか?どちらにせよ、彼女………彼……?……シロナは、元大人故に子供の私を幸せにしたいらしい。……………甘えても………良いのだろうか?
「……アンアンちゃん。」
『………なんだ。』
「ほとんど見ず知らずの変人にするのはちょっと嫌かもだけどさ。」
「………?」
「その。なんだ。甘えても良いんだよ。お話しくらいなら付き合うし。」
………えっ。………本当に……甘えても………
「………良い、の?」
「………うん。私とで良ければ。」
「………っ!……本当に……良いの?」
「………えっと……うん。お二人もよろしいでしょうか?」
「良いんじゃないか?アンちゃんに友達が出来たのは良いことだからね。」
「ええ!さぁシロナちゃんもゆっくりしてて?もっとお話ししたいもの!ティーパーティーにしましょう!」
「……パー…ティー。」ビクッ
また、パーティーが。はじ、まって
「ああぁほら……【鎮静化】。今は大丈夫だから。ね?」
「………相性も良さそうだね。」
「ぇ?………あっ。ごめんなさいねアンちゃん!?お母さん、つい舞い上がっちゃって……。」
『………大丈夫だ。お母さん。パーティー、しよう。』
「………そうだね。お茶会しようか。好きなお菓子は何かな?微力ながら力になるよ?」
「ん?シロナくんはお菓子作りが得意なのかい?」
「シロナちゃんは何が作れるのかしら!」
『わがはいも気になる。』
「………えっと、期待してもらってごめんだけど、お菓子作りはあんまり得意じゃないかな。調理師免許を持ってたっていうだけで、お菓子は焼きプリンとかしか作れないや。ごめんね?」
「あぁ、そういう事か、お手伝いはきっときちんと出来るのだろうね。」
「じゃあ、アンちゃん。何が食べたい?お母さんとシロナちゃんで作ってあげる!」
「………じゃあ、ケーキと………シロナの焼きプリンが、食べたい。」
プリンはあまり食べなかったから……それに、シロナのプリン……気になる。
「良いよ。………ブリュレみたいにする?」
「美味しそうだね。」
「じゃあシロナちゃん。頑張りましょうか!」
「………待ってる。」ニコッ
「……うん。美味しいの作るから。」
「ねぇシロナちゃん。」
「どうしましたか?プリンはもうオーブンレンジ入れたので、待つだけですよ。」
「早いわねシロナちゃん。………シロナちゃんの事で少し聞きたくて。」
「………すぅー………この度は……誠に、」
「違うわよ!?………ねぇシロナちゃん。………家族は?」
「………………あぁ。………今生の両親は目の前で息絶えましたよ。………どちらも、絶望しながら。」
「………そう。ごめんなさいね?嫌なこと思い出させたでしょう?」
「いえ………ただ、彼女………アンアンには私の様になって欲しくないだけですよ。」
「………………えぇ。……そうね。」
「………プリンはできましたかね。そっちはどうです?」
「生地が焼けるまで後少しね。」
「ならプリンは冷蔵庫入れますね。果実の方を切っときます。」
「ちなみにシロナちゃんは飾り切りは出来るのかしら?」
「それなりには。と言っても、花を咲かす程度ですが。」
「十分よ。じゃあ適当にお願い。ケーキはこっちで仕上げちゃうから、いくつか挟む用のお願いね。」
「はい。………随分手際が良いですが、パティシエールにでも?」
「そんなことないわ。お菓子作りが趣味なだけよ?シロナちゃん。」
「凄いですね………飾りまでよくもまあ………友人が作ったそれと変わりない様に思います。店で出せますよ?」
「あら、パティシエールと同じくらい?すっごく褒められちゃった!」
「凄い物ですから。………っと、ブリュレにしなければ。」
「飾りまでありがとうね、シロナちゃん。トレイとフォーク、スプーンはそっちだから人数分お願いね。」
「はい。」
………………その後は、アンアンにケーキとブリュレプリンを紅茶で頂きながらお茶会を楽しませてもらった。話の途中で、二人を【鎮静化】するのは朝の方が都合が良いと、隣から通えるように合鍵まで頂いてしまった。
………夏目家に毎朝通い、皆の朝食を作り、アンアンとお話をしたり、甘やかしたり。二人を【鎮静化】して、症状が改善出来るまで経過観察したり、まるで家族のように居させてもらった。………本当に、嬉しい限りだ。
シロナ「こんな感じで連行されたなぁ……」
アンアン「何も聞かずに帰ったお前が悪い。」
ヒロちゃん「正しくない。」
なのちゃん「どうしてそんなに冷静なのかしら…?」
シロナ「【鎮静化】してたから………あぁ、そういえば二人ともこの手で………」
ヒロちゃん「正しくない事はあれど、君は救っただろう。」
アンアン「………お父さんとお母さんをありがとう。シロナ。」
なのちゃん「………あなたは今、救えたのよ。誇りなさい。」
シロナ「………あぁ。ありがとうね。皆。」