ソロアート・オフライン   作:I love ?

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うん。長いですね、圏内事件。書きたいこと一杯あるのに! アインクラッド→フェアリィ・ダンス→ファントム・バレット→マザーズ・ロザリオ→スクワッド・ジャム→アリシゼーションって計画してるのに、全然終わらないよ!
話は変わりますが、俺ガイル十一巻六月十八日に発売日らしいですね。待ちきれないぜ! 多分SAO十六巻は八月発売、スクワッド・ジャムは六月発売だから、テンション上がりまくりです(笑)
それにしても、十一巻はバレンタインらしいんですが、いよいよ最終章なんですかね? あと書籍の内容が
まちがい続け、いつまでも手の届かない答え
 一色いろはの依頼を受け、バレンタインデーのイベントを手伝うことになった奉仕部。そのイベントには三浦や海老名、川崎などいつものメンバーも加わり、より大規模なものになっていく。穏やかで暖かな空気の中、だんだんと見過ごせなくなってくる小さな違和感、慣れないことで戸惑っているのだと自分に言い聞かせようとしても誤魔化せない気持ち。
 本物から目をそらしてでも、この時間がずっと続けばいいのかもしれない--。
 何も気づかないほうが良かったのかもしれない--。
 提案される「彼女の相談、彼女の依頼」。
 雪は静かに降り積もり、彼ら、彼女らの今という景色を変えていく。

……だったんですが、なんか八幡がガハマさんの好意に気づいた感じがするのは作者だけですか?
メチャメチャ長く書いてしまってすいません。それでは本編どうぞ!


時間稼ぎの後に、比企谷八幡は説明を始める。

投擲。弾く(パリィ)。投擲。弾く(パリィ)

俺とジョニー・ブラックの戦闘は、そんな流れ作業が延々と続く展開になっていた。

距離が遠ければナイフを弾き続け、近づけば鍔迫り合いになりまた距離をとられる。おまけにこちらは一撃喰らえば負け確定。向こうはナイフが尽きれば分が悪くなるという耐久戦だ。

時間稼ぎをするために戦っているこちらとしては大歓迎な展開だが、常にPoHが参戦しないかにも眼を光らせなければいけないため、辛いのはこっちだ。

ずっと五メートルほどの距離を保ち、長時間――と言ってもまだ数分だが――毒ナイフを投げ続ける戦法は、向こうもフラストレーションが溜まることだろう。だが、接近戦では自分が分が悪いと理解している証拠でもある。俺も《投剣》スキルは取っているが、あくまでサブウェポンだしな。

だが確かに成長したジョニー・ブラックは侮れないが、いい加減眼も慣れてきたので、次にあのパターンで攻めてきたら、完璧に対処できるという確かな確信があった。

腕が動く。ナイフが放たれようとしている。どんな軌道を描いて向かってくるか、全て解る。その瞬間には既に投擲体勢に入っていた。全てがスローモーションになった世界で俺はダガーを三本取り出し、駆け出しながら投擲。システム外スキル《未来予知》ができるからこそ可能な、システム外スキル《見切り》。

この《見切り》は、普通の防御方法とは少し違う。一般的なセオリーとして、普通は相手が動き出した時に合わせて防御をする。

しかし、《見切り》は相手の挙動、目線、呼吸のリズムなどから攻撃位置を予測し、相手が攻撃する前に防御をする。端から見れば、防御しているところにわざわざ攻撃を当てているように見えるだろう。

これは防御を相手が脳から運動神経に命令を伝達する……つまり行動がキャンセルできなくなる0.2秒間(脳が命令を出して、行動に移すまでの平均的な時間)の間にしないといけないため、タイミングはとてもシビアだが、成功したときのカウンターは恐らくキリトの反射神経を持ってしても回避不可。必中の斬撃は無類の強さを発揮する。

《見切り》によってナイフを弾くために投げたダガーは寸分違わず毒ナイフに衝突し、細い金属音を発してともに地面に落ちた。ようやく拓いた道を駆け、左上から剣を振り下ろす――と思わせ、スライディング。

防御体勢に入っていたジョニー・ブラックの右横を通り過ぎた辺りで地面に左手をつき、そこを作用点として前に進もうとした運動エネルギーを利用して回転。スキルもへったくれもない単純なローキックだが、これはダメージ狙いじゃない。

 

「うおっ!」

 

物凄い勢いで繰り出された回転蹴りは、ジョニー・ブラックの足に当たりバランスを崩し、その回転の勢いを使い、右手に持った剣で膝裏辺りで両足を斬り払う。《軽業》スキルによる補正がなかったらこうも鮮やかにはならなかっただろう。

当然、支えがなくなった体は倒れ地面にうつ伏せになる。また暴れられてはたまらないため、そこら辺に落ちていた毒ナイフを突き刺し、麻痺状態で唯一動かせる利き手も部位破壊しておく。

 

「……さて、PoH。もうまもなく攻略組が数十人でここに来る。このまま俺と戦って攻略組が来るのを待つか、大人しくここから立ち去るか、好きなほうを選べ」

 

「……Suck」

 

短く罵ると、指をパチンと鳴らし、配下のエストックを収めさせる。赤眼男はPoHの隣に位置していたが、俺が五歩程度後ろに退くとジョニー・ブラックを担いだ。

リーダーのPoHは、俺を友切包丁(メイトチョッパー)で俺を指すと、吐き捨てるように言った。

 

「……《灰の剣士》。貴様だけは、いつか必ず地面に這わせてやる。大事なお仲間の血の海でごろごろ無様に転げさせてやるから、期待しといてくれよ」

 

「……生憎だな。俺は最下層の人間だから、とっくに無様に地面を這ってるさ」

 

PoHは俺の言葉を無視したのか、くるくる器用に指の上で回していた獲物をホルスターに収める。趣味の悪い黒革ポンチョをばさりと翻し、余裕綽々と丘を降りていく頭領を、赤眼髑髏マスクの男はジョニー・ブラックを背負い追っていった。

しかし急に立ち止まりこちらを向くと、一言だけ言った。

 

「……今度は、俺が、お前の、相手をして、必ずお前を、殺してやる」

 

「……じゃあもっと努力(レベリング)するこったな」

 

その言葉にしゅうっと呼吸だけで返事をし、霧の向こうに消えていこうとしている自分のヘッドを再び追って消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

犯罪者三人が丘を下り、その姿が完全に見えなくなるとともに張り詰めた息を吐く。

索敵スキルの効果でまだオレンジカーソルだけはまだ視界に表示し続けた。

約一ヶ月ぶりの最凶三人との会合。未だ名前を知らないのは髑髏マスクの男だけだが、次に会うのはあいつが言っていた通り、剣を交わし、お互いの命を奪わんがために振るうときだ。それは遠い未来の話ではないだろう。ならば、知る必要はないし、知りたくない。

もう剥き出しにする意味のない剣を鞘に収める。

原則として、犯罪者プレイヤーは《圏内》に立ち入れない。境界に踏み込んだ途端、ボスがかわいく見えるNPCガーディアンがうじゃうじゃ出てくる。そして今の所は転移門が設置されている街は、例外なく《圏内》なので、あの三人が他の層に移動するためには、転移結晶で《圏外村》を座標指定するか、高価な回廊結晶を使うか、徒歩で迷宮区タワーを上り下りするしかない。あとはカルマ回復クエストをして、カーソルをグリーンに戻すくらいだ。

おそらくは一番目だろうが、それにしても往復で転移結晶×6個を使ったのなら奴らにとっても痛い出費のはずだ。

さすがにそこまで考えて撤退せざるを得なくした訳ではないが、俺、オメガGJ部(グッジョブ)

それにしても――精々がオレンジプレイヤー数人くらいだと思っていたが、まさか犯罪者達のトップ三人が出張ってくるとは。つまりあの三人は、時間、場所など全て正確に知っていたのだ。シュミット――聖竜連合前衛隊長にして、攻略組でも随一の堅さ(防御力)とHP持つ男がここに来るのを。

その情報の出所(ソース)は、恐らく指輪事件の犯人であるグリムロックだ。

ウインドウ・メニューを開き、キリトが攻略組を集めるように頼んだらしいクラインに『その場で待機』と送信する。

次いで未だ毒が抜けないシュミットがもぞもぞと動かしている利き手に解毒ポーションを持たせてやり、アルコール中毒者みたいに震えている手を動かし、シュミットがポーションの中身を飲むのを見届け、次に少し離れたところにいるローブを被った二人に眼を向ける。

 

「えっと……数時間ぶり、ですね。ヨルコさん。あと、初めまして、ですね。カインズさん」

 

いかに俺が影が薄いボッチだったとしても、さすがに数時間前まで同じ部屋にいた人間を忘れてなんてことはなかったらしく、ごく僅かな苦笑を向けられた。

 

「全部終わったら、きちんとお詫びにうかがうつもりだったんです。……と言っても、信じてもらえないでしょうけど」

「……別にお詫びどうこうはどうでもいいんで、信じるも信じないもありませんね」

 

それより事件捜査のために使った(アスナ上司に振り回された)時間を返してほしい。いや、人付き合いが苦手なボッチにはあの鬼と一緒にいる時間は拷問にも等しいわ。ヒースクリフ、副団長を単独行動させんなよ……

鳩が豆鉄砲を喰らったような表情をするヨルコさんの横で、するすると黒ローブを脱ぐ朴訥そうな男――顔を見るのは初めてだ――を見る。《圏内事件》第一被害者を見事に演じきったカインズは、頭を下げた。

 

「初めまして、ですね。エイトさん。初対面でこんなことを言っては悪いですが、正直トリックを見破るのはあの黒ずくめの人だと思ってました」

 

「あー、俺もそう思ってたけどな。たまにはそういう日もあるってことじゃないか?」

 

俺の返答に軽く笑いを返し、目を細める。リア充でもなく、ボッチでもない。学校では中層カースト辺りの奴だったんだろうな、とアタリをつけていると、ようやく動けるようになり上体を起こしたシュミットは緊張が抜けない声で訊ねた。

 

「……エイト。助けてくれた礼は言うが……なんで判ったんだ。あの三人がここを襲ってくることが」

 

まあ、当然の疑問だな。そう思い、なんと言ったものか少し言葉を探す。

 

「……別にあの三人が来る、ってことが判ったんじゃなくて、可能性としてあり得ると考えたんだ」

 

その説明をするためには、俺がたどり着いた《指輪事件》の真相を話さなければならない。三人――特に真相を知るためにここまでの演出を考え、実行した二人にとっては衝撃的なことを。

ゆっくり、ゆっくりと言葉を探しながら、俺は三人に説明をし始めた。

 




次回!『八幡の説明』です!

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