やっと半分過ぎたと思ったら、今回四ページしか進んでない……(泣) このペースじゃいつ圏内事件終わるのやら……え、作者のせい? 違う!作者が悪いんじゃない、ネタを考えついちゃうのが悪いんだ!
……さて、話は変わりますが、今日久しぶりにロスト・ソングやったのですが(受験生だろ!というツッコミは無しで(笑))、相も変わらずエクストラクエストのセブン倒せねえ……誰か、攻略方法教えて下さい……
さて、作者のどうでもいい悩みはごみ箱にシュートして、第六十六話、どうぞ!
アスナがキリトへの怒声を息を切らしながら止め、ようやく場(というよりアスナ)が落ち着いたところでハイディングを解く。
俺は素知らぬ振りをして樹の裏から出てきて、アスナは松岡修造並みに熱くなって全力で運動してもこんなに切らさないだろと思うほどに切れた息を整え、キリトは怒声を浴びせられ停止していた頭を再起動し、シュミットは状況把握よりも『指輪の件』のことを知るのが先と判断したのか真剣な顔つきになる。
カオスな雰囲気から真面目な雰囲気へと、分子構造は(と言っても空気もプログラミングされたポリゴンなのだろうが)変わっていないのだが、確かに空気が変わった。……そう言えば某中二病でも恋がしたい(願望)のアニメで『混沌なるカオス』とか言ってたけど二重の意味じゃね? どんだけ混沌としてるんだよ……。……あのアニメを観て、中二病でも恋ができると思い込んでしまう
でもあれだな、なんやかんやであのアニメ二期までいったしな。これは関係ないが、なんで既刊が十巻超えてアニメ化されたラノベの作品は大体二期ないんだろうな? 緋弾○アリアとか星刻○竜騎士とか。その点で言えばハイス○ールD×Dは三期までいったから凄いね! 俺の青春模様をラノベにしたら売れ……ないな、うん。タイトルは『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』にしようかと思ったけど、長文タイトルは廃れたしな。そもそも俺ラノベ作家志望じゃなくて専業主夫志望だし。
中身も見た目も
「誰から聞いたんだ」
「は?」
ちゃんと指事語を入れろ、指事語を。一瞬何のことか判らずに俺何かやらかした!? って思っちゃっただろうが。
「ギルド《黄金林檎》の元メンバーからだ」
やはりあまりいい思い出がないからか、眉をぴくりと動かし顔をしかめる。
「名前は」
人にものを頼む態度を学んでから出直してこいと言いかけてしまった口を仮想顔筋肉でなんとか踏みとどまる。いかんな、こんなこと現実世界では普通だったのに。
「……ヨルコさんだよ」
一時放心したように体が強張り、次いで安心したように息を吐いた。
俺はそれを無表情に――見ようによっては観察しているように――眺める。そのレベルといったらデウスから未来日記を授けられちゃうレベル。……それは置いといて。観察した、というのもここで安堵の息を漏らさないならほぼクロ、漏らしたならグレーと判断するためだ。そしてやはりシュミットも昨日の事件の構図が《指輪売却賛成派派》による《反対派》への復讐であることに気づいているのだろう。
現時点の判断材料ではシュミットがカインズ殺害をした可能性は限りなく低いと言ってもいい……が、動機がないわけでもない。例えば指輪事件の真犯人がカインズとシュミットだとして、シュミットがカインズを殺害……みたいなシチュエーションも、ないことはないのだ。故にグレーなのである。
「シュミットさん。昨日あなたが持っていった槍を作ったグリムロック氏、どこにいるか知ってる?」
「し……知らん!!」
キリトのド真ん中ド直球ドストライクな質問に図星を突かれたかのように、シュミットは首がもげんばかりの勢いで激しく首を横に振った。
「ギルド解散以来いちども連絡してないからな。生きてるかどうかも知らなかったんだ!」
視線が街のあちこちを彷徨う。何処からか槍が飛んでこないか恐れているようだが、噂話をして人が出てくるならとっくにグリムロック見つかってるし、最初の頃なら俺攻略組の居るところ居るところに現れてますよ? 主に悪口だけど。
と、そこで今まで黙視していたアスナが穏やかな声で話しかけた。
「あのね、シュミットさん。わたしたちは、黄金林檎のリーダーさんを殺した犯人を捜してるわけじゃないの。昨日の事件を起こした人を……もっと言えば、その手口を突き止めたいだけなのよ。《圏内》の安全を今までどおりに保つために」
ほんのわずかな間を開け、いっそう真剣な声音を加えて続ける。その鋭さは、おおよそ中高生が出せるものではない、修羅場を潜ってきたものの声だ。やはりSAOプレイヤー……それも特に攻略組は命のやり取りをしているせいか精神年齢が著しく上がっている。
「残念だけど、現状で一番疑わしいのは、あの槍を鍛えた……そして、ギルドリーダーさんの結婚相手でもあったグリムロックさんです。もちろん、誰かがそう見せかけようとしている可能性もあるけど、それを判断するためにも、どうしてもグリムロックさんに直接話を聞きたいの。今の居所か、あるいは連絡方法に心当たりがあったら、教えてくれませんか?」
じっと髪と同じ色の瞳に見つめられた体育会系男子(青年かもしれないが)は、ぐっと息を詰まらせ上体を反らす。大規模コミュニティに属している奴は全員リア充だと思っていたが、そんなことはないらしい。でも甘いな。俺だったら男子でも息を詰まらせるぞ。……最近ではそんなことはあまり記憶にないが。
防御不可の眼差しでシュミットの精神を攻撃する手法に胸中で感心していると、黒の布に覆われた触れたら折れてしまいそうな華奢な腕(この世界では俺より筋力があるが)を曲げてキリトが俺の脇腹を肘うちしてきた。もちろんアンチクリミナルコード圏内なのでダメージはない(もしあるならキリトがオレンジカーソルになっている道理だ)が、衝撃によって生み出される不快感は決して気持ちのいいものではない。
なにすんだと抗議及び今の行動の意味の説明を求める視線を送ったが返事はなく、顔をプイッと背けられただけだった。……やだこの子可愛いけど訳もなく肘うちをしてくるのやめてください。いや、説明したらやっていいって訳でもないんだけどね?
そんなやり取りが繰り広げられていたとは露知らず、シュミットは横に顔を向け固く閉ざしていた口を開いた。……やだ同じ顔を背けている行動なのに少しも可愛くない。戸塚がやったら絶対可愛いのに。同じ男でどうしてこうも……いや、戸塚の性別は戸塚だから男じゃなかったわ、八幡ウッカリ、テヘペロ。
「…………居場所は本当にわからない。でも」
いい加減スイッチを切り替えて真面目に話を聞こうとする。ぼそぼそという擬音がぴったりなほど弱々しく、シュミットは話し始めた。
「当時、グリムロックが異常に気に入ってたNPCレストランがある。ほとんど毎日のように行ってたから、もしかしたら今でも……」
「ほ、ほんと!?」
キリトが身を乗り出す。
アインクラッドに於いて、食べることが唯一の快楽と言ってもいい。しかし廉価なNPCレストランでは自分好みの店が見つかるのは稀だ(俺が《料理》スキルを取得した大きな要因でもある)。唯一の快楽である食事で、毎日通うほど気に入ってた店の味を何日も絶つのは無理だろう。人はとにかく自らの欲を満たすことにはひたすら貪欲なのだから。……そして
「そ、そのお店の名前は?」
「条件がある」
だから指事語を入れろ、指事語を。それを教えるにはをちゃんと条件があるの前に入れましょう。それともあれですか? 体育会系は略すのがノーマルなんですか? 「お願いしまーす!」を「しゃーす!」って言うみたいに。……よく考えたらリア充もよく略語使ってるな。つまりシュミットはリア充か。ならば、俺の敵だ。
俺が一方的に敵視した(シュミットはそもそも俺のことなんざ眼中にもないだろう)シュミットの『条件』とやらを聞くために耳を澄ませる。
「教えてもいいが、一つだけ条件がある。……彼女に、ヨルコに会わせてくれ」
次回!『元黄金林檎メンバーの会合』です!